辻占リスト #001500~#001509



#001500
私、もう――なんだかとても年をとってしまったような気がするのよ。――私の人生の一番素晴しいときはみんな終わってしまった。そして、もうこのあと何年生きようと……私の人生にはもう何ひとつおこらない。もう、何も、愉しいこともなければ嬉しいこともない。恋のときめきも、苦しみも、悲しみも、いとしいひとに抱きしめられる喜びも――いとしいひとと苦しみや苦難をともにする神聖な力も……何ひとつもう私の人生を訪れない。私は、なんだか、疲れはてた老婆にでもなってしまったような気がするの。人生に疲れ、倦み果てた老婆に。
(「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)


#001501
俺も……そろそろ……本当に、あのかたを追憶にしなくては……
(「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)


#001502
そうだ。生きなくてはならぬ――殉死を思うのはどんなに甘やかでも……生きているかぎり、生きている者は――生き続けなくてはならぬ。
(「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)


#001503
主張することは簡単だが主張を受け入れて貰うことは簡単なことではない。
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)


#001504
なる程言葉は理に依って立つものである。だから言葉で通じない理屈はないのだろう。しかし反面、言葉で通じる気持ちなど、何ひとつないのだ。
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)


#001505
幻覚だからこそ望むだけで手に入るのである。
但し。
気付いたら終わりだ。泉などないのではないかと一度疑ってしまえば、目前にあるのは灼けた砂や凍て付く霜になってしまうのである。
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)


#001506
拝金主義の世の中には貧富の差はあっても善悪の別はない。正義も悪もないんだ!
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)


#001507
夢と現は等価でございます。夢も現もいずれ気のひとつの現れ。事実と虚構の区別などないのです。ならば過去の虜囚となり果てて沈むは――如何なものか。
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)


#001508
手の届かぬモノは所詮絵に描いた餅だ――。
今、ここになくて、何の幸福でしょう――。
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)


#001509
だから――。
騒ぐことはない。
煽ることもない。
壊れるものは壊れよう。徒に劇的な変革を求めるのは愚か者の所業である。
所詮人の手だけで世界は動かぬ。
(「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)