#004900
(善意から出るのであれば、嘘もそう悪いものではないのね)
もっとも、その嘘を信じることさえできればだが……。
#004901
この人物のどこからどこまで仮面なのか、判別に苦しむことがある。
#004902
わたしの妻はこの世界を信じきっていたのだよ。
#004903
あの男も、まるっきりの馬鹿ではないが、わたしが与えた嘘は、真実よりも甘美なものだったからな。
#004904
名誉を重んずる人間は、自分自身のためには考えもしないことでも、子供のためには目の色を変えてするものなんだよ。
#004905
読むべき本を読まないうちは、死んでも死にきれんがな。
#004906
「いまいかねば、残りの一生を、あのときいっていればどうなったかと悔やんで暮らすことになる」
「いまむりにいけば、残りのおまえの一生は、そんなことを悔やむひまもないほど短いものになるぞ」
#004907
「なにを恐れるというの?」
「自分の名誉が傷つくことを――そして、あなたの名誉を傷つけることをです」
「自分の名誉は自分で面倒を見ますよ」
#004908
太った人間というのは、尻の下にクッションを持ち歩いているようなものだからな。
#004909
あれは悲嘆の涙だ。悲しみを癒してやれる薬など存在しないよ。