#005880
願望は、どれほど濃く煮詰めたって真実にはならないということが、全然わかっていないのだ。
#005881
だが十四歳は微妙な年齢だ。親の義務と、子どもの権利が拮抗し始める年頃だ。
#005882
中学生にとっては、新聞に載っていることが社会の動きじゃないでしょう。学校で起こっていることこそが社会なんです。
#005883
思春期の子供は誰でも、必ず一度はこの関門を通る。親への不信。
#005884
自分一人でいることのいちばんの利点は、騙す相手も自分一人で済むということだ。
#005885
親の期待を裏切りたくない。だから期待をさせないようにふるまう。ずっとずっとそうしてきた。今になって、親とのあいだにいざこざを起こしたくない。だから自分から動くことができない。僕は腰抜けだ。
#005886
幼さは、若さは、すべて同じ弱点を持っている。待てないという弱点を。
#005887
「なんてバカなことを。どうしてここまでバカになれるんだろ」
「そりや本人たちに聞いてみないとね」
#005888
そりゃ性格は優しくて明るくていい子だけど――
でも、でも、真の友達になるには、もうちょっと足並みの揃う相手でなくちゃ。
#005889
前例があるから使おうと思ったのに、前例があるからその道は閉ざされていた。バカみたいだ。