辻占リスト #010900~#010909



#010900
そういう変化の中で、少しの時間、寄り道させて、僕らが楽しませてもらっているだけのことだからね。あとは自然に任せることだ。そいつを妨げるのは邪道だよ。
(「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)


#010901
もうそんな時季か。一瞬だな。すべてはほんの一瞬のうちに過ぎ去ってしまう。そうと思えば、瞬きをするのも惜しい気がした。
(「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)


#010902
「思ったことをしたがために、周りに迷惑かけてりゃ世話ないよ。思った通りになっても、それは『悦び』とは云いがたいよ」
「支えてくれる人がいるのは、咎ではない。果報だ」
(「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)


#010903
「世の中には僕の知らんことがまだまだあるんだな。僕の知らん世界が」
「そりゃあそうです。きっと知ってることより知らないことのほうがずっと多いと思います」
(「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)


#010904
覚えていればいいの。みんなが忘れてしまっても、覚えていてくれればいいのよ。
(「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)


#010905
僕の目指す学問が活かされる場はあるはずなんです。一輪の花から、一葉の葉から、一匹の昆虫から、見出せるものは山とある。
(「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)


#010906
少しばかり科学もかじってみる。そのうちに、ちょっとかじっただけの科学から離れられなくなってしまうのだ。
(「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)


#010907
ときどき、父とのあいだの結びつきを感じるときがある。マングローブの木が隠れた根で小さな〝子ども〟の木とつながっているのと同じように。
(「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)


#010908
むずかしすぎる言葉を使ってしまった自分に腹が立った。せっかく、科学の話をしてくれているのに、少しでも知識があるところを見せたら、この人は話すのをやめてしまうだろう。
(「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)


#010909
こうして両者が伝える物語は、同じものではなくなった。
(「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)