#011480
定住者がいつも見る変わらぬ風景は、感覚を刺激する力を次第に失っていく。人間はその優れた探索能力を発揮する場面を失っていく。だから定住者は、行き場をなくした己の探索能力を集中させ、大脳に適度な負荷をもたらす別の場面をもとめなければならない。
#011481
私たちは実際に「チェンジ」しているかどうかではなく、「チェンジした」という情報そのものを消費する。
#011482
ところが決断を目指す者は、そうした機会が実際に目の前にあるというのに、故意に交流の機会を絶つ。なぜなら決断は、物や人との関わりが不可能になったところで現れるからである。決断を欲する者は、わざとそうした関わりを不可能にする。
#011483
「決断」という言葉には英雄的な雰囲気が漂う。しかし、実際にはそこに現れるのは英雄的有り様からほど遠い状態、心地よい奴隷状態に他ならない。
#011484
私たちはたえまなく習慣を更新しながら、束の間の平穏を得る。
#011485
人はパンのみにて生きるにあらずと言う。いや、パンも味わおうではないか。そして同時に、パンだけでなく、バラももとめよう。人の生活はバラで飾られていなければならない。
#011486
「何だよ、その思わせぶりな言い方は?」
「あなたが敵か味方か分からないから」
「俺は美人の味方だがな」
(「七歩跳んだ男」)
#011487
私は悪だ。良心のかけらもない吸血鬼だ。それを忘れてはいけない。悪であることを自覚しているからこそ、私は多くの同業者より強い。非情に、計画的に、効率よく儲けることができる。
(「地獄はここに」)
#011488
あいつには罪がないって言うのか? みんな世界のせいだと?
(「オルダーセンの世界」)
#011489
彼は小物だ。他人に対して常に腹を立てることで、優越感を維持していないと、不安でたまらないのだろう。
(「オルダーセンの世界」)