#010860
「大事な話か。なんだろうな」
「なんだと思いますか?」
「さっぱりだな。俺には大事な話なんてないからな。大事じゃない話ならいくらでもあるが」
#010861
世の中の出来事をそのまま物語にしたら、本当はみんな、そんな感じなんだ。途中まで面白そうで、何か意味がありそうに見えるけど、最後はだいたい無意味に終わる。
#010862
生まれたての赤子には、わからないことは一個もない。しかし知識が増えたり、経験を積んだりすると、わからないことばかりが増えていく。
#010863
自分はあのころ夢見ていた大人になれただろうか。わからないし、考えたくもない。理想を実現するために、自分は多くの悪を目にしながら見て見ぬふりをしてきた。
#010864
何か真理を見た気がした。人生は、わずかに残った印象的な断片と、その断片を補完する現在の自分と、直近の一年間で成立している。
#010865
それはつまり、もともと結論は出ていたというのに、コイントスをすることで、その決断の責任を神に押しつけてしまおうとしていたということだ。茶番だ。くだらない。
#010866
これはもう、ほとんど信仰なのではないか。
#010867
自分だって、それが神だと認識していなかっただけで、結果的に神を信仰していた。
#010868
彼女は欲望であり、欲望を奪った存在でもあった。つまり、生きる意味そのものだった。
#010869
ですが、それでも私は祈ります。運命に翻弄されてそちらへ向かった二人が、どうかいつまでも楽しく遊べますように。