#011230
恋におぼれる自分よりも、己の矜持を守り通せた自分の方が、好ましかったのだから仕方ない。
#011231
燃え上がるような恋情がさめたあとに残るのは、どうしようもない現実だけだ。
#011232
世界はどんな色をして見えていたのだろう。
#011233
自分に出来ることがあるのに、それをせずにただ他人の好意に甘えているのでは、詐欺を働くのと同じです。
#011234
おかしい。愛の告白をされているはずなのに、ちっともそんな気がしない。
#011235
「こういう係にされつつあるのかもな」
「首にならなくてよかったですね」
#011236
そうですわね。吞まねばならない薬かもしれません。
#011237
なぜ寂しいなどと思いこんでいたんだろう? とんでもない。これは悔しい、だ。
#011238
「平気そうですね」
「そうでもないですけど。立ち向かうべきいつもの困難だなと思います」
#011239
そう、よく寝るために何かを守る、まったくの私利私欲ですよ。