#008250
自分には知らされていないことがある。判断をさせてもらえないことが、まだ、たくさんある。
#008251
そうでないことを祈る気持ちが、我が目を曇らせた。
#008252
そっとしておいてやれたらと思う。──しかし、それは、叶うまい。
#008253
──鎮まっていた池にわざわざ石を投げこんで、何を見ようとしておられるのかしらね。
#008254
この世がこのように在るということに、私たちは神の御心を見ているのです。
#008255
おれがいま、君に話したくらいの理屈はすぐに頭に浮かんだだろうよ。
#008256
こちらもざっくばらんに言わせてもらいますが、わからないのです、本当に。
#008257
人ってのは、良い言い訳が見つかると逃げたくなる生き物だ。それでいて、逃げることは後ろめたいもんだから、いつの間にか言い訳を鉄壁の理屈に祭り上げちまう。神さまがこういう存在に生んだから、なんて言われたら、そこですべてはどん詰まりだ。
#008258
さっきのあれ、覚悟を決めて大見得をきったというより、鬱憤をぶちまけたんでしょ。
#008259
でも、だめなのね。幸せを留めておくことって、できないんだよね。逝ってしまった後で思い出しても、もう別なものに変わっていて。