#003830
目が覚めた。俺は今、目が覚めた。
#003831
間違えても良いんですよ。それが学ぶってことです。たくさんの間違いをしなけりゃ人は学べませんから。あたしにしてみればね、歳を取ってから自分はこれまで何の間違いも犯さなかったなんて言う人ほど信用できません。だって何も学んでないってことですから。
#003832
日々に飽き、変わることを望んでいた自分がそんなことを恐れるのが不思議だった。
#003833
何か大事なものを持ち忘れたことに気づいたことに気づいたときのような心細さと苛立ちが、強い疑問と一緒になって自分の背中から潜り込んで心臓をわしづかみにした感じだった。
#003834
なーんか世界とか救いてぇ――……
#003835
いいか。この世界は微妙な均衡の上になりたってるんだ。わかるか？
うううん。よくわからないよ。
わからなくてもいい。とにかく、そういういものなんだ。とにかく、微妙なんだ。
#003836
「俺が間違っていた」
「おまえがよく間違うのは承知のことだ。で、今度は何を間違ったんだ？」
「おまえが正気に戻ったって思ったことだ。正気どころか、より深い狂気に沈んでしまったようだ」
#003837
「俺は完璧に正気だ」
「誰でも自分ではそう思うもんだ」
#003838
世界の寿命？その前にまず自分の寿命だよ！
#003839
おまえは元々酷いやつなんだから、酷いことをするのを躊躇するなよ。