#009850
罰をうけないですむからには、罪を犯さねば損というものであった。
#009851
味方の非を批判する者は、永遠の少数派である。
#009852
経済的条件はときとして法律の機能をより冷厳に代行するものなのである。
#009853
ぼくはなにかして死にたかった。どんな悪いことでも、ばかなことでもいい。なにかして死にたかった……それだけなんだ。
#009854
独身生活一〇年でさとりえぬことが、一週間の結婚生活でさとれるものさ。よき哲学者の誕生を期待しよう。
#009855
まったく、平和に、安穏に、なまけてくらすのは彼の理想であった。
#009856
なにかをなそうとするときには、思考停止が必要なようだった。多くは、人が〝信念〟と呼ぶものである。
#009857
ほしいと思うのは、身体がそれをもとめているからだ。だからほしいものをすなおに食べたり飲んだりするのが、いちばん健康にいいんだよ。
#009858
忘れるということは、当人にとって重要でない、ということだ。世の中には、いやでも憶えていることと、忘れてかまわないことしかない。だからメモなんていらない。
#009859
「先方はこちらを問題にしていないようですよ。それにだいいち、そんなことしている時間がありません」
「問題にさせるんだ。時間もつくるんだよ」