#003260
わしらのような、はずれ者は、気楽なかわりに、ささえてくれる手もない。なにかおきれば、こうして疑われ、憎まれるのさ。
#003261
それでも胸の底に、ふしぎな興奮がしっかりと根を張っていた。このわくわくする好奇心こそが、長い試行錯誤を乗りきっていく力になるにちがいない。
#003262
すぐに役立たないものが、無駄なものとは限らない。むしろ、いつ役にたつかわからないものを追いつづけ、考えつづけるという、人の、このふしぎな衝動こそ、いつか新しいものを見つける力になるのだろう。
#003263
おれにはね、人がみんな、〈好きな自分〉の姿を心に大事にもっているような気がする。なかなかそのとおりにはなれないし、他人にはてれくさくていえないような姿だけどね。
#003264
最後の決断は、おまえのものだよ。――こういうと、ずるく聞こえるかい?
#003265
……けどな、傷つけられたとき、だれも恨まずにいられる人は、いないだろ。それは心のやさしさとは、また、別のものだよ。
#003266
飛ぶ力は、おまえが生きたいと望む力だ。苦しみも闇も、つっきって飛びつづけろ。
#003267
さあ、だだっ子のように憎しみにしがみついて、泣くために泣くのはおやめ。
#003268
……自分の魂のはずなのに、思い通りにならぬのが、ふしぎじゃな。
#003269
おまえは歌いつづけたいかね?それとも、ふつうの人とおなじように生きたいかね?