辻占 #006316

#006316
好きだったのか、どうか。今となっては、その男を、憎う思うているのかどうかさえわからぬ。ただ肚の中に、ごりごりと、渋う瘤のように、その想いが凝り固まっているだけじゃ。それが、恨みであるか憎しみであるか、情であるのか、もはや我には見当さえつかぬ……。
(「陰陽師 蒼猴ノ巻」)