2000年5月17日の辻占

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その病人は、今まさに死を迎えようとしていた。枕元には、神父が控えていた。病人が、何かを言おうとするように顔を動かした。神父はそっとそれを止めて、ペンと紙を渡した。
「酸素マスクを外すわけにはいかない。書きなさい。この紙は奥さんに必ず渡して置くから。」
病人は震える手で、何かを書き留めた。神父はその紙を、懐にしっかりと収めた。彼は、なおも何かを話したい様子だったが、ついに言葉を発することなく、天に召されたのだった。
病人の妻は、病室前の廊下で、夫の死を知らされた。神父は彼女の泣き止むのを待って、病人からの最後のメッセージを手渡した。そのメッセージには、次のように記されていた。
「酸素のホースを踏まないでくれ!」
(「Joke a day」)