#010100
悲劇や困難っちゅうのは、物語を強うしますやろ。あんさんの背負うとるお話は強いんですわ。
（「止まり木の暖簾」）
#010101
人間て、見えとるとこだけで話を組んでいくんです。自分が望んどる姿を他人に映して、足りんとこ勝手に加筆して、この人はこういう奴やろ、いうて配役してまうんですわ。
（「止まり木の暖簾」）
#010102
のどかな風景に惑わされるな、こいつはけっこうおおごとだ。
（「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」）
#010103
私の希望は「楽に仕事をしたい」だったのである。
（「循環」）
#010104
出来ることはほとんどないのに、時間だけは有り余っている。それがこんなに苦しいこととは思いもしなかった。
（「されど星は流れる」）
#010105
「おまえ、もともと名古屋とか関東の人間だろう」
「？」
「ジョークがここらのセンスじゃない」
#010106
この場合の「拡大解釈」とは悪意の存在を意味しない。ただルールの穴があったから、それをどこまでも掘り進めただけだ。
#010107
――われらは待ち続けました、とかれらは言った。なんとむなしい年月だったことか！ 希望はつねにわれらをあざむきます。
#010108
それならば、そんなことは滅亡に任せておけ。奪われる前に慌ててみずから投げ捨てるような醜態を晒すな。持てるものは持ったまま滅びよ。
#010109
この人なら世界を滅亡から救えるかもしれないと、思っていたことをもはや覚えているものはいないだろう。