#001370
でも
恋ひとつでここまで自分を見失えるなんて。
#001371
思い出したくない細かなこと、考えたくない大きなことが、あとからあとから頭に浮かび、心にわきあがってくる。早くここを出たかった。
#001372
こんなにも疲れているのに、やはり怒りは湧いてくる。湧いてはくるけれど、あまりにも疲れ切ってしまっていて、もう怒りを外に出すことができない。
#001373
それならば、本当に闘うべき「敵」は、いったいどこにいるのだろう？
#001374
皆、無意識のうちに知っている。宣伝こそが善悪を決め、正邪を決め、神と悪魔を分けるのだ――と。
#001375
彼女にとって、「男」は常に、御しやすいものだった。優しいものだった。手軽なものだった。面白いものだった。利用できるものだった。そして「女」にとってはなくてはならないものであり、だから「男」のそばにいない「女」は彼女にとって意味がなかったし、より使い勝手のいい「男」をそばに置いておくことにこそ「女」の人生の目的はあった。
#001376
だからむしろ、隠すのをやめよう。そして、オレたちが見せたい部分だけを見せるんだ。
#001377
このルートに逃げ道はないのか。どこにも分岐点はないのだろうか。それとも、たくさんの分かれ道があったのに、あたしはそれを見落としてきてしまったのだろうか。
#001378
勇敢て、誰がだよ？言っとくけども、お兄ちゃんは子供のころからこの歳になるまで、勇敢だったことなんか一度もないんだぞ。
#001379
俺は知ってる、お前は俺が知ってるってことを知ってる、俺が知ってることをお前が知ってるってことを俺も知ってる、だから仲良くやろうぜ――。