#006960
理詰めでいったらそうかもしれないけれど……こういうことは理詰めじゃないでしょう。
(「桜ほうさら」)
#006961
これまで一瞬たりと、みずからの選択を後悔したことはない──が、いつのまにか彼の心に郷愁にも似た、妙に物悲しい思いがひろがっていた。
#006962
とにかく残念でならなかった。なぜ物事は永遠につづいていかないのだろう?
#006963
相手に勝つことも、仲間になることもできないなら──相手より長生きすることだ!
#006964
十八歳から三十歳の男の決意というものがいかに変わりやすいものか話し合っても無駄だろうと悟りました。
#006965
「わたし、これまで一度も病気で仕事を休んだことはありません」いわんとしていることはあきらかだった──病気になる人間は、自分で病気を招いている。
#006966
ああ、あの薬が欲しい!
#006967
しかしわたしたちのちがいは、互いの相手にたいする誠実さにくらべれば、二人の愛にくらべれば、たいしたものではなかった。
#006968
わたしたちは一心同体だ。ひとりが苦しんでいれば、もうひとりも一瞬たりとしあわせな気持ちにはなれないし、相手が晴々としていれば、もうひとりも不幸とは無縁でいられる。これは人生が与えてくれるもっとも高価な贈り物のひとつだ。
#006969
それが愛なの。あなたがまだ知らない、愛。