#007880
そんなことは、わかっている。わかっているからこそ、私は出来うる限りのことをしてきた。もう、ぼろぼろだ。
#007881
「君ほどの人物なら、望んで手に入らぬものはあるまい」
「それは私の分を越えている。たとえば愛する人にめぐり逢い、その愛を一身に享け、腹を満たし、肌のぬくもりを得られれば、そのうえ何を欲する。私はすでに満たされている。ゆえに死を怖れてはいない。いや、怖れてはならないのだ」
#007882
お告げなんてそんなもんだ。運命なんて、頑張りゃいくらだって変えられるんだ。
#007883
すまんが君は難しい方をやってくれ。僕は、簡単なことしかできんから。
#007884
わしもたいがい人は食ってきたが、そろそろ腹が受け付けぬ。こなれの良い物ばかりを食っていると、やはり精はつかぬよ……
#007885
小わっぱめと侮っておったわしが甘かった。倅の世代は押さえこめても、孫の代には目が届かん。
#007886
是非はともあれ、憂国の衷情とおなごの真心、この二つにはいやしくも男子たるもの、命と代えてでも応えねばならぬ。汝はそれらをともに踏みにじった。
#007887
「あなたには生きる義務があります」
「死ぬ権利はありませんか」
#007888
僕らの行為は、何ひとつ歴史を変えることはできないのかもしれないが、少くとも今、僕らは歴史に参加している。
#007889
無礼。無礼にはちがいないが、無礼もここまでくると咎める気にもならぬ。