辻占リスト #003150~#003159



#003150
なぜ俺は、もっと早くここにいなかったのか。
人と人との出会いは、なぜこのように理不尽なのだ。間に合わぬ。遅すぎる。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003151
不愉快だった。こんな男が本当に役に立つのかと、疑わしかったからではない。こんな男なら、我らの目的のために役に立ってしまいそうだったから不愉快なのだ。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003152
そういうことか。
そういうものか。
――あなたは、女だ。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003153
あれだけ泣けば、死神も流れ落ちますわい。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003154
そんなの子供の理屈ですよ。だって、どこへ行くっていうんです。あの子だって、そこまで莫迦じゃありませんよ。それとも莫迦だったのかしら。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003155
――働き者の女は、悲しいな。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003156
どんだけ近くにいたって、永いこと尽くしてたって、繋がらない縁は繋がらないんです。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003157
好いたの惚れたの、想うの想われるの、それはとっても幸せなことですよ。けども、当の幸せ者のまわりには、きっと誰か気の毒な者が出てくるんです。仕方ないんですよ。だからって一生それに囚われて、泣いたり恨んだり、できもしないことをやろうとする方が、もっと不幸せなんじゃありませんかね。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003158
自分でも、自分がこんなに莫迦だったなんて思いませんでした。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)


#003159
当たり前だ。おまえはどれほど永いあいだ、密かな想いを抱いてきたのだ。それがひと晩やふた晩でおさまるものならば、どうしてこんなに苦しむのだろう。おまえ一人が莫迦なのではない、おまえ一人が見境がないのではない。おまえ一人が真っ暗ななかにいるのではない。
(「おまえさん(下) (講談社文庫)」)