#006420
痛いところを突かれたとき、人の判断は二つ。闘うか、逃げるか。
#006421
信じてもらえなくてもいい、教育だけは受けておけ。
#006422
「逃げなかったのか」と低い声で言う。
「……特に安全な場所もないんでな」
半分は本音だった。
#006423
――世界中に一人も味方がいないというのは、どういう気分だろうか？
#006424
何かがおかしいとは自分でも思う。おかしくなった分岐点は、どこまで遡っても見つけられない。
#006425
得た結論は一つ。失敗の見えた行動は起こさない。できることはやる。できないことは、やらない。
#006426
大人たちは隠れてこの遊びに耽る。
しかし彼らは知らない。子供たちが、悪い遊びの匂いに何より敏感であることを。
#006427
現実は、ときに嫌というほど簡単だ。
#006428
異質だ――と感じた。
しかし、それは不愉快な異質さではなかった。
喩えるなら、森の中で、見たこともない生物と遭遇した瞬間の喜びに似ていた。
（「薫香のカナピウム」）
#006429
「決まり事には意味がある。社会の合理性を乱さないための仕組みだ。勝手には変えられないんだ」
「合理性というのは、状況に対する判断を言うんでしょう。だとすれば、前例に囚われない考え方も、合理的と呼ぶべきじゃないかしら」
（「薫香のカナピウム」）