辻占 #002463

#002463
「いつ、おれが、どのような死に方をするにしてもだ……」
「どうした」
「こうしておまえとこの世で出会うて、こうしてともに酒を飲んだ夜があったことを思えば――」
「思えば?」
「生きていたことの意味があったということさ。それは、つまり……」
「つまり?」
「いずれ死ぬるにしろ、それはそれで運命ということであろうよなあ」
「うむ」
「それでよい」
「うむ」
(「陰陽師―夜光杯ノ巻 (文春文庫)」)

陰陽師(夜光杯ノ巻)画像
陰陽師(夜光杯ノ巻)
(ISBN: 9784167528201)
¥792
在庫あり
文藝春秋
夢枕 獏