#010850
どんなに美しい花でもいずれは枯れ果てるように、どんな理想主義者もいずれ現実主義者になる。
#010851
ああいう怪しい人物って、怪しいなりに理屈が通っているというか仁義を通すような気もして、信用してみる気になったんだ。
#010852
「きっと私には理解できない難しい理由があるんだね」
そうじゃない。そう口にしたかったが、結局何も言えなかった。話しながら、自分でも何が言いたいのかわからなくなっていた。
#010853
信じていたことが、あるいは信じようと努力していたことが、実はすべて幻想だったとわかる瞬間の、あの絶望と知的興奮に満ちた感情が、とても好きだった。
#010854
お前はガキだ。俺と一緒でな。世界の秩序を信じていて、正しいことは報われると思っている。
#010855
「お前は変わってるな」
「むしろ自分ひとりが正常で、他のみんなが全員変わってるのではないか、と思うこともありますね」
#010856
勝って名誉を得る。他人に認めてもらう。それがすべてだから。みんな、それぞれのゲームに勝つために生きているんだ。
#010857
その瞬間、自分は世界との決定的な距離を知る。それは優越感ではないし絶望でもない。諦観に近い何か、あるいは「お前は絶対に世界に参加できない」という死刑宣告だ。
#010858
分業が進むと生産性が上昇するかわりに、個人はどんどん弱くなっていく。
#010859
より大きな社会は、家族関係を超えた連帯を必要とする。そのとき、しばしば『家族』という関係は国家の邪魔をするの。