辻占 #003805

#003805
――そう、この花は、きみが植えたのだったな。ならば、きみはこの名もない花の命を救ったことにはならないか。花は散る。だが、種は風に乗って、幾千、幾万とここにない地に根づいていくことだろう。悩めるとき、あるいは夢にうなされるとき、こう考えてみなさい。自分は、一万の花を救ったことがあるのだと。
(「盤上の夜 (創元日本SF叢書)」)