辻占リスト #005350~#005359

#005350
死んだ親父から言い残されたことがあるんだ。小説のなかで体言止めを多用する作家と、会話の中に、『にもかかわらず』って言葉を使うような相手は信用するな、ってな。
(「マリアビートル (角川文庫)」)


#005351
いつもシンプルに生きてきただろうが。やりたい時にやれ。人生は日々、減っていく。我慢は不要だ。
(「マリアビートル (角川文庫)」)


#005352
そんな人間ばかりなのか、とげんなりした。酒を飲んで満足していた自分が一番まともにも思える。
(「マリアビートル (角川文庫)」)


#005353
共有した時間がいくらあろうと、消える時はそれぞれ、一人ずつだ。
(「マリアビートル (角川文庫)」)


#005354
「幼稚園児でも知ってるよ」
「幼稚園児が知っていても、大人が知らないことはあるんだよ」
(「マリアビートル (角川文庫)」)


#005355
「あの栄光をもう一度ってことかい」
「みんなね。アイディアに困った時は、過去の成功例を追いたくなるんだよ。
(「マリアビートル (角川文庫)」)


#005356
「ご主人は苦しまれなかったと思います。変な云い方ですけれど、それは不幸中の幸いですよ」
いや。
幸いな訳があるか。
(「冥談 (角川文庫)」)


#005357
僕は、のろのろと草臥れて行きたい。
(「冥談 (角川文庫)」)


#005358
でも、そうした身の丈に合わぬスケールの中にいても、所詮見るもの触るものは手の届く処のものだ。
(「冥談 (角川文庫)」)


#005359
何をするでもなく、独りでいる。
空想したり。
絵を描いたり。
漫画を読んだり。
そういうのが好きだった。まるで生産的な行いではないだろう。だからそれに依る成果も変化も、何もなかった筈だ。
それなのに、忘れられない。
(「冥談 (角川文庫)」)