辻占 #006323

#006323
古きものが、常に新しきものと入れかわり、入れかわりして、この天地の間を動いてゆく。この、身が震えるほどの変転の中にあって、人の為せることというのは、いかほどのものであろうか。哀しいほどに、人の為す技は無力ではないか。桜を眺めていると、その人の技のはかなさが思われて、人というものの可憐さに、おれはしみじみとしてならぬのさ。
(「陰陽師 螢火ノ巻」)