辻占リスト #006930~#006939



#006930
喉から、裏返ったような調子っぱずれな声が飛び出した。その場で舌を噛み切って――いや腹を切ってしまいたくなるような失態だ。どうしてこう、もっと腹の据わった涼しい声音を出せないものか。
(「桜ほうさら」)


#006931
開いた口がふさがらなくなるのは、呆れたときばかりではない。驚き過ぎてもそうなる。
(「桜ほうさら」)


#006932
世間じゃ女は気まぐれだって申しますけど、あれは濡れ衣ですよ。気まぐれは男の本性です。ちょっとしたことで、ころころ心が動いちまってさ。
(「桜ほうさら」)


#006933
あたしにはわかってましたから。あの人があたし以外の女と添って、収まるわけありませんもの。
(「桜ほうさら」)


#006934
あたしみたいな女につかまっちゃいけません、けど、あたしみたいな女をつかまえたら、一生の果報だわよ。
(「桜ほうさら」)


#006935
――そなたの父が真に望むのはどちらであろう。
(「桜ほうさら」)


#006936
行きはよいよい帰りは怖いが、この際、帰りのことは帰りに心配すればいい。
(「桜ほうさら」)


#006937
あんたを担ごうと思うなら、もっと念には念を入れて嘘をつくべきだった。嘘というのは、その気になってつこうとすると難しいね。
(「桜ほうさら」)


#006938
――些細な、つまらぬことで嘘をついてはいけない。嘘は、一生つきとおそうと覚悟を決めたときだけにしておきなさい。
(「桜ほうさら」)


#006939
正しいことを言う。だが本当に余計なことを言う。
(「桜ほうさら」)