辻占リスト #002020~#002029



#002020
おまえに友人なんかいるもんか。金で雇えるのは友人とは言わん。
(「大久保町の決闘」)


#002021
すると突然、大丈夫、ぼくがついてるからね、といった気分になってしまう自分に対して馬鹿馬鹿しくって言葉もない。本当はぼくの方が誰かに抱きついて助けてくれえと泣きたいくらいなのに。恐いのに恐がっていられないのだ。こわいのに。
(「大久保町の決闘」)


#002022
「俺はおまえみたいな男がきらいだ」
好きだ、と言われても困るところであるが、どっちにしても嬉しくはない。
(「大久保町の決闘」)


#002023
こういう場合、優しくされると自分の立場がはっきりしてしまってよけいに恐いものである。ただの胃潰瘍だと言われたのに、会う人会う人、どうしてみーんな眼が潤んでいるんだよう、というようなものだ。
(「大久保町は燃えているか」)


#002024
大学に無事受かった直後の若者ほど世間をなめている人間はいないのだった。
(「大久保町は燃えているか」)


#002025
想像というよりこうなるともう創造。
(「大久保町は燃えているか」)


#002026
恋愛なんか実のところ、たいていどれも似たり寄ったりで、ものすごい体験をしたと思っているのは普通は本人だけである。本当にあのときはつらくて人間が信じられなくなったなんて、恥ずかしいので人に言うのはやめていただきたい。
(「大久保町は燃えているか」)


#002027
これが、あなたの人生観だ。あなたはこのように、他人を軽蔑しながら、無意識のうちに自力による成功を諦めている。
(「敵は海賊・正義の眼」)


#002028
「経済的な貧困は」と男は言った。「社会的な問題で、精神の貧しさは、他人には救いがたい、個人的な病だ。いずれにしてもどちらも治療が必要な病気だ。誉めたり蔑んだりするようなものではない。きみに自覚症状があるのなら治すべきだろう。精神的な貧困については度し難いが、自覚しているなら治療法はあるだろう――」
(「敵は海賊・正義の眼」)


#002029
そうだ、おまえは、そういうやつだ。おまえの主義や主張や正義は、みんな借り物だ。おまえの不幸は、それがおまえ自身にわかっていないことだろう。だからといって、おれはおまえに同情はしない。その性根ごと、叩き潰してやる。覚悟するがいい。
(「敵は海賊・正義の眼」)