#009860
好意をもちえない顧客というものは、たしかに存在するのである。
#009861
烏合の衆は、結束のために英雄を必要とする。
#009862
未来に思いをはせる者は過去を知らずにすませることはできない。
#009863
「その当時、つまり一九、二〇歳のころの乱行ぶりを思いだすと……」
「冷汗がでる?」
「いやいや、その当時に帰りたくなる」
#009864
おれもな、女だけで苦労したわけじゃないからな。青春の苦悩ってやつの、おれは歩く博物館なんだぜ。
#009865
「や、やめろ」
「おれもやめたい。だけど人生はままならぬものでな。おとなになるってことは、やりたいこととやらねばならぬことを区別することさ。では、ごきげんよう」
#009866
「美しい花は独占してよいものではないさ」
「あら、ありがとうございます。でも、わたしは独占されたいと思っているんですけど」
#009867
自分が自分自身以外の者の道具であるにすぎないことを、これほど納得させられたことはなかった。
#009868
不老不死でいられるわけではないし、死ぬのだったら納得して死にたい。
#009869
不本意な死にかたをしいられることと、不本意な生きかたを強制されることと、どちらがまだしも幸福の支配領域にちかいといえるのだろうか……。