#007010
当事者ではないにもかかわらず、当事者の気持ちを代弁しようとする人物を、僕は少し警戒する。あの人はきっとこう思うはずだ、と言い切れる人は、自分を正しいと思いすぎているきらいがある。当事者にとって、ありがた迷惑になることを想像していない。
#007011
「そんなのはな、ばれないように会えばいいじゃねえか」
「どんなふうにですか」「俺に考えがある」「本当のことを教えてください」
「本当のことをか」「はい」
「考えなんて、ない」「でしょうね」
#007012
時間が和らげない悲しみなどない。が、悲しみはゼロにはならない。
#007013
必要とされると、断りにくいのも事実だ。それを見越して、そういう言い方をしてきているのも事実だろう。
#007014
「お気楽に生きていられる奴なんて、どこにもいないからな」
実は今僕の目の前に一人だけいます、という言葉が喉まで出かかった。
#007015
おまえ、昔のお詫びに、人助けをしたいとかそんな調子のいいことを考えたんじゃねえだろうな。あのな、人の命は別の命じゃ埋まらねえぞ。
#007016
だったら、ずっとばれないようにしてりゃいいんだ。途中でばれるような嘘をつくなよ。
#007017
あのな、自分のことは全部、みんなに理解してもらって当然とか思ってるんじゃねえだろうな。中学生じゃねえんだから。
#007018
監督不行き届き、と言ってしまえばそうなるが、疑ってもいないことを気にかけるのは難しい。
#007019
全然、埋め合わせできていないから、何もしないのは苦しいです。