#006390
もうじきこの男とは、腹を割って話しあわねばならないだろう。たとえそれによって諍いが起ころうとも。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006391
父の蔵書は、父自身よりもずっとリベラルだったといえる。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006392
典型的な事務屋の言いぐさだな。報告書を読んだからといって――自分が責任者だからといって――なにかを知っているつもりでいる。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006393
わたしは実感した。この姿では、この肉体の中にいては、けっしてその答えを知りえない。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006394
睡眠中の思考を信用しなければならない。虫の知らせというものを信用しなければならない。理解できないからといって不合理と見なしているすべてのものについて、あらためて検証しなければならない。逆にいえば、より高次のもの、より価値あるものに到達する試みにおいては、合理的なもの、論理的なもの、正常なものを信じてはならない。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006395
めっきり口数がすくなくなり、かつての覇気を感じさせない日々が長くつづいた。それまでの言動がカラーテレビだったとすれば、チャンネルがひとつしか映らず、画像も粗い、白黒テレビになってしまったような感じだった。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006396
どれだけがんばっても、おまえが説得力のあることをいえるとは思えんよ。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006397
しかし、きょう一日だけが不調なのではない。毎日毎日、不調だらけの日々がつづく。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006398
いまは押すべきだ。探りを入れるべきだ。たとえ自分のいうことが真実かどうか、自信がなくても。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）
#006399
そのあとで、はっとわれに返って、なんでこんなことをしてしまったんだろうって、泣きながら悔やむのね。結局、理由はわからないっていってたっけ。でも、いつも思うんだけど、そこにはなにか理由があるはずなのよ。自分では認められない理由、自分では気づいていない理由があるはずなのよ。
（「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」）