#010630
薄っぺらな、なにもない人だったけど、私、本当に愛してたのよ。
#010631
私はたぶん、娘の人生に興味がなかった。興味の対象は常に、会社に翻弄され、揉まれ、潰されかかっている自分自身だった。それ以外は無害なパノラマであってほしかったのだ。
#010632
どうしてお前は、自分にその資格ありと錯覚できたのかと。
#010633
しかしそんなことを云えば、人生そのものが、我々が認識している宇宙全体が、脳の錯覚に過ぎない。
#010634
創っては壊し壊しては創りの人生を自認してきたが、正しくは、創っているつもりで何もかも壊し続ける人生であったかもしれない。
#010635
運は遺伝する。
#010636
そういう時代ではまだなかったし、そういう土地でもなかった。
#010637
彼女が夢だとしたら、わたしの人生は大半が夢だ。
#010638
これからも目と耳だけを信じて、物語には気をつけろ。
#010639
正当性を説いたけれど、一度としてみずからの言葉には酔わなかった。巷の論者を演じている風ですらあった。