#009670
「いつだって俺は、いちばん大事なときに限ってこうだ」
と砂を噛む気持ちは、そのまま本物の砂を噛むことでいよいよ増幅される。
#009671
疲れた頭では、いい考えは浮かばないだろう。俺たちは寝る。明日、もう一度考えて結論を出そう。
#009672
気づき始めている。
退屈で平穏な日常が根っこにあるからこそ、危なっかしい香りは際立ち、冒険への予感は研ぎ澄まされるのだと。
#009673
手を替え品を替えさんざん味わわされてきた嫌な予感が、ここにきてとびきり質の悪いやつを引き連れ、のど元までこみ上げてくるのを感じた。
#009674
熱弁を繰り広げても、悲しいかな、熱の質ならじゅうぶん伝わるが、弁の質についてはさっぱりわからない。
#009675
「私をおだてて何させるつもりですか!?」
「仕事」
「信用できないです…」
「古傷が痛むかい」
「まだ塞がってないですからね?!」
#009676
彼らは不健全な悲壮感に陶酔することなく、陽気にそれらを克服していった。当時の人類はあるいは救いがたい楽天主義者の集団であったのかもしれない。
#009677
……私は前面の有能な敵、後背の無能な味方、この両者と同時に闘わなくてはならなかった。しかも私自身ですら全面的にはあてにならなかった。
#009678
あんな奴らに支配されるために、宇宙は存在するんじゃない。
#009679
いいか、おぼえておくんだ。独裁者は出現させる側により多くの責任がある。積極的に支持しなくても、黙って見ていれば同罪だ……。