#008320
千年後も、きっと私たちはいますよ。何がどうなって……というのは言いにくいんですが、そうに決まってます。
#008321
「あんた、どうしてそんなに平然としていられるの?」
「それは君が僕の代わりにどんどん驚いてくれるからだよ」
#008322
人間は異質なものを排除する。異質なものがなければ、それを内部に作り出しさえする。
#008323
「切り捨てを……正当化しろって言うのか?」
「いいや?そんなこと言わないよ。ただ、悲しみと痛みを持ちながら決める、ということがいつだって必要だっていうだけでね」
#008324
気が長いことは思考が遅いことを意味しない。
#008325
こじつけ?いいや、これは発明ってやつだよ。よりよい解決につながる理屈は、そう呼ぶべきじゃない?
#008326
あたしたち自身よりも先に幸せにしたい人たちが、多すぎる。
#008327
「でも――」
「でも、なに?」
「でもね。たとえば君のような人間が、いつでも出てくる。いつだって出てくる。壁を作るんじゃなくて、乗り越える人が。これも人間の本当だから、消えないよ」
#008328
おめでとう、もう、やめていいのです。あなたは。――この苦しい旅路に飽きて、さらに先の光景を見たいのでなければ。
#008329
「この先は、もっと怖いかもしれないぞ」
「い……いいです。一人になるよりマシなんで、連れてってください」
(「風待町(かざまちちょう)医院 異星人科」)