#003140
これはおかしい。一足す一が二にならぬのなら、どこかに別の一が隠されているのだろう。
#003141
生き恥は、生きて雪ぐものじゃ。
#003142
罪をひとつ、きれいにしたら、きれいにしたことを周りに広く知らせないと、きれいにしたことにはならないのだ。当たり前のことだが、人は、知らされないことは知らぬものなのだから。
#003143
これだけのことを黙って胸ひとつにしまってたんじゃ、くちくてしんどくなるのも無理はねえ。女房に隠し事をするってのは、辛いだろう。
#003144
田圃に足を突っ込もうが土手で転ぼうが肥だめにはまろうが、欲しいもんがあるんなら、諦めるんじゃねえ。すぐメソメソするんじゃねえ。いいか、わかったか。
#003145
――なるようになって、こうなっちまったんだから、しょうがないわよ、おまえさん。
#003146
怒ってみせるのも、仲良しのうちだ。
#003147
寂しくないけど、おまえに会えないのは寂しいんだよ。
#003148
あなたはもう用無しの役立たずだ。早く死んでくれないか。どうしていつまでも達者でいるのだ。この世には、あなたの居場所はもうどこにもないのに――
#003149
愚かの極みだ。いったい誰から救うというのだ。そもそも救いなど求めていない者を、どうして、救ってやらねばならぬなどと思い込んだのだ。