辻占 #001500

#001500
私、もう――なんだかとても年をとってしまったような気がするのよ。――私の人生の一番素晴しいときはみんな終わってしまった。そして、もうこのあと何年生きようと……私の人生にはもう何ひとつおこらない。もう、何も、愉しいこともなければ嬉しいこともない。恋のときめきも、苦しみも、悲しみも、いとしいひとに抱きしめられる喜びも――いとしいひとと苦しみや苦難をともにする神聖な力も……何ひとつもう私の人生を訪れない。私は、なんだか、疲れはてた老婆にでもなってしまったような気がするの。人生に疲れ、倦み果てた老婆に。
(「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)