辻占リスト #004470~#004479



#004470
知識を持ちながら目の前の現実に生かせないような研究者にはなるな、っていわれたんだがな。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)


#004471
未来のヴィジョンを人々に提示する職業であるはずの科学者や技術者は、これまでそうした未来像を描くことを不得手としてきた。実際の彼らはおのれの研究分野という限定された視界から未来を見ている。それが真のヴィジョンだと思い上がる。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)


#004472
彼女とのおしゃべりは趣味じゃない。趣味じゃないのだが、数十年に一度くらいの割合で彼女の声を聞きたくなるときがある。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)


#004473
大切なものを犠牲にしなくても幸せは見つけられる――
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)


#004474
おまえは何度も、ほんとうに数えきれないほど何度も、「どうして?」を口にしてきた。お前の小さな体と、後ろがほんの少しでっぱった頭の中には、いつだって疑問符がぎっしり詰まっていた。
(「疾走 上 (角川文庫)」)


#004475
噂話は得意でも――得意だからこそ、よく知らない相手と挨拶をするのが苦手なひとたちなのだ。
(「疾走 上 (角川文庫)」)


#004476
我が家でいちばん偉いひとは、我が家をいちばん嫌っているひとでもあった。
(「疾走 上 (角川文庫)」)


#004477
薄れかけた記憶の、その薄れ具合が心地よい。にんげんは、幸せな日々から順に忘れ去っていくのかもしれない。
(「疾走 上 (角川文庫)」)


#004478
ほんとうに憎んだり恨んだりする相手を殺すことはできるのだろうか。もし自分がひとごろしになるのだとすれば、意外とつまらない相手を、つまらない理由で、つまらないやり方で殺してしまって、それでおしまい――になってしまうのかもしれない。
(「疾走 上 (角川文庫)」)


#004479
罪を犯そうとするひとを止められるのは、そのひとの丸ごとすべてを信じている相手だけなのです――
(「疾走 上 (角川文庫)」)