#005120
後悔とは、よく言ったものだ。――あとで悔いても、なんの役にも立ちはしない。
#005121
恋をするというのは、心のことだけではない。――自分の身体そのものが変わってしまうことなのだ。
#005122
そうだよ。人はそれぞれだ。持っていないものを嘆くより、持っているものを輝かせるべきだろう？
#005123
本来、わたしにはありえなかった幸福を一度だけでも味わえたのだ。わたしは幸せだ。
そう思って微笑んでいられたのは、しかし、その日の夜までだった。
#005124
恋を自分への言い訳にして、愛する人を不幸にしてしまうような関係を長続きさせようと思ってはいけない。いかにつらかろうと、それは、してはならない。
#005125
わたしは歯をくいしばった。涙など流したくなかった。すべて承知で、やりたいことをしてきたのだ。その結果を哀れんで泣くような、くだらないまねだけは、絶対にするものか、と思っていた。
#005126
その執念を無視したくない。のたうちながらでも生きたいのなら、その最後の瞬間までつきあってやりたい。
#005127
苦い経験というのは無駄にはならんものだ。あのとき失敗したおかげで、二度と同じ後悔をせんですむわけだからな。
#005128
まず裏道を探せ。正面から処理をしようと思うな。そんなことをすれば、必ず、人も自分も傷つく。大切なのは、責任を問うことではなく、再発を防ぐことだ。それを肝に銘じておきなさい。
#005129
だからわたしは、蹴返してやりたくなったのだ。――自分を嘲笑っている運命を。