辻占 #005596

#005596
「あんた、覚えていることが本当か嘘か、事実か虚構か、記憶か空想か、判らんというておらっしゃったでしょう」
「ええ。判らなくなってしまいました。もう二十年も経つので」
「判る必要がありますか」
「いや――」
必要というのはないのだけれども。
(「眩談 (幽BOOKS)」)