#002270
旨い食い物のせいかな。どんな理屈よりも、この世の決まり事よりも、旨いものを食う喜びが、俺に物事をちゃんと感じさせ、考えさせるのかもしれねえ。
（「日暮らし〈下〉」）
#002271
この世のことを、おめえ一人で全部背負い込むわけにはいかないんだよ。
（「日暮らし〈下〉」）
#002272
俺は暇つぶしは得手だが、つくづく、待つのは不得手だな。
（「日暮らし〈下〉」）
#002273
おやり。たとえわたしの敵になろうと、わたしはよろこんでいる。
（「どぶどろ」）
#002274
長いことイヌ小屋に住まわされていると、心までイヌじみてきてしまうものだ。
（「われらが英雄スクラッフィ」）
#002275
さぞかし面倒なことになるだろう。だが、これまでの人生経験から、不完全な勝利でもありがたく受けとらなくてはならないときがあるのもわかっていた。
（「われらが英雄スクラッフィ」）
#002276
そして、いまにしてわかったのだが、自分の敗北や損失にはっきりと目を向けて、愛のために背負ったあまりにも高い代償を計算することができるということ、それもまた大人になることの一部なのだった。
#002277
このふたりの男たちは親密ではない――だが、それで世界が終わりはしない。彼らはほかに数十億の人々とも親密ではないのだ。
#002278
激しい悲しみは知識の薄膜など剥ぎとってしまう。
#002279
だとするとほんとうの教訓はきっと、『朝を迎えて朝食を食べるまで待て』ということなのだろう。