辻占リスト #006310~#006319

#006310
すでに、我に思い残すことはない。この世に生まれ、思うことのひとつふたつも成れば、それをもって肯(よし)とすべきではないかのう……
(「陰陽師―酔月ノ巻」)


#006311
人というものは、哀しみを忘るるために、さまざまに言葉のはなびらで、それを隠してゆくものなのだな……
(「陰陽師―酔月ノ巻」)


#006312
女が美しいのは、その美しさが永遠に続かぬからじゃ。歳をとるからこそ、女が愛しいのだ。
(「陰陽師―酔月ノ巻」)


#006313
恐ろしいが、しかしまた、これはなんという美しさであろうか。
(「陰陽師―酔月ノ巻」)


#006314
母が、子より先に死にたいなどというあれは噓じゃ。それは、世の阿呆どもが口にする戯ごとにたれもがされておるのさ。親は、たれであれ、自分の子らが死ぬまで見続けていたい、可愛がってやりたい、子より長く生きて、子が死ぬまで、何かしらしてやりたいと、苦しいほどに願うておるものさ……
(「陰陽師―酔月ノ巻」)


#006315
なかなか凄みのある笑みであった。
いったい、どのように生き、どれだけ生きれば、このような笑みを浮かべることができるのか。
(「陰陽師―酔月ノ巻」)


#006316
好きだったのか、どうか。今となっては、その男を、憎う思うているのかどうかさえわからぬ。ただ肚の中に、ごりごりと、渋う瘤のように、その想いが凝り固まっているだけじゃ。それが、恨みであるか憎しみであるか、情であるのか、もはや我には見当さえつかぬ……。
(「陰陽師 蒼猴ノ巻」)


#006317
不死などになったら、美味い酒は飲めぬ。笛の音を聴いても、それを心地よく聴けぬ。生命に限りあればこそ、酒が美味いのじゃ。なあ──
(「陰陽師 蒼猴ノ巻」)


#006318
たとえ、まわりくどくとも、最初から順を追って、お話しいただければ、それが一番よろしいかと存じますが……。
(「陰陽師 螢火ノ巻」)


#006319
はて、好きということに、何ぞ理由を捜さねばならぬことほど、むずかしいことはござりませぬ。
(「陰陽師 螢火ノ巻」)