辻占 #004210

#004210
これは話術なのかしら。口には出せない恐ろしい秘密、子どもも黙るようなぞっとする考えが、無遠慮で皮肉なユーモアとともにぽんと口に出されたのだ。すると突然その恐ろしさから暗澹たる色合いが消え失せて、恐怖は縮み、誰でもなんでも口にできるようになる。そして耐えられない重荷のはずが、少し楽に持ち上げられるようになっているのだ。
(「任務外作戦 下 (創元SF文庫)」)