#011430
お前は誠意を見せてくれた。誠意には誠意で応えるのが騎士の礼儀だ。ゆえに俺も真実を話そう。あらかじめ断っておくが、自慢出来るような話ではない。お前を余計に失望させてしまうかもしれない。それでも聞いて貰えるか?
#011431
不意に恐ろしくなったんだ。俺は判断を間違えたかもしれない。
#011432
「どうして言い切れるんです。貴方に僕の何がわかるっていうんです」
「お前のことはわからないが、自分のことはよくわかっている。お前は信じるに足る人間だと判断した、俺の直感を俺は信じる」
#011433
誰でも一度は憧れる。けれどそう生きられる者は皆無に等しい。
#011434
「簡単に言わないで。楽しい話じゃないんだから。聞いたら貴方も嫌な気分になるわよ」
「それは奇遇ですね。実は今、最高に嫌な気分に浸りたいって思っていたところなんです」
#011435
英雄になりたい。ずっとそう思ってきました。でも気づいたんです。歴史に名を残すような特別な人間は、ほんの一握りしかいないんだって。
#011436
だから貴方は真っ先に、自分を幸せにしなきゃいけないんです。
#011437
本当は、わかってたの。私は空っぽだって。
#011438
「そう照れるな」
「照れてなんかいません」
#011439
なぜだろうな?いまいち褒められている気がしないのは?