#006760
この男は暗号だ。自分自身を隠している。
#006761
これもテストなのだ。なぜみんなおれをテストするのだろう。彼らの欲しがっているものなど持っていないのに。
#006762
贈り物を持ったギリシャ人に用心せよ。
ああ、わかってる。でも、言うはやすしだ。
#006763
息子よ、いつかちゃんとした使い方を教えてやろう。だが、今日はだめだ。
#006764
自分は狂っているかもしれない。それは内心で認めざるをえなかった。ただし、かりに狂っているとしても、それは明晰に物事を見通す無慈悲な狂気であり、普通の女が陥るようなそれではない。
#006765
ここでまた、あの言葉がキーワードになる。“必要”という言葉が。あまたの罪を免じる魔法の言葉。要するにその意味は、“このほうがほかの方法より簡単だ”ということにすぎないのだが。
#006766
商店のウィンドーに映った自分の姿を見て、おれのものであるはずの身体を占拠しているこの男は誰だ、といぶかる。
#006767
不可能だとは言わない。けれども、人生をともにするひとりの相手を見つけるのさえ多大の苦労を伴うというのに、どうしてふたり以上の相手との関係を、人生行路のさまざまな波を越えながら維持できるのだろうと思ってしまう。
#006768
いつでもうたた寝できる能力は、みんな養ったほうがいい
#006769
実際にはないが、こんな弔いの言葉があってもいいはずなんだ。『故人は本当に厄介者で、本人が思っていたのの半分も賢くありませんでした。ですからとっとと埋めて、みんなでビールを一杯やって、ああせいせいしたと祝おうではありませんか』おれは個人的にこういうのもありだと前から思ってるよ。