「あ」検索結果

「あ」検索結果一覧

#000001
今日、ポテトチップを買ってきたら容器にこんな表示があるのに気づいた。
“50%以上の再生原料と、15%以上の再利用廃棄物を利用しています。”
……おえっ。
(「rec.humor.funny」)
#000003
Q:次の英文を訳せ。
Time flies like an arrow.

A:タイム蝿は矢が好きである。
(渡部昇一「英文法を撫でる」)
#000006
自分の言葉に自信があるなら、凡庸な物言いを恐れてはならない。
#000007
玄関では奥さんが、裏口では犬がないています。
あなたならどちらを入れてやりますか?

犬を。

……犬は入れてやればなきやむから。
(「rec.humor.funny」)
#000012
いのちをたもつのも、いのちをほろぼすのも、どちらもたのしいあそびだったら、ほろぼすほうをえらんだからって、どうしてそれがざいあくかしら?
(香山 滋「海鰻荘奇談」)
#000015
飲酒は緩慢な自殺である。
……急ぐ必要がどこにある?
(Leopold Fechtner「5000 one-and two-line Jokes」)
#000016
自分と彼等との間には、虚偽の膜が、かかっている。その膜を、その偽の膜を彼等は必死になって支えているのだ。その偽は、浮ついた偽でなく、必死の懸命の偽である。
(菊池 寛「忠直卿行状記」)
#000019
結婚はπの様なものである。
"-自然で
割り切れなくて
そして非常に重要である。"
(「Funny E-mail」)
#000022
ことばだけ美しくて、実行の伴わないのは、色あって香りのない花のようなものである。
(仏教聖典「仏のことば」)
#000025
二十世紀の最後の数年は、わずか数秒のうちに過ぎた。人びとはただ、あれよあれよというだけであった。
1993 「あれよ」
1994 「あれよ」
1995 「あれよ」
1996 「あれよ」
1997 「あれよ」
1998 「あれよ」
1999 「あれよ」
2000 「あれよ」
2001 「あれよ」
二〇〇一年から先に、時間はなかった。そこでは時間が滝になって、どうどうと流れ落ちていたのである。
(作者傍白・そんなばかな)
(筒井康隆「急流」)
#000027
「5時を過ぎたら、仕事のことはすっぱり忘れるようにしてたんですよ」
「結構なことじゃありませんか。なぜ、そのくらいでクビになったんですか?」
「勤務時間は6時までだったんです。」
#000031
あしたこそがんばって働こう!
……昨日もそう思った。
#000033
大晦日の夜。新年を迎えるパーティーで、デカルトは夫人に厳命された。
「いい、あなた。新しい年を迎えてせめて一時間たつまでは、お客様たちがお料理にぜったい手を伸ばさないよう、そっと気を配るのよ。」
ところが、真夜中も過ぎないうちに、クラッカーをつまもうとする奴がいる!デカルトはとっさに、ナプキンに書き付けて、その客に突きつけた。
I think they're for 1 a.m. (それは午前1時になってからだと思う。)
(柳瀬 尚紀「ナンセンス感覚」)
#000036
私はあなたにとてもつたえたいことがある
そしてそれを伝えるにはとても長い時間がかかる…。
(山下和美「天才柳沢教授の生活」)
#000038
商売は生活を維持するためにだけあるんです。それ自体が目的じゃないんです。
商売はひとつの手段です。家庭は究極の目的ですよ。そこに生活があるからです。
もっと極端に言えば、それは……生活自体なんです。
(ハリー・クレッシング「料理人」)
#000040
学びて時にこれに習う、また説(よろこ)ばしからずや。
朋あり、遠方より来る。また楽しからずや
人知らずして憤らず、また君子ならずや。
(「論語」)
#000042
酒はいい奴である。酒自体に罪は一切ない。付き合い方をまちがうと僕のようになってしまうのだ。
(中島らも「アマニタ・パンセリナ」)
#000044
「アッ、おかあちゃん、流れ星!」
「さ、今の間にお願いごとを言いなさい」
「一日も早くおとうさんに会えますように」
「そんなこと言うもんじゃありません。おとうさまには私たちのぶんも長生きしていただかなくっちゃ」
(桂枝雀「らくごDE枝雀」)
#000045
―この世で一番強いのは誰か?
「それは,この世で一番強い人の奥さんである」
(夢枕獏「本朝無双格闘家列伝」)
#000048
門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし
(一休)
#000051
人は自分の行きつくところをできるものなら知りたいと思う。だが、一度は振り返り、向きなおって、源までさかのぼり、そこを自分の中にとりこまなくては、人は自分の行き着くところを知ることはできんのじゃ。川にもてあそばれ、その流れにたゆとう棒切れになりたくなかったら、人は自ら川にならねばならぬ。その源から流れ下って海に到達するまで、そのすべてを自分のものとせねばならぬ。
(ル=グウィン「影との戦い」)
#000052
どんな力も、すべてその発するところ、行きつくところはひとつなんだと思う。めぐってくる年も、距離も、星も、ろうそくのあかりも、水も、風も、魔法も、人の手の技も、木の根の知恵も、みんな、もとは同じなんだ。私の名も、あんたの名も、太陽や、泉や、まだ生まれてない子供の真の名も、みんな星の輝きがわずかずつゆっくりと語る偉大な言葉の音節なんだ。ほかには力はない。名まえもない。
(ル=グウィン「影との戦い」)
#000053
手でふれてみること。あやまたずに進もうとすれば、それしかない。目には見えなくとも、道は手でつかむのだ。
(ル=グウィン「こわれた腕環」)
#000054
いざや寝ん元日はまた翌(あす)のこと
(与謝蕪村)
#000055
なんという不思議だろう。生きて、この世にあるということは、思っていたより、はるかにすばらしく、不思議なことではないか。
(ル=グウィン「こわれた腕環」)
#000058
確信を得たいと思っている時に、「願う」ぐらいのことしかできないと知るのは、なんともわびしいことである。
(ル=グウィン「さいはての島へ」)
#000061
わたしは愛に値するものに自分の愛をささげました。それが王国であり、涸れることのない泉なのではないでしょうか。
(ル=グウィン「さいはての島へ」)
#000065
それは言葉による戦闘、と言えるだろう。負けるわけにはいかない。それに負けてもかまわないというのは、自分の存在を放棄するに等しい。その結果は、自分を失うということだ。わたしは、自分という存在を常に自身でコントロールしていたい。それはしかし、けっこう困難なことではある。人生とは、そういうものだ
(神林長平「永久帰還装置」)
#000066
人間はだれでも寿命まで生きる権利がある
(神林長平「永久帰還装置」)
#000069
みっともない真似はせず、余計なことに気を回さずに、仕事をしろ。あなたもまだ死んでいないんだから
(神林長平「永久帰還装置」)
#000070
あなたは、この世のすべてが自分のために創られた、とでも思っているの
(神林長平「永久帰還装置」)
#000071
それが事実であろうとなかろうと、そう思い込む権利は、だれにでもある。きみにもだ。
(神林長平「永久帰還装置」)
#000072
そうそう。こう茶碗がくる。受けとるときに指がさわって、ふと女房の顔を見ると。あーあ、俺は長命だ。
(「短命」)
#000074
なにかをやる以上、たとえわずかでもサムシングをつけ加えること、これはだれにとっても大切な発想法なのではあるまいか。ものまねばかりではつまらない。
(阿刀田高「ミステリー主義」)
#000080
ほとんどのCEOは、チーフ・エグゼクティブ・オフィサーじゃないかも。ある企業のプレゼンでもっとピッタリくるのを紹介していた―「Chotto Erai Ojisan」。
(後藤貴子・後藤弘茂「ニュースの海を旅する」)
#000086
あるがままに生きると言うことは他人のあるがままも受け入れるということ
(みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス」)
#000095
ほかにやるべきことがあるんじゃないかい?
(ル=グウィン「帰還-ゲド戦記最後の書」)
#000097
生きるってのはやるべき仕事があって、それができることだってのもわかってるつもり。それは喜びだし、誇りだもの。それがなかったら、なんにもないもの。もし仕事が出来なかったら、とりあげられたりしたら、どうなる?やっぱり、なんかなくちゃ……。
(ル=グウィン「帰還-ゲド戦記最後の書」)
#000101
男が立派になりうるとしたら、その底には恥の意識があるんだよ。恥ずかしいと思う気持ちがあって、はじめて立派になれるんだ。
(ル=グウィン「帰還-ゲド戦記最後の書」)
#000105
「死んでも生命がありますように」
(火浦 功「俺に撃たせろ!」)
#000106
不滅の愛があるならば、憎しみもまた……
(神林長平「蒼いくちづけ」)
#000113
才能があるからって、その才能をなにかに使わなくちゃいけない理屈はないわ
(カート・ヴォネガット「タイムクエイク」)
#000123
あなたはいま幸せですか?それはあなたが決めることです。
(神林長平「ルナティカン」)
#000124
しかし人生には、おしまいがある。一度きりの締め切りだ。
(神林長平「ルナティカン」)
#000128
遊びのある生き方をしない?
(小川一水「追伸・こちら特別配達課」)
#000129
君がはなはだ太りすぎであるのは、逃れられない事実だ。
(マイケル・ボンド「パンプルムース氏のダイエット」)
#000130
言葉のわざは、人の本心を隠すためにあるものです。
(マイケル・ボンド「パンプルムース氏のダイエット」)
#000136
過去がどうあれ、我々は現在を生きている。現在でベストを尽くしていることには、誇りを持つべきだ。
(米田淳一「ホロウ・ボディ」)
#000138
私の理想は、遥か彼方にある。
(米田淳一「ホロウ・ボディ」)
#000140
日本人は特別に自然に優しいのではない。日本の自然が人間に優しいのである。
(大野 晋「日本人の神」)
#000142
あの安心感。
ひとりの女が傍にいるという、そのことがどれだけ自分にとって大事であったのか。
(夢枕 獏「黒塚 KUROZUKA」)
#000150
あなたは、やってきた場所にもどらなければならない。
(コニー・ウィリス「ドゥームズデイ・ブック」)
#000151
あなたにそばにいてもらえるのだから、わたしはあらゆる人間の中でいちばんしあわせな男です。
(コニー・ウィリス「ドゥームズデイ・ブック」)
#000156
待つことの苦手な人間には、時は、ゆっくりと流れる性質がある。
(梶尾真治「ドグマ・マ=グロ」)
#000157
きゃあ! ぼく ひとりぼっちだあ!
(アーノルド・ローベル「ふたりはいつも」)
#000158
子供に戻るのを恥ずかしく思うことはない。みんな、時にそうして正気を保つ必要があるんだ。
(バリー・ヒューガート「鳥姫伝」)
#000160
あえて望むとしたら、今度は花に生まれ変わらせてもらいたいね。で、いつかどこかで舞妓が目をとめて、摘んで髪にさしてくれるんだ。
(バリー・ヒューガート「鳥姫伝」)
#000164
社会の大多数の人たち、まあ九割といった人たちにとって、道徳は守った方が平穏無事で幸福な人生を送れるでしょうし、そうでなければその道徳は有効ではありません。
(呉 智英「ホントの話 -誰も語らなかった現代社会学」)
#000165
人間、あまり頭がよすぎぬほうが幸せなようで。
(栗本 薫「夢魔の王子」)
#000167
ロマンチストであろうとすれば、口下手であってはいけないのだ。
(中国新聞文化部「男が語る離婚 破局のあとさき」)
#000168
十人のうち九人までが言えば、それは真実ですよ。
(中国新聞文化部「男が語る離婚 破局のあとさき」)
#000172
近頃じゃ、人は意味もなく死ぬ。意味があると、かえって疑われちまうのさ。
(草上 仁「ゲート・キーパー スター・ハンドラー(3)」)
#000174
あるものは改変しろ。そして、ないものは作り出せ―
(草上 仁「ゲート・キーパー スターハンドラー(3)」)
#000175
手に入らないものは奪い取れ。他の誰かが持っているものを奪い取る場合、方法は三つある。暴力と、脅迫と、略奪だ。
(草上 仁「ゲート・キーパー スターハンドラー(3)」)
#000181
帰るところがあるんだったら、そこに帰りなさい。
(矢崎存美「ぶたぶた」)
#000184
あなたがたはなにがのぞみなの?
死なない力?
それとも生きてる幸福がほしいの?
(手塚治虫「火の鳥 黎明編」)
#000187
すべてか、さもなくば無だ、と人を本当に愛した人は言うけれど、真実だと思う。わたしの愛は永遠だとそういう人は言う。不滅だという。そのとおりだ。愛が生命そのものであるとき、どうして愛は死ぬことがありえよう。わたしたちに永遠の何がわかるというのだろう?そういう絆のなかに身を置いても、わたしたちの目に見えるのはそのごくごく一部ではないだろうか。
(ル=グウィン「アースシーの風」)
#000190
タブーというものはなんであれ、揺さぶりをかけられたり、破られたりするものです。
(ル=グウィン「アースシーの風」)
#000191
死んだら、あたし、あたしを生かしてきてくれた息を吐いてもどすことができるんじゃないかなあ。しなかったことも、みんなこの世にお返しできるんじゃないかって気がする。なりえたかもしれないのに、実際にはなれなかったもの、選べるのに選ばなかったものもね。それから、なくしたり、使ってしまったり、無駄にしたものも、みんなこの世界にもどせるんじゃないかなあ、まだ生きている途中の生命に。それが、生きてきた生命を、愛してきた愛を、してきた息を与えてくれたこの世界へのせめてものお礼だって気がする。
(ル=グウィン「アースシーの風」)
#000194
子供のほうがおとなより偉大な真実を知ることがあるものだ
(J.B.ハギンズ「凶獣リヴァイアサン」)
#000196
最悪なのは戦うことじゃない。戦って守るほど値打ちのあるものがないことだ。
(J.B.ハギンズ「凶獣リヴァイアサン」)
#000198
この国には自由がない。残念ですが平等でもありません。でも不自由を無視する事はできるかもしれませんね。とてもつらい選択ですが、やっぱり僕は今のままでいいです。ええ、やっぱり僕は歳をとりました。家族を守るのが僕の仕事で国はその次です。
(鴨志田豊/西原理恵子「アジアパー伝」)
#000205
問題に適切な答えを出すのはたやすいが、まさにここぞというときにぴったりの答えを出すのは、容易なことではない。天なる才能が必要であり、その才に恵まれたものはめったにいない。
(マイケル・ボンド「パンプルムース氏と飛行船」)
#000207
もしもおまえが妖物であったとしても、人ではない何かであったとしても、おまえはおまえではないか――
(夢枕 獏「陰陽師 生成り姫」)
#000210
救いだ。
この世には、美しいものもある。
(有栖川有栖「白い兎が逃げる」)
#000211
あれも一匹の怪物だ。人間はみな程度の差こそあれ、そうなのだ。
(神林長平「ライトジーンの遺産」)
#000218
我々に、運命を自ら切り拓く力があるなどと思い上がってはいけない。我々はただ、与えられた運命の中で、ただひたすら走り続けるだけだ。
(川又千秋「火星人先史」)
#000219
魂が底から震えあがるような美の前にいて、人は、その美の下僕となる以外、ほかに何ができようか。
(夢枕 獏「キマイラ昇月変」)
#000220
どれほどの歳月の深みの中にその記憶が埋もれようと、あの光景、あの声だけは、わたしの記憶から消え去るとは思えない。
真に忘れ難い記憶というのはそういうものであろう。
(夢枕 獏「キマイラ昇月変」)
#000221
わたしは、わたしの生涯で最高の瞬間と、もう出遭ってしまったのである。
(夢枕 獏「キマイラ昇月変」)
#000222
まだ終わらない。
まだ途上である。
途上であることの、なんという至福。
(夢枕 獏「キマイラ昇月変」)
#000223
そりゃあ、何もかもが二〇年前と同じというわけにはいかないだろうさ。
汚れたが、この汚れを誇りに思いたい。
親父になった。
親父にであることをいばりたい。
(夢枕 獏「キマイラ昇月変」)
#000224
頭が良くなくて、何もしない人はあまり問題にならない。そういう人は識別しやすいからだ。
(ウィリアム・パウンドストーン「ビル・ゲイツの面接試験」)
#000227
まあ、どんなことでも、なるようになるものだ。
(川又千秋「反在士の指環」)
#000228
どうあれ、それは、単に説明のしかたに過ぎない。本質的な問題ではない。
(川又千秋「反在士の指環」)
#000231
商売にも、人にも、ふさわしい器がある。
(草上 仁「よろずお直し業」)
#000232
何だか、自分が極悪人になったような気がする。
だが一方で、これが最善だったのだという強い確信もあった。
(草上 仁「よろずお直し業」)
#000237
どんなときでも出口はあると信じることだ。出口はある。絶対に。
(米田淳一「ハリアー・バトルフリート」)
#000242
世間は浅墓で、愚かで、残酷で、それ故に非常な力をもっているでしょう。どんなに強い愛だって、世間は押し潰してしまうこともあるのです。しかし、人間はまた、そういう世間から滋養をもらっているからこそ、生きてゆけるんですよ。
(河野多惠子「後日の話」)
#000243
(子供ができない、という嘆きを聞いて)
「そんなもん、簡単なことでっせ」
「どうするんですか?」
「はじめにあんさんが奥さんといっしょに部屋に入ります。部屋の窓をあける。それから電気を消して、口笛を吹きまんのや」
「なるほど。それから?」
「それを合図にわしが窓から入ります」
「……?……!」
(山口 瞳、開高 健「やってみなはれ みとくんなはれ」)
#000247
でも、愚行でもいい。愚行だって人類文明を発展させることはある。
(小川一水「第六大陸」)
#000249
何につけ、手ごたえのあるものが好きでな、俺は。
(小川一水「第六大陸」)
#000252
見下げ果てました。もうあなたの言葉はいらない。
(小川一水「第六大陸」)
#000253
神とは、あえて即物的な言い方をすれば、溺れる者が自ら作り出す藁です。
(小川一水「第六大陸」)
#000254
「良いニュースと悪いニュースがあります」
「忙しいんだ。良いニュースだけ聞くよ」
「本当は、ニュースは一つしかないんです」
#000258
いいえ、これは為されるべきことでした。なぜならば、私たちは神によってかくあれかしと作られたものであり、その為せることは神が為さしめることだからです。
(小川一水「第六大陸」)
#000263
ときめくという経験はどれほどあったろうか。子供の頃は、よく胸をときめかせた。見知らぬ場所へ出掛けるとき、自分で好きなお菓子を造るとき、面白い童話を読んでいるとき。しかし、大人になってから胸をときめかせたのは、数えるほどしかない。
(梶尾真治「クロノス・ジョウンターの伝説」)
#000267
永遠に続くものなどありはしないのだ。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000269
あたしはよそもの。ここは異境の地。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000274
なにが正しいかということを知っている自分の心の中にあるものを信じなさい。それを信じて、そしてそれがあなたに示すとおりにすればいい。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000276
ある種のものごと、ある種の人間は、どうしても阻止しなければならない。それを阻止する人間がなにも高潔で偉大な、ある意味での英雄である必要はない。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000277
人生で起きるいやなことはすべて子供たちの眠っているあいだに起きてさ、やつらがなにが起きたのか知らないうちに、いやなことをぜんぶ片づけてしまえたらいいね。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000278
神さまは子供たちに人生をあたえてくださったのよ、それをただ心配だからといって子供から取り上げるのは、あたしたちのすべきことじゃない。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000279
この世で最悪なのは、ほんとに悪いことがまかりとおっていること、それから臆病なあまりそれを見てみぬふりをしていることだよ。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000280
ありったけでいこうぜ。考えんのはそれからだ!!
(村枝賢一「仮面ライダーSPIRITS(5)」)
#000285
たぶん世の中にはほんのちょっとばかり手に負えないことがあり、あと一歩というところで手が届かないときがあるのだろう。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000287
ああいう手合いははじめは人間だけどね、体のなかに空いている場所がある、飢えているところね。それが人間性を、礼節、愛情、善というものをそこから吸いとっていくんだな。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000288
とても悪いことをする連中がいて、それがあまりにも邪悪なことなので、この世界という布地が切り裂かれてしまう。そしていっぽうにとても心根のやさしい善人がいる。その連中は世界が切り裂かれたときにそれを感じることができるんだ。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000290
ときどき信頼を裏切られることはあっても、ひとは信頼しなければならない、さもなければ、生きることの意味はなにもないからだ。
(オースン・スコット・カード「消えた少年たち」)
#000292
その「いざ」という時を見きわめるのが、人生においても難しいものである。
(赤瀬川原平「新解さんの謎」)
#000294
機能的に優れた道具というのは、それを使いこなせる人にとっては物凄く便利だけど、使いこなせない人にとっては燃えないゴミである。
(赤瀬川原平「新解さんの謎」)
#000297
そしてまた、男の女好きは不治の病であり、故意は男の終わりなき旅でもあるが、人生で、自分を心底愛してくれる女に、そうたびたび出逢えるものではない。
(なかにし礼「恋愛100の法則」)
#000299
恋をするということは、相手の眼の光のその光源になりたいという、とてつもない欲求である。
(なかにし礼「恋愛100の法則」)
#000309
理解及ばぬと自ら認めることのみが、われら人間のなけなしの叡智であり、理解及ばぬゆえに、唯一のとりえたる誠をもってことにあたるのが精一杯でございます。
(バリー・ヒューガート「霊玉伝」)
#000313
限界があるから痛みは耐えられる。
(バリー・ヒューガート「八妖伝」)
#000315
指標にとって重要なのは、直感的に納得できるかどうかであり、いかに「分析」を厚く塗り重ねても、直感的な納得性の足しにはならないのです。
(高橋伸夫「できる社員は『やり過ごす』」)
#000316
「しかし先生、世の中には大金でも積まれないとやってられないような仕事だってあるんですよ」
「大金でも積まれないとやってられないような仕事を選ぶんじゃない」
(高橋伸夫「できる社員は『やり過ごす』」)
#000317
道に迷ったときにはどんな地図でも役に立つ可能性があるし、混乱しているときにはどんな戦略でも役に立つ可能性があるということを示唆している。
(高橋伸夫「できる社員は『やり過ごす』」)
#000321
もちろん王には王の義務がありまして、収奪と浪費だけが許されているわけではありません。
(小川一水「イカロスの誕生日」)
#000322
変って何よ!あんたたちとは違うからって珍獣扱いしないでよ!
(小川一水「イカロスの誕生日」)
#000324
見ててごらんなさい。今にまた日本は大きく変わるから。いえ、もう日本だけじゃないわね。世界中が大きく変わってしまうわ。私にはわかります。あなたのような若い人はそれについていけるでしょうね。うらやましいわ。
(小川一水「イカロスの誕生日」)
#000328
思いつめても無理しないで。落ち込んでもあきらめないで。普通の人間としてやっていけなくなっても逃げ道はあるから。逃げたっていいじゃない。周りがうるさくってもほっとけばいいよ。
(小川一水「イカロスの誕生日」)
#000330
王など、国をあずかって人々のために身を粉にして働く下働きにしかすぎんぞ。あまりにそれが大変であればこそ、王としての名声だの金だの権力だのがあてがわれて、あわれな王たちが不平不満を言わずに人民のために働くよう、あやしているにすぎん。
(栗本 薫「復活の朝」)
#000332
――あの方のご意見はいつも一番俺にとっては目からうろこが落ちるような驚きがあって……役に立つ――
(栗本 薫「復活の朝」)
#000333
なんの、これしき――といったところです。もうなんだか、貧乏くじをあまりにもひきなれてしまったせいでしょうか。このくらいのことでは、屁とも思わなくなりました。
(栗本 薫「復活の朝」)
#000336
これは医学的に根拠のある障害なんだ、これは症状なんだ、対処法があるんだ――
(ダニエル・G. エイメン「「わかっているのにできない」脳」)
#000337
壁にぶつかる年齢は、人それぞれなのである。
(ダニエル・G. エイメン「「わかっているのにできない」脳」)
#000339
あなたがたの罪ではない。
原因はあなたがたではない。
希望はある。
(ダニエル・G. エイメン「「わかっているのにできない」脳」)
#000343
内にあるものは、出したい。出さないままに消したくはない。
(北村 薫「ターン」)
#000345
……親が、あげるだけだと思っていると、とんでもない。あげたり返したりしながら、歩いて行くものですね。
(北村 薫「ターン」)
#000354
なんだってそうだろう。商売や、友情や、恋愛――恐ろしい時もあれば愛しい時もある。
(小川一水「群青神殿」)
#000355
あれをなんとかするのは、その能力のある者の義務だ。
(小川一水「群青神殿」)
#000358
結婚というのはおカネをためてからするものじゃない。相手があって、鍋と釜と布団さえあればできる。
(樋口廣太郎「わが経営と人生―私の履歴書」)
#000361
あの人を、涙で殺しました……。
(M. フーケー「ウンディーネ」)
#000365
言葉は使う人によって価値を変えるのである。
(糸井重里「オトナ語の謎」)
#000366
そうなんだよ相手の価値観にあわせなければ相手の心には通じないんだよ。ぼくはいつもこの初心を忘れ…
(西原理恵子「できるかなリターンズ」)
#000367
眠ったままの体は床ずれして腐る。転ぶ危険があっても、動いたほうが力はみなぎるものだ。
(小川一水「導きの星4」)
#000373
骨肉だからこそ。――赤の他人なら、そんなにまで憎むことはありえない。
(栗本 薫「消えた女官 ―マルガ離宮殺人事件」)
#000383
昨日と今日と明日が続いていて、今日がいい日で、御飯がおいしい。……今のあたくしが望むのは、たったそれだけのことなのに。
(新井素子「チェックメイト 前編」)
#000384
俺には他にも才能がやたらとあるんだが、どーせあんたが俺に期待するのは、そーゆーことだけなんだろ?
(新井素子「チェックメイト 後編」)
#000386
山でさえゆく、人の肉体が滅びぬわけがあろうか。
(夢枕 獏「奇譚草子」)
#000387
しかし、どの季節にいても、常に恋しいのは、次の季節である。
(夢枕 獏「奇譚草子」)
#000388
そりゃ、あんたたちの評価でしょ。
(ロバート・アスプリン「魔法探偵社よ、永遠に!」)
#000390
自分自身の意思がわからないのに、他人にわかってもらえるはずがあるかしら?
(ロバート・アスプリン「魔法探偵社よ、永遠に!」)
#000394
そして、我々には、そうやっておのれの愚かしさのあまりに世界もろとも滅びてしまう権利だって、ちゃんとあるんだよ、おのれの賢さでより高き世界にたどりつく希望と同様にな。
(栗本 薫「熱砂の放浪者」)
#000395
たとえ、それが慈悲深いことに思われようと、相手は何百万人もおるのだよ。そして、そのなかの何人かを拾い上げて救ってしまうことは、かえって、それ以外の何百万人かのうらみをいっそう深くすることになるのだよ、なぜ、あいつらだけが成仏するのだ――という、な。
(栗本 薫「熱砂の放浪者」)
#000396
……誰が止めたの?誰があたしたちの時を止めたの?
(栗本 薫「熱砂の放浪者」)
#000397
いま、もしここで、おのれがやはり死すべき運命の人間であったとわかるとしても、それは俺にとって一つの祝福であるかもしれん。
(栗本 薫「熱砂の放浪者」)
#000398
融通もきかぬし、論理だけで動く。それはわしはとても気に入っておる点でもあるよ。――そのかわり、論理からはずれたことは何があろうと認めてくれぬがな。
(栗本 薫「熱砂の放浪者」)
#000401
いらないときはあって、いざ欲しいとなると、ない。この世はまったくままならない。
(神林長平「天国にそっくりな星」)
#000403
人間が猿より高等だというのは事実だろう。だがどっちがしあわせかとなると話はまたべつだ。
(神林長平「天国にそっくりな星」)
#000404
かかわりたくないだけさ。好意も敵意もかかわりあうから生じるんだろう。
(神林長平「天国にそっくりな星」)
#000405
うーむ、どんなやつに対してもほめ言葉というのはあるものだな。
(神林長平「天国にそっくりな星」)
#000408
そんな権利があると信じていることこそ幻想じゃないのか。
(神林長平「天国にそっくりな星」)
#000412
納得というのは、するものであって、させられるものではない。
(神林長平「天国にそっくりな星」)
#000413
完璧ということはないわ。進歩は常にあるけど課題もなくならない。
(小川一水「ハイウイング・ストロール」)
#000415
コンピュータ化なんて、実態はこんなものだ。あれを信奉するようになったら、文明もおしまいだな。
(マイケル ボンド「パンプルムース氏対ハッカー」)
#000420
コンピュータには、送り込まれた情報以上の力はありません。奇跡は起こせないのです。
(マイケル・ボンド「パンプルムース氏対ハッカー」)
#000424
あれ、どやったかいな。
(野村正樹「佐治敬三 心に響く33の言葉」)
#000436
「ぼくたち、また会えるかな?」
「さあ、どうかな。ま、そんなことは考えないほうがいいと思うな」
(カルロ・コッローディ「新訳 ピノッキオの冒険」)
#000442
ことは簡単だよ。ただ、あんたが女らしくしてりゃ良いのさ。あるべき自分であれば良いんだよ。いるべき自分でいれば良いんだよ。
(冲方 丁「マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust ― 排気」)
#000445
自分が糞であることは否定しようがないが、それでも私はこの仕事がやれるし、成果をあげられる。重要なのはそのことだ。
(グレッグ・イーガン「しあわせの理由」)
#000446
なぜいっしょにいてくれるんだ?どうしてこんなことに耐えられるんだ?
(グレッグ・イーガン「しあわせの理由」)
#000447
そんなかんたんに塵になってしまうようなものは、別に惜しくありません。
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「しあわせの理由」)
#000448
異様に頭のさえた一瞬がおとずれる。しつこい眠気をたったいまふりはらったような気分。
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「しあわせの理由」)
#000449
あんなに親切で、心が広くて、誠実なやつはいなかった。いや、問題はそういうことじゃない。そんなことがいいたいんじゃないんだ。人はだれしもが、ふたりといない。
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「しあわせの理由」)
#000450
「私は誓ったの。絶対だれにも話さないって」
「だれに誓ったんだい?」
「わたし自身に」
「そりゃいい。いちばん破りやすい誓いだ」
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「しあわせの理由」)
#000451
ごたくはどうでもいい。次の動作をしろ。
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「しあわせの理由」)
#000452
人がだれかをよく知ろうとするきっかけは、半分は偶然にすぎない。そして、すべてはそこからはじまるのだ。
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「しあわせの理由」)
#000453
歴史を知らない者は、自分が樹の一部であることを知らない葉っぱも同様なのである。
(マイクル クライトン「タイムライン〈上〉」)
#000456
どんなに違和感があったって本当の名前には作者の思いが籠もっている。他人がそれをねじ曲げてとやかくするのは不遜じゃないかな。
(菅 浩江「永遠の森 博物館惑星」)
#000458
あなたに暇の神様が頬笑みますように。
(菅 浩江「永遠の森 博物館惑星」)
#000461
べつだん、運命っていうのは素晴らしいものでだけあるわけじゃないし、めぐりあうのだって生涯の恋人だの、親友だの、そんなものとばかりめぐりあうってわけじゃない。
(栗本 薫「永遠への飛翔 グイン・サーガ〈94〉」)
#000462
どこにいったって、あなたは王で、そして英雄だよ。そうとしかなれない存在、というのがいるものなんだから。
(栗本 薫「永遠への飛翔 グイン・サーガ〈94〉」)
#000466
どっちだろうと、自分が望んだことをしているのなら、なにを気にすることがあるの?
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「祈りの海」)
#000468
そしてわたしは気づいた。ありとあらゆるかたちでわたしが生き、そして死ぬだろうというときに、わたしが引きかえさないことで、恥辱にまみれずにすむ者、それこそが――わたしというものなのだ、と。
(グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真「祈りの海」)
#000470
放棄した目標にずるずると良心の呵責を感じつづけるのは、よくあることだ。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「宇宙消失」)
#000472
もしかして、宇宙はけさ創られたんじゃないか。すべての人にあたえられた偽りの記憶と、過去百五十億年にわたるできごとに関する完璧に捏造された考古学的古生物学的地質学的宇宙論的な証拠とともに……
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「宇宙消失」)
#000476
何キロかの体重を急いで減らしたいという向きには、もっとてっとりばやい方法もある。足を一本切れ。
(コーリイ・フォード, 浅倉 久志「わたしを見かけませんでしたか?」)
#000478
女性は生まれながらに話の腰を折る名人である。
(コーリイ・フォード, 浅倉 久志「わたしを見かけませんでしたか?」)
#000481
わたしを相手に延々と空論をぶつあなたが、たまらなく好きよ。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「順列都市 (上)」)
#000484
正しくてもべつに困りませんよ。説得力があればね。正しさと説得力がたがいに相いれなければ、別ですが。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「順列都市 (上)」)
#000489
おまえが命を賭するときに、黙って見ている俺であると思うか!
(「陰陽師 2」)
#000492
教養ある人間の通常の行動様式を普遍のものだと思ったりした自分が悪いのだ。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「順列都市 (下)」)
#000493
そうした考えには、とても強い力がある。そのうちあなたは、だれかを傷つけるわ。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「順列都市 (下)」)
#000498
女遊びが好きな男は、女房が怒ろうが子供が泣こうがおふくろ様が寝込もうが、委細かまわず好きなその道に邁進するものである。
(宮部 みゆき「ぼんくら〈上〉」)
#000499
そもそも女にかまってやるにも、金と同じくらいに熱意が要るものである。それが面倒くさいのだ。
(宮部 みゆき「ぼんくら〈上〉」)
#000500
そもそも、頭が切れるってことと、他人にあいつは頭が切れると思われるってことは、まあ、別物だよなあ?
(「ぼんくら〈上〉」)
#000503
「おめえ、わかったような口をきくなあ」
「申し訳ありませんが、性分なのです」
(「ぼんくら〈下〉」)
#000505
だからそれは、元はと言えばあんたの不徳だ。
(「ぼんくら〈下〉」)
#000507
この世の中に、どんな本当のことがあるのでしょうね?
(「ぼんくら〈下〉」)
#000508
我々がどんなに努力しても、我々がいようといまいと、ゲームは続けられる。まあ元気を出して、ビールでも飲もうじゃないか。
(「ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス」)
#000509
厄介なことではありますが、それ以上のものではありません。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000510
別の手立てがある。一つならずな。しかしまずはあまりおおげさではないやりかたを試してみよう。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000511
あんたは徹底して性悪だけど、太っ腹な悪魔だね。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000512
まだやりおえていない仕事がごまんとあって、わが術に魅せられ偉業を待ちこがれている観客が大勢いるのだから、何でおめおめ捕縛されよう。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000513
わたしに生命と魂と自由をあずけろ――そうすればおまえを守ってやるし、おのれの身を守るすべを教えてやる。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000515
「わたしは生を楽しんでおります」
「死も楽しんでおるのだろう」
「わたし自身のものではありません」
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000517
知性が高ければ高いほど、混乱がつのります。わたしのあわれな脳は最善のときでも混乱するばかりです。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000518
そうした危険をおかす勇気はあるのか。その結果を良心に恥じることはないのか。
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000519
「わたしを罰するのですか」
「どうしてです。わたくしはなおもあなたを愛しています」
(マイケル ムアコック, Michael Moorcock, 大滝 啓裕「グローリアーナ」)
#000522
こんなの、本当の恋なのかしら……ただ、そうだと思って有頂天になっているだけなんじゃあないのか知ら……
(栗本 薫「たまゆらの鏡―大正ヴァンパイア伝説」)
#000526
だが、無知であることは悲しい。
(村上 龍「ダメな女」)
#000527
わたしたちは「放っておく」ことを学ぶべきではないだろうか。おせっかいが暴力になることだってある。
(村上 龍「ダメな女」)
#000531
「でも、僕は、いびきをかくよ、それでも平気?」
「平気よ、愛があれば」
(栗本 薫「初恋」)
#000532
大人の女というのは、すべきときには率直に、降参でも――戦略であろうとなかろうと、全面降伏でもしますし、占領されるべきときには占領されるものですよ。
(栗本 薫「初恋」)
#000533
――あまりに、望みすぎたものを――夢見過ぎたものを本当に手にいれてしまったら、ひとはもう死ぬしかないんです。
(栗本 薫「初恋」)
#000534
いえ、私はクリスチャンではありませんよ。でも、摂理というものが存在することは、信じています。信じずにはいられません。
(栗本 薫「墨染の桜―六道ヶ辻」)
#000540
僕達はその時代を知るすべもありません。だからといって、僕達がそれを理解しようと思っていない、といわれるのも――また、お前達には理解できない、と頭ごなしにいわれるのも、僕達にとってはやっぱり心外なことです。
(栗本 薫「墨染の桜―六道ヶ辻」)
#000541
人生にはどうしても、身もフタもない側面がつきまとうものです。美しかったり、才能があったり、そうでなくても強烈な人格を持っているだけでも、『主役』としての格を持ってしまう人と、そうでない人が出てくる。
(栗本 薫「墨染の桜―六道ヶ辻」)
#000545
あの人は弱いけれど優しい人よ――優しいから弱いのかもしれないし、優しいけれど弱い、ともいえるけれども。
(栗本 薫「ドールの子 グイン・サーガ〈95〉」)
#000546
まともな人間というものは、『そう思う』ことと、『本当にそうする』ことのあいだにずいぶんと違いがあるものなのだと存じます。
(栗本 薫「ドールの子 グイン・サーガ〈95〉」)
#000551
あたしの友だちの言によれば、だれもが自分を裏切るんだそうだけど。
(コニー・ウィリス, 大森 望「リメイク」)
#000558
間の抜けていない死に方なんかあるもんか。
(篠田 節子「インコは戻ってきたか」)
#000559
まちがいだらけだ、あっちもこっちも。
(篠田 節子「インコは戻ってきたか」)
#000564
あたしくらい生きてるとね、そういうことは決して起こらないってわかるんだよ……
(加納 朋子「ささらさや」)
#000566
理由はありますけど意味はありません。
(松本 佳司)
#000571
つまり、あんたは心がやさしすぎて、実際には何事もなしえないってことさ。
(キム・スタンリー・ロビンスン, 大島 豊「レッド・マーズ (上)」)
#000577
此岸であろうと彼岸であろうと
あなたの愛が最後までわれらを導く
(キム・スタンリー・ロビンスン, 大島 豊「レッド・マーズ (下)」)
#000579
つまりは愚か者だ。だが、役に立つ愚か者ではある。
(キム・スタンリー・ロビンスン, 大島 豊「レッド・マーズ (下)」)
#000581
他の人びとが実際に何を考えているか、わざわざ探るだけの手間をかける人間はほとんどいない。ある程度距離が離れてしまえば、対象について言われたことは何でも喜んで受け入れてしまうのだ。
(キム・スタンリー・ロビンスン, 大島 豊「レッド・マーズ (下)」)
#000582
人生がゲームみたいに思えることもあるがね。
(キム・スタンリー・ロビンスン, 大島 豊「レッド・マーズ (下)」)
#000584
過去にもどって物事を変えたい、そのためなら命を投げだしてもいいとまで願ったが、詮ないことだ。どうやっても償えない過ちというものがあるのだ。
(キム・スタンリー・ロビンスン, 大島 豊「レッド・マーズ (下)」)
#000586
「そうすべきでしょうね。ベッドの上で死にたければ」
「君はわしが、それを望んでいると思うか?」
「さあ?私としては、それがまっとうな生き方だと思うだけ」
(野尻 抱介「ヴェイスの盲点―クレギオン〈1〉」)
#000587
宝ってやつは、探し続けることに意義があるんだ。
(野尻 抱介「ヴェイスの盲点―クレギオン〈1〉」)
#000591
何か重要な話があるなら、しらふの時にやろうじゃないか。
(野尻 抱介「フェイダーリンクの鯨―クレギオン〈2〉」)
#000594
教師としての彼には、生徒の人生を根底から変えてしまえるような力があった。
(ブルース スターリング, Bruce Sterling, 小川 隆「塵クジラの海」)
#000596
わたしはなぜあの女に惹かれるのか考えてみた。原因はさまざまなのだろう、という結論が出た。
(ブルース スターリング, Bruce Sterling, 小川 隆「塵クジラの海」)
#000597
でも、目的さえあれば、目標があれば、生きていけるって言うじゃないの。
(ブルース スターリング, Bruce Sterling, 小川 隆「塵クジラの海」)
#000602
私の華は、あの人が摘み取っていきました。
(篠田 節子「妖桜忌」)
#000605
「勝った!」で終わるのはマンガの世界だけであって、私達はたとえ勝ったとしても、その先もまだ、生きていかなくてはならないのですから。
(酒井 順子「負け犬の遠吠え」)
#000606
が、贅沢なことをするのが必ずしも楽しいとは、限らない。中には泣きながらする贅沢だって、あるのです。
(酒井 順子「負け犬の遠吠え」)
#000610
酒は飲むためじゃない、話をすすめるためにあるのさ。
(野尻 抱介「アンクスの海賊」)
#000611
人の世話をやくのは年寄りのつとめでもあるの。
(野尻 抱介「アンクスの海賊」)
#000615
身を守っているのでしょう。あなたの弱点を狙う者たちから。だからいつもそんな怖い顔をしているのですね。気を許すのが怖いのですね。
(小川 一水「復活の地 2」)
#000619
私はもうただの抜け殻ですから。――抜け殻には、抜け殻の利用法があるものです。
(栗本 薫「豹頭王の行方 グイン・サーガ〈96〉」)
#000620
どのような場所でも、本当に重要な人物というものは気さくで親切であり、自分が重要人物であると認めさせなくてはならない、と考えている人間ほど威張ったり、むやみと人を見下したりするものだ
(栗本 薫「豹頭王の行方 グイン・サーガ〈96〉」)
#000621
冗談なんか、わからなくたって、何も問題はないじゃありませんか。
(栗本 薫「豹頭王の行方 グイン・サーガ〈96〉」)
#000623
――何をもって正しいというのか、それもまあよくはわからんがな。
(栗本 薫「豹頭王の行方 グイン・サーガ〈96〉」)
#000627
そのとき、ぼくは、はっきりと答えた。
人間には、どんなに勝負で負けるとわかっていても自分の心に背かない行動をとることが必要なことがあると。
(梶尾 真治「スカーレット・スターの耀奈(ヨーナ)」)
#000628
物事は変化するものである。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000629
あなたを信頼していいと思わせてくれるものは何か。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000630
わたしたち以外はみんな奴隷だとしたら、わたしたちが自由でいることになんの価値があります?
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000632
よき事をしようとしてわたしたちがおちいる危険は、意図さえ良ければ、事もうまく運ぶと思い込んでしまうことである。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000633
生まれついての才能がある場合、それを抑えたままにしておくのはむずかしいだけでなく、実際、間違いでもあれば、危険でもあるとういことだった。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000634
これは、まさに術(わざ)といっていいな。何を、いつ話すかは。あとは沈黙がいちばんだ。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000639
愛しさゆえにいっそう腹が立つことはよくあることだ。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000642
人というものは時として、わたしたちのあらゆる術、あらゆる知恵をもってしても追いつかないほど大きく変わるものだと。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000643
もしもことばに癒す力があれば、一方には傷つける力もあるよね。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000644
手は人をあやめることもできれば、人を治すこともできる。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000646
不正が掟をつくり、勇気が掟を破るんだ。わたしには勇気がある。もし、あなたがその気なら!
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000647
「あたしに、すごい才能なんて、あるかなあ?」
「わたしの見るところ、ぜったい。」
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000650
わたしはもうしゃべりません。なんにも言いません。意識しておかされた過ちには沈黙で応じる以外ありませんからな。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000651
本来いるべきところにいないと、なんであれ、他に危害を加えることになるものなんだ。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000655
あんまり長い間変わらないでいると、なんであれ、自壊するものです。森が永遠の命を保っているのは、死ぬからです。森は死んで、死んで、生きるのです。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000657
あの娘が寒がったとき、少しばかり暖めてやることはできたが、この自分に与えてやれるものなんて、ほかに何があるだろう。
(アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin「ゲド戦記外伝」)
#000658
権威ある者は常にトラブルを引き寄せる。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」)
#000659
挨拶するには時がある。今はその時にあらずじゃ。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」)
#000662
あなたって、私がお目にかかる光栄に浴した鈍感な方たちの中でも、とびきり最高だわ。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」)
#000664
全責任があるなどというのは傲慢というものじゃ。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」)
#000665
若い者には、老いた者がどのように考え、感じるかはわからぬものじゃ。しかし、年老いた者が、若いということがなんであるかを忘れてしまうのは罪じゃ……。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」)
#000666
あからさまな憎しみより、無関心や無頓着のほうが、往々にしてより大きな打撃を与えるものじゃ……。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」)
#000670
よい授業では、先生が生徒から学ぶことがある。
(河合 隼雄, 南 伸坊「心理療法個人授業」)
#000672
「あいつはいったい何考えてんだろね」
「そうだな、わからん奴だよなァ」
「まったく現代の科学では解明できない」
(河合 隼雄, 南 伸坊「心理療法個人授業」)
#000674
ありもしない危険を避けるために、人生を退屈の海に沈めてはいかん。
(野尻 抱介「アフナスの貴石 〈クレギオン〉第6巻」)
#000682
でも、あの人には悪気はないんです。それが一番困ったことかもしれないけれど――
(栗本 薫「ノスフェラスへの道 グイン・サーガ〈97〉」)
#000686
――そして、ぼくは、自分の好き勝手に漂泊しながらも、いつも、自分の心のありどころは君だと思って生きていると思うよ。これまでずっとそうだったように。
(栗本 薫「ノスフェラスへの道 グイン・サーガ〈97〉」)
#000688
定住して大切におのれの生活を守らなくてはいけない、とわたしたちが思うのは、《守らなくてはならぬものがたくさんある》からなの。
(栗本 薫「ノスフェラスへの道 グイン・サーガ〈97〉」)
#000689
あの人はああいう人なんです。
(栗本 薫「ノスフェラスへの道 グイン・サーガ〈97〉」)
#000692
まあいい、だんだん、お前さんにそうやってじゃけんにされるのが快感になってきた。
(栗本 薫「ノスフェラスへの道 グイン・サーガ〈97〉」)
#000696
「非常に優秀」とはプロであることの前提にすぎない。
(飛 浩隆「象られた力」)
#000697
きみはかれにふさわしい居場所がどこだと思うかね。きみにそれを決める権利はあるのかね。
(飛 浩隆「象られた力」)
#000699
人間は五官を通してしか宇宙とかかわっていけない。五官の外にあるものを、人はついに理解することがない。
(飛 浩隆「象られた力」)
#000701
自分の疑惑が磁場のように、みずからの思考をねじ曲げることがある。
(飛 浩隆「象られた力」)
#000702
質問には三通りあります。ひとつめは純粋な好奇心。もうひとつは攻撃として相手の反応を楽しむためのもの。さいごは不安の解消。質問は否定されることを期待して発せられます。
(飛 浩隆「象られた力」)
#000706
だが、どこにも欠陥は見あたらなかった……。
どこにも欠陥はなかったんだよ……。
人間達はよけいに恐怖をつのらせた…。
(浦沢 直樹「PLUTO 1 (1)」)
#000707
あなたは故郷を思い出す時、大切な記憶を削除していませんか?
(浦沢 直樹「PLUTO 1 (1)」)
#000722
だが、苦しむな、あきらめるな。われわれはともに進む。そして、世界に、人類に対する義務を果たすのだ。
(糸井 重里「ほぼ日刊イトイ新聞の本」)
#000728
人生には暗黒もあり光明もある。あなたはその光明のひとつだ。
(菊地 秀行, ブラム ストーカー, Bram Stoker「吸血鬼ドラキュラ」)
#000731
おれの経験じゃあ、大きな声でしゃべらん奴は、ぜったいに出世しねえ。
(菊地 秀行, ブラム ストーカー, Bram Stoker「吸血鬼ドラキュラ」)
#000734
馬鹿野郎。思い出に浸ってる暇があるんなら飲め。飲んで忘れろ。
(藤崎 慎吾「蛍女」)
#000736
俺たちには、どうしても逃れられないものがあるんだ。
(藤崎 慎吾「蛍女」)
#000741
今、生きていても、格別に楽しいことがあるわけではないのだ。死ぬ理由がないから生きている。
(藤崎 慎吾「蛍女」)
#000745
あきらめるだと?あきらめるものか!天災ならなおのこと立ち向かってやる!正体がわからんからどうだというんだ、食い止められないぐらいがなんだ!
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000749
処分されようが追放されようがあなたの能力は変わらない。人と話す口と考える頭はどこへ行っても残る。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000752
あわてるな、予測の範疇だ。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000753
命令ではありません。感化ですね。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000757
どんな集団であれ、それが一つの考えで統一されることはあり得ない。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000758
かわいそうになあ……二人とも、いろいろと余計なものが多すぎるんじゃな。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000762
最善の策にこだわって後手に回っては元も子もない。次善、次々善であってもやるしかないのだ!
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000763
私がここで死ぬ理由があったのか?
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000765
いろいろ下心はあるにしても、人助けをしてるんだから、後ろめたく思うこともないですね。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000766
役立たずには役立たずなりの価値がある。
(小川 一水「復活の地 (3)」)
#000768
あたしゃ天文学なんて勉強する必要ァねえ――なにしろその中に生きてンだから!
(エドモンド・ハミルトン, 鶴田 謙二, 野田 昌宏「恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1>」)
#000771
「冗談だよな」
「私に冗談を言う機能はありません」
(藤崎 慎吾「クリスタルサイレンス(下)」)
#000782
でも、あたしたちには知性がある。冷静に観察し、論理的な思考を積み重ねることによって、リスクを最小にすることはできるはずよ。
(大江 健三郎, 大江 ゆかり「恢復する家族」)
#000783
許すわけではない。あまりに大きすぎて償う方法がないのだ。
(大江 健三郎, 大江 ゆかり「恢復する家族」)
#000786
こいつは学校の勉強はできないくせに、よけいな知識だけはあるんだ。
(乙一「平面いぬ。」)
#000789
大丈夫。きっと神は許してくださることでしょう。ご自分もあんなに殺したのですから。
(森 奈津子「西城秀樹のおかげです」)
#000790
あまり期待はしないことだ。そうすれば、傷つくこともない。すべて、諦めるのだ。そのうち、いいこともあるかもしれない。
(森 奈津子「西城秀樹のおかげです」)
#000799
ここは……ここは俺の人生のある場所ではないのだ。
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000800
「俺はお前と戦う理由がない」
「理由などいらぬ。俺にはある」
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000802
ここには俺の心のいくばくかが確かにある。だから俺は帰ってくる。
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000804
俺にとっては、幸せか、不幸せか、などということはそれほど大切なこととも思われないのだ。それよりも、おのれが正しいと信じることをつらぬくほうがはるかに重要であるような気がする。
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000805
おのれが何者であるか知っているから、ひとは落ち着いて、おのれ自身であることができるのだ。
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000806
何故、何もはじまらぬうちからそのようにものごとを決めつける。どんなに劣勢にみえても奇跡というものは確かに世界にはあるものだし――
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000807
実際、なんだって俺はこいつとまだ仲良くつきあってんだろうと不思議に思うこともあるぜ。
(栗本 薫「蜃気楼の旅人 グイン・サーガ〈98〉」)
#000810
しばらく考える、というのが最悪の選択である場合もあるのよ。
(ジョン・クリストファー, 西島大介, 中原 尚哉「トリポッド 1 襲来」)
#000815
「きみは時として、度しがたい愚か者になるね」
「わたしもあなたを愛してるわよ」
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「無伴奏ソナタ」)
#000816
ぼくは一分一秒にいたるまであなたと一緒にいる、それで充分じゃありませんか?ぼくはあなたにだけ喋る、それで充分じゃありませんか?
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「無伴奏ソナタ」)
#000817
ぼくはいまほど幸福だったことはない、いまほど生きているのが楽だったことはない、とあのとき彼は考えたものだ。
(オースン・スコット・カード, 冬川 亘「ソングマスター」)
#000822
時には、嘘のほうが真実よりも信頼できることもあるのだ。
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「エンダーのゲーム」)
#000828
あなたはぼくに、感じるどんなことでも匿すすべを教えてくれた。これまでにもまして、ぼくには、今、それが必要なんだ。
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「エンダーのゲーム」)
#000831
たぶん、おのれがそれであるふりをしているものになることなしに、ひとつのアイデンティティを身にまとうことは不可能なのだろう。
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「エンダーのゲーム」)
#000832
あなたのなしうる最善のことは、よき人々、あなたを愛する人々によってコントロールされるのを選ぶことね。
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「エンダーのゲーム」)
#000833
ぼくは、世界から世界へと行こう、あなたが無事にめざめることのできる時と場所を、ぼくがみつけるまで。そして、ぼくはあなたの物語をわが民に語ろう。そうすれば、たぶん時経ていつかは彼らもあなたを赦すことができるだろう。あなたがぼくを赦してくれたように。
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「エンダーのゲーム」)
#000834
ある種のストレスは体重を増やし、またある種のものは減らす。わたしは化学反応の申し子だよ。
(オースン・スコット・カード, 野口 幸夫「エンダーのゲーム」)
#000837
あいつらはいつだって、実のある結果よりスムーズな進行を重んじるのだ。
(京極 夏彦「ルー=ガルー」)
#000844
人間は世界をそのまま丸ごと受け止めることができないのだ。だから何かに置き換えずにいられないのである。
(京極 夏彦「ルー=ガルー」)
#000845
猿の闘いにはお約束があるんだよ。ヒトの喧嘩も同じさ。約束知らなきゃできないし、約束が通じない相手ともできない。
(京極 夏彦「ルー=ガルー」)
#000852
でも。
人には後先を考えられないことがあるんだ。
(京極 夏彦「ルー=ガルー」)
#000855
この世には飢えより恐ろしいものがあるのだ。身体の苦しみよりひどい地獄があるのだ。
(ジョン・クリストファー, 中原 尚哉「トリポッド (2)」)
#000856
時間はある。でも、いくらでも時間があるわけじゃないと思う。
(ジョン・クリストファー, 中原 尚哉「トリポッド (2)」)
#000857
ぼくらに贅沢がないというのは、正確には違う。ぼくらには、自由と希望という、二つの贅沢がある。
(ジョン・クリストファー, 中原 尚哉「トリポッド (2)」)
#000859
がっかりしちゃうんだけど――そのがっかりさせられかたに興味深い部分がたくさんあるおかげで、わたしは気が狂う暇もないのよね。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「万物理論」)
#000860
でも、あんまり一生懸命リラックスしないこと。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「万物理論」)
#000864
「悪いところがあったら、いってくれればよかったのに」
「そんなことしなくちゃいけない?自分でわからないの?」
「そうみたいだ」
「あなたも子どもじゃないんでしょ?馬鹿じゃないはずよ」
「自分がなにをどうしたらいいか、ほんとうにわからないんだ」
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「万物理論」)
#000870
彼女は質問に答でもって答えるのに、あなたはさらに多くの質問で答えるだけです。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈上〉」)
#000872
そして、彼は何を見ているのか?その眼は彼女のためだけにあった、彼女がまっすぐ彼を見つめたときにさえ。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈上〉」)
#000874
あなたをふたたび失うとは思ってもみなかったわ。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈上〉」)
#000882
他人が自分たちに定めた規則よりも、自分たちの良心のほうにより高い忠節をいだくわけです。目標が秩序を維持することならば、それは欠点です。しかし目指すところが学んで適応することであるなら、それは美徳です。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈下〉」)
#000883
わたしが環境をちょうど正しくお膳立するかぎり、あなたはどんなことでもやれるのね。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈下〉」)
#000885
傷を癒す唯一の方法が熱い焼き鏝を傷口にさしこむことでれば、あなたはそうするのよ。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈下〉」)
#000886
本当にそのひとを知ってしまったら、憎めるもんじゃありません。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈下〉」)
#000887
わたしたちが何についてもそうしていた程度には確信している。わたしたちはそれが本当であるかのように振舞えるくらいに信じている。そこまで確信しているとき、わたしたちはそれを知識と呼ぶんだ。事実とね。わたしたちはそれに生命を賭ける。
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈下〉」)
#000888
「わたしがそんなに若かったことがあったの?」
「でも、ぼくはそんなに美しく老いるだろうか?」
(塚本 淳二, オースン・スコット・カード「死者の代弁者〈下〉」)
#000890
あんたみたいな没個性は、これからの時代、苦労するぜ。
(菅 浩江「五人姉妹」)
#000893
しかしそれではあまりにも後向きではないですか。
(菅 浩江「五人姉妹」)
#000898
アツイのは嫌いだろうが、ちょっとでも自分もアツクなりたいと思ったことはあるか。
(菅 浩江「五人姉妹」)
#000899
嘘だと判っていながらもその夢に酔うありさまは、いかにも芝居に似ている。
(菅 浩江「五人姉妹」)
#000900
嘘つくことに真摯でいりゃあ、おのずと真は見えてくらあ。
(菅 浩江「五人姉妹」)
#000902
訊かなければうやむや……。訊いてしまったその時に、あの人は自分の気持ちを自覚する……。
(菅 浩江「五人姉妹」)
#000904
危険な目にあって、理性に頼ろうとしても何の役にも立たなければ、理性を捨てるまでの話だ。
(シオドア・スタージョン, 大村 美根子「時間のかかる彫刻」)
#000905
あなたはたぶん、正しい質問をしてるんじゃなくて、ただ次の質問をしているだけなのよ。
(シオドア・スタージョン, 大村 美根子「時間のかかる彫刻」)
#000907
ああ、言葉ってやつは。問題はすべてそこにある。ともかく言葉ってやつはいまいましい。
(シオドア・スタージョン, 大村 美根子「時間のかかる彫刻」)
#000908
時には手際を心得ていてもどうにもならないことがある。
(シオドア・スタージョン, 大村 美根子「時間のかかる彫刻」)
#000913
慣れというものの勢いはありがたい。何かに心を奪われていても、疲れていても、酔っていても、やり慣れていることはきちんとできるものだ。
(シオドア・スタージョン, 大村 美根子「時間のかかる彫刻」)
#000915
無力な人間が、自分にも何かが――どんなことでもいい――できるという発見をしたとき、たとえその行為がまったく役立たずであろうと、彼はもう無力ではなくなるのだ。
(シオドア・スタージョン, 大村 美根子「時間のかかる彫刻」)
#000918
ともかく喧嘩は小規模のうちにしておくのがコツである。それをせず、我慢することを「乗り越える」と思ってる人は間違ってる。それは乗り越えたのではなく、蓋をして見ないふりをしただけだ。喧嘩が腐ってから蓋をあけると、取り返しがつかないのでご注意を。
(わかぎ ゑふ「花咲くばか娘」)
#000921
ゆくすえのことは誰が知ろう。こうしてまつてこがれてゐる今日の日が事実なばかりできのふも、あすも知らない。
(渡辺 淳一「ラヴレターの研究」)
#000923
(あなたの平和を祈らぬひとがあるだらうか)
(渡辺 淳一「ラヴレターの研究」)
#000925
俺たちの、人生の一番美しかったときって、もう終わっちまったんだろうか?これから先は、じじいになって、いやなことばかり増えていって――そうして、つらいことばかりになるんだろうか?あんたもそういう気がするか?それともそれは俺だけか?
(栗本 薫「ルードの恩讐 グイン・サーガ〈99〉」)
#000927
それに俺――思い出してみて、そんなに昔って、幸せだったのかと思ったら、結局そうでもねえなあ、って思ったこともあるんだよ。昔ったって、いろいろあったけど――どのときも、俺はいつも、野望ばかりふくれあがっていて、いろんなことがあって、いろんなやつがいて――あのときのやつらも、このときのやつらも、結局みんないなくなっちまった。それをいまだに俺は――ときたま思い出すよ。そうするとなんだか気が狂いそうになる。みんな、いっちまった――いなくなっちまった。いまはたまたま別の連中に囲まれてる。だけど、そいつらもきっといまにいなくなる。いまにきっといっちまう――そうして、また違う連中がきて――俺は、いつまでそうやってるんだろう?いったいいつまで、こうやってるんだろう、俺はどこまでゆくんだろう――どこまでゆけばいいんだろう。俺が――俺がやすらぎを得るのは、いったいどこで、誰のもとでなんだろう――って。
(栗本 薫「ルードの恩讐 グイン・サーガ〈99〉」)
#000930
「不幸な話だ」
「まったくだよ!だが、まあいいや。だから、とにかく――俺は、何を話していたんだっけな」
「誰も信じられぬ、という話だったと思うが」
(栗本 薫「ルードの恩讐 グイン・サーガ〈99〉」)
#000933
「変わらない」ということについて、いまとなっては私は積極的に「それは罪悪である」「変わらないというのはそれだけでマイナーに変化しているということである」と思います。逆にいえば、あるものに「変わらないでほしい」と願うとき、すでに私たちは間違っているのだ、ということを強く思います。
(栗本 薫「ルードの恩讐 グイン・サーガ〈99〉」)
#000934
待つ身はつらい、ちゅうけど、ほんまは楽なもんやで。あんた、サンタクロースと、サンタクロースからプレゼントもらう身と、どっちが楽やと思う?
(田中 啓文「UMAハンター馬子―完全版 (2)」)
#000935
しかし、人気者の自分を演じるために明るく振る舞ったり、女の子の機嫌を取ったりすることに、どんな意味があるというのだろう。余分な人間関係を削ぎ落としてみて、はじめてそのために割いてきた莫大なエネルギーが、本当に無駄だったのだと思えた。
(川端 裕人「The S.O.U.P.」)
#000938
これから、起こることは、ある意味で茶番だ。しかし、コンピュータの歴史が始まって以来、一番クールな茶番だと僕は思っている。
(川端 裕人「The S.O.U.P.」)
#000943
「世の中にゃあな、触れちゃならねェものがあるんだ」
「触れてはならぬもの――ですか」
「そうだ。見ちゃいけねェ、聞いちゃいけねェ、探っちゃいけねェ。触れた途端に禍が起きる忌まわしいものってのはな、あるぜ。
(京極 夏彦「続巷説百物語」)
#000945
如何に世相乱れようとも、揺らぐことなき人倫というものはある。必ずある。
(京極 夏彦「続巷説百物語」)
#000947
若気の至りとされる行為は、経験豊かな大人から見ればお笑い種であっても、ときに目ざましい成果を上げるものだ。
(ロバート・アスプリン, ピーター・J.ヘック, 斉藤 伯好「銀河おさわがせドギー」)
#000952
ああ、若さとはなんと純真なものだろう。
(ロバート・J.ソウヤー, 内田 昌之「ホミニッド―原人」)
#000953
あなたは煙をつかもうとしている。とてもつらいことだというのはわかりますが、現実と向き合わないと。
(ロバート・J.ソウヤー, 内田 昌之「ホミニッド―原人」)
#000954
愛しあう人びとのあいだには貸し借りなんかない。相手を完全に許して、先へ進むだけだ。
(ロバート・J.ソウヤー, 内田 昌之「ホミニッド―原人」)
#000955
ぼくは、あなたのおかげできょうという日をずっと忘れません。
(ロバート・J.ソウヤー, 内田 昌之「ホミニッド―原人」)
#000959
あなたはまるで子供のようだ。必死で望みさえすれば何でも願いがかなうと思ってる。そんなことは魔法でも使わなければできません。
(フィリップ・K・ディック, 佐藤 龍雄「ドクター・ブラッドマネー―博士の血の贖い―」)
#000966
まだやることがある。
語り継いでいかなければ。
この出会いで得たものを、データではなく、自分の言葉で。
(野尻 抱介「太陽の簒奪者」)
#000968
多くの不幸がそうであるように、彼らの不幸もいたって通俗的なものだった。
(牧野 修「傀儡后」)
#000973
不安……かもしれん。何が行われているのかさえ理解しておれば、私たちに勝算がある、と考えていたのだがね。なにか……嫌な予感がするんだ。
(牧野 修「傀儡后」)
#000975
無私。
これが正しいヒトのあり方だ。
(牧野 修「傀儡后」)
#000978
おれだって、今日はじめてきみにあったとしても、結婚を申しこむさ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000980
さっきぼくがいったことは、絶望から出た考えじゃない。なにもかも、そういう可能性があると思えばこその発言なんだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000981
とはいえ、ほんものの物理学者は、おのれの専門分野の常識にとらわれるあまり、既存の知識の意味をくつがえすような考えを受け入れるのに一般人より抵抗をおぼえるだろう。たとえ、それが真実であっても。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000985
真実の物語を聞くと、その体裁や証拠とは無関係にピンとくるものがある。たとえ無骨な語り口であっても、真実を愛する者はやはりその話に引きつけられるだろう。見るからにでっちあげ臭いものであっても、やはりいくばくかの真実があると確信することもあるだろう。なぜなら、いくらうわべがほころびだらけでも、真実を否定することはできないからだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000986
賢人が賢人であるゆえんは、あやまちを犯さないということではない。あやまちに気づいたら即座に訂正する者こそ賢人と呼ばれるのだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000989
自分たちに種明かしがわからないからといって、どうしてなにかあるたびにそれを神秘的な経験のようにいって片づけたがるのか、わからないね。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000993
親にとって、自分より偉大な子供をもつほどの名誉はありえないのだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000996
わたしだってそうとうばかな話をしたのよ。もっとばかな話があれば聞いてみたいものだわ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#000998
ある人物がしてきた行為を熟知していて、さらにその人物が自分の行為を当時どうとらえていたか、そして現在それをどう評価しているかをいくら良く知っていたところで、その人物の将来の行動をはっきりと予測することは不可能である。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#001001
ああ父なる神よ、この世界に奇跡をもたらしたまえ。あなたの子供たちは、いまこそ奇跡を必要としているのです。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#001002
不可能ではあっても考えられることであるからには、考えついた者がいて実現させた可能性も捨てきれない。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#001003
自分を必要とするものたちのためとあらば、どんな自己犠牲もいとわないものこそ、もっとも高度な生物なんだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈上〉」)
#001004
ぼくにはわかっている。この世には、死ぬよりまだひどいことだってあるんだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001010
わたしにもできる仕事には口出しなさらないように。その時間を、あなたご自身にしかできない仕事に使ってくださいまし。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001014
他人の成長を願うこと。自分がもっている良いものを、すべて他人にあたえようと願うこと。できることなら悪しきことは取り除いてやること。善とはそういうものだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001018
それを見て、ぼくはこう思ったんだ。これは科学なんかよりずっと大切なことだ。政治だって、これにくらべたら取るに足らない。これにまさる職業や業績なんかありっこないし、これ以上のものをつくることだってできないだろう、とね。ぼくは思った。良い家族をつくろう。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001019
自分には、思ってもみなかったほどの重みがあるってわかって、なんだかいい気分でしょ?
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001020
疑問を感じることもなしに、なにかを主張する人間が正しかったためしがあるか?
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001025
わたしはいつだって満足しているよ。これがありのままのわたしだ。たとえ、そうなるいきさつがどうであっても。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「ゼノサイド〈下〉」)
#001027
どうして、わたしたちはこんなにあくせく働いているのかしら?
(ウィル・マッカーシー, 冬川 亘「アグレッサー・シックス」)
#001033
「おまえが責任を取ることもあるまいて」
「おれの他に誰が取る?」
(菊地 秀行, 天野 喜孝「D-白魔山(上)」)
#001037
ここがきみのいる場所なら、ぼくのいる場所でもある。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001038
あなたはこの世界を救うべき人。でも、とても疲れている。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001040
問題は善人であるかどうかじゃなくて、信頼されているかどうかよ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001042
完全に純粋な愛情なんてあったためしはないし、恋する者はいつも複雑なものよ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001044
わたしはだれも彼もを幸せにすることはできない。この自分を幸せにすることもできない。きみのためにもたいしたことはしてやれないし、大がかりな問題となると、これまた役立たずだ。しかし、たぶんわたしはきみの母さんを幸せにすることはできる。あるいは、せめていまよりすこしはましな状態にしてやれる。せめて一時でも、せめてそう努めるぐらいは。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001051
あなたといっしょにいると楽しい。それが愛だとしたら、わたしはあなたを愛している。だけど、それって人がペットを愛するのとまったくおなじことじゃない?はっきりいって対等な者同士の友情とはいえないし、この先もそうなることはぜったいにないわね。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001052
きみは人生経験が足りないからな。この世には、でたらめな説明が山ほどあるんだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001053
もし真実が信じられない場合は、だれかがそれらしいうそをついて手助けする必要がある。ちがいますか?
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001054
口にしないことで、答えになる場合もあるのよ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈上〉」)
#001056
だけど、わたしはもう死ぬのよ。あなたがわたしから目をそらしたから。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーの子どもたち〈下〉」)
#001063
あなたがほんとうにわたしを愛してくれていることはわかっているわ。わたしがいまもあなたを愛しているようにね。死ぬことは、それを裏切ることにはならないのよ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card「エンダーの子どもたち〈下〉」)
#001067
たいていの人間は、なんとかあまり人殺しをしないでやっていけるものさ。それが友好的な生き方ってものでね。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card「エンダーの子どもたち〈下〉」)
#001069
きみがぼくにむける関心は全体のほんの小さな一部であって、それでもぼくは、自分がきみの人生の中では永遠に付け足しみたいな存在だとはぜったいに気づかないだろう。
これは、自分よりはるかにスケールの大きい相手を愛したものにつきものの不都合のひとつなんだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card「エンダーの子どもたち〈下〉」)
#001074
わたしたち自身、いい親でいられる日もあれば、親として失格のこともあるだろう。とことん悲しみに沈んだり、うれしくてうれしくてたまらない日もあるはずだ。そういう人生を、わたしは生きよう。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card「エンダーの子どもたち〈下〉」)
#001077
ああ、私はあの人の本名さえ知らなかったんだ。
(中島 梓「タナトスの子供たち―過剰適応の生態学」)
#001082
あなたは噂どおりの人だな。遠くをよく見ている。
(田中芳樹(原案), 小川 一水, 森福 都, 横山 信義, 羅門 祐人「七都市物語 シェアードワールズ」)
#001083
まあ、ひよっこには頭が柔らかいという良さがある。
(田中芳樹(原案), 小川 一水, 森福 都, 横山 信義, 羅門 祐人「七都市物語 シェアードワールズ」)
#001088
時間にも、やれることにも制限がある。こういうときは、全力を尽くし、がむしゃらに突進するってのも、立派な作戦になるのさ。
(高千穂 遙「ダイロンの聖少女 クラッシャージョウ(10)」)
#001093
ああ――私は生きている。生きているから、あなたの思い出をたどることもまた、出来る……。
(栗本 薫「北の豹、南の鷹」)
#001107
以前のぼくは、来た道をたどれば元の場所に戻れると思ってた。でも、帰ることのできない場所もあるんだよな。
(ロバート・アスプリン, ジョディ・リン・ナイ, 矢口 悟「大魔術師対10人の女怪!」)
#001111
長年の経験にもとづいて、あたしは偶然ってやつを信じないことにしてるの。
(ロバート・アスプリン, ジョディ・リン・ナイ, 矢口 悟「大魔術師対10人の女怪!」)
#001114
人生は生きるためにあるのです。
(マイケル・ボンド, 木村 博江「パンプルムース氏の晩餐会」)
#001116
だが成功がかならずしも、しあわせをもたらすとはかぎらない。
(マイケル・ボンド, 木村 博江「パンプルムース氏の晩餐会」)
#001117
なにについても規則が決められています。守るために作られた規則もあれば、そうじゃない規則もある。肝心なのは、意見が分かれたときに、規則がよりどころとなるということです。
(マイケル・ボンド, 木村 博江「パンプルムース氏の晩餐会」)
#001119
あんたがたがいままでいつも正直だと思ってきた者を、こんどはうそつきだといいたてるということは、これはえらいこっちゃぞ。よくよく考えなけりゃならん大事なことだと思う。
(C.S.ルイス, 瀬田 貞二, C.S. Lewis「ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり(1)」)
#001125
泣くことは、泣けるあいだは、それなりによいものです。でも、おそかれ早かれ、泣きやまなければなりませんし、そうなると、それからどうするかをきめなければなりません。
(C.S.ルイス, 瀬田 貞二「銀のいす ナルニア国ものがたり (4)」)
#001127
いろいろと共通のことを知っているひとたちは、どうしても、そのことを話しあわずにはいられませんし、それを知らないひとがその場にいれば、どうしても、じぶんがのけ者にされているように感ずるものです。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「馬と少年」)
#001130
たしかに、あなたの生活はすばらしいと思うわ。ただ、わたしにはそういうのはむかないのよ。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「馬と少年」)
#001132
はげしい攻め戦ではいつも先頭に立ち、必死の逃げ戦ではいつもしんがりをつとめ、そして国内に飢きんがあれば(つまらぬことがつづく年にはよくあることじゃが)、国民のだれよりも貧しい食べ物を食べながらも、だれよりもりっぱな衣服を着てだれよりも大声で笑ってみせる、これが王というものじゃ。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「馬と少年」)
#001133
あんたさえその気なら、わたしはやる気ありよ。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「魔術師のおい」)
#001135
人間は、ありのままのじぶんよりももっとじぶんをおろか者に仕立てようとつとめるどこまったことに、たいていそうなるものなのです。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「魔術師のおい」)
#001137
わたしの心には恐ろしい思いがわきあがる。ああ、きょうまでに死んでいたら、むしろしあわせだったろうに。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「さいごの戦い」)
#001138
あの人は、いまの年ぐらいに早くなりたがって、学校に通っているころを台なしにしてしまったし、また、いまの年のままでいたくて、これからさきの一生を台なしにしてしまうでしょうよ。あの人の思うことといったら、できるだけ早く、一生のうちのいちばんばかな年ごろになりたがって、できるだけ長くその年ごろにとどまりたいということなのよ。
(C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二「さいごの戦い」)
#001141
食べることは、とても楽しいものです。が、楽しそうに見えることの裏には必ずつらいことがあるというのは、どうやら世の常らしいのでした。
(酒井 順子「食のほそみち」)
#001144
世界があなたに対して行なった仕打ちを、どうやって慰めていいのか私にはわからない。
(乙一「暗いところで待ち合わせ」)
#001146
「少なくともあんたは善人だと思っていた」
「馬鹿な。私と君の快不快がたまたま一致しているだけじゃないか。私たちに限らず、誰とだってそうだろう」
(小川 一水「老ヴォールの惑星」)
#001147
興味深い考えです。なかなかにそそられるものがある。倫理にもとると考える向きもありましょうが、真に世慣れた者は、倫理にも柔軟性を残すもの……。
(ジョージ・R.R.マーティン, 酒井 昭伸「タフの方舟1 禍つ星」)
#001148
ほとんどの住民には、完全なプライバシーという贅沢など望むべくもない。だから、プライバシーがあるようなふりを装っとるのさ。
(ジョージ・R.R.マーティン, 酒井 昭伸「タフの方舟1 禍つ星」)
#001151
ここはあたしの生まれた世界なんだ。ろくでなしであっても、愛しい同胞が住んでる。
(ジョージ・R.R.マーティン, 酒井 昭伸「タフの方舟1 禍つ星」)
#001155
思考を停止することによって、あなたはひとつの選択をしているのです。
(ジョージ・R・R・マーティン, 酒井 昭伸「タフの方舟 2天の果実」)
#001167
わしがあらゆるものを笑うのは、そうしなければならないからだ。なにもかも、うんざりするほど悲しい――幾度となく悲劇が起きて、それでもなお、なにも学ばないとは。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈上〉」)
#001168
「あなたがギャンブル好きだとは思いませんでした」
「好きではないさ。しかし、ときにはいやでも賭けざるをえないこともあるのでね」
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈上〉」)
#001169
「きみはなんでもかんでもわかるほど頭が切れるわけではないのだぞ。思いあがるな!」
「いいえ、ぼくは頭が切れるんです」
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈上〉」)
#001172
あなたがここへいらしたことは、幸福な記憶にはならないでしょう。ただ、これだけはいっておきたい。このむごい知らせをもたらすにあたって、あなたがどんなに心を砕いてくださったか、わたしにはわかっていますよ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001173
「きみはわたしを買いかぶっているよ」
「あなたがご自分を見くびりすぎているのです」
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001175
エンジニアにも砲手にも、ロケット科学者にも、さらには操縦士になるつもりも十中八九ない。けれど、そういう人びとの知識を彼ら以上によく知っている必要があるのだ。そうでなければ、彼らに尊敬され、上に立つ人間にはなれないだろう。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001178
褒めことばが裏目に出ることはめったにない。とりわけ、それが心からのものであるならば。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001179
彼は最高の地位にあるからこそひとりぽっちだったのだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001182
ロシア人であれだれであれ、わるいことをしようとするのは悪者です。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001183
正当な理由さえあれば、人類は正気の判断など捨て去るのだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「エンダーズ・シャドウ〈下〉」)
#001186
短い間だったけど、ぼくのそばにいてくれてありがとう。
(乙一「失踪HOLIDAY」)
#001189
どうせ危険ならば新しい道のある方向に子を送り出してやるのが、親の務めだろう。
(小川 一水「疾走!千マイル急行 (上)」)
#001192
歴史は……説明してくれるからな。賢いはずの人間が、どういうわけか愚行を繰り返してきたことを。草のように踏みつけられる人々が、いつの時代にも大勢いたことを。栄え極まった王国にも、必ず影の部分があったことを。
(小川 一水「疾走!千マイル急行 (上)」)
#001193
仲間にしてあげてるけど友達じゃない、友達じゃない、友達じゃない。
(菅 浩江「夜陰譚」)
#001194
すっきり納得するには至りませんでした。
納得したいと本気で思っていなかったのですから当然の結果ではあるでしょう。
(菅 浩江「夜陰譚」)
#001199
君は面白い子だね。若いというのは、それだけで充分に価値があるよ。
(谷 甲州「星空の二人」)
#001202
遠廻りするのはいい。だが、後ろを見るな。見れば後戻りしたくなる。それでは先へ進めんぞ。大事なものは常に先にある。
(菊地 秀行「D-白魔山 (下)」)
#001203
わしはやはり、お前に意見をきくというよりは、お前にわしの考えをきいてもらって、そのあいだにおのれのなかでしだいに心が固まってくるのを見つめるのが好きなのだろうな。
(栗本 薫「ヤーンの朝」)
#001206
いつも、また一からあらたにはじめちゃあ、また行き詰まったらすべてを水に流して、最初からはじめればいいじゃないかって……そういう考えを、いやがるのも、ひどいと思う者もいたみたいだけど……しょうがないよね。ぼくはこう生まれついているんだし、これがぼくなんだから。
(栗本 薫「ヤーンの朝」)
#001207
まるであのころに戻ったみたいだ。どこまでもどこまでも行けそうだよ、あなたと二人だったら。
(栗本 薫「ヤーンの朝」)
#001215
あなたが生きているうちに、わたしは誠心誠意祈るわ。単に生き残ることを越えた、もっと次元の高い本能や、その身をささげるべきより高い目標があるってことが、あなたにもわかるようにって。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・オブ・ヘゲモン〈上〉」)
#001216
真理は、いずれは見つけてやるとこっちが思っているからというだけで、白旗をあげて姿を見せてくれるものではないのだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・オブ・ヘゲモン〈上〉」)
#001217
ほんとうにいいものを提供し、そのおかげで人びとの人生がうるおっていたのだ。それは歴史に残るような気高い目標ではない。けれども、とるに足らないと片付けていいものでもなかった。人が生涯の大半をこういう目標のために費やすのは、あながちわるいことではない。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・オブ・ヘゲモン〈上〉」)
#001222
わたしには、悲しんであげられる人がいる。あなたはどう?
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・オブ・ヘゲモン〈上〉」)
#001223
あんたは親をバカだと思ってるだろ。でも、そうじゃないってことをぼくが保証する。すくなくとも、お母さんはちがう。あんたの頭の良さは、だれゆずりなのかを考えることだ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・オブ・ヘゲモン〈上〉」)
#001228
「そんなことをいうのは反則だ」
「女の子だもん、反則もありよ」
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001230
それでいいのよ、ぼうや、女の子には、ちょくちょく熱烈なキスをしてあげるべきなんだから。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001234
男は、自分の死んだあとまで残るようななにかをさがし求めるものだ。ある種の永遠の命というか、世界を変える、自分の人生を意味のあるものにするなにかを。しかし、そんなのはすべて徒労さ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001239
自然には強さがあるけれど、人間の頭脳はそれ以上に強いんだわ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001243
負けるときは負けるもの。だけど、あきらめてはダメ。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001246
これが自分に残された自由な、あるいは死ぬまでのわずかな数時間だとしたら、好きな人たちといっしょに、うまい料理を食べて過ごすのも、また一興というものではないだろうか?
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001248
いまのはジョークだ。あるいは耳の痛い真実だ。両者は、しばしばおなじものだがね。
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001249
「ぼくもいま家に帰った」
「あなたは、まえからいるじゃない」
「でも、きみがいなかったからね。いままでは」
(オースン・スコット カード, Orson Scott Card, 田中 一江「シャドウ・パペッツ」)
#001251
人間の頭脳は、どんな優秀なものも、所詮浅知恵にすぎないのだが、困りものは、優秀であればあるほど、その自覚がないことである。
(米原 万里「真夜中の太陽」)
#001255
ある日目覚めてこう言うんだ。“いろいろ考えたけれど、今日が我が人生最後の日となるだろう”
(コリィ・ドクトロウ, 川副 智子「マジック・キングダムで落ちぶれて」)
#001257
わたしにも二三のときにそれぐらい知恵があればよかった。
(コリィ・ドクトロウ, 川副 智子「マジック・キングダムで落ちぶれて」)
#001258
近ごろの若者には、やりがいのある目標というものが少なくなっているんだわ。みんな協調性がありすぎるし。
(コリィ・ドクトロウ, 川副 智子「マジック・キングダムで落ちぶれて」)
#001264
悟りとは、あきらめのことだったのねえ。
(米原 万里「ヒトのオスは飼わないの?」)
#001265
あら、知らなかった?偶然て、神様の別名なのよ。
(米原 万里「ヒトのオスは飼わないの?」)
#001266
高価な服だ。その価値はある。着る者によっては、猿にしか見えないが。
(神林 長平「鏡像の敵」)
#001270
――この世のすべてから見放されたと感じている男を狙え。目標を見失っている人間に、目標を与えてやれ。“これがおまえの目標であり、われわれはおまえを必要としている”と言ってやれ。その人間の主義、主張、思想などは関係ない。“必要とされている”というただそれだけで、彼はどんな犬よりも従順に動くだろう。
(神林 長平「鏡像の敵」)
#001278
この二人がいなければ、この本は世の中に現れなかったであろう。現れたのが果たして良かったのか、悪かったのかは、読者であるあなたの判断次第ではありますが。
(米原 万里「真昼の星空」)
#001286
信者が一人もいない宗教人を何と呼ぶか知っているかい?残念ながら現在ではこれを狂人と呼ぶ。信者あっての宗教さ。
(京極 夏彦「文庫版 姑獲鳥の夏」)
#001287
涙が美しいというのは極めて観念的な捕らえ方である。泣いている人間は皆一様にぶざまで、矮小に見える。その様子は惨めでこそあれ、決して綺麗なものではない。
(京極 夏彦「文庫版 姑獲鳥の夏」)
#001288
そこはそれ、下心あれば親心。
(京極 夏彦「魍魎の匣―文庫版」)
#001289
あんたが親なら先ず子供の話ぐらい聞けよ。
(京極 夏彦「魍魎の匣―文庫版」)
#001295
まるで石膏像のヘルメスのようである。喋ったり、動いたりしなければ、さぞやモテることだろう。家柄容貌ともに申し分ないのに、三十を越しても独り身なのは、喋ったり動いたりする所為なのである。
(京極 夏彦「魍魎の匣―文庫版」)
#001300
たとえ発する者に嘘偽りがあろうとも、一度発せられた言葉は勝手に相手に届き、勝手に解釈されるのです。問題はどう表現するかではない。どう理解されるかです。
(京極 夏彦「魍魎の匣―文庫版」)
#001303
あんたは何で肚を割って話してくれなかった!私はそんなに信用出来なかったのか?
(京極 夏彦「魍魎の匣―文庫版」)
#001305
意味はある筈だ。実際にあり得ないものであっても、見える以上、感じる以上、その人間に採っては意味のあるものなのだ。それが判れば理解できないことなどない。
(京極 夏彦「文庫版 狂骨の夢」)
#001306
――俺ひとり暇を辛抱すれば世間が平和だと云うのなら辛抱の甲斐もあると云うものだ。
(京極 夏彦「文庫版 狂骨の夢」)
#001312
はあ、どうにもその、上の空で聞いていましたな。馬の寝耳に何とやらで。
(京極 夏彦「文庫版 鉄鼠の檻」)
#001315
考えることはありませんぞ。解ろうとしてもいかん。あんたもう解ってる。言葉にしようとすると、逃げて行きますぞ。
(京極 夏彦「文庫版 鉄鼠の檻」)
#001318
苦しいのはあんただけじゃない。思い上がるな。
(京極 夏彦「文庫版 鉄鼠の檻」)
#001319
「この先に面白い顛末はないぞ。不愉快な結末があるだけだ」
「構うものか!」
(京極 夏彦「文庫版 鉄鼠の檻」)
#001322
そこまで冷静に自己分析できるのなら、あなたは頭に血が昇ってなんかいませんよ。
(篠田 真由美「東日流妖異変」)
#001324
貴方の詭弁――貴方の紡ぐ呪文は実に有効です。しかし、貴方は意図的にそれを綻ばせることがある。
(京極 夏彦「文庫版 絡新婦の理」)
#001325
中身より外見が人間の価値を左右する――そう云うことは殊の外多いものである。
(京極 夏彦「文庫版 絡新婦の理」)
#001327
禽獣だって慈しめばものの道理くらい呑み込みます。あの人は、ちゃんと解る癖に、解ろうとしないんです。愛情の注ぎようがないのです。
(京極 夏彦「文庫版 絡新婦の理」)
#001334
でも悪気はなくッても謙虚さが他人傷つけることだってあンの。
(京極 夏彦「文庫版 絡新婦の理」)
#001340
おまえはあまりに多くを当然のことだと考えすぎる。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「ディアスポラ」)
#001342
理解のおよばないものなんてありません。
(グレッグ・イーガン, 山岸 真「ディアスポラ」)
#001344
ぼくたちは、ひとのために生きているわけじゃないよね。たとえひとのためにいろいろよかれと思って何かしてあげるにせよ、それはまた別の問題として。
(栗本 薫「湖畔のマリニア グイン・サーガ〈104〉」)
#001347
男なんて、七十だろうが、八十だろうが――三百歳だろうが、男であるかぎりは好色なもんだよ。
(栗本 薫「湖畔のマリニア グイン・サーガ〈104〉」)
#001350
年をとってありがたいのは、若いころ見えなかったことがようやく見えるようになることだ。
(梨木 香歩「りかさん」)
#001352
発展の果てに真理があるとは限らない。
(柳田 理科雄, 空想科学研究所「空想科学読本〈2〉」)
#001354
あの時代は、思ったことをそのまま口にする習慣がなかったんじゃ。
(梨木 香歩「裏庭」)
#001358
鎧をまとってまで、あなたが守ろうとしてたのは何かしら。傷つく前の、無垢のあなた?でも、そうやって鎧にエネルギーをとられていたら、鎧の内側のあなたは永久に変わらないわ。
(梨木 香歩「裏庭」)
#001359
これからは、もう誰にも、『じゃあ、どうしたらいいの?』ってきけないんだよ。
(梨木 香歩「裏庭」)
#001362
人間の子供が誘拐されるより、高価な宝石が奪われるより、一匹の犬がいなくなってしまうことの方がよほど大事件であることだってある――。
(加納 朋子「虹の家のアリス」)
#001364
まったくのところ、男とは女にいい格好をして見せたい生き物である――たとえその相手が母親であろうと、妻であろうと。
(加納 朋子「虹の家のアリス」)
#001367
生きて命があるって、異常事態なのよねえ。
(梨木 香歩「からくりからくさ」)
#001369
「興味なんかじゃないの。ただ、ひっかかってることがあって……」
「人はそれを興味と呼ぶ」
(梨木 香歩「からくりからくさ」)
#001371
思い出したくない細かなこと、考えたくない大きなことが、あとからあとから頭に浮かび、心にわきあがってくる。早くここを出たかった。
(宮部 みゆき「模倣犯1」)
#001372
こんなにも疲れているのに、やはり怒りは湧いてくる。湧いてはくるけれど、あまりにも疲れ切ってしまっていて、もう怒りを外に出すことができない。
(宮部 みゆき「模倣犯1」)
#001375
彼女にとって、「男」は常に、御しやすいものだった。優しいものだった。手軽なものだった。面白いものだった。利用できるものだった。そして「女」にとってはなくてはならないものであり、だから「男」のそばにいない「女」は彼女にとって意味がなかったし、より使い勝手のいい「男」をそばに置いておくことにこそ「女」の人生の目的はあった。
(宮部 みゆき「模倣犯2」)
#001377
このルートに逃げ道はないのか。どこにも分岐点はないのだろうか。それとも、たくさんの分かれ道があったのに、あたしはそれを見落としてきてしまったのだろうか。
(宮部 みゆき「模倣犯3」)
#001382
「こんなことをして、何が楽しいんだ?」
「楽しいんですよ。あんたもやってみれば判る。ただ、才能が無いとできないことだから、誰にでもできるわけじゃない」
(宮部 みゆき「模倣犯3」)
#001383
思い出なら星の数ほどある。どの思い出も星のように輝いている。
(宮部 みゆき「模倣犯3」)
#001388
あなた方は僕より悪くない。あなた方には罪はない。あなた方が自分を責めることはないんです。ほかの誰にも断言はできないことだけど、僕ならきっぱりとそう言い切れる。
(宮部 みゆき「模倣犯〈4〉」)
#001391
ある日突然頭の血管がぷちんと切れて、ぽっくりいく可能性だってあるってことだよ。人間誰だってそういう年齢にさしかかったら、ひとりで秘密を持っていちゃまずいんだ。あとがややこしくなるからな。若いやつらに申し送りをしておかないとな。
(宮部 みゆき「模倣犯〈4〉」)
#001392
いいか、よく覚えとけ。人間が事実と真正面から向き合うことなんて、そもそもあり得ないんだ。絶対に無いんだよ。
(宮部 みゆき「模倣犯〈4〉」)
#001397
たしかに情報には距離がない。だが、人間には距離があるのだ。
(宮部 みゆき「模倣犯〈4〉」)
#001400
また始まった。ホントは、だ。ホントは違ってた。ホントはこうだった。やめなさいよ。あんたがそのとき考えたことが本当なんだよ。本当のあんたはそのときそのときその場にちゃんといるんだよ。
(宮部 みゆき「模倣犯〈5〉」)
#001401
あたしはもちろん、今のような屁理屈を認めない。絶対許さない。でも、そんなふうに考える連中が出てきても驚かない。
(宮部 みゆき「模倣犯〈5〉」)
#001402
嫌な人間でも、主義主張は正しいということだってあるぞ。
(宮部 みゆき「模倣犯〈5〉」)
#001407
だけどこのままじゃ、この怒りと悔しさがあふれ出てしまう。
(宮部 みゆき「模倣犯〈5〉」)
#001408
「そんなこと、誰も云っていないじゃないか」
「いいえ、たとえあなた御自身は何も仰有っていなくたって、あなたの場合、あなたのお顔は云いたいことを全部云っているんです、あなたに代わって。あなたのお顔は、このバカ奴、なんて気が利かないんだろう、使えない奴、と叫んでらっしゃるも同然ですよ」
(栗本 薫「ふりむかない男―アルド・ナリスの事件簿 2」)
#001409
また、このごろの若い者というのは……なんていうとちょっとなんだか、とても年をとってしまったような気がしてイヤなんですけれど、本当だからしょうがないですわね。このごろの若い娘たちというのは、どうしてああ、なんというんでしょう、甘やかされているんでしょうね。甘ったれている、といってもいいですけれども……ちょっと叱れば反発して自分でやってくれるかと思いのほか、たちまちあきらめてしまって『私にはお手伝いは無理なんです』なんていいだす。といって、きびしくしないで放っておいたら自分でやるかといったら、どんどんつけあがって何もしないようになってしまう。
(栗本 薫「ふりむかない男―アルド・ナリスの事件簿 2」)
#001411
ばかげたことだ!――本当に何もかもを終わったことにしたいのだったら、それが終わったのだ、というそぶりをしないで、逆に、それがちゃんと存在した、ということをお互いに認めあい、その上で和解しつづけているしかないだろうに。
(栗本 薫「ふりむかない男―アルド・ナリスの事件簿 2」)
#001412
世の中とはあいにくとそういうところだ。
(栗本 薫「ふりむかない男―アルド・ナリスの事件簿 2」)
#001413
自炊が不得手というそこの方も、あんたの大切な人がちゃんと食べているか心配でしかたがないそこの方も、そういうわけじゃから、どうか、もう、心配するのはやめて、楽しく、うまいものをつくって食べて寝たらいい。うまいものさえ食べて眠れば、明日になればちゃんと元気になっとるからな。これはわしが保証するよ。かっかっか。
(ほぼ日刊イトイ新聞「がんばれ自炊くん!ビギナー編」)
#001414
時間というものは不思議だと思う。その時点ではわからずにいた言動が、あとになって全体を振り返ってみると、あらかじめ見事にコーディネイトされた一つのテーマに統一されているようにも見えるのだ。
(梨木 香歩「エンジェル・エンジェル・エンジェル」)
#001416
あたしだってもう何年も前に、自分の終の棲家なんてものは地上にはないんだと思い決めたわ。――あたしにとってはただひとつ、恋しいかたの胸のなかだけが、たどりつきたい先だけど、それだっていつになるかわからない。もしかしたら、永遠にたどりつけないかもしれない。
(栗本 薫「ボルボロスの追跡 グイン・サーガ〈106〉」)
#001422
人生には秘密がいっぱいある。何もかも一度に知ることはできないんだ。
(ダン・ブラウン, 越前 敏弥「ダ・ヴィンチ・コード(上)」)
#001428
かれらの苦痛がなにゆえに、かほどの驚嘆すべき美を生み出すことができるのか。それともあらゆる美とは、苦痛を通してのみ成就されうるものなのか。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001432
これでわたしの人生も終わりだ。つねに心を引き裂く葛藤からも逃れられる。恐れも、苦悩も、愛も、憎しみもすべては過去のもの、このさきは忘却があるばかりだ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001433
そなたが宿命を悟ったときには、そのさだめを疑わず、それにのっとって生きるほうが幸せであろうよ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001434
「あなたのやり方では、あるいはお身の破滅につながるかもしれませぬ」
「それが何だ?破滅してもかまわぬ」
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001437
わたしはこの娘が愛しい。彼女をとりもどす以外の望みはありませぬ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001438
「いまのこの幸せをなぜ、打ちこわそうとなさいますの」
「幸せというものは、自分が何者であるかをとことん知らねば、長続きしないと思うからかな」
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001440
外の世界に、われらが欲するに足るものがあろうか。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001441
幻想をつくりあげ、それを頭から真実と信じ込む人間の心のはたらきとは、なんとふしぎなものだろう。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001444
わたしに忘れはてた望みがないとお思いか。夢みたことがないとお思いか。子供のときには、これでも楽しいことがあったのじゃ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001446
あの者の脳に欠陥があるのは、当人の落度ではない。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉」)
#001456
さびしさをまぎらわすため、あるいは、なにかをかわいがらずにはいられないため、ヒトはペットを飼う。
(神林 長平「小指の先の天使」)
#001457
息子は、幼い息子は、私のこたえで納得した。理解したのではなく他に面白いことやわからないことがたくさんあって、この件への興味を失ったからだ。
(神林 長平「小指の先の天使」)
#001461
結局のところ、伝統を踏襲することになったわけだ。おそるべき魔力をそなえた代物を火口に投げこんで、最後はめでたしめでたし――ありがちな話だろ?
(ロバート アスプリン, ジョディ・リン ナイ, Robert Asprin, Jody Lynn Nye, 矢口 悟「個人情報、保護魔法!―マジカルランド」)
#001466
本当に楽観的ですね。あなたのそういうところが好きでした。
(ジョン ザコーアー, ローレンス ゲイネム, John Zakour, Lawrence Ganem, 斉藤 伯好「プルトニウム・ブロンド」)
#001468
すでにきみにあかしたとおり、わしとてほかの者と同じように過ちを犯すことがある。事実、わしは大多数の者より――不遜な言い方じゃが――かなり賢いので、過ちもまた、より大きいものになりがちじゃ。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと謎のプリンス」)
#001469
こういうことはよくあるものじゃ。仲のよい友人の間でさえ!両者ともに、相手の言い分より自分の言うべきことのほうが、ずっと重要だという思い込みじゃ!
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと謎のプリンス」)
#001471
暴君たる者が、自ら虐げている民をどんなに恐れているか、わかるかね?暴君は、多くの虐げられた者の中から、ある日必ず誰かが立ち上がり、反撃することを認識しておるのじゃ。
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと謎のプリンス」)
#001472
歳をとった者は愚かで忘れっぽくなり、若者を侮ってしまうことがあるものじゃ……
(J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子「ハリー・ポッターと謎のプリンス」)
#001474
目を瞑ろうと蓋をしようと、闇が消えてなくなった訳ではないからだ――と、私は思う。
上辺だけ取り繕っても綺麗ごとで糊塗しても理詰めで封印しても――あるものはある。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001475
だが、気持ちというものは、相手に伝わることの方が遥かに稀なのである。だから、もし正確に伝わったなら、その時は偶然と思った方が善い。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001476
そう、人は、自分は自分なんだと思いたいものです。あなたにとって世界はあなただけのものだ。だからあなたは自分を世界から切り離して、特別視したい。他人と自分を差別化したい。だからこそ、世界は不思議に溢れている。自分が自分でないかもしれないと気付けば――世界には謎などひとつもないんですよ。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001479
しかし、単調な拷問は、反復するうちに苦痛を伴わなくなる。
予測可能なら怖くはない。
予測不能の平時の方が私にとっては余程不安である。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001481
世の中には無駄な言葉などありませんよ。無駄と感じるなら感じる者が無知なだけです。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001482
はきはきとした態度は悪いものではないのだろうが、時には不快なものでもある。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001487
論理には情けも容赦もない。曲がりもしなければ伸びも縮みもしない。悲しみもお可笑みもない。あるのは選択の余地がない過程を積み重ねる悦びと、整合性を持った結論に至ったときの喜びだけである。一分の隙もない。素晴らしい――と思う。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001489
――可愛いものが可愛くあろうと努力しないで何処の誰がそれをする!
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001495
――このからだが私だ。
自分探しなど糞食らえである。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の支度」)
#001497
最大の問題は、「すべてを自分がやらねばならず、しかもそれでいながら最終的には何ひとつ自分では決めることが出来ない」ということであった。
(栗本 薫「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)
#001499
だけど……いまとなっては、ここにあるのは……悲しい思い出ばかりだわ……
(栗本 薫「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)
#001500
私、もう――なんだかとても年をとってしまったような気がするのよ。――私の人生の一番素晴しいときはみんな終わってしまった。そして、もうこのあと何年生きようと……私の人生にはもう何ひとつおこらない。もう、何も、愉しいこともなければ嬉しいこともない。恋のときめきも、苦しみも、悲しみも、いとしいひとに抱きしめられる喜びも――いとしいひとと苦しみや苦難をともにする神聖な力も……何ひとつもう私の人生を訪れない。私は、なんだか、疲れはてた老婆にでもなってしまったような気がするの。人生に疲れ、倦み果てた老婆に。
(栗本 薫「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)
#001501
俺も……そろそろ……本当に、あのかたを追憶にしなくては……
(栗本 薫「流れゆく雲 グイン・サーガ〈107〉」)
#001504
なる程言葉は理に依って立つものである。だから言葉で通じない理屈はないのだろう。しかし反面、言葉で通じる気持ちなど、何ひとつないのだ。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001505
幻覚だからこそ望むだけで手に入るのである。
但し。
気付いたら終わりだ。泉などないのではないかと一度疑ってしまえば、目前にあるのは灼けた砂や凍て付く霜になってしまうのである。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001506
拝金主義の世の中には貧富の差はあっても善悪の別はない。正義も悪もないんだ!
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001509
だから――。
騒ぐことはない。
煽ることもない。
壊れるものは壊れよう。徒に劇的な変革を求めるのは愚か者の所業である。
所詮人の手だけで世界は動かぬ。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001511
もしも一個人が正解を手にしているならば、そして全体の向いている方向が誤っている確信があるのであれば――その個人は何としても組織を説得すべきであろう。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001513
人と人との関係は、多く思い込みで成り立っているのだろう。仮令嫌悪から口をついて出た言葉であっても、親切故の苦言と受け取れば角は立たない。
その逆もあるだろう。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001517
信頼という言葉の裏には期待がありますでしょう。期待と云うのは無言の脅迫ですから。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001521
人に世の中は変えられないんだ。でもな、世の中違えて見るこたぁ出来るぞ。世間てぇのはな、己の外にあるものじゃあない。己の内にあるものよ。過去も未来も、知ってるのは自分だけだ。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001523
真実。真理。それが何です?例えばそんなモノがあるのだとして、それを知ることにいったい何の意味があるんでしょう。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001524
僕にだって人情はあるぞ。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001530
天才と云うのは往往にして限界を越えてしまったりすることがある。
(京極 夏彦「文庫版 塗仏の宴―宴の始末」)
#001539
本当に優秀な人間は、目を吊りあげてほかのすべてを犠牲にして勉強しなくても優秀なんだ。それが能力ってもんなんだから。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (上)」)
#001540
子供であるというのは、なんて不便なことなんだろう。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (上)」)
#001541
なんて無様な格好だ。カッコ悪いったらありゃしない。
でも、そんなことを考えられるってことは、生きてるってことだ。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (上)」)
#001542
それでも、個人は滅亡するのだ。笑っちゃうくらいカンタンに。だけど世界は続いていくのだ。とりあえず。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (上)」)
#001544
悪いことがイコール失敗だってわけじゃない。悪いことは何もしなくても、失敗することはある。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (上)」)
#001546
愚かなるものの方が、時には、正しいものよりも遥かに強く、ヒトの心を惹きつけることがある。小さな心、穴のあいた心、空っぽの枯れ木のうろのような心には、愚かなるものの方が入り込みやすいのだ。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (中)」)
#001547
不思議だよな。孤独はそれだけじゃけっして害のあるものじゃないのに、怒りや悲しみとくっつくと、すごく性質の悪いものに変わっちまうんだ。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (中)」)
#001548
子供だというだけで一生親を縛りつける権利があると言い張るのなら、こっちにだって言い分がある。どうしても俺という親がいなくては生きていけないというのなら、そんな命など、最初から無用だ!
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (中)」)
#001552
あなた自身を見つめなさい。憎しみと怒り、優しさと勇気。どちらも等しくあなたのものぢゃ。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (中)」)
#001555
あたしが何を訊ねようと、あんたはそれにふさわしい答を作りあげるだろう。今みたいにね。こっちがふむふむと納得するだけの、ちゃんとした答を用意することができるだろう。もともとあんたにはその必要があるんだし。他人よりも、まずあんた自身を納得させるためにね。そっちの方が、あんたにとっちゃ、遥かに切実なことなんだし。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001556
友達だって、肉親だって、恋人だって、正しくないことは正しくないんだ。あんたの心が、それは間違っていると感じたなら、あんたにはその心に従う義務がある。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001557
誰にだって、寝起きの良くない日はあるもんだ。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001558
時には、主人に逆らう犬もいるだろう。犬にも犬の意思があるのだから。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001560
憎しみは憎しみを呼び、悲しみは悲しみに木霊し、死は次の死を差し招く。憎しみは大地深く根を張り、悲しみは大海よりも汲めども尽きず、死が孤独を嫌うことは、空しく厳しい真実であるのだから。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001566
そしておまえも少し休みなさい。深呼吸をひとつするあいだだけでも。そんな思い詰めた瞳をしていないで。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001567
あなたがそうしてくれたように、わたしたちもあなたに幸多かれと祈ろう。
元気でね。
(宮部 みゆき「ブレイブ・ストーリー (下)」)
#001568
自由などというものはない。いまのところはまだ、な。そう、われらにとっては。この先多くの苦難を経て初めてわかるのだ、自由とは何であるか。それをしるために支払わねばならぬ値いは、貴公がいまの時点で払うつもりの値いよりはるかに高いだろう。まこと、その値いはしばしば命そのものなのだ。
(マイクル・ムアコック, 井辻 朱美「この世の彼方の海」)
#001569
あなたはよくよくひとに信頼感を与えないかただな。
(マイクル・ムアコック, 井辻 朱美「この世の彼方の海」)
#001570
信頼には二種類ある。自由のように、持つのはたやすいが持つほどの価値のないものと、めったに手に入らぬものだ。確かにわたしは前者を与えることはできぬが。
(マイクル・ムアコック, 井辻 朱美「この世の彼方の海」)
#001571
かたときでも気がゆるめば、あのひとを愛してしまいそう。そうしたら破滅ですわ!
(マイクル・ムアコック, 井辻 朱美「この世の彼方の海」)
#001573
あやつはわしらに選択の機会を与えなかったぞ。古いことわざにも言うではないか。自由な友は奴隷にまさる、とな。
(マイクル・ムアコック, 井辻 朱美「この世の彼方の海」)
#001577
わたしは、やっと自分自身と和解できるのだと思った。だがそなたのせいで、わたしは前以上の絶望に突き落とされたのだ。この世界には救いなどない――悪意に満ちた運命あるのみとな。
(マイクル・ムアコック, 井辻 朱美「この世の彼方の海」)
#001580
それもたいへん詩的な意見だが、いまの場合の役にはあまり立たぬ。
(栗本 薫「パロへの長い道 グイン・サーガ〈108〉」)
#001583
私はべつだん頽廃的だとは思わないけど、あんまり欲望をおさえたいとは思わないなァ。大体それじゃあ、生きているここちがしないじゃあありませんか。ねえ。
(栗本 薫「パロへの長い道 グイン・サーガ〈108〉」)
#001585
間違った組み合わせなんてものは、いつだって、どこにだってある。彼らの結婚は明らかに間違っていて、彼らが間違えさえしなければ、僕はこの世に存在していなかったのだ。
(加納 朋子「コッペリア」)
#001586
神様なんて奴がもしいるとしたら、ぜひ聞いてみたいものだ。これはあなたの、とんでもない皮肉ですか?それともタチの悪いジョーク?
(加納 朋子「コッペリア」)
#001588
修羅場をくぐり抜けてきた人の言葉には説得力があるし、実際真実を多く含んでもいる。
(加納 朋子「コッペリア」)
#001590
メンバーのみながみな、彼のことを慕っているわけではないと思う。共通しているのはたぶん、「この人なら何かすごいことをやってくれるんじゃないか」という期待感だ。もっと身も蓋もない言い方をすれば、「この人にくっついていれば、美味しい思いができるかも」という浅ましい希望である。
(加納 朋子「コッペリア」)
#001594
執着の陰にあるものが、常に愛情だとは限らないさ。
(加納 朋子「コッペリア」)
#001595
あたしは報われない恋なんて、する気ないですよ。ガラじゃないもん。
(加納 朋子「コッペリア」)
#001597
若い奴は社会の子どもじゃ。わしらみんなで育ててやらにゃあならん。
(吉村 喜彦「ビア・ボーイ」)
#001602
何かを隠そうとするときには、堂々とやったほうがいい――つまりは、何も隠してないよ、というのが一番いいことなんだとぼくは思ってる。これはまあ、さんざん浮気がばれたときのぼくの生活の知恵でもあったんだけどな。
(栗本 薫「豹頭王の挑戦 グイン・サーガ〈109〉」)
#001606
ああ、〈生〉とは何たる苦しみだ!
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001607
いつの日かそなたは、中立が、どちらかに着くよりなお危険であることを知るだろう、裏切者!
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001610
自然は、権力を分別の欠如とひと組にして勝手に人々にわりあてる。知恵や美や富の場合もそうだ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001612
すきっ腹でよい仕事のできたためしはないわ。仕事をしているうちに、腹がすくということはあるが。それは別の話でござる。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001614
もっとも、われらになじみのあるものが危険でないかといえば、そうとも言えませぬぞ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001616
魂のほうは、いまとなってはあまり価値があるとも思えませぬ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001619
余の辞書にのっているのは、有用性であって信義ではない。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001620
自分が評価している恋人の長所を、他人が認めてくれたのが嬉しいようだった――もっとも他人の意見というものは次には、えてして、恋人たちがひそかにたがいの欠点とみなしている部分を突くものであり、そうなるとかれらはいきりたつのだ。
(マイクル ムアコック, Michael Moorcock, 井辻 朱美「暁の女王マイシェラ―永遠の戦士エルリック〈3〉」)
#001624
「しかしそれは事実と違いましょう」
「なんの違うことがあろうか。それがあんたにとっての真実だ。世界は観るものに依って決まるのだ」
(京極 夏彦「百鬼夜行 陰」)
#001627
この世には偏らざるイデオロギーなどないのである。だからと云って教える方が迷っていては教わる方は戸惑うだけである。
(京極 夏彦「百鬼夜行 陰」)
#001632
大人には子供の睡眠時間を削る権利などありはしない。人類が誕生して以来、子供はいつの時代でも、眠っている間に育つものなのだ。
(小川 洋子「博士の愛した数式」)
#001634
――普通だ。
何故に、何故これ程までに日常的なのだ。
あまりにも当たり前過ぎてうんざりする。
(京極 夏彦「百鬼夜行 陰」)
#001636
美というものが悪徳をともなうものなのか、それとも悪徳というのは美しいものであるのかもしれんさ。
(栗本 薫「快楽の都 グイン・サーガ〈110〉」)
#001637
だが、美も快楽も、どちらも死と滅びと恐怖や戦慄とこそ、となりあわせになっているものだよ。
(栗本 薫「快楽の都 グイン・サーガ〈110〉」)
#001639
――思い込みというのは恐ろしいな。
――だがとりあえずは思い込まねばな。
(梨木 香歩「家守綺譚」)
#001640
けれど人間にはどこまでも巻き込まれていこう、と意志する権利もあるのよ。
(梨木 香歩「春になったら苺を摘みに」)
#001641
それしかない、と覚悟を決める瞬間は、外から見てどうであれ、個人の体験としてはいつでも重いドアを押して向こう側の空気に身を晒すような清冽なものだ。
(梨木 香歩「春になったら苺を摘みに」)
#001643
その傾向は大なり小なりあらゆる人々のうちに遍在する。ボーダーというよりグラデーションで考えよう。
(梨木 香歩「春になったら苺を摘みに」)
#001644
――私が彼にできるのはそこまでだって分かっていた。いつか私は死ぬ。そしたら彼はどうなる?
ああ、これは全ての障碍と共に生きる子の親が考えることだ。
(梨木 香歩「春になったら苺を摘みに」)
#001646
たとえ夫婦であろうと、どんなに相手のことが好きだろうと、〈本当のこと〉なんて永遠に相手には伝わらない。
(加納 朋子「レインレイン・ボウ」)
#001647
少々意地悪なくらいの見方の方が、より真実に肉迫することだってある。
(加納 朋子「レインレイン・ボウ」)
#001649
駄目だ、あたし馬鹿だから、思ってることをちゃんと言葉にできないんです。
(加納 朋子「レインレイン・ボウ」)
#001658
「いったい、なぜだ?あまりに不公平な」
「世界が公平なものだとだれが言った?」
(マイクル ムアコック「ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉」)
#001659
「が、われらがみな死ぬさだめで、われらのなしたことの結果もともに滅びるとしたら、努力することに何の意味があるのか」
「必ずしもそうではない。つづいてゆくものはある。われらの後につづくものは、われらから何ものかを受けつぐだろう」
(マイクル ムアコック「ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉」)
#001660
ありがたいとは思わなかったが、ともかくもかれはその事実を受け入れた。
(マイクル ムアコック「ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉」)
#001661
これまで、あなたの生涯は比較的無意味なものに思われてきたであろう。あなたはずっと、生きる目的を求めつづけてきた。そうではないのか。
(マイクル ムアコック「ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉」)
#001662
わたしと貴殿はまた会うのだろう。それが、今よりおだやかなときであることを祈る。
(マイクル ムアコック「ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉」)
#001664
まあ、あなたの自由になるあなたの運命とはごくわずかだ。ときには選択を認めてさしあげよう。
(マイクル ムアコック「ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉」)
#001672
あんな馬鹿親父の血が流れているなんて恥ずかしいことを、堂堂と人前で云わないで欲しいものだ!僕は僕であって僕以上でも僕以下でもないから、親も兄も関係ない!
(京極 夏彦「文庫版 百器徒然袋―雨」)
#001679
親が思うほど子供は子供でないが、親はそれに気づかないからな。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈上〉」)
#001680
女というのは、このぐらいの年頃から、どうして、どうしてと訊くことを覚えるのだな。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈上〉」)
#001681
不思議だ。どうして大人の女の人たちは、昔少女だったころの自分たちと同じだけの鋭い耳と目を、今の少女たちだって持ち合わせているのだということに気づかないのだろう。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈上〉」)
#001682
人間、どんなにへこたれていようと、飯さえ食えれば大丈夫だ、まだやっていかれる――
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001683
人の眼は、そこにあるものを映すだけでなく、心のなかに残っているものも映すのだ。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001684
大人はいろいろな思い出を持っている。生きていると、否応なしにいろいろの思いが溜まるものだからな。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001685
男が心を乱すことといったら、女に決まっているじゃないか。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001686
そんな一途な目で人を見るのは、いつか恋しいお人ができるまでお待ちよ。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001687
「人ってのはどうしてこう、汚いんだろうね。どうしてもっと潔くなれないんだろう?」
「それがわかれば苦労はないさ」
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001688
俺たちは、ようやく道を見つけた。こういう別れは目出度いのだ。
(宮部 みゆき「あかんべえ〈下〉」)
#001691
たしかに、不可能なことを可能にするには時間がかかるでしょう。けれど、むりに思えることには、考えるだけの価値があるのよ。
(アン・マキャフリー「もしも願いがかなうなら」)
#001694
それは魔法の夜であり、一夜の夢だった。少なくとも、四十時間か五十時間はあったに違いない。その一瞬一瞬が限りなく貴重だった。
(George R. R. Martin「フィーヴァードリーム〈上〉」)
#001695
われわれは、人生とは生きるにあたいするものだと信じている。それが信仰の第一条だ。人生の目的は生きることであり、死を拒むことであり、おそらくはエントロピーに反抗することなのだ。
(ジョージ・R.R. マーティン「サンドキングズ」)
#001698
なにかいいたいことがあるんなら、どうして飾りのない簡素なことばでいわんのだ?
(George R. R. Martin「フィーヴァードリーム〈上〉」)
#001700
「いわれなく暗闇を恐れる人があまりにも多すぎます」
「そうかもしれませんが、ときには恐れるべきではないでしょうか」
(George R. R. Martin「フィーヴァードリーム〈上〉」)
#001702
しかし、わたしは悪ではありません。みずから選んでそうなろうとしたのではないからです。選択がなければ、善も悪もありえません。
(George R. R. Martin「フィーヴァードリーム〈上〉」)
#001706
「おまえなんかに似ていてたまるものか」
「ああ、しかし似ているのだ!われわれは二人とも、自分以外のものになろうなどとは考えていない。決して考えていない。」
(George R. R. Martin/ジョージ・R・R・マーティン「フィーヴァードリーム〈下〉」)
#001707
わたしは弱虫が大嫌いだ。自己嫌悪のあまり、なにか他のものになったふりをするようなできそこないが大嫌いだ。
(George R. R. Martin/ジョージ・R・R・マーティン「フィーヴァードリーム〈下〉」)
#001710
時代を先取りしているのか、頭がおかしいのかは定かではありませんが、信頼に足る判断基準がないのですから、満足に浸った方がよいでしょう?
(Rich Gibson/Schuyler Erle「Google Maps Hacks -地図検索サービス徹底活用テクニック-」)
#001713
たったひとつのことじゃなくて、あらゆる可能性を試したいのよ。自分がほかのどんなものになれるか、探し出したいの。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001714
背中を向けているあいだに、みんなが自分を踏み越えて変わっていくなんて、不公平だ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001715
欲しいのは……自分の天命なんだろうと思う。できるかぎり自分らしくある、または自分らしくなるってことだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001717
十三歳のときだったら、何か思いついたかもしれない。人生では機会が訪れるのが遅すぎるということがときにはあるものだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001718
急いだあとで待つのでなければ、待ったあと急ぐことになる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001720
いまだって、ありがたいことに、その方面の進んだテクノロジーの助けを借りなくても、すでに精神異常にかなり近いのではないかと感じているのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001732
いまはこんなことには向きあえない。あとでやろう。まもなく。約束する。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001734
ある程度の年齢になったら、自分で学ばなければならないこともある。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001736
さきへお行きなさい。ただ進むだけです。それ以外に何もすることはないし、それを楽にする術もありません。ただ進むだけです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001740
悪魔は細かい部分に、つまり生のデータのなかにいる。データの底に隠れているのは小さな糸口ばかりだが、それが直感の悪魔の餌となって、やがて力をつけ太っていって、ときには実際の〈理論〉だとか〈証拠〉にさえも成長することがあるのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001741
「難問の詰まった缶をあけるつもりでいるのなら」ここではじめて声に出していった。「缶切りの選び方がいちばんの難題だぞ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001744
「きみは自分を無邪気な傍観者だと思っているのか」
「そうあるべく努力していることは、神様がご存じさ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 上」)
#001745
気に入らないのならほかへ移住すればいいし、ここにいるつもりなら、この街ではこれしかありません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001747
しかし、自分が何者であるかは、何をしたかで決まる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001752
今回の件では、つぎつぎに醜い事実が出てきますね。わたしは内部調査は嫌いです。たとえうまくいっても失うものがある。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001754
わたしはいつも、当初から事実を追求することにしています。動機なんか、あとで勝利のビールとともに理屈づければいいんです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001759
生きることはつらい。あのくそったれには、軍法会議の務めを果たさせよう。永遠のようにつらい最後の一分まで。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001760
どこで、何を、どうやって、誰が、に対しては、わたしもときには物理的な証拠をあげることができた。だが、なぜ、という疑問はほとんど神学的で、しばしば自分の知力の範囲を超えていたものだよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001761
きみがしたことを話しなさい。その理由をいいなさい。最初からはじめて、終わりまですっかり話しなさい。事実をすべて。弁解はいっさい入れるな。そのための時間はあとでつくる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001762
世の中には、価値がありすぎて、どんなに望んでも手の届かない賞品もあります。心からの望みと引き換えることのできないものはただひとつ、心そのものです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001763
今度はあなたがここにいて、わたしがいないのね。人生って、ときにそういうおかしなものなのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001768
自由になるのに、あなたにそういってもらう必要はないのよ。自分が選んだときに、いつでも自由になれるわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「メモリー 下」)
#001779
自分でウジウジ悩まずに、彼女にすべてをうちあけたらどうなんだ。全部わかって、彼女がお前を拒否するんなら仕方ないじゃないか。一回も女とつき合ったことのない童貞ヤローが、勝手に自分の想像のなかだけで自己完結するんじゃない!
(坂本 康宏「逆境戦隊バツ「×」〈2〉」)
#001787
人から見てみっともなくても、卑怯でも、プライドが許さなくても、チャンスのあるかぎり、成功するまで何度でもやればいい。
(坂本 康宏「逆境戦隊バツ「×」〈2〉」)
#001789
この気持ちは、愛という言葉でしか表現ができない。もし世界のどこにも愛がないとしたら、ここにある。俺が愛だ!
(坂本 康宏「逆境戦隊バツ「×」〈2〉」)
#001819
「あなたは、彼らの言うことを信じるのか?」
「誰も信じるとは言ってないさ。だけど、話を聞くだけなら、別に損はないだろう。ケツをまくるのは、それからでも遅くはない」
(火浦 功「高飛びレイク 【全】」)
#001820
「あんたって、ほんっとに仕事熱心な悪党ね!」
「今時、自分の職業に誇りを持ってるのは、私たちくらいのもんだからな」
(火浦 功「高飛びレイク 【全】」)
#001828
「しかし、どういう事情か知らんが、まんまと濡れ衣を着せられるとは、ドジを踏んだもんだ」
「好きで着てるんだ。あんたの、そのコートと一緒さ」
(火浦 功「高飛びレイク 【全】」)
#001829
あたしはね、自分でドアを開けなきゃ気がすまない性質なのよ。たとえ、そこに何があろうと、ドアが開くのを待ってるなんて、がまんできないわ。
(火浦 功「高飛びレイク 【全】」)
#001832
『予想しなくては、予想外のことは見い出せない』(とはいえ、こいつは、あんまりだ)
(火浦 功「高飛びレイク 【全】」)
#001834
悪いニュースと、悪いニュースと、悪いニュースがある。――どれから聞きたい?
(火浦 功「高飛びレイク 【全】」)
#001846
いまもわたしの中のある部分は、もちろん、自分のしようとしていることを嫌悪しきっている。
問題ない。そんなものは、もうすぐ消え去る。
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001847
ぼくたちは幸福の絶頂にいるわけではないだろうが、たしかなことがひとつある。
いま以上を望むことは、絶対に不可能なのだ。
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001851
受難とは、神がわれわれを真の姿へと作りあげるために用いる鏨だ。そんな言葉を考えつくのは、どこの大馬鹿者だ?
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001852
そのときは心の強さが必要だった。自分が神を必要としていると認めるには。そしていままた、決してかなわない願いがあることを理解するには、同じ種類の強さが必要だ。
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001853
彼女といっしょにいることで、ぼくの人生は変わった。しかし、お返しにさしだせるものが自分にあるなどと考える図太さを、ぼくはどこで身につけたのだろう?
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001854
「夜まで待ってもかまわない用件なわけ?」
「ときには、先のばしにできないこともある。勇気が萎えないうちに行動に出なきゃならないことが」
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001855
あたしは自分がどんな存在かわかってるし、自分がどんな選択をしてきたかもわかってるし、そのことがうれしい。
(グレッグ イーガン「ひとりっ子」)
#001860
「だが正義をおこなうことはそなたの仕事ではあるまい」
「それを仕事とする人たちが怠けているからだわ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001863
耳に心地よい嘘をならべて真の才能をのばす機会を妨げようとする人間をお望みならば、どこかほかをあたられるよう申しあげましょう。すべての牢獄が鉄格子でできているわけではありません。羽布団にくるまれた牢獄もまた存在するのです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001864
過去に二、三度、真に神々の手が触れたのではないかと思われる人間と遭遇したことがあるし、自分がそういう存在であると信じている者にはそれよりも数多く出会ってきた。だがその誰ひとりとして、そばにいて心地よい者はいなかった。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001865
わたしが?わたしには何にであれ安らぎなど見出すことはできません。きっと神々はわたしをなぶっておられるのでしょう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001869
常習的な嘘つきでも真実を語ることはありますし、正直者でものっぴきならぬ状況に追いこまれれば嘘をつきます。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001871
わたくしはしばらくのあいだ、そのことばかり考えていました。少なくとも、酒を飲んでおらず、吐いてもおらず、愚行に身をやつしていないときはいつも。ああ、これこそが若さというものです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001872
二日酔いで動けなければ、しばらくのあいだ愚かな真似をせずにすむという利点もあります。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001873
これが神々の定めたもうた道だというのならば、わたしの自由意志はどこにあるのだ?
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影上」)
#001876
最高司令官はひとつひとつの戦闘ではなく、より大きな局面に対する責任を負っているのです。ひとつの戦闘に勝利をおさめられなくとも――その日を救うことができなくとも、少なくとも将軍が退却することによって、別の日の善き結果が得られることもありましょう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影下」)
#001879
「ほんとうに愚かな行為だった」
「はい」
「だが同じ状況におかれれば、あなたはきっとまたおなじことをするのだろう」
「余分な知識を得てしまったいまとなっては……以前ほど簡単にはいかないでしょうが。しかし必要とあらばそのときには、神々がそのような愚かさをふたたびわたしにお貸しくださることを望みます……祈ります」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影下」)
#001886
天国がどこにあるかわかりさえすれば、殴りこみをかけてやりますわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影下」)
#001890
何もしなくていいというのはすばらしいことだった。この事実ひとつだけでも、数日のあいだうっとりと幸せでいられる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「チャリオンの影下」)
#001892
ひとの恋路を邪魔するやつは、河馬に蹴られて死んじまえって、古い中国の格言があるのを知らないのか?
(火浦 功「スターライトぱ~ふぇくと」)
#001897
「だが、精緻に計算されつくした君の作戦にも、ひとつだけ欠点がある」
「計算で、こんな馬鹿なことやるやつは、いませんって」
(火浦 功「スターライトぱ~ふぇくと」)
#001900
あんたって、時々、馬鹿ね。
(火浦 功「スターライトぱ~ふぇくと」)
#001901
銀河系には、人間が居住可能な惑星が、一千万個以上あるといわれている。
――やれやれ。
(火浦 功「スターライトぱ~ふぇくと」)
#001904
最高の嘘とは、なじみのある真理を含んだものだ。
(マイクル ムアコック「夢盗人の娘―永遠の戦士エルリック〈5〉」)
#001905
馬鹿のまねをしたほうが易しいこともあるのさ。なんといっても、この世界全体がどんどん馬鹿馬鹿しくなっていっているのだから。
(マイクル ムアコック「夢盗人の娘―永遠の戦士エルリック〈5〉」)
#001906
「よ・く・ぞっ、そこまで成長あそばされました!!」
「おまい、ひょっとして、私を馬鹿にしてるんじゃないのか?」
「いえいえ。素直に感動しております」
(火浦 功「スターライトぱ~ふぇくと」)
#001909
この男は手持ちのあらゆる武器を使いこなす。さりげない追従や甘言にいたるまで。
(マイクル ムアコック「夢盗人の娘―永遠の戦士エルリック〈5〉」)
#001910
からかうのは勝手だ。が、われにはこの理想を現実のものにする手段がある。なんじにはあるまい。
(マイクル ムアコック「夢盗人の娘―永遠の戦士エルリック〈5〉」)
#001914
ふたりのあるじに仕えるものは、だれの味方とも言われますまい。
(マイクル ムアコック「夢盗人の娘―永遠の戦士エルリック〈5〉」)
#001916
なぜなら、自分には彼らが救えたんじゃないかという思いがあるからさ。自分にできたはずなのにやらなかったことを何か思いつくのでは、という恐怖に、わたしはいつもさいなまれている。
(トマス・ハリス「ハンニバル・ライジング 上巻」)
#001921
今、私も山ほど分からない事を抱えてます。だからとりあえず、分かるまで生きてることにしてるんですよぉ。
(畠中 恵「まんまこと」)
#001924
「あなたに寄せる彼の関心は、おおむね無害だと思うけど」
「おおむね無害、というのは、あまり嬉しい診断じゃありませんね」
(トマス・ハリス「ハンニバル・ライジング 下巻」)
#001927
「あまりに不確定要素が多すぎます」
「不確定要素が多いからこそ、楽しいのではありませんか」
(森岡 浩之「星界の断章 2 (2)」)
#001928
だれだって自分では気づかない部分を、他人にさらけだしてしまっているってことがある。それには気づかない振りをするのが礼儀ってもんだ。
(森岡 浩之「星界の断章 2 (2)」)
#001932
決戦とは勝利の可能性のある戦いのことよ。それがどんなに少なくても。どこに勝利の見込みがあるの?
(森岡 浩之「星界の断章 2 (2)」)
#001934
わらわの務めは死ぬことではなく、生きてあることじゃ。
(マイクル・ムアコック「スクレイリングの樹」)
#001935
どんなに知的であっても男性は、ときに障害を切り抜けようとして、道を断ちきってしまうのです。
(マイクル・ムアコック「スクレイリングの樹」)
#001940
われわれはあまりにも長く、偽りの夢に従ってきた。
(マイクル・ムアコック「スクレイリングの樹」)
#001941
〈運命〉という女性はいきなり機会をつきつけてせまるのだ。それを利用するかどうかはわれわれしだいなのだが。彼女のしもべたることは誇らしいが、ときには心休まらぬこともある。
(マイクル・ムアコック「スクレイリングの樹」)
#001942
何かをある形で形容すれば、それをある程度コントロールできることになる。
(マイクル・ムアコック「スクレイリングの樹」)
#001947
わたくしたちは再帰を、繰り返しを、重んじますが、それは以前のものの模倣ではありません。模倣はむしろ腐敗であり、しっかりしたものを生み出すことはありません。どの糸も新しくなければなりません。たとえ織りなす模様がなじみ深いものであったとしても。
(マイクル・ムアコック「スクレイリングの樹」)
#001950
悪いやつではない、むしろ愛すべき性格の持ち主だ。まさにそれが、自分を嫉妬させるのだとしたら、自分の性格にこそ問題があるとも思う。
(神林 長平「膚の下 (上)」)
#001953
きみがもし絶対に残酷でありたくないのならば、なにも生まず、なにも創らずに死んでいくことだ。
(神林 長平「膚の下 (上)」)
#001956
「人間に備わっている機能と能力を使いこなしていない。能力があるのに使わないのは損というものだ」
「でも、もう時間もないし、無駄だ。みんな死ぬ」
「いまは生きているし、暇だろう。与えられた能力を使わずに死んでいくのは創造主の意向に背くというものだ」
(神林 長平「膚の下 (上)」)
#001958
書くことはたくさんある。長い一日だった。
(神林 長平「膚の下 (上)」)
#001960
「きみの気持ちはわかる」
「わたしには、あなたの気持ちはよくわからない」
(神林 長平「膚の下 (上)」)
#001961
「おかげで、わたしの人生は滅茶苦茶だ、たぶんな」
「だが、あなたは誇りをもって死ねる」
「勝手に殺すな。わたしはまだ生きている」
(神林 長平「膚の下 (上)」)
#001966
考えなくてはならないことがある。答えを出さずには済まないことが、確かに目の前にあった。
(畠中 恵「しゃばけ」)
#001968
平気だと思っていたのに。あたしいつの間に、心の奥底に鬼を飼っていたんだろう。
(畠中 恵「ぬしさまへ」)
#001969
同じ冬の風に吹かれても、肌に感じるその寒さは違うのだ。守ってくれるものの、あるなしで。
(畠中 恵「ぬしさまへ」)
#001976
意味はないが、効果はある――よほど注意深く意識していないと、心理的に頭を押さえつけられているということにすら気がつかないだろう。
(神林 長平「膚の下(下)」)
#001983
あなたの不安や恐怖は、わたしには関係ない。だが、同情する。なぜあなたがいま、自分の生きたいように生きられないのか、それが、わかるからだ。
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#001984
あれほど嫌っていたのに、嫌いなのはそのままなのに、助けてやりたいと思っている自分がいて、それが本当に意外だった。
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#001986
「あなたの希望はなんだ。将来の夢は」
「なんだ、それ?」
「どんな未来を思い浮べて生きているのか、聞きたいんだ」
「どうして」
「それが、うまく生きる秘訣だと思うからだ。あなたはうまく生きているか?」
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#001992
長期的な視野に立って物事を考えているように見えて、実はそうではないのだ、ということだよ。口はうまいし説得力もある。でもそれは、やつの頭に浮かんだ考えを補強するだけのものだ。その場の議論に勝てばいいんだ。
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#001993
利益と満足とは、違う。わたしは、自分にとっての利益が、必ずしも満足感に通じるとは思ってはいない。利益追求と満足感とを、あなたは同一視している。
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#001994
祈って実現するならそれでいい。それに自信がなければ、考えろ。なにか手段がある。
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#001995
「きみからは、ぜんぜん、オーラは出てない」
「あんたの目が悪いんだろう」
(神林 長平「膚の下 下 (3)」)
#002003
あいつは悪意はないが、あまり頭がよくないのだ。
(マイクル・ムアコック「白き狼の息子」)
#002005
ああ、嘘つき!嘘つきめ!あなたがたはもはや何が真実で何が偽りかもわからなくなっている。
(マイクル・ムアコック「白き狼の息子」)
#002015
戦争を遂行するのにこれほどのエネルギーが費消されるとは不思議なことだ、とかれらは言った。同じだけのエネルギーがあれば、平和が得られるうえ、もっと有益な目的にも役立つのに。
(マイクル・ムアコック「白き狼の息子」)
#002016
あれはシンボルなんだよ。役には立つがね、シンボルなんだ。
(マイクル・ムアコック「白き狼の息子」)
#002017
ただ、名声を得たいだけである。そのために命を賭けて戦うのだ。まったくもってよくわからないのであるが、それで幸せならいいのだきっと。
(田中 哲弥「大久保町の決闘」)
#002018
しっかりしなくてはいかんのだけど、それってどうやるんだろうかなあ。
(田中 哲弥「大久保町の決闘」)
#002022
「俺はおまえみたいな男がきらいだ」
好きだ、と言われても困るところであるが、どっちにしても嬉しくはない。
(田中 哲弥「大久保町の決闘」)
#002023
こういう場合、優しくされると自分の立場がはっきりしてしまってよけいに恐いものである。ただの胃潰瘍だと言われたのに、会う人会う人、どうしてみーんな眼が潤んでいるんだよう、というようなものだ。
(田中 哲弥「大久保町は燃えているか」)
#002026
恋愛なんか実のところ、たいていどれも似たり寄ったりで、ものすごい体験をしたと思っているのは普通は本人だけである。本当にあのときはつらくて人間が信じられなくなったなんて、恥ずかしいので人に言うのはやめていただきたい。
(田中 哲弥「大久保町は燃えているか」)
#002027
これが、あなたの人生観だ。あなたはこのように、他人を軽蔑しながら、無意識のうちに自力による成功を諦めている。
(神林 長平「敵は海賊・正義の眼」)
#002028
「経済的な貧困は」と男は言った。「社会的な問題で、精神の貧しさは、他人には救いがたい、個人的な病だ。いずれにしてもどちらも治療が必要な病気だ。誉めたり蔑んだりするようなものではない。きみに自覚症状があるのなら治すべきだろう。精神的な貧困については度し難いが、自覚しているなら治療法はあるだろう――」
(神林 長平「敵は海賊・正義の眼」)
#002035
ずっと考えていたんだ。こんな、しんどいことをして、肩ばかり凝って――それでも、それで、自分の居間に戻ってきたらお前がいて、そうして優しくしてくれて、優しい声で、『お疲れになりましたでしょう』といって、飲み物を持ってきてくれる――そんなことさえあれば、どんなにか、僕にとっても生きるのは楽になるだろうな、って。
(栗本 薫「紅鶴城の幽霊 グイン・サーガ〈114〉」)
#002036
あたしは、世界中の人の前だって云いたいことをいうし、やりたいようにするんです!あたしのどこがお気に召さないんですか。
(栗本 薫「紅鶴城の幽霊 グイン・サーガ〈114〉」)
#002038
夫と別の女性とのあいだで見解の相違が生じた場合――女性の年齢、事情、性格に関係なく、妻が信じるのは、絶対にその女性のほうの見解だ。
(マイケル・ボンド「パンプルムース氏とホテルの秘密」)
#002039
世の中には、黒白がはっきりしているものはめったにありません。
(マイケル・ボンド「パンプルムース氏とホテルの秘密」)
#002041
「ねえ、その話ほんとなの?」
「わたしが嘘をついたことがありますか?」
(ロアルド ダール「少年」)
#002042
視点が変わると、また変わった知見が得られるものである。
(梨木 香歩「村田エフェンディ滞土録」)
#002044
あんたの両手は血で染まっとる。その血を直視するんや。
(田中 啓文「忘却の船に流れは光」)
#002046
私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。
(梨木 香歩「村田エフェンディ滞土録」)
#002047
ああいうことは夢であってくれねば困る。しかし夢であるとしても奇怪な夢である。
(梨木 香歩「村田エフェンディ滞土録」)
#002049
恥ずかしいとは思わぬか。曲がりなりにも人々から敬われ、尊ばれてきた身であろう。そのなれの果てがこの有様か。
(梨木 香歩「村田エフェンディ滞土録」)
#002051
この世には、私達の目には明らかでない、あまりにも多くのものが蠢いていて、良くも悪くも、私達はそういうものと共に生きているということでしょう。
(梨木 香歩「村田エフェンディ滞土録」)
#002053
そのあたりにきっと何かきさまのまやかしがひそんでいるに違いないと俺の理性は告げている。
(栗本 薫「鏡の国の戦士」)
#002054
さっきは汚すぎるといって嫌い、こんどは美しすぎるといってあやしむのかい?
(栗本 薫「鏡の国の戦士」)
#002057
道徳観念がないわけでは決してない。ただ、長い年月のうちに、誇張された真実と真赤なウソとのあいだのギャップがだんだん縮まってきて、いまやこの両極の違いがあまりわからなくなってきている、これは事実だった。
(トニー ケンリック「マイ・フェア・レディーズ」)
#002060
体育大学の図書館と同じで、なんとなく必要な気がしたというのもわからなくはないが、使う人などいないのである。
(田中 哲弥「さらば愛しき大久保町」)
#002061
必ず次はある。
それはまちがいないが必ず次があるというのと、必ずいつかいい人と巡り会える、というのは違うのでまちがえないように。一生独りぼっちという人もたくさんいる。
(田中 哲弥「さらば愛しき大久保町」)
#002062
いっときの幸せは、かえって不幸を招くこともある。
平穏な日常に付加された幸福は、去りゆくときただひっそりと去っていってくれるわけではなく、安らかだった魂の大半を引きちぎる。
(田中 哲弥「さらば愛しき大久保町」)
#002063
「あなた相当自分勝手な性格ですな」
「そうかな」
「疑問の余地はないと思います」
(田中 哲弥「さらば愛しき大久保町」)
#002064
人間は逃れようのない悲しみの底に突き落とされると、いとも簡単に押し潰され壊れてしまうものだが、誰かの、ほんの些細な思いやりひとつでなんとか強く生きられるのもまた事実である。
(田中 哲弥「さらば愛しき大久保町」)
#002065
なんか前にもおんなじように太ってたような気がするなあ。そらデブジャー。
(田中 哲弥「さらば愛しき大久保町」)
#002067
おかしければ笑いなさい。哀しかったら泣けばいい。人間が悪いのは、いつも辛気臭いことよ。この世の中には愉しいことがあるのを知らないの?
(菊地 秀行「D-魔道衆」)
#002070
「で、社会性は身につきはった?」
「いいえ、全然つきません。いつも世の中の方が変だと思ってた」
(わかぎ ゑふ「いかん。あかん。よう言わん!!」)
#002073
とうちゃんがいつも言ってた。食べたい時は食べる時。それがしあわせの秘訣。
(野尻 抱介「女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉」)
#002076
宇宙で死ぬならあきらめもつくけど、家の前で車にはねられたり風呂場で石鹸踏んで死なれたりしたら、情けなくて泣くに泣けないじゃない。あたしが心から恐れるのは無意味な死よ。わかる?
(野尻 抱介「女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉」)
#002079
あなたはいなくなる。
(小川 一水「時砂の王」)
#002081
偶然とはすなわち、己が既に持っているものでありながら、いまだ己の目に映らず、耳に響かずにいるもののことをいうのだ。
(冲方 丁「ばいばい、アース (1)」)
#002083
その考えは間違ってはいなかった。あるいはそれは正しさを問うものではなく、ただ信じるべきものだった。
(冲方 丁「ばいばい、アース (1)」)
#002084
忘れてしまうことと、失うこととを、同じと考える必要はありません。
(冲方 丁「ばいばい、アース (1)」)
#002086
「君は強いんだね」
つい、そう返していた。
「ありがと。あなたは弱さを盾にしてるのね。惨めだわ」
(冲方 丁「ばいばい、アース (1)」)
#002090
そりゃあね。自由に怒るし、泣くよ。そうでないやつほど、自分の感情をどこか余所に預けたまま、取り戻せなくなってるんじゃないのか。

(冲方 丁「ばいばい、アース (2)」)
#002091
そうやってあなたは、誰かを必要とすることを忘れていくんだ。

(冲方 丁「ばいばい、アース (2)」)
#002099
私は、弱いあなたも好きよ。
(冲方 丁「ばいばい、アース (2)」)
#002101
「大丈夫ですか。あまり、御無理をなさらないほうが……」
「だが、どうせ無理をしなくてはならんのだ」
(栗本 薫「暁の脱出 グイン・サーガ〈117〉」)
#002103
それだけのことよ。過去の、ちょっとした思い出話。――そんなの、どんな女性にだってある、昔の記念品みたいなものでしょう?
(栗本 薫「クリスタルの再会 グイン・サーガ〈118〉」)
#002111
「なんとか折り合いをつけてくれることを祈るしかないじゃないか」
「祈ってすむならお百度でもしますけどね!」
(野尻 抱介「私と月につきあって―ロケットガール〈3〉」)
#002115
強くあるというのはむずかしい。男たちにとって重荷でもある。強さとは物事に責任を負い、問題が起きたら解決策を見いだすことである。
(エリオット・カッツ「強い男は尻にしかれる」)
#002117
善良で平凡であり続けることも、実はたいへんな偉業であるのかもしれない。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002118
信じられないような幸運のなかにあって、それがいつ自分から取り上げられてしまうかとビクビクせずにいるには、どのくらいの度量が必要なのだろう。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002121
山っ気とか野心とかは、薬味みたいなもんだから、あった方が人生が美味しくなる。だけど薬味だけじゃ一品の料理にはならないんだって。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002126
「黙ってりゃわかんないわよ」
会社生活を、いや人生を明るく乗り切るための金言である。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002129
知恵はあっても、芝居は下手だ。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002131
人間てのは、誰だってね、相手がいちばん言われたくないと思ってることを言う口を持ってるんだ。どんなバカでも、その狙いだけは、そりゃあもう正確なもんなんだから。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002134
何より、口が堅いことが良かった。あれは“石の口”の持ち主だった。そういう人間は珍しい。少々使える、才気走った人間よりも貴重だ。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002135
真実はもう、永遠にわからないのだと考える。真実にも寿命があるのだと。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002137
あなたの人生はあなたのものですよ。それを横取りすることは、誰にもできない。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002138
妻の瞳は明るかった。歌声は優しかった。ありとあらゆるものを洗い流してくれた。
(宮部 みゆき「誰か」)
#002140
あたしはどんな危険よりもはやく走れます。とにかく、これまではそうでした。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 上」)
#002141
だがそれは真実ではない。逃げだすことによってのみ、解決できる問題もあるのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 上」)
#002142
残り半分の人生が目の前にあります。わたしはもう、ただ長い時間をゆっくりと衰えていくだけなのでしょうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 上」)
#002145
神々がまだあなたを駆りたて走らせようとしているならば、それは必ず、まだあなたに求めるところがあるのだわ。まだ目的のものを手にしてはおられないのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 上」)
#002148
いま、この目をもつ者はわたしよりほかに誰もいない。善であれ悪であれ、美であれ醜であれ、いま見る勇気をもたなくしていつ見るというのか。いまさら知らずにいることはできない。より苦悩に満ちていようとも、わたしはただ知恵による安らぎを望む。それは知識によってのみ得られる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 上」)
#002151
「邪悪な闇の迷路で道に迷い、出口がわからなくなったような気分だ」
「ええ。でも……少なくとも、いまその迷宮で迷っているのはあなたひとりではないわ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 下」)
#002152
「あなたはご息女をとても愛しておられるんだな」
「娘を愛さない親があって?」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 下」)
#002153
わたしはその道の果てまで行って、危険を伝えるためにもどってきたひとりの女として話しているのよ。まだ以前の判断力が半分でも残っているなら――あなたの求めているものが単なる欲望ではなく愛情だというなら――ひとりの男として耳を傾けなさい。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 下」)
#002155
おのれを見捨てては駄目よ。神々もまた、あなたを見捨ててはおられないのだから。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城 下」)
#002156
彼女と会うのは苦痛ではなかった。意気投合しているようで噛みあっていない彼女との会話が、好きだったせいもある。
(谷 甲州「パンドラ1」)
#002157
あなたたちのことをいちばん大事に思っているし、誰よりも愛しているわ。だからこそ、安心して他の人たちを助けられるのよ。
(谷 甲州「パンドラ1」)
#002158
願い事がかなわないより悪いことが一つだけある。それがかなってしまうことだ。
(デイヴィッド・プロッツ「ノーベル賞受賞者の精子バンク―天才の遺伝子は天才を生んだか」)
#002159
ただ一人の子供がいるだけだった。彼女が天才であろうがなかろうが、世の中を変えようが変えまいが、それが何だろう?
(デイヴィッド・プロッツ「ノーベル賞受賞者の精子バンク―天才の遺伝子は天才を生んだか」)
#002162
知りすぎるということは自分の身を締めあげてしまうことなんですね。
(菅 浩江「ゆらぎの森のシエラ」)
#002163
火炙りの囚われ人が苦しみながら最後の願いをした、という話を聞いたことがある。“もっと薪を”と――
(菅 浩江「ゆらぎの森のシエラ」)
#002165
あんたなんかに泣く権利はないよ!いつまでもじっとしてるがいいさ。自分は何もしないで――
(菅 浩江「ゆらぎの森のシエラ」)
#002168
安っぽくてぺらぺらで、子供だましですらないような嘘。そんなことくらい、あなたにだってわかっている。
でも、ほんとうにきれいです。
(北野 勇作「ウニバーサル・スタジオ」)
#002171
だが、あいにくとおれは美しい考えに慣れていない。
(森岡 浩之「機械どもの荒野(メタルダム)」)
#002172
相手が誠実だからといって、それが心和むことにつながらないことは往々にしてあるものだ。
(森岡 浩之「機械どもの荒野(メタルダム)」)
#002175
真実の姿を人に知られるっていうのはあまり気持ちのいいもんじゃねぇな。
(森岡 浩之「機械どもの荒野(メタルダム)」)
#002176
言葉にしようとするとごちゃごちゃになる。しゃべらんかったらええんじゃが、おまえを見とったら、つい、言いとうなってしもうてな。すまんかったな。うん、ちゃんとしゃべるっちゅうのは難しい。
(あさの あつこ「バッテリー」)
#002177
とことん自分を信じてくれる人間がいるのなら、なんでもできるじゃないか。心底、思った。
(あさの あつこ「バッテリー(2)」)
#002178
豊かな言葉がほしい。自分の内にあるものをきちんと伝える術がほしかった。
(あさの あつこ「バッテリー(2)」)
#002179
自分に対する不安を打ち破るのは自分自身だ。しかし、相手の力を無理やり信じ込むことはできない。
(あさの あつこ「バッテリー(3)」)
#002180
まれな才能を持っているからといって大成するとは限らない。自分に、他人に、期待に、抑圧に、規則に、使命感に、過去の華やかな勝利に、誤った練習に、一方的な精神主義に――みすみす潰されていった希有の才能を知っている。一つや二つではない。
(あさの あつこ「バッテリー(3)」)
#002181
「あの人は、少しぐらい変わった方がいいんじゃないですか」
「おまえな、そういうこと言うな。全部、自分に返ってくるぞ」
(あさの あつこ「バッテリー(3)」)
#002182
自分の頭で考え、自分の言葉をしゃべるやつは、やっかいだ。他人の言うことを鵜呑みにすることも、易々と従うこともしない。口下手で、鈍くさく、不器用なくせに、しぶとくて強い。そういう人間は、苦手だった。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002183
一番痛いとこを、こともなげについてきやがって……これだから、この手のアホは油断できねえんだ。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002184
自分の一番好きな世界に、どう努力しても、必死にがんばっても、かなわないやつがいる。とうてい登れない山が、そびえている。どうしたらいい?ひたすら仰ぎ見るか、目を背けるか、どっちかだろう。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002185
足場もない岩壁と高くそびえる山の頂を見てしまった。もしかしたら、この壁を登れるかもしれない。そう思ってしまった。思わせるやつに、ものに、十二歳で出会う事だって、ある。五歳で、二十歳で、六十で、死ぬ三日前に出会うことだってあるだろう。出会った者にしかわからない。早過ぎるとか、遅過ぎたとか、他人が笑えることじゃないんだ。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002186
自分に向かい合うことが一番、しんどい。向かい合わなくてすむのなら、自分の限界や弱さから、目を背けることができるのなら、幸せだと思う。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002187
あまり調子に乗るな。おまえらガキが幾らがんばっても、引っかぶれる責任なんて、たいしたことないんだ。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002188
出会った頃の熱情とは異質かもしれない。あんなに性急に求めるのではなく、もっと柔らかく穏やかな想いが、胸を浸している。この女を失いたくない、一日でも長く共に生きていたい。心底、願う。そう、まだ、こんなにも惚れている。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002189
なるほど、これは確かに可愛い。
生き続け、育ち続ける存在の何と眩しいことか。それは、夏に向け伸びてゆく木々の芽を見るようだ。やがてどんな花を咲かせるのか、心が騒ぐ。
(あさの あつこ「バッテリー(4)」)
#002190
相手を傷つけまいとする優しい嘘より、真っ直ぐに切り込んでくる本気の言葉の方が、好きだ。
(あさの あつこ「バッテリー(5)」)
#002191
口はしゃべるだけじゃなく、物を食うためにも使えるんだぞ。
(あさの あつこ「バッテリー(5)」)
#002192
あっ、おれ、びっくりすると言葉遣いが丁寧になる癖があるんです。すいません。
(あさの あつこ「バッテリー(5)」)
#002193
闇には“直感”に対する自信を徐々に蝕む作用があるようだ。
(堀 晃「遺跡の声」)
#002194
少年たちには被りきれない責任を、引き受けるのが大人ということだろう。
おまえらは、ガキだ。ガキには、ガキにしかできんことがある。そしてな、大人にしかできんこともあるんじゃ。
(あさの あつこ「バッテリー(6)」)
#002197
人間とは楽観的なものだ。恐ろしい危険が存在することを知っていても、それが起きないことを願うあまり、最悪の可能性から目をそむける。「あって欲しくない」と「ありそうにない」を混同する。
(山本 弘「シュレディンガーのチョコパフェ」)
#002198
仕事というのは、どれほどうまく成し遂げたかによって評価されるのであって、成し遂げた速さとは無関係だ。
(山本 弘「シュレディンガーのチョコパフェ」)
#002200
出来ないわけではなかった。ただ、気質的に向かなかったし、好きでもなかった、というだけのことである。
(栗本 薫「旅立つマリニア グイン・サーガ〈120〉」)
#002201
そ、そりゃあまあ、そうだな。確かに云われてみるとそうなんだが、しかしなんでこう釈然としないかな……
(栗本 薫「旅立つマリニア グイン・サーガ〈120〉」)
#002202
他人のために何かをしてあげるつもりなら、その価値をはっきりさせておかないと、安易に利用されるのが関の山だ。
(ロバート アスプリン/ジョディ リン ナイ「魔法塾、はじめました! 〔マジカルランド〕」)
#002203
「何がいやなのかって、自分が自分であることを否定されてるみたいな気分になっちゃうことですよ」
「仕事でそうしなきゃならないとしたら、好き嫌いは言っていられないぞ」
(ロバート アスプリン/ジョディ リン ナイ「魔法塾、はじめました! 〔マジカルランド〕」)
#002210
身勝手な男に利用されている事は、しかし同時に身勝手な男を支配しているという事でもあるのではないか。
(吉村 萬壱「バースト・ゾーン―爆裂地区」)
#002212
どんな人間も、自分の生に何らかの意味付けをする事なしには生きられない。これは生物全般から見ると、全く異例の在り方である。
(吉村 萬壱「バースト・ゾーン―爆裂地区」)
#002213
あなたのいうことは、わたしには理解できても、同感はできません。
(眉村 卓「司政官全短編」)
#002214
あす、考えよう。
だがそのあすも……多分、ひどく重いものであろう。
そして、その次の日も……。
(眉村 卓「司政官全短編」)
#002215
息子を知ることができないのは残念だ……しかし、あの子は、私が死んだ理由を知って、きっとわかってくれるだろう。私は、息子がより幸せに暮らせるような世の中を、作ろうとしたのだとね。
(J. K. ローリング「ハリー・ポッターと死の秘宝」)
#002217
あのときの私にはできなかった。きみが恐れず決めたことは、正しい決断だ。
(フランク・シェッツィング「深海のYrr 上」)
#002218
見方がいいの悪いのと区別するのは、もうやめたんですよ。中身に意味があれば、それで結構。
(フランク・シェッツィング「深海のYrr 中」)
#002219
家に戻りたかった。
だが、家はどこにあるのだ。
(フランク・シェッツィング「深海のYrr 中」)
#002226
すごく美人のインタビュアーがきて、「まず来日の目的をお伺いします」と言ったら、「あなたに会うためです」(笑)。「それでは第二の目的は?」「あなたを夕食に誘うことです」(笑)。
(米原 万里「言葉を育てる―米原万里対談集」)
#002227
最高権力を持っていながらも、自分はゼロであれ
(米原 万里「言葉を育てる―米原万里対談集」)
#002232
そもそも神様ってさ。もし本当にいるとしたら、実はすごい悪者なんだよ。あたしが総合的に考えた結果、そのような結論が出たんだけどさ。
(滝本 竜彦「NHKにようこそ!」)
#002235
案ずるより産むが易し、なんて言うけれど、物事は実際に手をつけてみると、以前に想像していたよりもはるかに手強いってこともあるのだ。
(米原 万里「パンツの面目ふんどしの沽券」)
#002243
体力をつけ直すなんてことは、あれこれ、やりてえことをやりながら、その片手間にやることにするよ。
(栗本 薫「風雲への序章」)
#002245
俺の言ってるのは掛け値なしの嘘偽りなしだぜ。これでも俺には嘘をついたところでどうにもならないときは正直にものを言う習性がある。
(谷川 流/いとう のいぢ「涼宮ハルヒの溜息」)
#002252
あきらめがいいのとポジティブ思考って同じ意味じゃないのよ。
(谷川 流「涼宮ハルヒの分裂」)
#002253
世界全部が間違っていて一人だけが正しいことなんて、あるわけがないと思っていたがな。あんたは例外らしい。
(小川 一水「妙なる技の乙女たち」)
#002255
いつでもチャンスはあるんだよ。最高のチャンスをものにした後でもね。
(小川 一水「天涯の砦」)
#002261
変人というのは寄るものだ。それも世のならいである。
(宮部 みゆき「日暮らし〈上〉」)
#002265
ジジイやババアを転がす力のある者は、ただの穀潰しの女たらしにはなり下がらないものだ。
(宮部 みゆき「日暮らし〈中〉」)
#002267
そういう必要があれば、主人に嘘をつくのも奉公人の働きのうち、か。
(宮部 みゆき「日暮らし〈下〉」)
#002268
あたしだったら、どうしても別れなくちゃいられないっていうのなら、亭主の方を追い出すね。
(宮部 みゆき「日暮らし〈下〉」)
#002275
さぞかし面倒なことになるだろう。だが、これまでの人生経験から、不完全な勝利でもありがたく受けとらなくてはならないときがあるのもわかっていた。
(ポール ギャリコ「われらが英雄スクラッフィ」)
#002276
そして、いまにしてわかったのだが、自分の敗北や損失にはっきりと目を向けて、愛のために背負ったあまりにも高い代償を計算することができるということ、それもまた大人になることの一部なのだった。
(ポール ギャリコ「ザ・ロンリー」)
#002284
人に思慮があったら、結婚なんかするかしらね。
(ロイス・マクマスター ビジョルド「死者の短剣 惑わし」)
#002285
そんなの――翼があるからといって鳥に腹を立てるようなもんだろう。
(シオドア・スタージョン/大森 望「不思議のひと触れ (奇想コレクション)」)
#002289
そんな馬鹿なことがあるものか。この世はすべて、もっと身もフタもない場所だ。
(栗本 薫「ヤーンの選択 グイン・サーガ〈125〉」)
#002293
良薬とはつねに苦いものである。
ただし、苦いからといって良薬であるという保証はどこにもない。
毒薬もまた苦いのだ。
(森見 登美彦「太陽の塔」)
#002294
我々のどうしようもない偉大さが、つまらない型にはまることを拒否したのだと煙に巻くことは簡単だ。
しかし。
しかし、時には型にはまった幸せも良いと、我々は呟いたこともあったのではないか。
(森見 登美彦「太陽の塔」)
#002297
ああ、俺はいつだってこれだ。頭のなかばかり活動的で、さっぱり実行が伴わない。俺に必要なのはまさに知行合一の精神、いや、「俺に必要なのはまさに知行合一の精神」などとほざく前にさっさと一歩足を踏み出す、さっさと踏み出せ、それでもって悶死してしまえ、さあさあさあさあ――。
(万城目 学「鴨川ホルモー」)
#002299
あらゆることは、起きるまではありそうにないんだ。
(テリー・ビッスン「ふたりジャネット (奇想コレクション)」)
#002306
あたしのことを知ってる人はみんないなくなっちゃった。
(ジョン・スコルジー「遠すぎた星 老人と宇宙2」)
#002315
実力があるヤツはイヤなヤツと相場は決まっているが、イヤなヤツに実力があるとは限らない。
(海堂 尊「チーム・バチスタの栄光(上)」)
#002317
でも、立ちあがって、自分の知っている人たち、自分を好いてくれる人たちに向かって、どうしてそんなことがいえるだろう?そんな審判を下せる自分は、いったい何様だというのだ?ひょっとしたら、ぼくがまちがっているかもしれない。
(エドモンド・ハミルトン「フェッセンデンの宇宙(奇想コレクション)」)
#002319
荒々しくも楽しげに飛びまわった短い生涯の果てに、満ち足りた思いで落ちていくことは、安らぎにほかならないのである。
(エドモンド・ハミルトン「フェッセンデンの宇宙(奇想コレクション)」)
#002321
敵とおのれの実力差を見極めて、決して勝利の可能性のない戦いになど乗り出さない、ということは、戦に適正をもつものの最初の知恵である。
(栗本 薫「黒衣の女王 グイン・サーガ126」)
#002324
失いつつある大事なものを、人は畏れる。
(桜庭 一樹「赤朽葉家の伝説」)
#002325
「青春がいつ終わるか、わたしわかったヨ」
「いつなのよ」
「……取り返しのつかない別れがあったときさ」
(桜庭 一樹「赤朽葉家の伝説」)
#002329
彼がどんなに思いやりがあるか、心があたたかくてやさしいやつか、みんながしょっちゅう言っている。しかし、そういう性質はちょっと見境なく広がってしまうのも事実だ。マーガリンみたいな感情なのだ。
(ウィル・セルフ「元気なぼくらの元気なおもちゃ (奇想コレクション)」)
#002332
 もっと他にやるべきことがあるんじゃないかと思うけど、それを口に出していうものはいない。
 なぜかって?
 ぼくらのすてきな街には、二つの法則があったからだ。
 法則その一、狭い社会で本当のことをいうやつは嫌われる。法則その二、他にやるべきことなんかどこにもない。
(新城 カズマ「サマー/タイム/トラベラー (1) ハヤカワ文庫 JA (745)」)
#002333
興味のおもむくまま、多くの本を集中的に読み、あれこれ考えさせられたので、正直言って疲れた。
しかし、頭は使ってこそ面白いのだと思う。
(星 新一「きまぐれ学問所 (角川文庫)」)
#002337
まだ若いというだけのことさ。これから学べばいい。だが、最初に学習してほしいのは、なにか問題があったら、かあさんやわたしに相談することだ。そのためにわたしたちがいるんだからな!
(ゼナ・ヘンダースン「ページをめくれば (奇想コレクション)」)
#002338
ぼくがなにかいうときは、くりかえすだけの価値があるのさ。この件に深入りしてはいけない!
(ゼナ・ヘンダースン「ページをめくれば (奇想コレクション)」)
#002340
酒は飲むためにある。私のような楽しみ方は邪道です。
(海堂 尊「ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)」)
#002346
そうね、何かをもらうよりも、あげるほうがうれしいものね。
(小川 一水「風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記」)
#002351
ずっと君を思っていたんだ。同情なんかじゃない。同情でこんなに苦しいわけがあるか。
(小川 一水「風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記」)
#002352
彼に出来ることは、前夜までにすべて済ませたし、そうでないことはこれから起こるのである。今はただ、こうして目立つところに立っているのが務めなのだ。
(小川 一水「風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記」)
#002354
だが、神聖さの失われたところ、背徳の刺激もないのである。
(星 新一「きまぐれ博物誌 続 (2) (角川文庫 緑 303-6)」)
#002355
なんだか世の中に美人が少なくなったようだなあ。美少女なんてのも、むかしはもっとたくさんいたような気がするが、このごろ、とんとお目にかからない。
(星 新一「きまぐれ博物誌 続 (2) (角川文庫 緑 303-6)」)
#002358
こういうのは“厄年”ではなくて“怠け者の節句働き”っていうんです。普段あまり働かない人は、普通の人がお休みする時期に働く、という江戸時代のお洒落な表現です。
(海堂 尊「ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)」)
#002361
さすがに一部門を統括しているリーダーだけあって、安易な挑発には乗らない。だがそれは、感情を害していない、ということと同義ではない。
(海堂 尊「ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)」)
#002364
世の中、遅すぎるなんてことはありません。何事も気づいたときが直し時です。
(海堂 尊「ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)」)
#002365
「あら、これまであたしが無理難題を押しつけたことなんてあったかしら?いつだって、やればできたでしょ」
「いつだって、無理難題ばかりだったじゃないですか」
(海堂 尊「ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)」)
#002371
ああ神様、ぼくはそのていどの人間なんだ。
(新城 カズマ「サマー/タイム/トラベラー2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002374
夏休みは終わる(すべての良きものが、そうであるように)
(新城 カズマ「サマー/タイム/トラベラー2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002376
いつでも話を聞く用意があるというサインなのだろう。つくづくありがたいことだと思う。同時にとことん情けないこととも思う。
(万城目 学「鹿男あをによし」)
#002377
「おかしいでしょう?」
「いえ、そんなことありません」
内心だいぶ変わっていると思ったが、おれは真面目な顔で首を振った。
(万城目 学「鹿男あをによし」)
#002378
自分たちは偉くなったつもりでいるが、真実はまるで逆で、お前たちは日に日に底なしに阿呆になっている。そうやって現実から逃げることが、自分で自分の首を絞めることになるとどうして気づかない。
(万城目 学「鹿男あをによし」)
#002379
そうです。人間は文字に残しておかないと、どんなこともいつかは忘れてしまうんです。
(万城目 学「鹿男あをによし」)
#002380
本当に大事なことは、文字にしてはいけない。言葉とは魂だからだ。
(万城目 学「鹿男あをによし」)
#002384
たとえ長年連れ添った相手であっても、そのためにあなたの人生を台無しにする必要はありません。
(岩崎正人「定年性依存症~「定年退職」で崩れる人々」)
#002385
彼女は年をとりつつある。自分も年をとりつつある。それは予定どおりと言っていい。だがこうして時が流れてみると、ふしぎなことに、二人はもう夫婦ではなくなっている。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)」)
#002387
同性愛をべつにすれば、チェスほど男どうしを強く結びつけるものはない。男と男というのは、基本的に闘争し合う関係にあるものだが、その闘争を暴力を伴わない遊戯に変えてしまうのだ。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)」)
#002389
あなたに弁護士が必要ないなら、必要がある人などいません。でもこれは信じていただきたいのですが、弁護士は誰にとっても必要なのです。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)」)
#002391
あんたにはボスが必要だ。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)」)
#002392
一杯やりたいという欲求が、歯の抜けた跡に舌があたる感覚のようにつきまとう。それを意識から追い出せないが、舌で隙間を探るのが快感であるのも事実だ。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)」)
#002394
「それならご存じでしょう。あの狼が空中を走れることを。彼は空を飛べるのです。ただし、自分の足がまだ地面についていると思いこんでいるあいだだけ。足元を見て、そこがどこかを知って、事情を理解したとたん、落ちて地面に思いきりぶつかる」
「そういうのは見たことがあります」
「成功している結婚生活とはそういうものです」
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)」)
#002396
「あなたのおっしゃるとおり、彼女はいい人なんです」
「それでもあなたは別れた」
「彼女がいい人だから別れたわけじゃない」
「あなたが悪い人だからですか」
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)」)
#002397
でも、そう考えたほうがあなたには楽なのでしょうね。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)」)
#002398
これはありがたい。破滅の自覚は安らぎと区別がつかないからだ。
(マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)」)
#002404
俺は、『そんな、ばかな』といってすませることなど、何一つこの世にあるとは思っておらん。
(栗本 薫「遠いうねり―グイン・サーガ〈127〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002405
まあ、とりあえずあたたかいものでも腹にいれることだ。人間、それが何より肝要だからな。
(栗本 薫「遠いうねり―グイン・サーガ〈127〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002406
人と人との出会いは、歴史の複雑なカオス的流れにおいて、札つきの分岐点だ。
(コニー・ウィリス「犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-6)」)
#002409
「あんたもええかげんにしなさいよ。人をからかって」
「からかったわけではない。神かけて真実である」
「あんたの口からは冗談しか出ないね」
(森見 登美彦「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)」)
#002410
諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。
(森見 登美彦「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)」)
#002411
「それで、あの子とは何か進展あったの?」
「着実に外堀は埋めている」
「外堀埋めすぎだろ?いつまで埋める気だ。林檎の木を植えて、小屋でも建てて住むつもりか?」
(森見 登美彦「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)」)
#002413
今ここにある己を引きずって、生涯をまっとうせねばならぬ。その事実に目をつぶってはならぬ。
私は断固として目をつぶらぬ所存である。
でも、いささか、見るに堪えない。
(森見 登美彦「四畳半神話大系 (角川文庫)」)
#002414
じつに、生き方に工夫が足りなかった。
私はなんてまっすぐだったのであろう。
(森見 登美彦「四畳半神話大系 (角川文庫)」)
#002415
「無理です。あんたはいかにもそういう顔してる」
「どういう顔だ」
「何というか、有意義な学生生活を送れない星のもとに生まれたというべき顔ね」
(森見 登美彦「四畳半神話大系 (角川文庫)」)
#002416
私は綿密に物事を分析して分析して分析し尽くした挙句、おもむろに万全の対策を取る。むしろ万全の対策が手遅れになることも躊躇せずに分析する男である。
(森見 登美彦「四畳半神話大系 (角川文庫)」)
#002419
あいつは確かに底抜けの阿呆ではあるが、腰が据わっている。腰の据わっていない秀才よりも、腰の座っている阿呆のほうが、結局は人生を有意義に過ごすものだよ。
(森見 登美彦「四畳半神話大系 (角川文庫)」)
#002423
天才という者は、その才能と対にして凡庸な者には計り知れない業を背負わされてしまうのだろうか。
(あさの あつこ「ラスト・イニング (角川文庫)」)
#002424
あんまり思いあがんな。おまえが一人でできることなんて、高が知れてるんやぞ。
(あさの あつこ「ラスト・イニング (角川文庫)」)
#002425
おまえがそこまで他人を見極められるなんて思ってもなかった。恋って怖いよな。対象者への感覚が勝手に研がれてしまう。
(あさの あつこ「ラスト・イニング (角川文庫)」)
#002426
おまえが若造なら、エジプトのスフィンクスだって未成年や。何を白々しい謙遜なんてしてる。らしくもねえ。
(あさの あつこ「ラスト・イニング (角川文庫)」)
#002428
人類最後の一人に、果たして生きている意味があるのか。
(森見 登美彦「四畳半神話大系 (角川文庫)」)
#002431
あなたには自分の体があるけど、わたしにはない。それはあなたの責任じゃないけど、それでもそのことでちょっぴりあなたが憎い。
(ジョン ヴァーリイ「ブルー・シャンペン (ハヤカワ文庫)」)
#002432
だが、こっちはあの子の二倍の齢なんだぞ。
(ジョン ヴァーリイ「ブルー・シャンペン (ハヤカワ文庫)」)
#002433
賄賂は自然に発生するものなのよ。重力みたいに。賞賛にあたいすることじゃないけど、仕事は片づく。
(ジョン ヴァーリイ「ブルー・シャンペン (ハヤカワ文庫)」)
#002434
でもねえ、今でも思うんだけど、嘘だからなんだというんだろうな。僕はつまらない、空っぽの男だ。語られた話以外、いったい、僕そのものに何の価値があるんだろう。
(森見 登美彦「きつねのはなし (新潮文庫)」)
#002435
「でも、ここはあなたの場所じゃないのよね?」
「わたしの場所はきみがいるところだよ」
(ジョン・スコルジー「最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002437
十代の若者たちは愚かでバカげた行動をとることがあるが、その十代の若者たちが手本にしているのはおとなたちから受け取ったシグナルなのだ。
(ジョン・スコルジー「最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002444
あの女子(おなご)は考えの浅い上に、自分一人がこの世で酷い目にあわされていると信じている、どうも心得違いのはなはだしい女子だ。わしゃ断言するがね、ああいうおなごが、この世界に面倒を引き起こすのだよ。
(栗本 薫「運命の子―グイン・サーガ〈129〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002450
できることはあったし、いまからでもある。ぼくらは行動しなきゃならない。泣いたり悔やんだりするのは今やることじゃない。
(小川 一水「天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002451
海の向こう岸があると思うと やっぱり 人は漕ぎ出しちゃうんですヨ!
(二ノ宮 知子「のだめカンタービレ #23 (講談社コミックスキス)」)
#002458
今こうしていると、ふとこんな思いが頭をよぎる――人は気づかぬうちに老いてゆくなどというが、実はそうではなく、己の腕の力が萎え、心の輝きが失せていることに、不意にある晩、冷たい狼狽とともに気づくのではないか、と。
(タニス リー「悪魔の薔薇 (奇想コレクション)」)
#002463
「いつ、おれが、どのような死に方をするにしてもだ……」
「どうした」
「こうしておまえとこの世で出会うて、こうしてともに酒を飲んだ夜があったことを思えば――」
「思えば?」
「生きていたことの意味があったということさ。それは、つまり……」
「つまり?」
「いずれ死ぬるにしろ、それはそれで運命ということであろうよなあ」
「うむ」
「それでよい」
「うむ」
(夢枕 獏「陰陽師―夜光杯ノ巻 (文春文庫)」)
#002464
我が身にも、鬼が棲むものであると、しみじみとわかったことであったよ……。
(夢枕 獏「陰陽師―夜光杯ノ巻 (文春文庫)」)
#002465
倒れるまで仕事
起きあがれなくなるまで遊ぶ
(夢枕 獏「陰陽師―夜光杯ノ巻 (文春文庫)」)
#002471
たんぽぽの花が咲くのに価値がなくても、あの花の無邪気な可愛らしさに変わりはありません。人の価値はないでしょうが、それはそれでむきになることでもないでしょう。
(伊坂 幸太郎「オーデュボンの祈り (新潮文庫)」)
#002472
罪ある者は、追われずとも逃げる。
(宮部 みゆき「孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)」)
#002478
地に根を張らぬ知の言葉は、いずれお前に仇をなすぞ。傷つくのがおまえ自身であるならば、それもまた教訓として生きようが、他の者を巻き込むのはやめなさい。
(宮部 みゆき「孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)」)
#002483
科学はこの直覚的な知識を補うものであるべきで、その代用であるべきではない。
(ビー ウィルソン「食品偽装の歴史」)
#002484
薬とは役に立つ毒だ。毒であることには変わらない。
(海堂 尊「螺鈿迷宮 上 (角川文庫)」)
#002486
相手に直接言えないことを他人に言ったりするのかあ。ちょっと意外だったな。
(海堂 尊「螺鈿迷宮 下 (角川文庫)」)
#002489
「あの時は本当にすみませんでした」
あの時ってどの時?指示代名詞の指し示す対象が、あまりに多過ぎて確定不能だ。
(海堂 尊「螺鈿迷宮 下 (角川文庫)」)
#002490
でもあなたの言葉はあたしには届かない。あなたは何一つ、背負わない。安全地帯から一歩も出ないで、自分は悪くないと言い張るのは卑怯だわ。
(海堂 尊「螺鈿迷宮 下 (角川文庫)」)
#002495
無能には二通りあるんだ。害悪な無能と、役に立つ無能。前者がバカで後者がアホ。
(海堂 尊「イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)」)
#002496
誰かが聞き遂げる必要があった。であるなら、その役を果たすのは俺しかいない。
(海堂 尊「イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)」)
#002498
選択肢がないから人は自死するのであって、その逆ではない。
(伊藤計劃「虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002501
妻子がいるから、立ち入った会話を楽しめるんですよ。間違ってもあなたを口説こうとは思わないでしょ。
(伊藤計劃「虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002509
彼女はそれを一まとめにすると、心の中の新しくぽっかりと空いた場所に置いた。そこを一杯にすることはしない。とりあえず置いておき、それと一緒に生きて行こう。もっと安らぎが見つかるまで。
(シオドア スタージョン「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)」)
#002512
判断は、事実を知ったあとにするものだ。事実を知らせずにおくということは、判断をさせぬということでもある。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 II 王獣編」)
#002514
自分の人生であっても、決心さえすれば全部そのとおりになるわけではない。
(宮部 みゆき「楽園 上 (文春文庫)」)
#002515
やるべきことがあってやれるなら、やれよ。
(宮部 みゆき「楽園 上 (文春文庫)」)
#002517
あたしは知りたい。謎を解きたい。そんな資格なんかない。権利もない。同じようなことをして、手痛い失敗をした過去もある。なのに、あたしはまだ懲りてない。
(宮部 みゆき「楽園 上 (文春文庫)」)
#002521
原因は不明であって、不明なものは食い止めにくい。
(円城 塔「オブ・ザ・ベースボール」)
#002524
だから、わたしが手にかけました。あの子がああいう人間になってしまった以上、それがわたしの責任です。
(宮部 みゆき「楽園 下 (文春文庫)」)
#002525
あのね、幸せになるって、半端じゃなく難しいんですよ。血の繋がった人だってね、切って捨てなくちゃならないときだってあるんです。ろくでなしだったら、しょうがないでしょ?そうでしょ?ろくでなしだったらさぁ。
(宮部 みゆき「楽園 下 (文春文庫)」)
#002527
陽気で明るい人間が、必ずしも恨みを受けんとはかぎりませんからなあ。
(東野 圭吾「鳥人計画 (角川文庫)」)
#002529
どんなことにも最後があるさ。それを最後にしてしまうかどうかは本人次第だが。
(東野 圭吾「鳥人計画 (角川文庫)」)
#002539
俺は呆然とする。あれ、これで準備完了?てことは、あとは決行するだけ?
(海堂 尊「夢見る黄金地球儀 (創元推理文庫)」)
#002541
――息子よ、世の中には知らない方が幸せだということが、たくさんあるのだよ。
(海堂 尊「夢見る黄金地球儀 (創元推理文庫)」)
#002542
「あんた、女きょうだいいないでしょ」
「ええ」
「鈍いよ。鈍すぎる。女の気持ちがぜんぜんわかってない。あたしに言わせたら、哀しいのはあんたのその驚異的な鈍感さだね。普通はその時点で気づくんだけどねぇ」

(荻原 浩「神様からひと言 (光文社文庫)」)
#002545
「……お前、すごく楽しそうだな」
「あんた楽しくないのか?」

(伊藤 計劃「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)」)
#002547
あれで商売になっているとは思えない。趣味だとしたら、恐ろしい話だ。
(伊藤 計劃「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)」)
#002549
人は、その立場に立たされれば嫌でも役割を背負わされるのだ。状況が人間を形づくる、善かれあしかれ。
(伊藤 計劃「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)」)
#002552
幸福な恋人は不幸な恋人とほとんど同じくらい退屈なものである。
(プロスペル・メリメ「エトルリヤの壷―他5篇 (岩波文庫 赤 534-1)」)
#002553
批評家は言うかもしれない。大変な証拠物件だ!わずかそれぐらいのことで自分の女を疑うとは!批評家先生、あなたは恋をしたことがありますか?
(プロスペル・メリメ「エトルリヤの壷―他5篇 (岩波文庫 赤 534-1)」)
#002560
ガキは大人しく泣いてりゃいいんだよ、そうすりゃあ誰かが助けてくれるさ。
(小林 めぐみ「地球保護区 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002561
一生の目的が終わっちゃったあとは、こんなもんだ。終わっても人生は続くのさ。
(小林 めぐみ「地球保護区 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002566
生きていくために、自分たちにおもねる物語を語らねばならないんだよ。何日も、何年も、何十年過ぎても。他にどうしようがある。横になって、あらゆることの果てしない絶望のために死ねばいいのか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 遺産 (創元推理文庫)」)
#002567
生きているかぎり、変わらないものは何もありませんよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 遺産 (創元推理文庫)」)
#002568
こうして彼女の顔を何時間も見つめていて楽しいのは、二度と同じものは見られない入り日を、いくら眺めてもつきせぬ喜びがあるのと同じではないだろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 遺産 (創元推理文庫)」)
#002580
私たち、ヒーローじゃありませんから。びしっと決めるなんてできないんですよ。かっこ悪いこともいっぱいあります。それが真実なんです。
(山本 弘「MM9 (創元SF文庫 )」)
#002582
わたしたちも愚かなの。ただわたしたちは愚かであることを忘れている。
(東 浩紀「NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#002586
「俺が考えてないと思ってんのか」
「その先を考えるんだ。あんただけじゃない。政治家だって、子供だって、みんな考えてはいないんだ。思いついて終わりだ。激昂して終わり、諦めて終わり、叫んで終わり、叱って終わり、お茶を濁して終わりだ。その次に考えなくてはいけないことを考えないんだ。テレビばっかり観ることに慣れて、思考停止だ。感じることはあっても考えない」
(伊坂 幸太郎「ラッシュライフ (新潮文庫)」)
#002587
「で、それが今のあたしたちに関係しているわけ?」
「何が関係するかなんて分からないぜ」

(伊坂 幸太郎「ラッシュライフ (新潮文庫)」)
#002591
女はいつでもそうかもしれないが、彼女は男であるぼくより世界がすばやくみえるのだった。


(「量子回廊 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#002592
どんなときでも科学調査には意味があるよ。戦争中だろうが、太陽が吹っ飛ぼうが。

(小川 一水「天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)」)
#002593
「相変わらず混んでるなあ、ここ。何でこんなに一ヵ所に集まるんだろ」
「人間は寂しがりですからね」

(小川 一水「天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)」)
#002594
「あわれな独身四十男の傷つきやすいハートを、ちょっとは労ってくれ」
「んなもの知るか!」

(小川 一水「天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)」)
#002595
もとよりわれわれは主流派ではありません。
(小川 一水「天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)」)
#002597
男も女も、肉も機械も関係あるかい。きれいなもんはきれい、野暮なもんは野暮だ。大事なのは美学ってやつよ。
(小川 一水「天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)」)
#002599
重要よ、知らないことを知るというのはね。それが無意味であればあるほどいい。意味を求めると濁るから。
(小川 一水「天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)」)
#002608
普通の恋愛はもっと、段階を踏んで、ゆっくりと進むものなんだろうなあ。

(伊坂 幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」)
#002609
言い訳や説明が必要なのは、物事に対して後ろめたさがある場合だ。
(伊坂 幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」)
#002612
矛盾はどこにだってあるよ。

(伊坂 幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」)
#002615
見かけで物事を信じるのは大事なことではあるけれど、恥ずかしいことでもある。
(伊坂 幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」)
#002616
自信に根拠があるのって卑怯な気がしませんか?
(伊坂 幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」)
#002621
「たぶん、おまえ以上に、このことを真剣に考えた奴なんて、世の中にいないんだ」
「まあね」
「それなら、他の奴に評価させるなよ」

(伊坂 幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」)
#002625
「嘘に支えられることに価値があるんでしょうか?」
「嘘か本当か、一体誰が判定できるのかしら?」
(東野 圭吾「卒業 (講談社文庫)」)
#002629
どうしてこう、途方もない一大構想を自分に見せつけようとするのか。何か自分に含むところでもあるのか。ついつい本気でそう口にしたくなった。
(冲方 丁「天地明察」)
#002630
人には持って生まれた寿命がある。だが、だからといって何かを始めるのに遅いということはない。
(冲方 丁「天地明察」)
#002634
お前が星となれば、多くの才ある者が迷わずに、お前のいる場所に辿り着く。中には、お前を追い越してゆく者だっているだろう。
(冲方 丁「天地明察」)
#002636
死ぬまでに、あなたが役立つ言葉を口にするのを聞きたい。
(伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」)
#002639
「報われない人」選手権に団体戦があったら、私たちはかなりの強豪だろうな。
(伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」)
#002648
ああ時間が欲しい!知りたいことを解き明かしていく時間が!人の一生は、短すぎるわ……。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 (4)完結編」)
#002652
変人には二種類あるんだよね。敬遠したいタイプと、怖いもの見たさでしばらく付き合ってみたいタイプ。
(伊坂 幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)」)
#002653
嫌いってほどではないですけど、あの人の悪口なら一時間くらい言えます。

(伊坂 幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)」)
#002660
なにをもってしても過去を消すことはかないません。そこには改悛があり、償いがあり、赦しがあります。ただそれだけです。けれども、それだけで充分なのです。
(テッド・チャン「ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)」)
#002662
どれほど弁が立とうと、知識があろうと、ウソをついている人間は所詮弱い。世の中で最も強いのは、正直に行動する人間である。
(万城目 学「プリンセス・トヨトミ」)
#002670
純粋培養と書くといかにも清潔そうなイメージを与えるが、ベクトルがどの方向に突き進んだかはまた別の話である。
(万城目 学「ホルモー六景 (角川文庫)」)
#002671
しかし、毎日、毎日、よくもまあ、こんなに会議があるもんだ。何かをすることばかり考えて、肝心の何かをする時間がない。愚かだ。非常に愚かだ。

(万城目 学「ホルモー六景 (角川文庫)」)
#002675
リアルでやることがある人間は、ゲームなんかをせずにそっちを一生懸命やればいいのだった。
(S-Fマガジン編集部「ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)」)
#002682
どんな変化にも幅ひろい可能性がある――建設的な明るい面だけではないということだ。
(グレッグ・イーガン「スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)」)
#002683
いまもそうだ!ふしぎだろう?生涯変わらないものもあるんだな。
(グレッグ・イーガン「スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)」)
#002684
無知な者どもにとっては、創世の神は誰でもいいのだ。太陽を司る光の神であろうと、闇の魔神であろうと、繁栄が約束されるならば同じことではないか。
(宮部 みゆき「ICO-霧の城-(下) (講談社文庫)」)
#002690
我々はこの気の違った宇宙に対してあまりにも真摯に対応しすぎた。
(「ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成<S> (創元SF文庫)」)
#002691
あなたは、あなた自身が感じているほど、特殊な人間では決してない。

(「ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成<S> (創元SF文庫)」)
#002693
人間には、ときとして真実よりも虚構のほうが必要なときがある。
(上田 早夕里「魚舟・獣舟 (光文社文庫)」)
#002696
「後悔は?」
「していない。いまさら、することでもないだろう」
「そうか。まあ、いまになって後悔されても、おれも困るんだけどな」

(上田 早夕里「魚舟・獣舟 (光文社文庫)」)
#002700
そもそも、面白半分に若い子の気持ちをもてあそんだりしてはイケナイ。

(「逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成<F> (創元SF文庫)」)
#002704
あんたな……どんなことでも起これば……あたりまえになっちまう。

(「逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成<F> (創元SF文庫)」)
#002705
あなたはこの世界にとって欠くべからざるリソースであることを常に意識しなさい、って。
(伊藤 計劃「ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)」)
#002708
もしかしたら、世界はあなたの肩にかかっているのかもしれない。がんばって。
(伊藤 計劃「ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)」)
#002711
あまり客を増やしすぎては、忙しくなって、ここのお客さまへの対応が疎かになる。サボるのも職業倫理のうちだ。

(大森 望「NOVA 3---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#002717
あなたのほうがさきに問題に気づいてしまっている――優位に立ってしまっている状況があるかぎり、どういうやり方をしても、結局は上からの画策になってしまうんじゃなかろうか。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那」)
#002720
心地よいだけの恋など、ほんとうにあるものなのか、わたしは知らない。

(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那」)
#002723
とにかく頭のいかれた野郎だってことはたしかだ。ただ問題なのは、どこのどいつの頭がいかれてるかってことは、表からじゃあなかなかわからないってことだ。
(東野 圭吾「赤い指 (講談社文庫)」)
#002725
「あいつにとっては、何でもよかったんじゃないですか。とにかく現実から逃げられる場所であれば」
「今のあなたはそのことを御存じなわけだ」
「そう、前の私は知らなかった。本当は、私があいつの逃げ場所になってやらなきゃいけなかったんですが」

(東野 圭吾「嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)」)
#002728
自分が為すべきことを為している、と感じている人間に、何を伝えることがあるだろうか。そういう人は、ひと目でわかる。立派なのだ。
(小川一水「青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)」)
#002730
中年の務めとは何か。いろいろあるが、一番はまあ、耐えること、汚れることだろう。
(小川一水「青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)」)
#002739
幸運など願うな、必要なのは実力であり、それが欠けている者は自分の部下ではない――
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002742
自分にとっては、異常だ、ということだけが重要であって、真相については、どちらでもいいのだが。
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002744
あとのことはどうでもいい、おれの知ったことか。おれのいない世の中のことなど、おれにはどうでもいい。
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002746
それはきみ自身の心に訊くべきことであって、わたしに訊いてどうする。
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002747
神などというのは妄想だ。あんたたちは妄想に囚われているんだ。
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002750
おれがあなたなら、わかっているはずだ。あなたはおれではないし、おれはあなたではない、ということ。
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002752
たとえ司令部の機能が失われたとしても、おれたちはまだ戦える。まだ負けがきまったわけじゃない。心配するな。まだ手はある。
(神林長平「アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002757
素人芸である。
また、その主張をここで説明しても仕方ない。なぜならば主張自体に実体がないから。
だがその芸はテレビで放映され、新聞や雑誌に堂々と載る。

(笙野 頼子「だいにっほん、おんたこめいわく史」)
#002762
まあそんなものだなー。つまりな、勝った方って、目茶苦茶するんだな。
(笙野 頼子「だいにっほん、おんたこめいわく史」)
#002764
「あの子のおつむはからっぽだ。植木鉢みたいにね」
「でも、すっごくきれいだ」
「植木鉢だってきれいだよ」

(ルイス・ サッカー「穴 HOLES (講談社文庫)」)
#002766
しあわせである理由なんてなにもないのはわかっている。
(ルイス・ サッカー「穴 HOLES (講談社文庫)」)
#002773
人が国を興すことができたのは、新しくて丈夫でよく考えられた力のおかげではなかった。「斯く在るべし」と描く人の絵があり、「斯く在れ」と人が働いたからだ。一にその絵を得ること、二にその絵を成し遂げることが、この世ではもっとも難しい。
(小川 一水「博物戦艦アンヴェイル2 ケーマの白骨宮殿 (朝日ノベルズ)」)
#002779
じっさい、あのくらいの年になっちまうと女ってのもしぶとくてたまったもんじゃねえな。
(栗本 薫「ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002780
お前は、幸せになってはならぬのだ。不幸であることがすなわちお前のつぐないであるのだ。お前は一生涯、孤独でなくてはならぬ。お前は一生涯、不幸でなくてはならぬ。お前は一生涯、愛し愛されてはならぬ!
(栗本 薫「ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002783
時には正義と真実が最も害毒となることもあるのだ。
(栗本 薫「ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002784
伝える価値があることを、正しく伝わるように書く。
 ――それが、論文の本質だ。  
これまでの人類の発見に、自分の発見を新たに重ねる。
 ――それが、研究の本質だ。  
過去の上に現在を重ね、未来を見る。
 ――それが、学問の本質だ。

(結城 浩「数学ガール/乱択アルゴリズム」)
#002787
倒したからあたしの勝ちだ。相手がそれに準じる義務はない。倒れてからでも逆襲はできるのだ。
(有川 浩「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)」)
#002788
幼い頃の自分がそこにいた。その頭をそっと撫でたのは無意識だ。
その手はちゃんと優しいだろうか。あたしは少しはあの人に近づけたかしら。
(有川 浩「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)」)
#002791
……ああいうタイプにかわいがられるにはちょっとくらい出来が悪いほうがいいのかしらねー。
(有川 浩「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)」)
#002796
「やっぱり女の子は『キズモノ』って概念があるから。『顔に傷でも残ったらお嫁に行けなくなるよ』って女の子の親の常套句だもん。」
「キズモノだからって弾くような男と結婚するのは構わないのか、それ」

(有川 浩「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)」)
#002798
「あー目に見える。そしてそんな報われない間抜けな生真面目さもステキ」
「それ誉めてないよね、ぜんぜん誉めてないよね。あんたホントにファンか?」
(有川 浩「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)」)
#002800
「早いとこ忘れて下さい。あれけっこう一生の不覚なんです」
「心配するな、あれを除いてもお前は全体的に恥ずかしい」
(有川 浩「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)」)
#002810
君のせいじゃないと言われてあたしのせいじゃないなんて思える女はその男のことが好きじゃないのだ。
(有川 浩「図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫)」)
#002814
女ってのはこと恋愛沙汰になると何でああ敏いんだか。
(有川 浩「図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫)」)
#002815
苦手なものを回避して有能ぶっていたことを、この機会でとことん思い知らされた。
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002816
そろそろ和解してもいいのではないか。
お互い我を張りすぎているのではないか。
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002817
いいのよ、あんたはその鈍いところが辛うじてかわいいポイントなんだから。
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002818
「言われました。僕の芸風の参考にはならないって。確かに今はそのとおりです」
でも、と引っくり返した声は強かった。
「いつか必ずあなたのような役柄を演じられるようになります」
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002819
寝言は目をつむって言うもんだ!
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002820
そういうことは思いつける人間と思いつけない人間がいるんだ。お前はそもそも思いつけない奴だ。
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002821
味方が頼りにならないという状況は敵が手強いよりもきつい――
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002822
「勘弁しろ。お前に泣かれるのは苦手だ」
「無茶した罰だと思って見てなさい」

(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002823
私のしてきたことはお前から見てどうだったね?
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002824
私は業が深かったが、多くの理解者をもまた得たのだね。
(有川 浩「図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫 あ 48-7 図書館戦争シリーズ 3)」)
#002825
なにがひっかかるのか自分でもよくわからないが、こんなにあっさりだましおおせる相手だと思われているのが腹立たしい。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002830
きみたちがみんなしてすわりこんでぶつくさ文句を垂れたり夢物語をしているあいだに、わたしはゲームのルールを変えてるんだ。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002831
あまりに安直に気を許してしまうのがいけない。ややもすると手の内を見せていいラインをすっかり忘れてしまう。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002837
危機的状況が人間からなにを引き出すかは興味深いものがある。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002838
あなたがここよりもっといい場所に生まれ変わりますように。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002841
「あなたは人殺しよ」
「わたしは自分の専門分野を突きつめたんだ」
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002842
そんなに心配そうな顔をするな。きみも同じ病気にかかってるんだから。なんといっても、命というのは、不可避的に致死性のあるものなんだからな。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002847
われわれはパートナーであって恋人ではないからな。すべての秘密はだれにも打ち明けないよ。
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002851
あんたって人は、いっときも気楽に楽しむことができないのかい?
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002852
だが、大切なのは町じゃない、人なんだ。人が奴隷状態だったら、町になんの意味があるんだ?
(パオロ・バチガルピ「ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#002857
いっさいの諫言を受け付けないからこそ暴君は暴君と呼ばれるのである。
(谷川 流「涼宮ハルヒの驚愕(前) (角川スニーカー文庫 168-10)」)
#002863
忘れてちょうだい。いえ、忘れなさい。あたしの考えはあたしだけのもので、誰かと共有しようとしたのが間違いだったってわけよ。
(谷川 流「涼宮ハルヒの驚愕(後) (角川スニーカー文庫 168-11)」)
#002864
時と場合、限定された空間においては、無知であることが有効に作用する可能性がある。
(谷川 流「涼宮ハルヒの驚愕(後) (角川スニーカー文庫 168-11)」)
#002873
「前向きなのね、あなた」
「君ほどじゃないさ」
(冲方 丁「マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)」)
#002878
トラブルと一体化してはならない――まったくもって手遅れだ。良くも悪くも同じ状況が無限に続くことはありえない――そう切に願う。自分の生命とビジネスは自分で守らねばならない―――実にその通りの状況だった。
(冲方 丁「マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)」)
#002880
「死は理解できない。俺はただ、自分がいつか死ぬことを理解したんだ。この命には限りがあるということを」
「そのとき、あなたはどう思ったの?」
「それまでとは違う、赤い血が流れた気がした。その血が言うんだ。お前は生きている。何かをなせと。それ以来、俺は何者で、何をすべきなのかといった探し物をするようになった」
(冲方 丁「マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)」)
#002881
「自分を生んだ人を恨んだことは?」
「呪詛を吐いたことはある。だが結局、親がなぜ生んだかということと、本人がどう生きるかということは、別次元の問題なんだ」
(冲方 丁「マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)」)
#002887
あんたは、少なくとも、不幸の使い道を知っている。
(冲方 丁「マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)」)
#002892
「そんなに長くは生きられないんでしょ?」
「個人によって症状に差はあります。一年以上生存できる可能性もないわけではありません」
「……そういうのを気休めって言うのよ」
(山本 弘「地球移動作戦〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002895
それが何!?今度はあんたが落ち込んでるの!?だったら、あんたに慰められたあたしの立場はどうなんのよ?あの歌は嘘か!?あたしを元気づけようとしてくれたのは、あたしに生きる力をくれたのは、あれは嘘か!?
(山本 弘「地球移動作戦〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002896
「あなたは支離滅裂です。言っていることもやっていることも」
「当たり前でしょ。人間だもの!」
(山本 弘「地球移動作戦〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002897
おかしいよね。あんたはあたしじゃないのにね。違ってて当たり前なのに。自分と考えが違うからって、怒ることないよね。
(山本 弘「地球移動作戦〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002898
それじゃだめなの。あたし、鏡なんて欲しくない。もう一人の自分なんて欲しくない。あたしが欲しいのは、あたしじゃない人なの。あたしの思い通りにならない、何を考えてるか分からない人。演技なんか必要ない。けんかになることも恐れずに、ありのままの自分をぶつけてくれる人――あたし、わがままだから、そんな人としか友達になりたくない。
(山本 弘「地球移動作戦〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002902
ありがとうございます。あなたは本当にいい人ですね。好きでしたよ、マスター。
(山本 弘「地球移動作戦〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002909
あたしらは死なない。これは死ぬための戦いじゃない。生きて幸せになるための戦いだ――そうだろ?
(山本 弘「地球移動作戦〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002910
人間の中には、少ないパーセンテージではあるが、「遠くに行きたい」という欲求に突き動かされている者がいる。
(山本 弘「地球移動作戦〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002919
あなたの鏡のなかには、何が映るでしょうか。
(宮部 みゆき「チヨ子 (光文社文庫)」)
#002921
人間は変わるものだ。変わらないでいようと決心しても変わってしまうものだ。だから滑稽だし、哀しいし、味わいのあるものなのである。
(宮部 みゆき「チヨ子 (光文社文庫)」)
#002922
でも、面白いね。面白いなんて言ったら不謹慎だけど、興味深い。悪いことをすれば必ずその報いがくるという考え方のベクトルはすたれたけど、その代わり、ひどい目に遭った人間には、きっと何かそうなっても仕方のない悪い要素があったんだというベクトルが機能し始めているわけだ。
(宮部 みゆき「チヨ子 (光文社文庫)」)
#002924
あまり美しすぎることは、あまりにも醜いこととよく似ている。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002925
口実がなくったって飲む。口実があれば、もっと飲む。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002926
誰かのためになることばかり考えて、その誰かもまた自分ではない誰かのためになるために生きているんじゃあ、どこまでいっても堂々巡りではないか。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002928
あたしはいろいろなものをこの目で見てきたのだけれど、最も奇怪な罪を犯すのは、何かの使命感を持った人間だったわね。あなたのような。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002931
悩んだことはあるが悩んでいないときには悩まないといって悩むのが女学生ってものだ。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#002933
僕たちの肉体が滅んでも失われない思いがあるのだと伝えられるだろうか。失われないということを信じたいこの気持ち――そういう心の働きは、いったいこれからどれほどの年月、人類のものであり続けるのだろう。
(「結晶銀河 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#002938
どんな聡明な人物であっても、日々のルーティンに縛られる。
(「結晶銀河 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#002943
だが、人間の器質は一万年前からほぼ進歩していない。だから人間は、一万年前にしていた蛮行をひとつ残らずやる可能性がある。
(「結晶銀河 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#002949
ルールは単純であればあるほどいい、ルールを複雑にされたらバカな自分は瞬発力がなくなる。
(有川 浩「図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)」)
#002952
家族をあれだけめちゃくちゃにして、手前勝手なことばかりして、それくらいできないならただの口先男だろ!
(有川 浩「図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)」)
#002953
場合によっては悪意より善意のほうが恐ろしいことがあります。悪意を持っている人は何かを損なう意思を明確に自覚している。しかし一部の『善意の人々』は自分が何かを損なう可能性を自覚していない。
(有川 浩「図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)」)
#002956
大丈夫だって。これで嫌われるんならとっくに嫌われてるわよ、あんた。
(有川 浩「図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)」)
#002957
「あんたの笑いのバランスは天性のものがあるわね」
「そんな才能は要らん!」
(有川 浩「図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)」)
#002960
イメージはできてるんです、イメージは!
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002961
酒飲みの常識をこいつに押しつけんな!
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002962
友達として一言言う、それはそこで事実を言えないあんたの無駄なプライドが敗因だ。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002963
マインドコントロールは気づいてないからマインドコントロールなのよ。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002964
喧嘩はしていないのにすれちがっている、それは一番よくない状態のように思われた。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002965
非常事態においては定石を採る。だけどお前は定石を引っくり返すんだよ。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002966
まあでも、最初で恥かききっちゃったら後は楽かもよ。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002967
子供は大人を見てるんだから、大人がこんな体たらくじゃ子供だけ責めるわけにもねえ。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002968
世界はいろんな不運や罠に満ちていて無作為に誰かを引っかける。引っかかってから誰もが知るのだ、世界が不平等であることを。
それでも自分を哀れむことに耽溺しないで、それは楽かも知れないが決して君を救わない。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002969
たまにはそういう人間らしいところを見せたほうが周りも安心する。
(有川 浩「別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)」)
#002972
訣別なさったその方が息災であることを幸いに思えますか?
(有川 浩「別冊 図書館戦争 II 図書館戦争シリーズ(6)」)
#002973
そういう男に会っちゃうと仕方がない部分はありますよね。
(有川 浩「別冊 図書館戦争 II 図書館戦争シリーズ(6)」)
#002974
自分の恋愛はいつも下手だったが、他人の恋の観察は簡単だ。そしてそれは横から見ていて羨ましくなる。――あの気持ちが自分に向いたらどんな感じだろう。
(有川 浩「別冊 図書館戦争 II 図書館戦争シリーズ(6)」)
#002980
何かの間違いなんだと思う。でもまあ、僕はそれまでの二十五年間ずっと間違え続けてきたから、そんなのは今さらだ。
(東 浩紀「NOVA 5---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#002983
「こんなのは悪夢。現実なはずがない。目がさめれば終わってる。そう思ったことは、ある?」
「夢だったらいいのにと思ったことは、まああるよ」
(東 浩紀「NOVA 5---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#002985
たまに祈りが届くことって、あるんでしょうね。天界があるのなら、もう少し通信回路をどうにかしたほうがいい。
(東 浩紀「NOVA 5---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#002988
神の強さ、偉大さを見せるには、悪だってそれなりに強大で凶暴でなけりゃあ……
(東 浩紀「NOVA 5---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#002990
生きることは、苦痛でしかない。人生において、喜びに満ちた瞬間が、いったいどれだけあるのか。ない。仮にあってもごく一瞬で、それもすぐに苦痛に変わる。喜び、快楽はたいてい、本人のただの思い込みで、熱狂が覚めれば、愚かな夢、幻でしかない。
(東 浩紀「NOVA 5---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003005
彼らはみな、私の言葉の魔術によって深い安らぎを得ている。もちろんそれは欺瞞だが、人を幸せにする欺瞞である。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003006
地獄は地の底にはない。地獄はここに、この地上にある。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003007
私だけの場所。私の小宇宙――だが、人間は安らぎだけでは生きられない。人生が競争と欺瞞に満ちているからこそ、つかのまの安息に価値があるのだ。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003008
この論法が狂っているように思えるのなら、あなたはまだ量子論理をご存知ない。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003009
ごめんなさい。あなたのことはぜんぜん覚えてない。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003010
多くの人を危機から救うためであれば、そしてそれが私にしかできない危険な仕事であれば、私は喜んでそれに挑戦する。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003011
だったらあなたも、くだらないモラルを捨てて。あたしをあるがままに受け入れて。拒否しないで。そうすればきっと、関係は長く続くわ。
(山本弘「アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003014
「意外に乱れないんだよなあ世界は。あせってモヒカンにした俺、バカみてえ」
どうして世界が乱れるとモヒカンにしなきゃいけないのか近現代史に疎い僕にはよくわからなかったが、聞くと長くなりそうだったので黙っていた。
(「NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003016
面倒臭え時期もあったけど、笑いが止まらねえときもあったし、まったりノンキなときもあった。あんたが産んでくれなけりゃ、俺のこの人生はなかったじゃん!
(「NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003021
脳が明晰であることはただの利便性しかもたらさない。自己ではなく他者にしか意味をなさない。
(「NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003023
「冗談のつもりはない。笑わせるつもりもない」
「どんなつもりならあるんだよ」
「どんなつもりもない」
「人はどんなつもりもなしには生きていけねえ」
(「NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003026
おれはどうしようもないろくでなしだが、それだからこそ何より大切にしなければならないものがある。
(「NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003027
おれには数えきれないほど美点があるが、あいにくそのなかに謙虚さは入っていない。おれは得意満面になっていたはずだ。
(「NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003028
いずれにせよ、彼にはあれこれの欲も、同時にまた絶望も縁がなかった。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド2 (ハワカヤ文庫JA)」)
#003032
……そういう一切合切に、いまのいままでうすらぼんやり鈍感で、まったく気付きもしなかったということが、こうなってみると我ながらまったく信じられなかった。いったんそうと勘づけばいたって単純なことなのに、わかりやすく、目の前に大きな文字ではっきりとかいてあるようなものだったのに。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド2 (ハワカヤ文庫JA)」)
#003033
不意の来訪に備えるということは、すなわち、不断の準備が必要ということである。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド2 (ハワカヤ文庫JA)」)
#003037
家族がみなそばにいて、元気で、平和で、穏やかに、仲良く睦まじく暮らすことが、ほかにどんな望みがあろう?
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド2 (ハワカヤ文庫JA)」)
#003038
隠し事のある人間はどうしても饒舌になるのだ。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド2 (ハワカヤ文庫JA)」)
#003042
おのれが認める者とこそ、雌雄を決する戦がしたい。くだらぬ者どもと交わす戦にどんな価値があるというのか。
(和田 竜「のぼうの城 上 (小学館文庫)」)
#003046
こんなことにならなくちゃ気づかない気持ちって、あるんだね。
(有川 浩「塩の街 (角川文庫)」)
#003048
――あのね。優しくしてほしかったら、やさしくしてって言わなきゃだめですよ。
(有川 浩「塩の街 (角川文庫)」)
#003050
ルールは人を守るものだ。制約と罰則がある代わりに、守れば概ね自分を守ってくれる。
(有川 浩「塩の街 (角川文庫)」)
#003054
男は理屈を越えられないけど女は越えちゃう。頭以外のどっかでね、理屈を追い越した先にある何かをしっかり掴んでるんだろうね。
(有川 浩「塩の街 (角川文庫)」)
#003056
世界なんかどうでもいい。あの人だけ無事でいてくれるならそれで。
世界が救われることを、何千人、何万人、何億人の人が望んでいたとしても。
(有川 浩「塩の街 (角川文庫)」)
#003059
やるべきことがあるという楽。義務を果たしているという楽。今の世の中においておそらく最も怠惰でシアワセな選択。
(有川 浩「塩の街 (角川文庫)」)
#003063
恵まれてる奴はたまに鈍感で無神経だけど、悪気があるわけじゃないからね。
(有川 浩「空の中 (角川文庫)」)
#003068
「意外と融通利くとこもあるんだな」
「意外は余計だ!」
(有川 浩「空の中 (角川文庫)」)
#003070
あんたの理屈は間違ってるけど、それでも俺には少し気持ちがいいんだ。
(有川 浩「空の中 (角川文庫)」)
#003071
あたしはそんなに上等じゃない――誰かの目印になれるほどきれいじゃない。
(有川 浩「空の中 (角川文庫)」)
#003075
あの男は分かったようなふりが得意なんだ。
(有川 浩「空の中 (角川文庫)」)
#003077
しかしそれはすぐさま渇望へと変わった。それを受け入れることを葛藤するがゆえにである。すぐさま応じるのなら渇望などは生じない。
(有川 浩「空の中 (角川文庫)」)
#003083
ですから、あんたも分からんことは分からんこととして答えりゃよろしい。こちらの御仁が恐そうだからってない引出しを無理矢理開けようとするこたぁありません。ない引出しをあるように見せかけられるほうがこちらとしては大問題で。
(有川 浩「海の底 (角川文庫)」)
#003084
私にとっちゃパズルのようなもんですな。自分の脳味噌を極限まで試せる仕事は世間にそうありません。
(有川 浩「海の底 (角川文庫)」)
#003093
次に同じようなことがあったら今より巧くやれるようになる。そのために最初に蹴つまずくのが俺たちの仕事なんだ。
(有川 浩「海の底 (角川文庫)」)
#003095
この人はあまり指針になさらんほうがよろしい。声がでかすぎて損をする典型ですから。
(有川 浩「海の底 (角川文庫)」)
#003097
「何だとクソばばぁ!」
「ババァ、ババァと気安く呼ぶんじゃないよ、あんただって運がよけりゃジジィになるんだよ、クソったれが!」
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003099
あくまでもきっかけだったということか。しかし、だからこそ尊ばれる。知恵と努力だけでは届かぬところへ、ひょいと運んでくれるのがきっかけ、運というものであるからだ。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003103
心の一部は納得する。が、別の一部は、信心してもいない神様を拝んでいるときみたいに醒めている。折伏され切らないものがあるのだ。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003107
お人好しの血筋、脈―――である。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003108
「実のあることは言わないが、どうでもいいことばかりぺらぺらと」
「ありゃ本人にとっちゃ花も実もあることなんだよ」
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003110
人は己の気にしていることについては、那須与一が発止と放った矢よりも速く見てとるものなのである。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003113
遊びなど、何歳からだってはまりこむことができる。だからこそ、遅くかかった病は重いという諺だってあるのだ。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003114
一度仕立て直されてしまった古着は、たとえ古着自体が、もういっぺん仕立て直してもらいたいからと自分で自分をほごしたとしても、再び縫い手の興味を引くことはできないのだ。縫い手にとっては、それはいっぺん仕立て直してしまったことのある古着に過ぎない。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003117
やることがない。あとはただ、何らかの形で成果があがるのを待つだけだ。
別にかまいやしないのである。どうせ怠け者を公言し、そう認められてもいる身の上だ。ただ、ぽつねんとごろごろと待っているのも、ちとつまらぬような気がしないでもない。こんなことは珍しい。
――俺も焼きが回ったか。
つまらん、などと思うとは。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003118
法に裏打ちされた権力ではなく、場数を踏んでいることからくる、みっしり実の熟れた権力だ。その裁量は絶対である。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003122
だが、それでは後生が悪かろう。人として、できることでもやってはいけないことはある。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003124
この世のどろりを知らねば知らぬが幸いで、浅瀬を歩くようにさらさらと、渡ってしまえる川もあるということか。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003128
己に無いものばかりがよく見えて、あるものは見えない。若い時には誰でも、ちょっとはそういうふうになる。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003129
心にあるうちは、これこそ本物の自分の気持ちだと思うのです。でも口に出すと、途端に怪しくなります。本音だと信じたい思いだけが残って、意固地になります。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003130
当然だ――と思うのは、世間を甘く見ている。広い世の中には、そこまでされても察しがつかない頭の持ち主というのもいるのである。それが悪いというわけではないが、いることはいるのである。
(宮部 みゆき「おまえさん(上) (講談社文庫)」)
#003132
人に頼られ、人を世話し慣れているということは、人と対するとき、つい上からものを見たり言ったりする癖があるということと表裏一体でもある。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003144
田圃に足を突っ込もうが土手で転ぼうが肥だめにはまろうが、欲しいもんがあるんなら、諦めるんじゃねえ。すぐメソメソするんじゃねえ。いいか、わかったか。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003148
あなたはもう用無しの役立たずだ。早く死んでくれないか。どうしていつまでも達者でいるのだ。この世には、あなたの居場所はもうどこにもないのに――
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003152
そういうことか。
そういうものか。
――あなたは、女だ。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003153
あれだけ泣けば、死神も流れ落ちますわい。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003154
そんなの子供の理屈ですよ。だって、どこへ行くっていうんです。あの子だって、そこまで莫迦じゃありませんよ。それとも莫迦だったのかしら。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003157
好いたの惚れたの、想うの想われるの、それはとっても幸せなことですよ。けども、当の幸せ者のまわりには、きっと誰か気の毒な者が出てくるんです。仕方ないんですよ。だからって一生それに囚われて、泣いたり恨んだり、できもしないことをやろうとする方が、もっと不幸せなんじゃありませんかね。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003159
当たり前だ。おまえはどれほど永いあいだ、密かな想いを抱いてきたのだ。それがひと晩やふた晩でおさまるものならば、どうしてこんなに苦しむのだろう。おまえ一人が莫迦なのではない、おまえ一人が見境がないのではない。おまえ一人が真っ暗ななかにいるのではない。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003166
一心同体というのは言葉の綾ではない。共に手を血で汚し、あの二人には絆ができた。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003167
人は何にでもなれる。厄介なことに、なろうと思わなくても何かになってしまうこともある。
柿になったり、鮑になったり、鬼になったり仏になったり、神様になってみたりもする。
それでも、所詮は人なんだ。人でいるのが、いちばん似合いだ。
(宮部 みゆき「おまえさん(下) (講談社文庫)」)
#003171
人は自分が嫌悪する対象について無知であるばかりか、理解を拒否する傾向があることに、私は気づいている。
(山本 弘「闇が落ちる前に、もう一度 (角川文庫)」)
#003180
確かに出世できるならその方がいい、然るべき地位にいなければできない仕事は山のようにある。
(月村 了衛「機龍警察(ハヤカワ文庫JA)」)
#003185
あなたたちが、私の持ち込むアイディアを聞いて、「こんなバカバカしい話は聞いたことがない、どうかしたんじゃないの?」と言ってくれる限り、健全な関係だと思う。あなたたちが、私のやることは全部正しいと思うようになったら、そちらのほうが問題よ。
(オリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム「ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ」)
#003188
わたしたち自身のイメージにあわせたなにかを創造するのに、全能であることが必要だとは思わない。
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003189
千年を費やして正しい方法で結果を出すほうが、あなたの方法を使って十年で成功するよりもマシよ。
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003190
わたしはおまえに命をあたえた。それなのに、わたしを拒めるのか?
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003191
あなたはわたしと同じ理由で笑っているのかしらね?
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003194
ぼくにはもう、嘘をつく必要のある相手が多すぎる。
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003201
おまえはあまりに多くを当然のことだと考えすぎる。
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003202
わたしは芸術家であると同時に職人でもある。質の悪い粘土をあたえられても、仕事はやってのける。
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003205
ささやかに裕福ではあるよ。だが充ち足りることは決してない。
(グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」)
#003206
「それはまた無茶な賭けですな」
「無茶じゃない賭けが、これまであった?」
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003207
現実の物語には、三流のフィクションより出来の悪いものは山ほどある。それらは現実だというだけの理由で、フィクションよりも優れているの?
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003209
他人のための冒険はうんざりなの。誰にもしられない冒険。成功しても、誰にも賞賛してもらえない冒険。金儲けや賞賛が目的じゃない、純粋の冒険――それがあたしの望みなの。
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003212
それは願望であって事実じゃない。
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003215
俺はたぶん、あと何年も生きられない。今から改心するのは遅すぎるし、改心なんかしたくない。ただ俺は、俺を理解してくれる誰かが欲しいんだ。
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003217
――いかに暗くまがりくねった道であれ、それが天の道に通じているならば、わたしは、歩いてまいります。
(上橋 菜穂子「精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003220
おまえがバアさんになったら、きっとあんなふうになると、おれは思うぞ。
(上橋 菜穂子「精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003223
だけど、八つあたりじゃ気分は晴らせないよ。あんたは、それほど馬鹿じゃないからね。そうやってれば、やってるほど、どんどん、むなしさがたまって、よけいにいらつくだけさ。――そこらで逃げるのをやめて、ふりかえってみな。むかむかのもとが、なんなのかをね。
(上橋 菜穂子「精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003224
「……その年で、まだ新しいことを学びたいというのか。」
「おうさ。あたりまえだろうが。」
(上橋 菜穂子「精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003225
あーあ、七十年も生きて、まだこの世は、わからねぇことだらけだ!天も地も、知らん顔で、ゆーったりと動きやがって!
(上橋 菜穂子「精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003226
なぜ、と問うてもわからないなにかが、突然、自分をとりまく世界を変えてしまう。
その大きな手の中で、もがきながら必死に生きていくしかないのだ。だれしもが、自分らしい、もがき方で生きぬいていく。まったく後悔のない生き方など、きっと、ありはしないのだ。
(上橋 菜穂子「精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003227
私が言おうとしたのは、ヒトは感動したことを「真実」と呼びたがる習性があるということよ。
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003228
あっ、「ヤラセだ」って言ってる奴がいるな。「タイミングがうますぎる」って。バカだなあ、あんな見事なタイミング、ヤラセでできるもんかよ。
(山本 弘「アイの物語 (角川文庫)」)
#003233
そんなことのために、どうして、わざわざ命の危険をおかす必要があるんだろう?度胸をしめしたいなら、ほんとうに必要なときにしめせばいいのだ。
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003236
あんなふうに、自分の人生を使うのも、わるくないんだと、わかったんです。
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003238
おまえは、いい子だ。どんな理由があるにしろ、おまえみたいな、いい子に、あんな嘘をつかせるやつぁ、信用するんじゃないぞ。
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003241
大切な目的があるときは、自分の手を血で汚すことをためらってはならんのだ。
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003243
ガキのころから、おまえの中には、おさえきれない怒りがあった。その怒りが、おまえの救いでもあり……呪いでもあった。
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003245
その、くだらない――けれど、どうにもならない自分の気持ちに、とことんつきあってみよう。そして、突きぬけた先になにがあるのか、見てみよう……。
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003248
あの日々を――あの苦しみを――運命なんて言葉で、かるがるしくかたづけないでくれ!
(上橋 菜穂子「闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003253
……だけど、なぜだろう。人は、ときに、たまらなく死にさそわれてしまうこともある。
(上橋 菜穂子「夢の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003254
だけど、いやじゃないか、え?死ぬ瞬間に、この先にあったかもしれない未来を思いうかべるような死にざまは、さ。
(上橋 菜穂子「夢の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003257
「なぜ、わらうのです。わたしは、まちがっていますか?」
「いいや、あんたの若さが、かわいかっただけさ。」
(上橋 菜穂子「夢の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003267
さあ、だだっ子のように憎しみにしがみついて、泣くために泣くのはおやめ。
(上橋 菜穂子「夢の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003270
……万能の者など、この世にはおらん。わしには逆立ちしたってできぬことが、おまえにはできるということもあるだろうさ。
(上橋 菜穂子「夢の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003274
あるはずのものがない場所に、人は勝手に自分の理想をみるらしい。
(「NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003275
身を引くことも愛の証と奈良のおばあちゃんに教わった。
(「NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003280
ぼくの幸せはきっと、仕事とはべつのところにある。
(「NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003285
あの一瞬を境に、ぼくと世界の関係は変わった。それまで自明に思えていたことが、急に疑わしくなり、物事がしかるべき位置をなくしたように思えた。
(「NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003286
本来の目的を達成したあとは、消え去る以外に何があるというのか。
(「NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)」)
#003298
なにかをもちだそうと思うな。生命がたすかることだけを、ただ考えよ。生命さえあれば、かならず新たな道が開けるのだから、と。
(上橋 菜穂子「虚空の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003299
こんなふうに、わずかなふれあいだけで人をひきつける者はなかなかいない。
(上橋 菜穂子「虚空の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003300
あなたの気持ちはわかるけれど、そういうやわな気持ちが、つけこまれる隙になったのよ。そういう意味ではあなたにも罪はあるわ。
(上橋 菜穂子「虚空の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003301
あの娘のために命を賭けていいのだろうか。
(上橋 菜穂子「虚空の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003302
わたしは、どうしてこう、のろまなんだろう。いつも、あとになってから、ああすればよかったって考えるんだものなぁ。
(上橋 菜穂子「虚空の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003309
けっしてあせって動いてはいけない。あせっていると必要なことをしわすれ、大事なことを見おとすからだ。
(上橋 菜穂子「神の守り人〈上〉来訪編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003312
――だが、年寄りには、若者の知らない歴史があるものだ。
(上橋 菜穂子「神の守り人〈下〉帰還編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003313
回れ頭脳!この日のために脳味噌があったんだと思え――
(榎本 俊二「榎本俊二のカリスマ育児 (akita essay collection)」)
#003315
未来を約束する言葉は口にしない。――そういう言葉を口にしてしまうと、運にあざわらわれるような気がするからだった。
(上橋 菜穂子「神の守り人〈下〉帰還編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003317
冷静でありなさい。どんなに心みだされることがあっても、顔に出してはいけない。
つねに、冬の湖面のように、冷静でありなさい。
(上橋 菜穂子「神の守り人〈下〉帰還編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003318
悪人を裁いてくれるような神がいるなら、この世に、これほど不幸があるはずがない。……そう思わないかい?
(上橋 菜穂子「神の守り人〈下〉帰還編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003319
たわめられた枝は、機会さえあれば、はじけようとするものだ。
(上橋 菜穂子「神の守り人〈下〉帰還編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003320
味方より、敵のほうが、人柄が深くわかることがある。
(上橋 菜穂子「神の守り人〈下〉帰還編 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003324
でも、いい人ってあんまり役に立たないことが多いのも事実だ。
(加納 朋子「少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)」)
#003332
そんなことを言ってもらえるほどのことを、私たちができたとは思えない。ただ、その向けられる好意が、純粋に嬉しくてありがたかった。
(加納 朋子「少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)」)
#003334
後悔し、反省して、やりなおせることもある。だが、後悔しても、けっしてやりなおせないこともあるのだ。
(上橋 菜穂子「蒼路の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003335
もっともかんたんなのは、あの海に飛びこんでしまうことだ。――死んでしまえば、この身体にのしかかっている、重い重い責任を、なくしてしまえる。
(上橋 菜穂子「蒼路の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003339
おまえは、とんでもないやつだからな。一度に、たくさんの方向に手をのばすなんて芸当を、やってのけているのを見ると、長いつきあいの、このおれでさえ、なにをするつもりだろうと、ときどきこわくなる。……恐怖は、あっさり敵意にすりかわるものだぞ。
(上橋 菜穂子「蒼路の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003342
心の深いところに、小さいけれど、ゆるがない芯がある。自分にかかってくる圧力が強くなればなるほど、その小さな芯のかがやきは増した。
(上橋 菜穂子「蒼路の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003343
それだけ現実離れした妄想に支配されていては、仕事どころか日常生活もおぼつかないだろう。一度医者に診てもらったほうがいいかもしれない。
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで」)
#003344
しかし呼び方というのは、所詮は二人の間の約束事にすぎません。
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで」)
#003345
男は腰が痛いと野次馬根性もスケベ心も盛り上がらない。
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで」)
#003346
おや、「いい意味で」はフォローになっておりませんでしたか。日ごろの言動を反省して、当たりの柔らかい言い回しを選んだつもりだったのですが、それは残念……
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで 2」)
#003347
「いけません、お嬢様。わたくしが旦那様に叱られます」
「じゃあ、叱られなさい」
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで 2」)
#003348
ごく普通の大学生だから恨みを買わない?いい人だから慕われる?そうとは限らないよ。
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで 2」)
#003349
正しい推理にはそれなりの時間と手間が必要でございますよ。
(東川 篤哉「謎解きはディナーのあとで 2」)
#003352
ふたりをとりまいているものが、あまりにも大きく複雑すぎて、どうなれば救われるのかさえ、わからない。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第1部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003354
敵味方に割りきれない部分があるっていうなら、まず、そこから説明してもらおうか。おたがいの立場がはっきりしないうちに、まともな話なんぞ、できるはずがないだろう。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第1部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003355
ここまでがんばったんだ。八方ふさがりだと思うなら、肩の荷をおろすのはわるいことじゃない。だれひとり、あんたを責められる者なんぞいない。――楽になれる道は、あんたの目の前にあるんだよ。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第1部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003356
とある一家の父親も、大袈裟な表情と仕種をもって、子どもたちを笑わせていた。彼だって家族の将来を考えれば不安に違いない境遇の中で、必死に家庭に笑いを届けようとしていた。
父の偉大な姿であった。
そんなに遠くない場所から届いた銃声を、子どもたちの笑い声がかき消していた。
(早坂 隆「100万人が笑った! 「世界のジョーク集」傑作選 (中公新書ラクレ)」)
#003359
悪意とも呼べない、もっと大きな悪意。その前にあって、私は海の底にある黒い小石のような存在なのです。
(桐野 夏生「女神記 (角川文庫)」)
#003361
まあ、いいではないか。世の中は広い。いろいろなところに、様々な美しさを持った女が住んでいて、その魅力は決して比べられないものだ。
(桐野 夏生「女神記 (角川文庫)」)
#003366
でも、故郷に帰りたいって気持ちは……どうしようもないものだよ。二度と、あの山河を、なつかしい家族の顔を見られない……一生、ほっかりと炊いた米のご飯を食べられないと思ったら……。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第2部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003367
なにもかもを背負える人なんて、この世にはいないし、だれも傷つけず、だれにとっても幸福な解決なんてものも、きっと、この世には、ありはしないんだよ。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第2部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003369
いつも、身体の芯に疲れがある。いくら眠っても消えることのない、疲れだった。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第2部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003372
だけど、わたしは、そういう……あんたを楽にしてやれる言葉を、かけてやれない。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第2部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003378
生きてもどっておいで、へぼ弟子。伝えたいことが、まだ、たあんと残っているんだ。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第3部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003380
わたしは、あなたに賭けたのだ。――賭けに負ければ、生きていても、意味はない。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第3部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003381
いえばよかったと思う言葉が、あとから、あとから、心に浮かぶ。
(上橋 菜穂子「天と地の守り人〈第3部〉 (軽装版偕成社ポッシュ)」)
#003390
母親とは、どれほど近しい存在であろうとも、息子の心のおもむくところその冒険心までは理解しきれぬものだからね。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003391
刃を向けずとも心を切り裂くことは出来る。心の傷がもとで人は病を得ることもあると聞く。早すぎる死の原因をつくった、真の犯人は自分ではないのか?
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003399
寄せられる善意はありがたかったが、それではどうにもならないこともあった。
(小川 一水「天冥の標V: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003405
まずはっきりわかっているのは、真夜中に立てた計画はたいていあまりよくないってことよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 旅路 上 (創元推理文庫)」)
#003406
永久に萎れたふぬけのままでいられる者なんかいない、とまではいわない。そうしようとした者をみたことがあるから。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 旅路 上 (創元推理文庫)」)
#003408
特別に何かさせたいことがあれば、あたしなら完全に相手にまかせたりしないわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 旅路 下 (創元推理文庫)」)
#003409
「故郷から逃げ出したことの利点はたくさんあるな」
「それはなんに出合うかによるね」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 旅路 下 (創元推理文庫)」)
#003410
あたしにある、みんなに匹敵する武器は知力だけよ。でも何も知らなければ、知力は矢のない弓のようなものでしょ。あたしの武器を奪わないで。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 旅路 下 (創元推理文庫)」)
#003414
常に面白いことなんかない。それでも常にやる価値がある。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 旅路 下 (創元推理文庫)」)
#003415
差別はどの社会にもある。目に見えないから、言葉にされていないからといって、ないと思い込むのは愚かなことだ。
(上田 早夕里「リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003417
でも、何もかもいっぺんには手に入らないんだ。僕は底辺の人間だから……。ひとつずつ、根気よく待つだけだ。まあ、手に入れる前に、人生が終わっちゃうかもしれないけれど。
(上田 早夕里「リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003418
どんな職種でも不幸な出来事はあるよ。医者がミスで患者を死なせるように、運転手が事故を起こすように……。
(上田 早夕里「リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003421
だが、どんな世界であろうとも、生きている限りは、そこで生き続けるしかない。
(上田 早夕里「リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003422
それがおまえの人生に何の役にも立たなかったとしても、見ること自体に値うちがある。あれはそういうものだ。
(上田 早夕里「リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003423
自分たちが作りあげたものが、まるで命を持った生き物のように動き出す――あの瞬間の感動を知る生物である限り、私たちはいろんなものを作り続けることをやめないでしょう。安全なものも危険なものも、見境なしに作り続ける。それは人間の罪であり、同時に素晴らしさでもあると思うわ。
(上田 早夕里「リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003426
物事をはっきり言う人物が、必ずしも毒舌であるとは限らない。ある発言が毒舌に聞こえたとしても、そこに真実、毒があるとも限らない。
(宮部 みゆき「名もなき毒 (文春文庫)」)
#003430
嘘をつくって難しいですね。彼女を見てて、そう感じることはありました。すごく手間暇かけて話をこしらえても、どっかで本当のことを混ぜなくちゃならないし、それにはエネルギーも要るから、完璧にはできなくなるじゃないですか。
(宮部 みゆき「名もなき毒 (文春文庫)」)
#003434
ものを食べている子供は、誰の子であれ何歳であっても、愛おしい。
(宮部 みゆき「名もなき毒 (文春文庫)」)
#003435
「どこまでできるかわからないけど、ちょっとやってみよう。あてにしないで待っててくれるかな」
「頼もしいんだか頼りないんだかわかんない」
(宮部 みゆき「名もなき毒 (文春文庫)」)
#003437
不幸ってのは、たいていの場合そうなんだな。あちらを立てればこちらが立たずというふうに噛み合っちまってる。こんがらがってほどけない紐みたいに。
(宮部 みゆき「名もなき毒 (文春文庫)」)
#003444
陰謀があると考えるのと、陰謀などないと考えるのでは、どちらがより愚かで子供じみているだろう?
(チャイナ・ミエヴィル「都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)」)
#003453
もしも今僕が抜けたら、と何度も悩んだ。しかし、そんなことは僕のおごりだと思う。残ったみんなは、一人でやっていく力がちゃんと備わっている。僕がいなければと思う心は、僕の心にある恐れの表れだった。
(谷口 貴彦「ザ・コーチ - 最高の自分に出会える『目標の達人ノート』」)
#003455
友達を見つけようなんてあせらないこと。友情っていうのはさ、勝手にゆっくり芽生えるものだ。
(ルイス・サッカー「道」)
#003457
欲望の迅速な充足は、悪いことではない。欲求不満に陥るよりもずっといい。だが、迅速さ自体が目的であってはならない。
(Siva Vaidhyanathan「グーグル化の見えざる代償 ウェブ・書籍・知識・記憶の変容 (インプレス選書)」)
#003459
たとえヒーローでなくても、できること、やらなくてはならないことはあるはずだ。
(山本 弘「MM9―invasion―」)
#003460
どんな集団にも愚か者は何パーセントかいるものである。
(山本 弘「MM9―invasion―」)
#003462
子どもってものは、なんだってあんなにやたらと笑うのだろう。
(チャイナ ミエヴィル「ジェイクをさがして (ハヤカワ文庫SF)」)
#003463
「見たくないものを見ないためには、三つの方法があるわ」と彼女は言った。「ひとつ目は臆病者がする、逃げの手。これは悲惨な結果を生むわね。もうひとつは永遠に目を閉じること。これは何か起きれば最初のと同じことになる。そして三つ目は、いちばん難しいけれどベストな方法。見ても大丈夫なものだけが目の前にくるようにするのよ」
(チャイナ ミエヴィル「ジェイクをさがして (ハヤカワ文庫SF)」)
#003471
ほかにうーんとほしいものがあれば、そんなの、簡単に捨てられるんだよ、きっと。
(宮部 みゆき「ステップファザー・ステップ」)
#003474
人生なんてものは、ドラマチックな恋愛でできているものではないのだ。それは、期限のきれていない健康保険証や、住宅ローンの支払いが、今月もまた無事に銀行口座から落ちたことをしらせる通知や、そんな細々としたものからなりたっているのである。
(宮部 みゆき「ステップファザー・ステップ」)
#003475
やはり、インターバルというのはとってみるものである。
(宮部 みゆき「ステップファザー・ステップ」)
#003476
今年も一年なんとか無事に暮らすことができた――食うことに終われる一年だったけれど、とりあえず「食うこと」に追いこされはしなかったなあ――
(宮部 みゆき「ステップファザー・ステップ」)
#003477
男は女にはなれないし、女も男にはなれない。だから、男は女に、女は男に、ときには平気で残酷なことをすることができる。だが、男も女も、誰でも必ず一度は子供であったことはあるわけで、だから子供には残酷な仕打ちをすることができないのだ。
(宮部 みゆき「ステップファザー・ステップ」)
#003480
手紙ってのは、あとで後悔するために書くようなもんだからな。
(宮部 みゆき「ステップファザー・ステップ」)
#003485
ああ、でも。でも、できることなら、せめてあの女よりは長生きをしたいものだ。
憎いあいつの墓に唾を吐きかけて大声で笑ってやるために。
(「グイン・サーガ・ワールド 4 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003486
――あきらめるなひるむなあとずさるな。あしたを見ろ。あしたのあしたを見ろ。ふりかえるひまがあるのなら、あゆめやすすめや前へ前へともがきつづけろ。
(「グイン・サーガ・ワールド 4 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003489
もちろんあたしが特別に惨めだったとは思わないわよ。そう、ふつうだった。それを惨めと思うかどうかは本人次第よね。
(東野 圭吾「秘密 (文春文庫)」)
#003490
何かいいことがあると思って父親になるわけじゃないよ。
(東野 圭吾「秘密 (文春文庫)」)
#003494
まさかあんたにこういうことをされるなんてね。
(有川 浩「阪急電車 (幻冬舎文庫)」)
#003495
「普通は、どんな恨みがあっても相手を呪うようなことはするものじゃないって言いますよ。特にあなたくらいの年齢の方なら」
「それだけのことをされて相手を呪わずにいられるなんて聖人くらいのものよ。行動力があって後悔しない決意があるなら殴り返したほうがよほどすっきりするわ」
(有川 浩「阪急電車 (幻冬舎文庫)」)
#003498
あの人らと付き合うん、やめといたら?胃薬、そのうち効かんなるで。
(有川 浩「阪急電車 (幻冬舎文庫)」)
#003500
狂気の淵はすぐそこにあった。けれども肉体が精神の狂気を許さず、泣くことで勝手に生き延びようとする。
(冲方 丁「微睡みのセフィロト (ハヤカワ文庫JA)」)
#003505
真実だから信じるのではなく、愚かさゆえに信じているような人と、分別のある話し合いができるだろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 上 (創元SF文庫)」)
#003509
でも、これだけは覚えておいて。あなたは何をしてもしなくてもいいけど、これからは自分のためにしたらいいわ。わたしには影響ないんだから。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 上 (創元SF文庫)」)
#003510
この紳士気取りめ。その暇があったら……。
(藤原 正彦「遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)」)
#003511
どんな天才であろうと、対面して言葉を交してしまえば、その瞬間に神様からただの人間に変わる。
(藤原 正彦「遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)」)
#003516
今日これから誰かの役に立ちたいのなら、とりあえず疲れたからだを休ませたほうがよさそうだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)」)
#003521
なあに、そのうち自分の中心が見つかりますよ。どんなにほかの人のまわりをまわっていても、自分を見失ってしまうなんて、ありえない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)」)
#003526
二度めはそれほど大変じゃない。あとで、二度めからはじめればよかったと思ったよ。でも二度めをやるには一度めをやるほかない。矛盾しているみたいだけど、簡単にできるようになる早道は、困難を通ることなんだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)」)
#003530
人の経歴は個人の努力の賜物かもしれないが結婚は籤のようなもので、しかもその籤を引くのは思春期の終わりか成人になりかけたころの、愚かさと混乱の絶頂期なのだ。まあ、それでいいのだろう。人々に思慮がありすぎたら人類は終わってしまうかもしれない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)」)
#003532
ぼくはいままで生きてきたあいだに、悲しむべき過ちをたくさん犯したけど……いまこの人生航路をとり換える気にはなりません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)」)
#003533
この種の問題解決は狩りよりは釣りに似ている。ある程度まで我慢強く、心の深みから上がってくるものを待つほか仕方がないのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)」)
#003535
かみなりの正体を鬼だと思った先祖を笑う科学者が、百年後の科学者に同じように笑われないとだれが保障し得るであろう。
(寺田 寅彦「科学と科学者のはなし―寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 (510))」)
#003536
化け物がないと思うのは、かえって本当の迷信である。宇宙は永久に怪異に充ちている。あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。それをひもといて、その怪異に戦慄する心持ちがなくなれば、もう科学は死んでしまうのである。
(寺田 寅彦「科学と科学者のはなし―寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 (510))」)
#003537
一日汗水たらして働いた後にのみ、浴後の涼味の真諦が味わわれ、義理人情で苦しんだ人にのみ自由の涼風が訪れるのである。
(寺田 寅彦「科学と科学者のはなし―寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 (510))」)
#003538
いわゆる頭のいい人は、いわば脚の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かないところへ行き着くこともできるかわりに、途中の道ばた、あるいはちょっとしたわき道にある肝心なものを見落とす恐れがある。
(寺田 寅彦「科学と科学者のはなし―寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 (510))」)
#003544
どんなに悪く酔ったって、酒ならいつかはさめらあ。
(山本 周五郎「さぶ (新潮文庫)」)
#003547
まあそういそぐな、一つのことから次のことへ移るまえに、初めの一つをじっくりと考えぬくんだ。
(山本 周五郎「さぶ (新潮文庫)」)
#003551
人間のすることに、いちいちわけがなくっちゃならない、ってことはないんじゃないか、お互い人間てものは、どうしてそんなことをしたのか、自分でもわからないようなことをするときがあるんじゃないだろうか。
(山本 周五郎「さぶ (新潮文庫)」)
#003552
見ているとばかにでもなっちまいそうないい景色なんだ、こっちにこう富士が見えて、おっそろしく広い海がぐるっとこうあって、浜にはまっ白な波がさーっと、絶えまなしによせていてさ、風なんぞおめえ、だしでもきかしてあるんじゃねえかと思うくれえ、うめえんだ。
(山本 周五郎「さぶ (新潮文庫)」)
#003554
大ボスになるには、ある種の資質を必要とする。正直すぎてはいけない。相手の意見が自分と違っていても、一応聞いてやり、面子を立ててやったうえで、裏でそれを無視し自分の意見を平然と通す、ということが出来なければならない。これにより相手は畏怖心を抱くからだ。
(藤原 正彦「若き数学者のアメリカ (新潮文庫)」)
#003555
自分が誤っていることを確信しながら、どこで誤ったかが分らず、それを見出そうと努力するのは大変辛いことである。
(藤原 正彦「若き数学者のアメリカ (新潮文庫)」)
#003560
きわめて単純なアイデアが、長年にわたる難問を一挙に解決するということは、数学の世界でもしばしば見られるが、それは、痛快であると同時に、自分がそれに気づかなかったという点で非常に不愉快なことだ。
(藤原 正彦「若き数学者のアメリカ (新潮文庫)」)
#003561
生産性というものは結果であるのに、原因だと見ている人が多い。
(K.ブランチャード「1分間マネジャー―何を示し、どう褒め、どう叱るか!」)
#003562
働きたかった。夢中で身体を動かしたかった。そうしているあいだだけ、心の内に寄せては返す底深い悲しみや苦い後悔、己を責め人を詰る苦しい思いを忘れることができる。
(宮部 みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)」)
#003568
月日を数えてみるならば、事が起こったのは半年前だ。あれから今まで、自分はどうやって暮らしてきたのだろうと、呆れるような気持ちになる。
(宮部 みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)」)
#003571
ただ「いい話」だと思っているうちはまだ余裕がある。「飛びついて握りしめないと、たちまち他所へ逃げてしまういい話」となると、余裕も思案も吹き飛んでしまう。
(宮部 みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)」)
#003574
亡者はいる。生者の胸の中に。浄土もある。生者の胸の中に。そんな易しいことならば、誰がこうして苦しむものか。
(宮部 みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)」)
#003575
ひとつ悪いことがあっても、それがどんな悪いことであっても、だからってみんな駄目になるわけじゃございません。
(宮部 みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)」)
#003577
それでも、あたしが知っていると思っているあなたのお話と、あなたの胸の奥にあるお話とは、きっと違うと思うのです。
(宮部 みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)」)
#003579
死ぬ気になればなんでもできる。それはまあ、昔から言われてきたことである。しかしそれが実感できるのは、なんと死ぬ気になった時だったのだ。
(筒井 康隆「壊れかた指南 (文春文庫)」)
#003580
こういう現実離れした人間には今までに二度ほどお眼にかかったことがある。
(筒井 康隆「壊れかた指南 (文春文庫)」)
#003581
なあに、今はどんなやつだって、何とか生きていける世の中なんだよ。
(筒井 康隆「壊れかた指南 (文春文庫)」)
#003583
子供が子供を育てているのだから孫がああなるのも道理というものである。
(有川 浩「三匹のおっさん (文春文庫)」)
#003586
物理的な過ちより気持ちが動くほうが厄介なことはままある。
(有川 浩「三匹のおっさん (文春文庫)」)
#003588
「……ね、何であの年代の人たちってちゃんと好きって言わないんだろうね」
「今さら照れくさいんじゃない?若くても照れて言えない奴いっぱいいるじゃん」
(有川 浩「三匹のおっさん (文春文庫)」)
#003590
ガキが間違うのは当たり前だ、ガキが間違ったら親はガキがションベンちびるほどガッツリ怒って、こりゃあ悪いことだと教えてやらなきゃ駄目なんだよ。
(有川 浩「三匹のおっさん (文春文庫)」)
#003594
アイデアがあるなら試せばいい。実験で結果を得るほうが、僕なんかのアドバイスを聞くより、よっぽど有意義だ。
(東野 圭吾「ガリレオの苦悩 (文春文庫)」)
#003595
我々は他人だった。血の繋がりはあっても、心の繋がりがなければ家族じゃない。そうは思わないか。
(東野 圭吾「ガリレオの苦悩 (文春文庫)」)
#003598
真似を馬鹿にしちゃいけない。とりあえず真似てみる。そこから独自の一歩を踏み出す。それが研究のセオリーだ。
(東野 圭吾「ガリレオの苦悩 (文春文庫)」)
#003601
不幸比べをするのなら、世の中にはもっと過酷なことだってあろう。それでも生きていくのが人というものだ。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003602
「どなたかお一人が言い出したことに、皆様で合わせてしまったのでしょう。あるいは、語り合ううちに、本当に同じ夢を見たと思い込んだのかもしれませんが」
「その夢が、そのときはみんなにとって必要だったから?」
「そのように、わたくしは思います」
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003603
思えば我らは、今も幽霊を背負って生きているようなものなのですから。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003604
子供というのは、存外、理詰めの生きものなのですよ。大人が偉そうに説教をぶちながら、言うこととやることが違うと、すぐ見つけてやりこめるでしょう。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003605
胸のつかえは、人に語ることでおりるものでございますわ。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003606
怪力乱神をみだりに語るのではなく、きちんと語る。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003607
世間に交じり、良きにつけ悪しきにつけ人の情に触れていなくては、何の学問ぞ、何の知識ぞ。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003608
でも――時がかかるものは、かかるのだ。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003609
おれは渡り鳥だ――そう思った。
行きたいところへ行き、好きなように生きるのだ――そう思った。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003610
何が神だ、何が仏だと侮っていた。これまで一度でも、神仏が飢える我らに慈悲を垂れてくれたことがあったか。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003611
あなたのお心の中にも暈がある。容易に晴れず、またあなたも容易に晴らすことを望んでおられぬ暈がな。
(宮部 みゆき「あんじゅう (新人物ノベルス)」)
#003614
だけど僕は科学者だからね。心理的に不自然な説と物理的に不可能な説では、どちらを選ぶかと訊かれれば、多少抵抗はあっても前者を選ばざるをえない。
(東野 圭吾「聖女の救済 (文春文庫)」)
#003617
「あまり歓迎されてはいないようですね」
「この稼業をやってて、人に歓迎されたことなんてあるのか。こっちの要求が通っただけ、ありがたいと思わないとな」
(東野 圭吾「聖女の救済 (文春文庫)」)
#003621
あんたはどうしてそんなにいろいろなことを知ってるの?どうしてそんなことを考えるの?
(小川一水「天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003622
それが報いとなるわけです。あれだけの善意にまるで気づかなかった、あなたの鈍感さへの。
(小川一水「天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003623
みんなあっという間に変わってしまう。まったく、手に負えないったらないわ。
(小川一水「天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003624
だが、断言しなければならないのはそれが可能だからであり、可能であることは必ず起こるはずだと信じる人がどこの国にも山のようにいた。
(小川一水「天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003625
善意とはあてにするべきものじゃないのよ。
(小川一水「天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003630
ほめ上手であるだけで、驚くほど多くの問題が解決してしまうことに気づいている人は、世の中を他人よりも楽に渡っていくことができる人です。
(酒井穣「はじめての課長の教科書」)
#003633
おれがいいかげんな洒落で君の悩みをごまかそうとしていると思うか?
ごまかしているのである。
(森見 登美彦「恋文の技術 (ポプラ文庫)」)
#003640
ああ、みんなで幸せになりたいものです。
もし、それが許されないことならば、せめて自分だけは幸せになりたいものです。
(森見 登美彦「恋文の技術 (ポプラ文庫)」)
#003642
悪い男がいたら、全員で踏みつぶしてやればいい。しかし、ただ不器用なだけの男を誤解して必要以上にいじめてはいけない。本質を見抜くことである。
(森見 登美彦「恋文の技術 (ポプラ文庫)」)
#003645
だから、我々はもっとどうでもいい、なんでもない手紙をたくさん書くべきである。さすれば世界に平和が訪れるであろう。
(森見 登美彦「恋文の技術 (ポプラ文庫)」)
#003648
こだわりとはいわば、その人の文化そのものである。こだわりをこだわりで掘り下げるという行為は、実は相手への最高の敬意の表し方ではないか、などとふと思う――
(万城目 学「ザ・万遊記 (集英社文庫)」)
#003655
病弱の妻が姉妹に出した手紙にこういう一節がある――
「近ごろわたしは、夫のいうように、本当に天使になったような気がしはじめました」。
(デール カーネギー「人を動かす 新装版」)
#003661
普通、疑われるようなことは隠すものだわ。嘘をつく人はね。あなたは誠実な人。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003662
あんた本当にバカばっかりいっているのね。私もバカは嫌いじゃないけど、あんたの打球にはさすがにグローブが届かないわ。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003664
結果には必ず原因がある。いわゆる因果というやつだ。原因を突きとめたところで彼らの症状が改善される保証はないが、さじを投げるのはそのあとでも遅くはないだろう。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003665
知らなければ知らないで免れる責任もある。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003669
「ありがとう。私、頭悪いから、ゆっくり考えてもいいかしら」
「その言葉であと一〇年はがんばれる」
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003672
問題は閃いた瞬間に進捗度が〇から五〇%に跳ねあがる。そして残りの五〇%は閃きを形にするための肉体労働。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003674
還るべき場所がある、そう思ったときに長さを測る物差しは消える。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003676
巡り会いに誤りというものはないよ。神が与えたことだ。しかしせっかくの巡り会いで、人間があやまちを犯してしまうことはある。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003677
不思議な結果には不思議な原因があるもんだ。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003680
二人が愛し合っていたことは明白だが、「愛」と「愛の結晶」は近似であって等価ではない。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003682
当初の見込みよりも速いペースで役者がそろいつつある。彼らを退屈させないためにも速やかに構想を具体化させなくてはならない。
(三島 浩司「シオンシステム[完全版] (ハヤカワ文庫JA)」)
#003685
「話術でノリを操作してそう仕向ける。そうであってこそ本物だ」
「仕向けるだなんて人聞きの悪い……そんなことしてませんよ」
「だとすれば天然だな、最強だ」
(有川 浩「ラブコメ今昔 (角川文庫)」)
#003692
半分だけ微睡んだまま、もっと考えたいことがたくさんあるのに、とそう思った。もう少し思考を弄んでいたい。眠りたくない。
(小野 不由美「魔性の子 十二国記 (新潮文庫)」)
#003695
誰だって全部の人間に良くしてやれるんならそうしたいさ。しかし順番を決めなきゃいけないときもあるんだよ。全員を好きだってことは、誰も好きじゃねえってことだ。
(小野 不由美「魔性の子 十二国記 (新潮文庫)」)
#003701
あなたは行って、この世界で生きなければならない。
(小野 不由美「魔性の子 十二国記 (新潮文庫)」)
#003702
善良なる人びとよ、貴方の夢に平穏あれ。
(宮部 みゆき「英雄の書(上) (新潮文庫)」)
#003703
逆のあるところには、真もある。
(宮部 みゆき「英雄の書(上) (新潮文庫)」)
#003714
時として人は、ある方向に進むことには優れて熱心なのに、その方向を変えたり、逆戻りする必要が生じたときのことには、まったく備えがない、という間違いをおかします。
(宮部 みゆき「英雄の書(下) (新潮文庫)」)
#003718
語ったところで、信じてはもらえなかったでしょう。信じてもらえなければ、信じてもらえる時がくるまで、やはりあなたは沈黙しているしかなかったでしょう。
(宮部 みゆき「英雄の書(下) (新潮文庫)」)
#003720
そこに、あなたの満足やあなたの慰めを求めてはいけない。あなたにしかできないことを成し遂げるために、あなたは進むのだから。
(宮部 みゆき「英雄の書(下) (新潮文庫)」)
#003722
お許しくださいとは申し上げません。何もかも承知の上で、我らはあなたを送り出した。あなたには嘘と隠蔽を背負わせ、真実は勝手に、こちらでお預かりした上で。
(宮部 みゆき「英雄の書(下) (新潮文庫)」)
#003724
計算高いことを言ってる。これは悪い傾向じゃない。健全な経済観念が戻ってきたということは、健全な日常感覚が戻ってきているということでもあるのだから。
(宮部 みゆき「英雄の書(下) (新潮文庫)」)
#003727
まあ、本を1冊読んだくらいで、できるようになるほど甘い世界じゃないですけどね。
(本田哲也「ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)」)
#003729
「それにしてもお前は変わらんなあ。高校時代からよくそれだけ変わらないでいられるよ」
「若くして完成されていたということかもしれない。大器早成って言いますでしょう」
「そんなことは言わん」
(森見 登美彦「宵山万華鏡 (集英社文庫)」)
#003731
「でもそんなことして、なんの意味があんの?」
「よくぞ訊いてくれた。じつのところ、意味はないね、まったく」
(森見 登美彦「宵山万華鏡 (集英社文庫)」)
#003746
目的地が定まっただけでもこれまでの旅に比べれば格段に先行きが拓けたような気がしていたのに、それでもなお乗り越えなければならない困難がこんなにある。
(小野 不由美「月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#003747
人は結局、自分のために生きるものだから、裏切りがあるのだ。誰であろうと他人のために生きることなどできるはずがないのだから。
(小野 不由美「月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#003752
莫迦やって、それが自分の損になるだけだと分かってても、人はあえて罪に踏み込むことがある。人は愚かだ。苦しければなお愚かになるってことだな。
(小野 不由美「月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#003758
わたしは貧しい人間で、だから貧しい人間関係しか作ってこられなかった。でもここで帰ったら、もっとちゃんとやれると思う。全部一からやり直して、自分が生まれた世界に自分の居場所を作れると思う。愚かだった自分が本当に悔しいから、あそこでちゃんとやり直してみたい。
(小野 不由美「月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#003759
どっちを選んでいいか分からないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。そういうときはどっちを選んでも必ずあとで後悔する。同じ後悔するなら、少しでも軽いほうがいいだろ。
(小野 不由美「月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#003762
あなたは永遠に、わたしのことはわからないわ。
(「拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#003769
真実の愛は劇的ではありません。
(「拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#003771
振り向いてもらえなくても構わない。でもどうか、あなたを好きなままでいさせて下さい。
(「拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#003779
体を変えれば本の読み方だって変化していく。体の方をつくり変えねば決して読めない本もある。
(「拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#003783
謎が明かされていく感覚は、それがどんなものであろうと楽しい。
(「拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#003786
人という器は、あまりに多くの悲しみに満たされると、心を亡くしてしまうのだな――
(夢枕 獏「陰陽師 天鼓ノ巻 (文春文庫)」)
#003787
どこぞの神の振った賽の目が、たまたま合っただけのことであろう。
(夢枕 獏「陰陽師 天鼓ノ巻 (文春文庫)」)
#003788
しかし、一度離れてしまった心は、もう、もとにはもどらぬのだよ。たとえ、おまえがどんなに呪うても、そればかりは無理なのだ。心はやれぬが、生命はあげられたのに。こんなことなら、憑り殺してくれてよかったのだよ――
(夢枕 獏「陰陽師 天鼓ノ巻 (文春文庫)」)
#003799
彼は注目されずに来たのだった。
時とともに薄らぎ、忘れられ、わずかな功績のみが後に残される。
わたしたちが皆、そうであるように。
(宮内 悠介「盤上の夜 (創元日本SF叢書)」)
#003802
おれはもう死者のようなもんさ。死者が、何かを怖いと感じることなんかあるか?おれは、死んでるから強いのさ!
(宮内 悠介「盤上の夜 (創元日本SF叢書)」)
#003805
――そう、この花は、きみが植えたのだったな。ならば、きみはこの名もない花の命を救ったことにはならないか。花は散る。だが、種は風に乗って、幾千、幾万とここにない地に根づいていくことだろう。悩めるとき、あるいは夢にうなされるとき、こう考えてみなさい。自分は、一万の花を救ったことがあるのだと。
(宮内 悠介「盤上の夜 (創元日本SF叢書)」)
#003808
物事には旬というものがあり、旬のときに伸びきっておかなければ駄目になる。
(宮内 悠介「盤上の夜 (創元日本SF叢書)」)
#003810
「気に入られちゃったわねぇ、あんた」
『ちゃった』。まさに『ちゃった』だ。
(有川 浩「クジラの彼 (角川文庫)」)
#003812
ああ。
なんだかちゃんとドラマチックになったじゃないですか。
(有川 浩「クジラの彼 (角川文庫)」)
#003818
心配しなくてもあんた自分で思ってるよりはいい男だからさ。
(有川 浩「クジラの彼 (角川文庫)」)
#003825
努力にも二種類あることがわかった。して楽しい努力と楽しくない努力だよ。
(野尻 抱介「ふわふわの泉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003826
「なんか、ものすごく巨大な過ちを犯しかけてる気がするんです」
「どんな」
「イエスといっちゃいそうな気が」
「じゃあもう答えは出てるんだ。認めたくないだけで」
(野尻 抱介「ふわふわの泉 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003831
間違えても良いんですよ。それが学ぶってことです。たくさんの間違いをしなけりゃ人は学べませんから。あたしにしてみればね、歳を取ってから自分はこれまで何の間違いも犯さなかったなんて言う人ほど信用できません。だって何も学んでないってことですから。
(冲方 丁「OUT OF CONTROL (ハヤカワ文庫JA)」)
#003845
原理・原則は、どのようにユニバーサルなものをめざしても、それを発揮する場は、常に具体的な状況である。
(金井 寿宏「リーダーシップ入門 (日経文庫)」)
#003847
愚痴というものは、ある一定の限度を超えて大きくなりすぎると口から容易に出なくなるものらしい。
(月村 了衛「機龍警察 自爆条項 (上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#003848
気付いてないだけで、俺達はあまりにもものを知らなすぎるのかもしれないなあ。
(月村 了衛「機龍警察 自爆条項 (上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#003851
すべてが無難であるということは、すべてをないがしろにし、侮辱しているということである。
(月村 了衛「機龍警察 自爆条項 (下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#003853
あの人が私に注いでくれた愛情や思いやりに、私はどうやって応えればいいのでしょう?
(月村 了衛「機龍警察 自爆条項 (下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#003855
「きっと何かをたくらんでいるのよ。でなくても打算があるに決まってるわ。好意でしてくれてるだなんて思ってはだめよ」
「打算ってどんな?」
「それはまだわからないけれど――」
「じゃ、とりあえずは好意だと思っておこう」
(小川 一水「天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003857
無政府主義は大昔からあるが、それを実践する方法は長いあいだ存在しなかった。抑圧された人間たちはデモやストライキから革命にいたるまでの、さまざまな手段で権力に抵抗したが、どれも例外なく理想の実現した瞬間から腐敗を始め、血と泥と炎の中に潰えていった。なぜだかわかるかね。結局のところ、人間は孤独では生きられない生き物だからだ。支配されなければ幸福になれない生き物だからだ。
(小川 一水「天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003858
正義のない国家が栄えたことはあります。けれどもそういう国は内と外のどちらかに攻められ、長くはもたずに倒れました。悪が裁かれるからではない。国民自身が正義でないことに耐えられないからです。人は生まれながらに故郷を持つのでないにしても、生まれながらに正義を求める生き物です。だから国家は民衆に正義を示さなければならないし、それよりはるかに困難でも、実際に正義でなければならないのです。
(小川 一水「天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003860
結局のところ、ある種の人が遠くに旅立つのには理由などないし、必要でもない。行くということが最初にあって、すべては後からついてくる。
(小川 一水「天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003864
若いときならやり直しが十分できますが、年をとった後の挫折は取り返しがつかなくなる可能性があります。
おじさんは無理せず、理にかなったことをしましょう。
(青木一郎「40歳からのモテる技術」)
#003865
同じ年頃の子供がよく考えるように、彼もまた自分は異分子なのかもしれない、と思うことがよくあった。――そして、それはやはり真実だったのだ。
(小野 不由美「風の海 迷宮の岸 十二国記 (新潮文庫)」)
#003869
なれど、正しい方法が必ずしも最良の方法ではないことを、学ばれる必要があらっしゃる。
(小野 不由美「風の海 迷宮の岸 十二国記 (新潮文庫)」)
#003871
誰にとっても自明の話は聞いていて耳に心地よく響くのですが、意味がないことには変わりありません。
(楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)」)
#003872
法則はないけれども、論理はある。
(楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)」)
#003873
つまり、戦略とはdoing different thingsであり、doing things betterではないという発想です。
(楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)」)
#003874
目標があって目的がない。それは作業であって仕事ではない。
(楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)」)
#003875
戦略が合理的な要素ばかりで出来上がっていれば、誰もが同じようなことを考えるので、独走することはできない。だとすれば、「馬鹿な」と思わせる非合理の要素がありながらも、成功してみると人々が「なるほど」とうなずく、これが優れた戦略の要諦だ、という話です。
(楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)」)
#003879
真実の中にわずかだけ嘘が混じっているというのはいけません。そこだけが浮かびあがって破綻を招くきっかけになるのです。百パーセントの嘘というのは、それが嘘であることをなかなか証明できないものなのです。
(東野 圭吾「犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)」)
#003880
《理解していること》と《説明できること》の間にはとてもギャップがあります。
(結城 浩「数学ガール ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)」)
#003883
不変なものには名前をつける価値がある。
(結城 浩「数学ガール ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)」)
#003885
原因はわからなかった。考えれば思いあたるふしはあるのだろうが、考えたくないので放置することにした。
(奥田 英朗「ララピポ (幻冬舎文庫)」)
#003889
若いもんが評論家なんかになってどうする。ああいう客席から人のやることに難癖つけるような仕事はジジイがやるもんだ。若いもんは舞台に上がるんだ。下手くそだってかまわない。自分の頭と体を使って一生懸命何かを演じなきゃだめなんだ。
(奥田 英朗「東京物語 (集英社文庫)」)
#003891
「言ってねえだろう、そんなこと」
「いや、あたしにはそう聞こえたね」
「じゃあおまえは人の心が読めるんだよ」
(奥田 英朗「東京物語 (集英社文庫)」)
#003897
無能なもの、欠陥のあるものだけが発明をするのだ。
(R.A. ラファティ「昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)」)
#003903
こんなものは悪い夢であってほしいと願っていただろう。そのとおり、悪い夢さ。しかし、だからといってあまり楽観しなさんな。寝覚めは夢よりももっとひどくなる。
(R.A. ラファティ「昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)」)
#003910
子どもが大人と比べてすこし違う種族に属するというのは、よくあることだし、おそらく普遍的なことだろうからね。
(R.A. ラファティ「昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)」)
#003911
ああ、いいの、気にしなくて。みなさんの脳は、ろくに理解してもいない知識でとっくにいっぱいだから。
(R.A. ラファティ「昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)」)
#003912
もし愛情がほしくなかったら、あたしは愛情のしるしをねだったりしないわ。
(R.A. ラファティ「昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)」)
#003914
一見してこれは途方もないアイディアなので、間違いなく反対されるだろうと思っていた。それがあっさり認められてしまったとなれば、首を傾げても不思議はないだろう。
(アントニオ・メンデス「アルゴ (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」)
#003916
「楽しくないと思うんです。ほら、自分のことばっかり話す人っているじゃないですか」私は言いました。
「まあ、いるわな」
「あれって、会話だと思いますか?」私は聞きました。
「まあ、ちがうわな」
(NHK_PR1号「中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?」)
#003918
その声には真実と、岩のように固く非情な勝利感が轟いていた。守ってくれるはずのすべての人々に見捨てられた最大の窮地において、彼女は自分が自分を見捨てる必要のないことを知ったのだ。なんと力強い学びであったことか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003920
おそらく彼はただ、これまであまりにも多くを失ってきたがゆえに、ちょっとやそっとで誘惑されることがないだけなのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003922
過ちを認めない者は、それをくり返す運命にあるのだろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003925
「いえ……お気になさらないでくださいませ。なんでもありませんわ。愚かなことですの」
「愚かかどうか判断するのはわたしにお任せなさいな」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003926
ですがあの人も歳をとってましになりましたよ。あの頃はまだ青二才でしたからね。そしてわたしもまた、少しはましになったと思っているんですよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003928
愚かで利用されやすいお方だ。それがある種の人間にとっては理想的でもある。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003934
あんたたちの言葉を話していると、ものすごく頭が悪く聞こえるんじゃないかと心配だ。自分の国の言葉だったらもっとましなんだが。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003935
「ああ、それはすばらしい!めでたい!だがあんたは幸せそうじゃない。女はあんたを愛していないのか」
「それは……わからない。わたしたちはいろいろな問題を抱えているので」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003938
恋愛ならば、もう少し楽しいことがあってもよいと思うが。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 上 (創元推理文庫)」)
#003939
悲観や憂鬱にばかりとらわれているのが現実を見ることではありませんわ。ほかのものもすべて現実ですの。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003940
人は嘘をつきます。自分自身を、そして他者を、欺こうとします。何かの影響で、もしくは恐怖から、あるいは確信をもって、見てもいないものを見たと信じこむのです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003942
何事であれ、人は好きなことを主張できます。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003951
背後には不首尾があり、行く手にはおそらく破滅が待っている。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003954
「わたしはあなたの妻になろうとしたわ」彼女はささやいた。「なのにあなたは一度としてわたしの夫になろうとはしてくださらなかった」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003955
海で嵐にあって船が山のような波にのりあげ、正気の男たちすべてがロープにしがみついて悲鳴をあげているときにも、この男はきっとこのように笑っているのだろう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003958
たとえいまおれが父親になったとしても、完全な頼もしさなど与えることはできない。父がいつも与えてくれたあれは幻にすぎなかった。いつかそれに気づいたとき、おれの子供たちもおれを許してくれるだろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国 下 (創元推理文庫)」)
#003959
押し潰すほどの重量で肩に伸しかかっていたものがあったことを、やっと知った。それが消え去ったいまになって。
(小野 不由美「東の海神 西の滄海 十二国記 (新潮文庫)」)
#003960
「五十歩百歩という言葉を知っているか?」
「似たようでも五十歩の差は確実にあるって意味だろ?」
(小野 不由美「東の海神 西の滄海 十二国記 (新潮文庫)」)
#003965
できた子だ。できぬことなどない。理を知り情を知り、利発だとも。だが、あれにはたった一つ欠けたものがある。己の失敗を認めることができんのだ。
(小野 不由美「東の海神 西の滄海 十二国記 (新潮文庫)」)
#003969
身の丈に合わない地位についちまった不幸は、よく理解してるつもりだ。俺がそうだからな。だが、いっぺんついちまったもんは、もうどうしようもない。背負っちまった自分が馬鹿だったと思いながらでも、とりあえず職分を果たすしかないんだよ。
(「グイン・サーガ・ワールド5 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003970
よいことですよ。まだ形をなさぬ未来をあれこれ思って、希望を託されることすなわち、もっと生きよう、もっと元気になってその日をむかえようとの欲がでてまいられた何よりのあかし。
(「グイン・サーガ・ワールド5 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003973
……まあ、よくやってくれる奴なのは否定しねえけどな。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド 6 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003975
ああいう方を生み出すのも神であるなら、その方をこの世から奪い去るのも神――そう思うしかないのでしょう。
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド 6 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003976
「いったい、この世に正義なんて、あるんですか?」
「さあ――ぼくはあると信じてはおりますが……」
(栗本 薫「グイン・サーガ・ワールド 6 (ハヤカワ文庫JA)」)
#003981
自分の中にこんなに水があるなんて知らなかった。
全部溢れて涸れて死んでしまえばいいと思った。
(有川 浩「植物図鑑 (幻冬舎文庫)」)
#003984
神様は意地悪だから熱意のある者に一等賞をくれるとは限らない。
(有川 浩「植物図鑑 (幻冬舎文庫)」)
#003985
「……やっぱり、けっこう根に持ってる?」
「持ってないと思える根拠がどこにあるの?」
(有川 浩「植物図鑑 (幻冬舎文庫)」)
#003989
ぴん、ときたときは、あとさき考えずに動くべし。
(田中 啓文「鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)」)
#003990
馬鹿者。ひらめいたら、なぜすぐ動かぬ。考えるまえに走れ。たとい違うていても、あとで悔やむよりずっとましではないか。
(田中 啓文「鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)」)
#003991
欠点がある人間を友人とするのも善行の一つだ。
(伊坂 幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)」)
#003998
今さらこんな話をしたところで、公開のとっくに終わった映画について、「あの映画、実は面白かったらしいよ」なんて喋っているのと同じだろうが。手遅れだ、手遅れ。
(伊坂 幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)」)
#004006
「あなたは何でも知っているのね」
「年寄りだからね」
(万城目 学「かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)」)
#004009
私は勇敢な理想主義者であるよりも、無能な臆病者であるべきだったんだ……。
(上田 早夕里「華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004016
仕事はまだまだ残っている。あんたの負担にならないことをやってくれればいい。ここは、あたしたちに任せておくれ。
(上田 早夕里「華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004017
どうしてもだめだというのなら他の者に頼みますが、現時点では、わしらはあなたを第一に選びます。ご一考下さい。
(上田 早夕里「華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004019
現場の末端部にものすごい負担をかけて組織の欠陥をカバーさせるというのは、本来、あまり誉められた方法じゃないんです。ガタガタに崩れて機能不全に陥っている組織を、現場の過酷ながんばりだけで延命させてしまうというのは……。それを美談のように語ってしまう風潮を、私はあまり好きになれなくてね。
(上田 早夕里「華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004022
扁桃体や前頭葉の調子とは関係なく、決めねばならないこともあるんだ。
(上田 早夕里「華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004023
心配してくれてありがとう。だが、おれもいい歳をした大人だ。家族だけでなく、他人を守ることも忘れたくない。
(上田 早夕里「華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004029
あまりにも張り詰めた生き方をしていると、ある日ぷつんと切れてしまう。
(上田 早夕里「華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004036
この世界では、固定された理想など何の役にも立ちません。世界はバランスで動いている。必要なのは、そのときどきで、臨機応変にバランスを取ることです。そうしなければ何も為し得ない。自分の生き残りすら危うい。しかし……そうやって育てたバランス感覚から見ても、どうしても、これだけは守らねばならないとわかる物事はあるものです。
(上田 早夕里「華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004037
「――純粋に、損得勘定から、ものを言っているのかね」
「その通りです。私には美しい理想などありません。他人に誇れる倫理もありません。長い目で見るか、短い目で見るか。その違いを話しているに過ぎません。しかし、基本、それでいいような気がするのです」
(上田 早夕里「華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004041
誰の人生にも、いくつかの分岐点がある。君はいま、ちょっとわき道へ入り込んだだけだ。そこを進むための努力を、まだ始めてもいないじゃないか。ゴールはまだ遠い。はるか彼方に、霞むように見えているだけだ。だから、一緒にがんばろう。
(上田 早夕里「華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004063
知らぬが仏だよ。知ったから頭にくるんであって、知らなければ世は事もなし、あんたの日常になんの変わりもない。
(神林長平「敵は海賊・海賊の敵 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004065
あんたの問題はおれの問題になって跳ね返ってくるんだからな、もう。いつだって、そうだ。
(神林長平「敵は海賊・海賊の敵 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004068
満足できようとできまいと、公平な人生などあり得ない。
(神林長平「敵は海賊・海賊の敵 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004073
おまえ、もう、なんと言っていいかわからないが、稼いでいるだけのことはある。
(神林長平「敵は海賊・海賊の敵 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004078
心底殺したいと思いながら、他のことをするべく悪あがきするのが、人間だと思いますよ、マダム。
(小川一水「天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004079
どれもこれも誰が見ても愚行であるのは間違いないが、死に物狂いの、他にどうしようもなくなっての、痛々しいほど真摯な思いのこもった愚行ではあった。
(小川一水「天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004087
惚れ惚れするくらいに大人げがなく、いっそのことああいう大人になりたい、と思ったのを思い出す。
(伊坂 幸太郎「グラスホッパー (角川文庫)」)
#004088
「あんたも永遠に、通行人に声をかけているつもりはないんでしょ」
「そりゃまあ」と曖昧に返事をした。「永遠って、長いですし」
(伊坂 幸太郎「グラスホッパー (角川文庫)」)
#004092
うるせえなあ。情報と馴れ合いってのはな、いろいろと役立つものなんだよ。
(伊坂 幸太郎「グラスホッパー (角川文庫)」)
#004100
威張るから威厳があるのか、それとも威厳があるから威張るのか、そういう役にも立たない懐疑が湧き出してくるのを問答無用で抑えつけてしまうものこそ、本物の威厳というものだ。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004101
もはや不条理の領域へと雄々しく足を踏みこんだ、その根拠不問の信念こそ、母を母たらしめ、ひいては我らを我らたらしめるものだったのである。
我らの父は偉大であったが、母もまた偉大であった。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004102
世に蔓延する「悩みごと」は大きく二つに分けることができる。一つはどうでもよいこと、もう一つはどうにもならぬことである。そして、両者は苦しむだけ損であるという点で変わりはない。努力すれば解決することであれば悩むより努力するほうが得策であり、努力しても解決しないことであれば努力するだけ無駄なのだ。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004104
喰うからには旨く喰ってあげる。これは喰う者の義務だ。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004106
一つの大きなサヨナラが、遺された者たちをつなぐこともある。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004109
「それは相乗効果さ」
「ソージョーコーカってなあに?」
「運命の出逢いということだ。そうなると何でもうまくいくものだ」
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004110
ない知恵を絞り、わざわざ工夫を凝らして自滅するのは、子どもの頃から変わらぬ彼らの常套手段である。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004112
浮かれ騒ぎというのは、根拠がないところに味がある。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004113
また、これだよ。どこまで役に立たなければ気が済むんだろうなあ俺は!
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004116
長い長い一日の出来事を思い返してみたが、何がどうなったのか分からない。しかし分からなくても問題はない。丸く収まったとは到底言えないにせよ、収まったことは収まったのである。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004117
「目標を絞らなくては、叶う願いも叶いませんよ」
「じゃあね……運命の人に会えますようにってお願いするわ」
「また可愛い子ぶって、そんなことを言う!」
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004118
我ら一族とその仲間たちに、ほどほどの栄光あれ。
(森見 登美彦「有頂天家族 (幻冬舎文庫)」)
#004120
あれは思い出なんていう可愛らしいものではなく、心の傷に近い。
(伊坂 幸太郎「チルドレン (講談社文庫)」)
#004121
原因やきっかけがどうであれ、不自然な言葉遣いを続けていると、人間関係はおかしくなる。呼び方や敬称から力関係はできあがる。
(伊坂 幸太郎「チルドレン (講談社文庫)」)
#004123
黄金時代が現代であったためしはない。
(伊坂 幸太郎「チルドレン (講談社文庫)」)
#004136
真剣な発言をユーモアだと誤解されるのは、不本意だった。だいたいが、どのあたりが可笑しいのか、自分が理解していないものだから、次の会話に生かすこともできない。
(伊坂 幸太郎「死神の精度 (文春文庫)」)
#004139
気が利いているようでいて、実のところ何も言い表していない、という台詞を私は言ってみる。こういう空虚な言葉が、間を埋めることはよくある。
(伊坂 幸太郎「死神の精度 (文春文庫)」)
#004148
善人が不幸せなのは我慢できない。善人にはそれに見合った幸運があるべきだと思うのよね。
(山本 弘「詩羽のいる街 (角川文庫)」)
#004149
夢の九九パーセント以上は、潰える定めにある。
(山本 弘「詩羽のいる街 (角川文庫)」)
#004151
誰かにとって価値のないものでも、ちょっと見方を変えたら、他の人の役に立つことがあるの――ものすごくね。
(山本 弘「詩羽のいる街 (角川文庫)」)
#004153
失敗したけど、危険だって分かっただけでも、やった価値はあったよ。
(山本 弘「詩羽のいる街 (角川文庫)」)
#004157
どれも違う――そんなのは他の多くの人間も経験していることだ。俺が特殊な生き方をする人間になった原因ではありえない。じゃあ、いったい原因は何だ?いくら考えても分からない。
(山本 弘「詩羽のいる街 (角川文庫)」)
#004164
まあ、こういう男の人が、真面目なことを言っても説得力ないですよね。
(伊坂 幸太郎「魔王 (講談社文庫)」)
#004165
俺がもしまだ二十代前半の、もっと正式な青二才であったなら、と夢想する。
(伊坂 幸太郎「魔王 (講談社文庫)」)
#004167
世界とか環境とか大きいことを悩んだり、憂慮する人ってのは、よっぽど暇で余裕のある人なのかもしれない。
(伊坂 幸太郎「魔王 (講談社文庫)」)
#004173
悪徳の不動産屋も結婚詐欺師も、戦争をたくらむ大統領も、最初の一言はみんな、「相談したいことがある」だと思う。
(伊坂 幸太郎「砂漠 (新潮文庫)」)
#004178
セオリーなんてね、そんなもんですよ。セオリーは当てにならない、っていうセオリーだってありますよ。
(伊坂 幸太郎「砂漠 (新潮文庫)」)
#004180
たぶん、男はね、色気を強調する女を侮る傾向がある。
(伊坂 幸太郎「砂漠 (新潮文庫)」)
#004181
人にあげる物は自分がもらって嬉しい物にしなさい、って習わなかったのかよ。
(伊坂 幸太郎「砂漠 (新潮文庫)」)
#004185
日本の多くの会社は、時給800円でアルバイトする若者が仕事をサボることは叱るくせに、時給換算でその何倍もの人件費を支払われている人間が会議で不毛な時間を過ごすことに対しては思いのほか無頓着である。
(西内 啓「統計学が最強の学問である」)
#004189
過去からの成長ってのはいろんな形があるらしいですね。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 上 (創元SF文庫)」)
#004192
この世が不公平だってことにいまごろ気づいたのなら、あなたは時代遅れよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 上 (創元SF文庫)」)
#004197
両親に払い戻すことはないのよ。そんなことできない。両親に対する負債はあなたの子どもの手で回収され、その子どもが次に渡すのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 上 (創元SF文庫)」)
#004199
わたしは二度とあそこには戻りたくない。二度とあそこに行かせないで。
わたしがのびのびとしていられるのは、どこにいるときなんだろう?
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 上 (創元SF文庫)」)
#004203
あなたは以前に、二度と自分には嘘をつかないでくれといいましたね。では、そうします。真実をいうのがいま最善のことでなくても、もっとも賢いことでなくても、そしてへりくだったお詫びとしてじゅうぶんでなくても。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 上 (創元SF文庫)」)
#004204
ぼくはあなたに勝利を贈りたい。けれどもその基本的な性質からいって、勝利は与えられるものではない。自分で手に入れねばならないし、確率が悪いほど、そして抵抗が激しいほど、名誉は大きくなるのです。勝利は贈り物にはできません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 上 (創元SF文庫)」)
#004217
いまは以前のわたしではありません。もう戻れないわ。変わった自分も好きとはいえません。それでもまだ……そのままです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 下 (創元SF文庫)」)
#004218
どうしてあなたはぼくに我慢できるんだろう。自分でも自分に我慢できないのに。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 下 (創元SF文庫)」)
#004219
あなたといつもいっしょにいたい、わたしを上手に笑わせてくれるんですもの。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 下 (創元SF文庫)」)
#004223
美しさはひとつきりじゃありませんよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「任務外作戦 下 (創元SF文庫)」)
#004226
あなたは伝えたいのであって、騙したいのではないのだから(たぶん)。
(Bruce Frey「Statistics Hacks ―統計の基本と世界を測るテクニック」)
#004230
人が幸せであるのは、その人が恵まれているからではなく、ただその人の心のありようが幸せだからなのです。
(小野 不由美「風の万里 黎明の空(上) 十二国記 (新潮文庫)」)
#004233
その自分ですらさあ、好きになれないような人間を、他人に好きになってもらうなんての、ものすげえ厚かましくない?
(小野 不由美「風の万里 黎明の空(上) 十二国記 (新潮文庫)」)
#004236
「ねえちゃんって、性格悪い」
「悪かったわね。あんただって充分悪いわよ。そういう人間は滅多なことじゃ死なないの」
(小野 不由美「風の万里 黎明の空(上) 十二国記 (新潮文庫)」)
#004240
忘れたいのに忘れられねえ嫌なことがある。喜びたいのに喜べねえことがある。俺はそういう状態がしんどくて嫌なんだ。
(小野 不由美「風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#004245
――儂は道を貫いたつもりじゃった。だが、道とは他者の命を犠牲にするものではあるまい。ならば、儂の貫いたものはなんだったのじゃろうな。……この歳になっても、まだこうして迷う。
(小野 不由美「風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (新潮文庫)」)
#004248
ごめん、もう一回お願い。いえ、あと三回。
(小川 一水「コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)」)
#004251
優柔不断の決定戦があったら、あんた、絶対一番だね。
(伊坂 幸太郎「終末のフール (集英社文庫)」)
#004254
あー、それ知ってますよ。世界にはいろいろな悪意があるんです。
(伊坂 幸太郎「終末のフール (集英社文庫)」)
#004268
あれもだめ、これもだめっていわれたら、組織とおさらばして自由に行動したくなります。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004269
それはたとえ思いを一つにしても容易には実現しない。思想が二つあっては多すぎる。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004273
「今の私には運命に抗う気力というものがありませんから」
「抗わなければ普通は落ちて行くものだがな。キミの場合は登って行く」
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004274
「世の中には話し合いで決着しない問題もあるということです。戦争が外交の一形態として正当化されているように」
「正当化はされていないと思うけどな」
「ボクシングと同じく、戦争にも国際ルールがありますから、つまりは正規の解決手段として認められているという意味です」
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004280
人それぞれに立場がある。責任がある。忌避感がある。そして勇気がない。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004281
人の姿は真にあらず。本当の姿は影に映るものよ。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(上) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004285
慣れは動作の記憶を省いてくれるが、あてにしすぎると必ず失敗を招く。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004287
せっかちなところ、変わってないわね。あの年でもう変わるわけないか。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004291
あちらの顔を立てればこちらの顔が立たない。良好な人脈を作った数だけ恨みを買う。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004292
今日まで一か八かを勝ち抜いてきた。だからこそ今の地位がある。純粋な実力だけならば自分よりも優秀な人間は周りにいくらでもいる。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004295
神は救いを与える存在にあらず。畏怖するべき対象だ。しかし文明の進歩によって地球の神は相対的にだらしなくなってしまった。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004297
自尊と羞恥は相互一対だ。恥ずべきところがあるから胸を張れない。逆に胸を張れるようになって初めて恥部に気づく。いや……、ここは正直にいうべきところだな。胸を張る余裕が生まれてこそ恥部を認められる。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004301
自分じゃなきゃいけない。自分がやってやる。それがたとえうぬぼれや傲慢であっても、てっぺんに立つ人間というのは必ずそういった錯覚を持っている。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004304
「お前のような人間の土下座に価値などないわ!」
「ボクの人生初だ!そしてこの先の人生でも二度と土下座はしない!最初で最後をあんたにやる!あんたほどの人間なら、この意味が分かるはずだ!」
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004311
世界の成り行きとは、世界を変える力のない人間のささいな選択から生じてゆくこともあるのだ。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004314
「今はどっちに似ようかってこいつも迷ってるところだ」
それは生まれて早々に大変な悩みだ。二人のいいところを一人では持ちきれない。大きな人間へと成長してゆく必要があるだろう。
(三島 浩司「ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)」)
#004326
しかし、わが若き友よ、わしはいまから生涯でもっとも華々しい場面に立つ。まあ、その他大勢の一人としてじゃがな。こういうときは、心にもなくとも、祝いの一言がほしいもんじゃ。
(森岡 浩之「星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)」)
#004328
たまにいるのよ、自分ではあんまり守るつもりがないくせに、他人が秩序を破ると怒るやつ。
(森岡 浩之「星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)」)
#004329
ううむ、わかった。いや、ほんとうはよくわからぬが、わかるほかあるまい。
(森岡 浩之「星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)」)
#004331
そう、彼の宿命はいま、ここにある。
(森岡 浩之「星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)」)
#004332
明日は今日よりも悪い。あらゆるものの中で明日が一番悪い。明日はやがて今日になるのだから――今である今日に。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004333
これで妻が私の身を案じることをいくらかでもやめてくれれば――私が愉しいと思うことより私のためになることをするよう言いくるめようとしないでいてくれれば――まさに天国なのだが。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004334
わたしって性質の悪い人間なの。あなたもそうよ――あなたはそれを隠してるみたいだけれど。だから、わたしたち、うまくいってるんじゃないの。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004335
これは私の個人的な見解だが、私はハンサムな男はいっさい信用しない。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004336
きっと女のせいだと思っているのだろう。若い男が落ち込んでいると、誰も彼も女のせいだと思い込む。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 II 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004337
すごく正直に言うと、この会社での自分の仕事にはあまり興味が持てないんです。自分が今してることが得意なのは分かっています。そういったこと全般がね。でも、気持ちが向かっていかないんです。それは今の仕事が自分の一番やりたいことじゃないからです。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 II 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004338
おお、主よ、われらに強さを――自分の子供たちを飢えさせる強さを与えたまえ。
(ロアルド・ダール「あなたに似た人〔新訳版〕 II 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕」)
#004339
口を閉じて、座って見てなさい。女はね、あんたたち男の知らない方法で、いくらでも化けられるのよ。
(「グイン・サーガ・ワールド7 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004340
したいことなら山のようにあった。なのにできることは数えるほどしかない。
(「グイン・サーガ・ワールド7 (ハヤカワ文庫JA)」)
#004342
この世は謎に満ちあふれている。ほんの些細な謎であっても、それを自分の力で解明できた時の歓びは、ほかの何物にもかえがたい。
(東野 圭吾「真夏の方程式 (文春文庫)」)
#004346
――科学者が行き詰まるとき、その原因は研究自体にではなく、環境や人間関係といった研究とは関係のないことにある場合が殆どなんだ。
(東野 圭吾「真夏の方程式 (文春文庫)」)
#004350
今すぐには答えを出せない問題なんて、これから先、いくつも現れるだろう。そのたびに悩むことには価値がある。しかし焦る必要はない。
(東野 圭吾「真夏の方程式 (文春文庫)」)
#004352
あなたねえ、毎日一時間もかけて色んなもの顔になすりつけて、夜はまたそれを落とす。人生の大事なお金と時間を無駄に使ってるって思わないの?
(田丸 公美子「シモネッタの男と女 イタリア式恋愛力 (文春文庫)」)
#004355
命あっての恋愛、命あっての勉学よ。
(田丸 公美子「シモネッタの男と女 イタリア式恋愛力 (文春文庫)」)
#004359
ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。
だから、将来はきっとえらい人間になるだろう。
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004361
ぼくは彼としゃべるたびに、自分はおしゃべりすぎると反省の念がわいたりする。それだから、これからは寡黙になるぞと決意をあらたにするのだが、がまんできないのは困ったことである。
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004366
友だちに大事なことをだまっているのはあまり良いことではない。
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004367
・・・・・・いやだけれどもがまんしなくてはいけないことがあるね、人生には。
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004370
「君にはまだまだ勉強することがあるね」
「認めざるを得ません」
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004371
「問題がいくつも出てきた。どれもたいへんむずかしい」
「それは解決に近づいているのかもしれないぞ」
「なぜ?」
「それらの問題の正体は、けっきょく一つの問題かもしれないからさ」
「そういうことがあるの?」
「そういうことがあるね」
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004372
でも、世界には解決しないほうがいい問題もある。
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004374
「父さんは世界には解決しないほうがいい問題もあると言ったね。ぼくの取り組んでいるのがそういう問題だったら、ぼくは傷つくことになると」
「父さんはそう言った」
「それがぼくにはわかるような気もする。でも解決しないわけにはいかなかったよ」
(森見 登美彦「ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)」)
#004379
まあ、腰抜かさないように心の準備をしといたほうがいいよ。多分、爆弾を投げ込みに来るから。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004381
だけど、成功ばっかり重ねてああなってるわけでじゃない。クローズアップされるのは成功例ばかりだけど、失敗だってたくさんしてる。だけどそこで守りに入らない。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004383
あるのが当たり前と思っていたらその価値を見失う。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004387
こんな君の声を前にも聞いた。意地の張り合いになって君を置いて帰ろうとしたあのとき。
今回も俺がバカで短絡なせいでそんな声を出させてるならよかったのに。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004389
あなたが納得するかどうか知らない。ただ俺たちは、誰がいてもいなくても自分たちの全力で踊るだけだ。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004390
頑張りたくなっちゃったんですよ、あんたたちのせいで。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004392
あっちでも逃げ、こっちでも逃げ。今日は散々だ。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004397
でもそういうのって口に出さなきゃ意味ないんだよな。大事にしまい込んでてそのまま賞味期限切れになることってままあるから。言霊ってあるだろ、口に出して誰かに聞かせりゃ何か動き出すことがある。
(有川 浩「県庁おもてなし課 (角川文庫)」)
#004405
ちょっと踏み込んで知ろうとすればすぐ分かるが、そのちょっとを踏み込む時間が惜しいのが現代人の心情である。
(有川 浩「空飛ぶ広報室」)
#004409
本人にしくじった自覚があって打ちのめされているだけに周囲は手を出しづらいところがある。むしろ自分は悪くないと凝り固まっているほうがほぐすポイントがはっきりしているだけに説得しやすい。
(有川 浩「空飛ぶ広報室」)
#004411
潔癖ではあるけど勝手な責任の取り方だなぁ。
(有川 浩「空飛ぶ広報室」)
#004414
じゃあ、どう言えばいいんですか?あなたのことを「嫌いです」と言えばすっきりしますか?それとも「愛しています」と言えば満足ですか?
(山本 弘「MM9-destruction- (創元日本SF叢書)」)
#004417
君に嘘を言ったことがあるか?確かにひどいことはしたが、少なくとも、君を裏切ったことはなかったはずだぞ。
(山本 弘「MM9-destruction- (創元日本SF叢書)」)
#004428
依怙地なこったな。だが、声ぐらい上げたらどうだ。なにやら背負い込んでいる様子だが、それはあんただけで背負いきれる荷なのかい。
(小野 不由美「丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)」)
#004431
「はい、すっかり元気になりました」
ありがとうございます、と添えたが、自分が本当に元気になったのか、元気になったとしたらそれを感謝しているのかどうかは分からなかった。
(小野 不由美「丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)」)
#004440
君の人生は教科書に全部書いてあんのかい?
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 2 (少年サンデーコミックス)」)
#004445
人間のやる事だもの、たま~には失敗する事もあるべさ。ただし命が関わってる時は失敗したらいかんよ。
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 3 (少年サンデーコミックス)」)
#004449
あえて言うなら「のんべんだらりと生きたい」!これが夢だな!
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 3 (少年サンデーコミックス)」)
#004450
「人生とはそういうものなのよ。あきらめなさい」
「それっぽい言葉でまとめるなよ!」
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 3 (少年サンデーコミックス)」)
#004454
「お忙しいところありがとうございました!」
「すみません、俺達の無茶に付き合ってもらっちゃって!」
「なーに、気にするな。大人だって楽しい事は大好きなんだぜ!」
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 5 (少年サンデーコミックス)」)
#004455
家庭はいいもんだぜ。ほかに帰る場所があるわけでもない。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004457
ありがとうございます。判断の正誤がフィードバックされるのは、私たちにとって非情に価値のあることです。どうぞ気をつけてお帰り下さい。やり甲斐のある仕事を、ありがとうございました。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004458
人と、人とそっくり同じ形をした人でないものがあったとして、何が違うのか逆にお主に問いたい。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004459
「敢えて聞く。お前には心があるか」
「ある」
「どうやってその証を見せる」
「あるからこそ、今、それを失うのだ」
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004461
たいして悲しんでいるようにさえ見えない。まあ、毒にも薬にもならん人間の死など、そんなものかもしれない。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004463
状況は異常だが、自分の頭がおかしくなりかけているとは思えない。「気が狂う」以外の、もっとまともで論理的な説明はあるだろうか。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004465
正気が狂気に、ゆっくり姿を変えていく。その時正気はどうなるだろうか。かつては正気だった狂気の側では自分を正気なのだと考え続ける。正気が狂気に切り替わるのだと、狂気に移行しつつある正気のままに主張するのは、狂気の沙汰だ。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004467
この人が「ちょっとした仕事」というとき、それはたいていろくでもない仕事なのである。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004469
つきあう相手の思想がどれほどバカげてても、見ないフリをしなきゃいけないってのは、なんかこう、いまだにもやもやするな。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004471
未来のヴィジョンを人々に提示する職業であるはずの科学者や技術者は、これまでそうした未来像を描くことを不得手としてきた。実際の彼らはおのれの研究分野という限定された視界から未来を見ている。それが真のヴィジョンだと思い上がる。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004472
彼女とのおしゃべりは趣味じゃない。趣味じゃないのだが、数十年に一度くらいの割合で彼女の声を聞きたくなるときがある。
(「極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)」)
#004476
我が家でいちばん偉いひとは、我が家をいちばん嫌っているひとでもあった。
(重松 清「疾走 上 (角川文庫)」)
#004486
酒に酔うというのは、すべてのものの輪郭がぼやけていくことなのかもしれない。と思ったことも、へらへらと笑う端から、あれ、いまなに考えてたんだっけ、と忘れてしまう。
(重松 清「疾走 下 (角川文庫)」)
#004487
子どもはなあ、親を捨てることはできんのん。親も子どもを捨てることはできんのん。ほんまやで。たとえ一緒の家に住んどらんでも、恨みごとしか出てこんでも、やっぱり親子は親子やねん。どないしょうもないほど、親子やねん。
(重松 清「疾走 下 (角川文庫)」)
#004488
「酒、飲めるんだろ、ほんとは」
「……飲めないです」
「飲んだことないのか」
「……はい」
「じゃあ、飲めるか飲めないかわからないだろ」
(重松 清「疾走 下 (角川文庫)」)
#004492
「ひとの命に違いなんてあるわけ?殺してもいいひとと、殺してはいけないひとの区別なんてあるの?」
少し考えて、何度か深く息を吸い込んでから、おまえは答えた。
「殺したい奴と、殺したくない奴の区別は、ある」
(重松 清「疾走 下 (角川文庫)」)
#004494
聖書の時代から、どうしてひとは物語を紡ぎつづけ、語りつづけるのか、おまえたちは知っているか?
ひとは、同じあやまちを繰り返してしまうものだから――だ。
(重松 清「疾走 下 (角川文庫)」)
#004495
そんなの慣れてたつもりだったのに 私 あんまりうれしくて慣れなんて忘れちゃった。
(椎名 軽穂「君に届け 1 (マーガレットコミックス (4061))」)
#004496
私といて楽しいかな?…そうだといいなあ。
(椎名 軽穂「君に届け 2 (マーガレットコミックス (4094))」)
#004500
でも、口じゃそう言いながら、自分はやっぱり嬉しかったです。小さい頃から生意気で、親を馬鹿にするばかりだったのに、こいつは父親の背中をちゃんと見ていてくれたのかなあって。
(月村 了衛「機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)」)
#004503
地獄とはどうやら一つではない。地上の社会と人の数だけあるものらしい。
(月村 了衛「機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)」)
#004505
よくやった。おまえは俺達の仲間だ。俺達の息子であり弟だ。
(月村 了衛「機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)」)
#004509
全面的な肯定はできないし、異論もあるが、理解はできる。
(月村 了衛「機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)」)
#004510
それこそが呪縛であるとも思うし、最後の矜持のようにも思う。
(月村 了衛「機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)」)
#004516
あなたの悲しみは分かる。私も大切なものを失った。だが私はあなたとは違う道を往こうと思う。
(月村 了衛「機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)」)
#004521
こういうできそこないには、できそこないなりの扱い方があるんだよ。
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス)」)
#004531
「控えめでこれって明日からどうなるんだろうな……」
誰かが呟いたが、それは全員に黙殺された。
今から気力が失せそうなことを考えさせるな、という無言の返答である。
(有川 浩「キケン (新潮文庫)」)
#004533
あれは生で間近で見るとやっぱ大したもんだよ。お前も実際に見たらきっと呆然とするよ。
(有川 浩「キケン (新潮文庫)」)
#004537
負けてあんな露骨にむくれるくらい本気で遊びに来てるとこは気に入った。大人たるものああでないと。
(有川 浩「キケン (新潮文庫)」)
#004539
――もうあの場所は俺たちの場所じゃないんだ。
(有川 浩「キケン (新潮文庫)」)
#004540
「いや、女の子と喋るのに肝の太さは関係ないからね。人懐こさはある意味重要かもしれないけど」
「肝っ玉も要るって絶対!」
(有川 浩「キケン (新潮文庫)」)
#004542
全力無意味、全力無謀、全力本気。
――一体あんな時代を人生の中でどれほど過ごせるだろう?
(有川 浩「キケン (新潮文庫)」)
#004544
学生が弄する言辞として、「勉強はあまりしなかった。でも講義では聴けないことをたくさん学んだ」という甘えた言い訳が時折聞かれる。しかし講義では聴けないことを学びたかったのであれば、そもそも大学なんぞに踏み込まぬがよかろう。余はそのような言辞を弄して過去の過ちを正当化しようとはしない。
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004545
余は、自己であるためにいちいち他者の鏡を必要とする軟弱な人間ではない。
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004546
一人でいる時はこんなにステキな俺なのに、なぜ他人が目の前にいるとヘンテコになるのであるか!
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004547
そんなことを言う分からず屋は、呪われてしかるべきであろう。未来永劫、なんだか気になる吹き出物で苦しむがよい!
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004549
彼は人間としての器が小さかった。それはもうたいへんに小さくて、魂の容器としての機能を果せないほどであった。
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004554
どれだけすぐれた人間であっても、その能力を世間に活用することを強制されるいわれはない。絵が上手な人にも絵を描かぬ自由がある。歌が上手な人間にも歌わぬ自由がある。自らの才能を世のため人のために生かすも殺すも自由なのだ。
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004556
人間はね、ちょっと怠け者なところがあると断然可愛くなるな。怠け者過ぎたら手に負えないけど。
(森見 登美彦「四畳半王国見聞録 (新潮文庫)」)
#004559
ああ…俺の座る場所がどこにもない街。
(久住 昌之「孤独のグルメ 【新装版】」)
#004560
だけど あたしの夢を叶えるのは あたしじゃないんだな。
(椎名 軽穂「君に届け 6 (マーガレットコミックス)」)
#004564
過激なことであっても、じゃねえな。過激であればあるほど、みんな、賛成するんじゃねえのかな。
(伊坂 幸太郎「フィッシュストーリー (新潮文庫)」)
#004565
「あんた、結婚しているのか」
「当たり前だろうが。俺が還暦になるまで、何をやってたと思ってんだ」
(伊坂 幸太郎「フィッシュストーリー (新潮文庫)」)
#004575
わたしの一日はこうやってあっという間に過ぎてしまい、その一日の集積である一生も、結局はあっという間に過ぎ去ってしまうのではないか、と感じた。
(伊坂 幸太郎「フィッシュストーリー (新潮文庫)」)
#004580
「で、あいつから、おまえたちが別れたって聞いたんだ。驚いたぜ」
「俺が多分一番驚いたよ」
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004581
あの時も彼女は、自分と一緒にいることがつらかったのだろうか。
いったい、つらくなかったのはいつまでだったのだろう。
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004583
ああ、それは面白そうだ。当事者以外は。
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004584
彼女とかって、付き合ってる時はあんなに一緒で、何でも知ってたのに、別れると、本当に何にも分かんなくなりますよねえ。
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004593
一国の首相が殺されるような事件があっても、仕事はあるんだよ。つまらない仕事がわんさか。地球がなくなっても、会社ってあるんじゃない?
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004596
偉い奴らの作った、大きな理不尽なものに襲われたら、まあ、唯一俺たちにできるのは、逃げることくらいだな。
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004597
「税金を投入して、大々的に導入したあの、偉そうな仕組みって、たかがそんな精度なわけ?」
「税金を投入して、大々的に導入した、偉そうな仕組みってだいたいそんなものなんですよ」
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004599
結局、最後の最後まで味方でいるのは、親なんだろうなあ。俺もよっぽどのことがない限り、息子のことは信じてやろうと思ってんだよ。
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004600
事が起きる前に、準備は済ませる。まあ、基本だよな。
(伊坂 幸太郎「ゴールデンスランバー (新潮文庫)」)
#004609
あたりまえだけど、最高の誉め言葉だ。ありがとな。
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 8 (少年サンデーコミックス)」)
#004610
夢を目指せなくなるのってすごく怖いね…でも、夢があるのにそれを目指さないで、「これで良かったんだ」って一生自分をごまかし続けるのはもっと怖い…よね。
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 8 (少年サンデーコミックス)」)
#004617
正直、後悔もあるんだ。もっとほかの人生があるんじゃねえかってさ。街とか電車とかで、すれ違う奴らを見ると、羨ましくてしょうがねえよ。俺の人生は最低だ、ほかの奴らのようにまともに生きたかったなあ、って思うんだよな。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(上) (講談社文庫)」)
#004635
真剣に物事を伝えるためには、なりふり構わず、主義主張を捨て、普段とは異なる声で喋る必要がある。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(上) (講談社文庫)」)
#004644
昔は考えたこともなかったですが、理解してくれる読者が一人いれば、それで充分なところはあるんです。たぶん、物を作る人には、自己顕示欲と創作欲が両方あるんでしょうけど、自己顕示欲を捨てれば、読者の数は一人でも平気です。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004647
人は一度、説明を受けるとそれをありがたい真実だと受け入れるところがあります。その後ろ側に本当の真実が隠れていることに気付かないものなのです。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004650
あなたはまだ実感ないだろうけど、人に会えるのはね、生きている間だけだよ。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004653
あなた、ロボット?充電式?じゃないわよね?だったら、考えるのよ。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004662
「俺の喋っているのは嫌味じゃない」
「じゃあ、何なんですか」
「遠まわしに、意地わるく、弱点をついているんだ」
「同じじゃないですか」
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004664
世の中に、一番悪い奴なんていないけどね、悪いことをした奴に少しずつ仕返ししていくやり方はあるの。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004665
アリは賢くないが、コロニーは賢い。あの言葉を思い出す。こうも言える。人には良心があるが、人のコロニーには良心はない。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004666
世の中は、仕事で出来上がっている。
利益を追求し、効率化を目指したあらゆる仕事が、川のように自分たちのまわりを流れている。私はただ川の氾濫の中で、立ち尽くすだけだ。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004667
あいつがこの世の諸悪の根源だと思っていた頃もあったのにな。
(伊坂 幸太郎「モダンタイムス(下) (講談社文庫)」)
#004671
理屈やデータが正しさを示していても、自分の考えと合わない提案内容は、現場の人たちが受け入れてくれるとは限らないのである。
(松波 晴人「ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)」)
#004673
話すときに、みんなあまりにも考えていない。まずは脳を通してから言葉を出さないと。
(松波 晴人「ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)」)
#004675
つまり、どのようなノウハウであっても、「ノウハウがわかりましたから教育しましょう」だけでは不十分なのである。
(松波 晴人「ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)」)
#004676
理由は、自らが説得される側に立たされるよりも、他者を説得する立場に立ったほうが行動に取り入れてくれる可能性が高いからである。
(松波 晴人「ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)」)
#004682
…多くの人々に恨まれた人生ではあったが…それでも風呂に入れば…生まれてきた事を感謝できるのだ…
(ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエVI (ビームコミックス)」)
#004686
未だかつて俺が余計な事を言った事などあったか!?
(椎名 軽穂「君に届け 11 (マーガレットコミックス)」)
#004688
それでもファンはいる。地味な昆虫や味の薄い香辛料にも、どんなものにもファンはいるものなのだ。
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004689
人は変わる。いや、人はなかなか変わるものではないが、身体の中に別の生命が出現するという出来事は、その、なかなか変わらざるものを揺さぶるほどの力を持っていてもおかしくはない。
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004690
「もし、これからの人生で困難にぶつかったなら」と続けた。
「困難にぶつかったなら?」
「生まれた時のことを思い出すんだ」
「思い出すも何も、憶えていないよ」
「思い出そうとしてごらん。あの時俺たちは、ずっとおまえを待っていたし、歓迎したんだ」
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004691
世の中の仕事を有意義な順番に並べていったら、まあ、後ろから五十番くらいには入るような仕事内容だよな。
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004692
医者は向かい合った相手しか治せない。おまえはもっとすごい。
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004693
心強い言葉ではないか。
試合は終わるまで終わらない。
笑ってしまうが、力強い気持ちになる。
こうも言い換えられる。人は死ぬまでは不死身だ。
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004694
住む場所を変更させたところで、人間は成長も改善もしない。
(伊坂 幸太郎「あるキング (徳間文庫)」)
#004695
人は、しばしば選択肢を狭く捉えてしまう傾向にあります。そして、選択肢を狭く捉えてしまえば、その中で最善の決定をしたとしても、それは広い選択肢の中ではベストな決定ではないかもしれません。
(河本 薫「会社を変える分析の力 (講談社現代新書)」)
#004697
確かに、人間のやる愚かな行為が、悪魔の仕業であるほうが救いがある。原因や理由が分かるからだ。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004700
うっかりミスは防げません。ですから、『うっかりミスには寛大に、規律違反には厳格に』と、これは基本的な考え方であるべきです。そうしなければ、社会がうまくいきません。得てして、その逆が多いのですが。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004702
挙動不審ながらも、「あ、はい、そうです」と話を合わせてしまう弱々しい人間、それが私なのだ。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004703
「自己顕示欲、名誉欲、嫉妬、孤独、そういったものは結局、突き詰めれば、一言で表せる」
「一言で」
「『僕を見て』と」
「ああ」
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004704
関心を払っても、人の気持ちは分からないこともあります。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004706
分かる、と無条件に言い切ってしまうことは、分からないと開き直ることの裏返しでもあるんだ。そこには自分に対する疑いの目がない。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004708
失敗の大半は、「そんなことがあるはずがないな。きっと、こういうことだ」と見逃されたものだ。誰もが、ミスを恐れる。恐れるがあまりに、違う可能性に縋ってしまう。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004710
「それに、若者は、大人に比べると、自分に期待をしています」
「自分に期待ですか」
「自分はもっと良い人間であるはずだ。もっと強い人間であるはずだ。何でもできるはずだ。若者には、自分にそう期待する力と無邪気さ、権利があります。ただ、大人になればなるほど、期待は失望に変わります。自分がどういった人間であるのか、把握もできるわけです」
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004711
不信感は、その人が失敗するから生まれるわけではありません。失敗を認めないことから生まれるんです。
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004715
「俺の人生がこんなことになったのは、誰それのせいだ!とかね、そういうこと言うんだったらわたしもがっかりだけど」
「まあ、不満はないからね」
「それが一番だよ」
(伊坂 幸太郎「SOSの猿 (中公文庫)」)
#004720
いわずにおいた。古傷の中には決して本当には癒えないものがあり、ほんの些細な言葉でまた出血することもあるからだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004721
かれらの半数は真実をいう勇気がない。そして、あとの半数は真実を見いだすことができない。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004727
神々がおれにくれたのは、空虚な勝利だった。王冠なんて――おれが与えたまえと祈ったのは、あの娘のことだったのに。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004729
剣を鋭利に保つなら、砥石が必要であるごとく、精神には書物が必要なのだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004732
「あなた、子どものころにはまだ礼儀の意味を知っていたのにね」
「怒らせてしまったようだなあ。そんなつもりはなかったんだが」
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004734
「おれのほうが優れているから、あいつら、おれを憎んでいるんだ」
「違う。かれらよりおまえのほうが優れているかのようにふるまうから、かれらはおまえを憎むんだ」
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004738
雪が降って、白い風が吹くと、一匹狼は死ぬが、群れは生き延びる。夏は口喧嘩のときだ。だが、冬にはわれわれはたがいに守りあい、温めあい、力をわかちあわなければならない。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004744
かれは憎むにはあまりに美しかった。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)」)
#004747
この道路の先に世界がある……そして、おれはここにいる。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004749
この男はあまりにも利口すぎる。人を小ばかにしたような笑いが、唇から消えたことがない。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004751
あなたは、なぜわたしをここに呼んだか知っている。わたしに何を頼みたいか知っている。どうしてもそれをしなければならないと知っている……だが、それは名誉あることではない。だから、言葉が喉に詰まるのです。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004761
だが、口に出せない真実もあれば、必要な嘘もあった。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004762
勇気は愚行のかなりの部分を埋めあわせる。しかし、何歳になったか知らんが、おまえはもう子供ではないのだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004763
ああだこうだと色々なことをいうが、われわれはただの人間にすぎない。そして神々は、人間を愛のためにお作りになった。それはわれわれの偉大な栄光であり、また偉大な悲劇でもある。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004764
何もかもが失われたときに、命にどんな価値があるか悟りなさい。
(ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)」)
#004770
「こんなに怖がってはいけないんだよなあ」
「みんな怖いんだ。怖がらなければ、ばかだ」
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004771
ある種の人間は剣のようなもので、闘うようにできている。そして、壁にかけておくと、錆びてしまうんだよ。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004772
わしがおまえの半分ほどの年齢の子供だったころ、母上がいったものだ。そうやって口をあんぐり開けて立っていると、鼬が自分のねぐらと間違えて、その喉にもぐりこむよ、とな。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004773
「わたしたちの血、それともかれらの血?」
「片方だけの血が流れた戦というものが、これまでにあったかな?」
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004778
“子供は何者も自分を傷つけないと信じている”かれは嘘と知りながらも自分にいいきかせた。“大人にはもっと分別がある”
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004780
ここのやつらはみんな嘘つきだ……しかも、だれもかれも、あんたより上手だ。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004781
慰められたい。強くあることに疲れ果てた。一度でいいから、怯えたり、愚かになったりしてみたい。ほんの少しの間でよいから、それだけでいい……一日でも……一時間でも……。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004782
自分に約束した。いつの日か強くない人間になることを自分に許してやろうと。
でも、今日はだめ。今日ではありえない。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004783
醜い女ほど不幸なものがこの世にあるだろうか?
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004784
「いいわよ。わたしを優しく扱ってくれるなら」
「他に扱いようがあるかい?」
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004786
愚か者は愚かな事柄を信じるものである。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2)」)
#004788
あまりにも多くの答えがあるということは、答えがまったくないに等しいということをお考えになったことがありますか?
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004789
「わたしには母親になる素質はありません。戦いが必要なのです」
「では、戦いなさい……生者のために、死者のためでなく」
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004794
決して他言してはならない秘密というものがある。墓場まで持っていかなければならない恥というものがある。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004801
もし神々がいるとしたら、そいつらは狼が喰うために羊をつくり、強者がもてあそぶために弱者をつくったのだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004805
あなた、なにか新しい嘘を覚えたほうがいいわ。それも早急にね。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004807
あんたは他のすべての男と同様に大馬鹿よ。股の間の蚯蚓が考えの半分を受け持っているからね。
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004810
「神々がもしいるなら、なぜこの世はこんなに苦痛と不正に満ちあふれているのでしょうねえ?」
「あなたのような人がいるからです」
(ジョージ・R・R・マーティン「王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)」)
#004815
やっぱ男の子が一緒にいてくれるのってさあ 女の子じゃ埋められない穴が埋まるんだよね~~~
(椎名 軽穂「君に届け 15 (マーガレットコミックス)」)
#004816
人々は放っておかれれば、あらゆる種類の事柄を心得顔の微笑に読みこむものだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004823
あなたに対してわたしの半分も忠実な男は世界じゅうに一人もいませんよ。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004829
愛は必ずしも賢いとはかぎらないことを、わたしは学んだ。それは大いなる愚行に導くこともありうる。しかし、われらはわれらの心に従う。それがわれらをどこに連れていくにしても。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004830
“もっと強くありさえすれば……”と願った。だが、強くはないし、願っても無駄だった。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004834
あの年齢では、肉欲、愛、名誉に較べて、分別はあまり力がないものだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004837
できる最善のことは、何もしないことだという場合があります。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004838
辛抱しなさい。寛大になりなさい。かれはあなたを愛し、あなたを必要としており、そしてすぐにあなたのところに戻ってきます。たぶん、今夜にでも。戻ってきたら、支えてやってね。わたしがあなたにいえるのはそれだけです。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004841
「わたしはあなたが誰か知りません」その婦人はいった。「でも、それが最善かもしれませんよ。重要人物なんて、おおこわ」
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004845
将来の金よりも、財布に今ある金のほうがいい。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)」)
#004848
だからといって、どんな違いがあるか?どのみち人々はかれを嘲笑しているのである。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004853
その舌に真実を話させたい。真実は、時には苦い薬であるが。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004857
あんたがたはわたしたちを盗人と呼ぶ。しかし、少なくとも盗人は勇敢で利口ですばやくなければならない。屈服者は屈服するだけよ。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004862
しかし神々が特別に慈悲深かったことなど、かつてあったろうか?
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004863
強情と愚かの間には、きわめて大きな相違がある。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004864
だれも聞いていなかった。演ずべき役割のある者を除いては。そして、それらの者も知る必要のあることだけを教えられたのだ。秘密を保つためには――特に、ここでは――他の方法はなかったと、おまえも理解すべきだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004866
たとえ、ときどきわたしが警告を予言と間違え、予言を警告と取り違えることがあったとしても、間違いは読み手の側にあり、書物にはありません。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004868
あんたはもうすごく偉い人になっている。しかし、人は高く登れば登るほど、落ちるときの落差が大きいのだから。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004869
命令が聞こえなければ、そいつがどんなに立派な男であろうと、勇敢な男であろうと、問題にならないのだぞ。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)」)
#004875
半分の真実は徹底的な嘘よりももっと価値がある。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (下)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1878)」)
#004876
あのころは世界はもっと単純だった。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (下)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1878)」)
#004879
やらなければならなかったのに、やらなかったことが、あまりにもたくさんあった。
(ジョージ・R・R・マーティン「剣嵐の大地 (下)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1878)」)
#004886
そうとうにつらそうではあった。だが、それがこの世の定めというものだ。人は生きるために戦わねばならない。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004887
その忠実さにこそ、危険の芽はある。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004890
いま、父上が立っていた場所にはぽっかりと巨大な穴があいている。そして、穴があけば、かならず埋めようとする力が働く。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004891
ふむ……まあよかろう、いまのが虚偽であれば、神々の裁きがくだるまでのこと。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004892
ちっともよかあないが、ま、いやとはいえんわな。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004894
勇敢であれと命令することはできないが、恐怖を押し隠せ、と命令することはできる。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004899
ときには嘘が愛であることもあるのさ。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004900
(善意から出るのであれば、嘘もそう悪いものではないのね)
もっとも、その嘘を信じることさえできればだが……。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004901
この人物のどこからどこまで仮面なのか、判別に苦しむことがある。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004903
あの男も、まるっきりの馬鹿ではないが、わたしが与えた嘘は、真実よりも甘美なものだったからな。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004906
「いまいかねば、残りの一生を、あのときいっていればどうなったかと悔やんで暮らすことになる」
「いまむりにいけば、残りのおまえの一生は、そんなことを悔やむひまもないほど短いものになるぞ」
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004907
「なにを恐れるというの?」
「自分の名誉が傷つくことを――そして、あなたの名誉を傷つけることをです」
「自分の名誉は自分で面倒を見ますよ」
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004909
あれは悲嘆の涙だ。悲しみを癒してやれる薬など存在しないよ。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004915
鏡をごらんなさい。真実はそこにあります。男の舌の上にはありません。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004922
夜の暗闇にあるとき、人は陽のもとでならけして口にしない問いをつぎつぎに投げかける。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004924
敵から取りあげたワインほど旨いワインはない――。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004926
子供よ。あなたには故郷がある。この暗き時代にあって、それはとても恵まれたことなのだ。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004929
男というものはもう、ほんとうにどうしようもない大馬鹿。たとえ千年にひとりの逸材であっても、そこは同じなのよ。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004930
疲れていた。疲れきっていた。からだじゅうの筋肉が痛い。こんなところに筋肉があったのかと思うようなところまでも痛い。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004931
これほどの高齢ともなれば、死など恐ろしくはなさそうなものだが……なのに、わたしは恐ろしい。愚かな話ではないかね?わたしがいたところは、つねに暗闇だった。ならば、暗闇を恐れることなどはあるまい?それなのに、死んでしまったらどうなるのか、自分のからだから最後のぬくもりが消えたあとはどうなるのか、どうしても考えずにはいられない。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004933
目を与えておきながら、永遠に閉じていろ、世界にあふれる美しいものをいっさい見るなと命じるのは、どんなに残酷で狂った神だ?
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004934
むしろ、こう問われるべきかもしれません――“未来を予言させてもよいのか”と。それについては、わたしは否とお答えするのみ――扉のなかには、閉めたままにしておいたほうがいいものもあるのです。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004935
「あんたの唇はキスをするたえにあるんだぜ」
「唇は唇だ。どの唇もおんなじだ」
「だから、どの唇もキスをするためにあるんだよ」
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004939
まったくもって、女というやつは、われわれ男には測り知れないものがあるな。
(ジョージ・R.R. マーティン「乱鴉の饗宴 (下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#004945
あいにく、話すようなことはなんにもないの。世界のこの一画では、ほとんどなにも起きないのよ。
(コニー・ウィリス「ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004949
あの人も、場合によってはほとんど人間みたいになれるのよね。
(コニー・ウィリス「ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004950
今夜できることはなんにもない。あしたになったら気持ちもしっかりして、目の前の問題に対処できる。
(コニー・ウィリス「ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004951
あたしたちのだれだって、今夜――それとも来週――死ぬかもしれない。だったら、それまでずっと踊って過ごしたっていいじゃない?ちょっとくらい楽しんでも罰は当たらないんじゃない?なんの生き甲斐もないよりずっといいわ。
(コニー・ウィリス「ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004955
でも、忘れないでくれ。きょうのところはまだ第一ラウンド。まだ試してない手がたくさんある。約束するよ。きっとそれにはきみも抵抗できない――まあ、いままでに出会ったどんな子より、きみの防御力が高いことは認めざるをえないけどね。
(コニー・ウィリス「オール・クリア 1(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004958
そのあいだじゅうずっと、感情の麻痺という鎧に守られていた。いずれは痛みがその鎧を貫き通してくるだろう。
(コニー・ウィリス「オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004959
いわく、「人間はあっさり消えたりしないのよ」
いいえ、消えるのよ。
(コニー・ウィリス「オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004960
しかし、重要なのは行動することです。希望だけに頼っているわけではありませんが、希望はわたしたちの砦、暗い日々とさらに暗い夜を照らしてくれる光です。わたしたちは働き、闘い、耐え忍びますが、わたしたちが果たす役割が大きいか小さいかは問題ではありません。
(コニー・ウィリス「オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004964
最初からずっと、答えはそこにあった。ただそれをあべこべに見ていただけ。
(コニー・ウィリス「オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004967
彼らに向かって歓迎の言葉を述べ、みなさんはこれから奇跡のような出来事を目のあたりにします、たとえそうは思えなくても、最後にはハッピーエンドが待っているのです、と請け合った。
(コニー・ウィリス「オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004969
いまのがあたしの退場の合図。演技の半分は、退場の潮時を知ることにある。
(コニー・ウィリス「オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#004972
残念なのはおまえの言語力だ あれで発破かけたつもりでいやがる…
(諫山 創「進撃の巨人(2) (講談社コミックス)」)
#004973
もう これ以上の案はでないよ
あとは全力を尽くすだけだ!
(諫山 創「進撃の巨人(2) (講談社コミックス)」)
#004974
人が恐怖を原動力にして進むには限界がある…
(諫山 創「進撃の巨人(3) (講談社コミックス)」)
#004980
全員が正しい人であることを前提とした仕組みに問題があるのなら 変わるべきは人じゃなくて…仕組み…の方…なのか…?
(諫山 創「進撃の巨人(8) (講談社コミックス)」)
#004982
状況は絶望のどん底なのに…それでも希望はあるもんなんだね…
(諫山 創「進撃の巨人(9) (講談社コミックス)」)
#004983
このペースじゃあの世まであっという間だ。
(諫山 創「進撃の巨人(10) (講談社コミックス)」)
#004984
あの何でもない日々を取り戻すためだったら…俺は何でもする。
(諫山 創「進撃の巨人(11) (講談社コミックス)」)
#004986
嘘はたくさんついたほうが、良い場合もある、ということだね。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004987
「……言っておいてあげるけど、あんたって最低だわ」
「そうかい」
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004990
助け合う、ってのはお前、最低限のことができる人間同士が集まって、それで初めて意味のあることじゃねえのかい。嬢ちゃんの気持ちは分かるが、できる人間ができない人間をただ助ける一方なのは、助け合うとは言わねえ。荷物を抱えるってんだ。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004991
人がせっかく、善意に解釈してあげてるのにっ。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004993
それも事実なんだよ。何事につけても、自分の身に起こってみなければ、理解できないものというのはあるからね。それは事実だけれども、同時に理解を拒絶する言葉でもある。理解を拒絶するくせに、理解できない相手を責める言葉だ。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004994
自分の愚かさのつけを支払うことさえできない腑抜けなんて来てもらわなくても結構。――だからって、あたしまで腑抜けにしないで。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004996
あたしって、本当に強運の持ち主よねえ。……取りあえずは。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#004997
それはずるい。自分の本音は言わないでおいて、人の本音を探ろうなんて。それをやりたければ、もう少し巧くやる必要があると思うな。
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#005000
あなた、眼があるんでしょう?耳があるでしょう?そこにあるものを目を開いて耳をそばだててちゃんと受け止めていれば、分かることだってたくさんあると思わない?
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#005001
「……あたし、そういう人は好きじゃない」
「そうか……」
「ずっと一緒だったから、一緒にいるのが当たり前だったし、ほかの人より恵まれた暮らしをさせてくれた恩を感じないわけじゃないけど」
(小野 不由美「図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)」)
#005005
外道に外道の愉悦あり。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005006
あそこのおばあちゃん、もう人間より神様に近くなってるからね。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005007
「父さん母さんに言いつける気なら、いいよ、やってみな。お兄ちゃんにも考えがある」
そういう脅しをかけるとき、人は何も考えていないものである。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005008
家族や血族にとっての「行事」というものは、その家族や血族の土台の部分に埋まっている地雷を露わにする絶好の機会である。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005010
「下手な隠蔽工作をすると、かえって噂に尾ひれがついちゃうよ」
「今だって充分ついてるよ!」
尾ひれが多すぎて、胴体が足りないくらいである。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005011
作り話ほどリアリティがあるんだよ。テレビ局も物書きも、そうでなきゃ商売にならないんだから。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005013
情報とは、常に誤って伝わるものと心せよ。孫子の兵法に書いてあるような気がする。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005015
消せない希望は、たとえ本物の希望であっても、人を蝕む。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005019
泣かせようなんて、これっぽっちも思わないんだよ。幸せにしようって、いつも本気で思ってるんだよ。だけどね、なんでか泣かせちゃうことがあるんだ。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(上) (講談社文庫)」)
#005022
「僕のことすごい悪人のように言うなあ」
「この件に関しては、少なくとも大人の分別を欠いているって点では、悪人ですよ」
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005023
生きてる者には、ときどき、死者が必要になることがあるんだ。僕はそれって、すごく大切なことだと思うよ。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005025
常識も概念だ。人によって幅がある。概念は物証にはならないしな。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005031
小さな子供が死んだら、理由が何であれ、それは親の責任なんだよ。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005032
親子にだって、相性はある。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005033
母親だからって、スーパーマンになれるわけじゃない。鉄人になれるわけじゃない。生身の人間の限界はある。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005034
いつかきっと、あなたはそう思う。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005041
「いいかい?あたしら勝ちにいくよ」
オレ、何でかこういうタイプの女に縁がある――
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005044
オレも逃げてたし、あんたも逃げてた。逃亡者は、どっかしら似ちゃうんだよ。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005048
どうしても知ってもらいたいと思う。けどね、それを知ってもらったら、もうそれまでのような距離ではいられない、ということがあるんだよ。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005049
――あたしはとっくに走り出してる。
あんたこそ、走れ。
(宮部 みゆき「小暮写眞館(下) (講談社文庫)」)
#005050
「おもしろいだけじゃ、部長はつとまらないでしょう?」
「そうかな?歴代の部長はみんなそうだったように思うが」
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 1 (少年サンデーコミックス)」)
#005051
ことわざにもいうだろう。「親の顔がみたい」!!
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 1 (少年サンデーコミックス)」)
#005052
ゆるみきっているのは、わたし個人の資質であって、他人にとやかくいわれるすじあいのものではないぞ。
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005053
そうかなあ。「ヒレツなやつ」というのはほめ言葉にならんかなあ。
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005054
「人生には息抜きというものが必要だぞ」
「あんたたちは息抜きのあいまに人生やってるんだろう!!」
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005055
ガキどもに飲ませる酒があったら、わしらが飲むわい!
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005056
おれたち日に日にまぬけになってないか?
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005057
何かいいたいことがありますか?
「今までだってなんとかなってきたじゃないですか」
はい、ごもっともですね。
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005058
朴念仁も、ときにはそれだけで罪悪です。
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 8 (少年サンデーコミックス)」)
#005059
「やらしいわね、あんた!」
「品性下劣で売ってますから」
「あ、そう…」
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 8 (少年サンデーコミックス)」)
#005060
三年先のことより、明日のことを考えんか、バカ者。
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 8 (少年サンデーコミックス)」)
#005061
ぼくがもっと早く世界征服をしていたらこんなことには……
(ゆうき まさみ「究極超人あ~る 9 (少年サンデーコミックス)」)
#005062
とはいえ学位は――医学の学位でさえ――正気であることの保証にはならない。
(コニー・ウィリス「航路(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005064
「ねえ、ほんとのこと教えてあげようか。あんたは怖がってるんだよ」
「怖がってる?」
(コニー・ウィリス「航路(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005065
おれは昔から、友人の談話ってやつを取材されたかったんだ。“いえ、おかしなようすはまったくありませんでしたよ。いつも物静かで、礼儀正しくて。まあ多少はひとりでいたがる傾向があったかもしれませんけど”みたいな。
(コニー・ウィリス「航路(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005067
「科学者に第六感があるとは知らなかった」
「もちろんあるわよ。ただ、それに頼らないだけ。鍵を握るのはあくまでも証拠」
(コニー・ウィリス「航路(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005070
もうちょっとで思い出せそうだと感じることもあった。だれにも邪魔されずに三十分だけ集中して考えれば、きっと思い出せる気がする。だが、その三十分がなかった。
(コニー・ウィリス「航路(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005073
もしこの感覚がお告げだとしたら、それは、いま外で叫んでいるあの女性とおなじくらい頭がおかしくなりかけているというお告げにちがいない。
(コニー・ウィリス「航路(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005077
ひとつ証拠がある場所には、もっとあるはず。
(コニー・ウィリス「航路(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005079
時間なんかいくらでもあると思ってると、あるとき急に、まったく時間がなくなってしまう……
(コニー・ウィリス「航路(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005084
罪悪感と自責の念と“もしあのとき”は驚くほどたくさんあふれている。
(コニー・ウィリス「航路(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005085
しかし、あっさり背を向けて退散するには賭け金が大きすぎる。
(コニー・ウィリス「航路(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005088
とはいえ、どこまでもといっても限度はある。これはその限度にかなり近い。
(コニー・ウィリス「航路(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005094
「どうせあたしは一生懸命やるしかないのよ、それしか能がないんだから」
どうせって言うなよ。
俺はお前の一生懸命なところをこんなに眩しいと思ってるのに、その枕詞にどうせってつけるなよ。
(有川 浩「ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)」)
#005105
「夢見る方向性にもいろいろあると思うけど」
「見果てぬ夢を追いかける芸術家系?ただし自尊心に才能が追い付いてない系」
(有川 浩「ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)」)
#005109
親は立派な人であるべきだっていうのは、子供の幻想だ。
(有川 浩「ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)」)
#005111
何も悪いことをしてないのにどうしてあたしだけが大人にならなきゃいけないの。あたしの味方をしてくれる人は一体どこにいるの。
(有川 浩「ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)」)
#005112
その弱さを、ずるさを、嘘を、情けなさを、すべて打ち明けた。
――その弱さを認めたあなたの強さを、
「尊敬しています」
(有川 浩「ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)」)
#005113
それは重々わかっていたけれど、あの溢れんばかりの気もちが――明るい陽射しのような気もちが――間違っているとは、どうしても思えなかった。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005115
なにか事情があったんでしょうけどね、どんな事情よりも大切なものがあるでしょう。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005116
ひたひたと滲みてくる水のようなもので、枯れかけていた草が水を吸いあげてしまうように、いつしか互いが互いに滲みこんでしまっていたのだ。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005119
あなたは、自分の生に、後悔しかしないの……?
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005120
後悔とは、よく言ったものだ。――あとで悔いても、なんの役にも立ちはしない。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005123
本来、わたしにはありえなかった幸福を一度だけでも味わえたのだ。わたしは幸せだ。
そう思って微笑んでいられたのは、しかし、その日の夜までだった。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005126
その執念を無視したくない。のたうちながらでも生きたいのなら、その最後の瞬間までつきあってやりたい。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005127
苦い経験というのは無駄にはならんものだ。あのとき失敗したおかげで、二度と同じ後悔をせんですむわけだからな。
(上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」)
#005132
「なんであたしのことしってるんですか?」
「変わりダネの噂ってのはきこえてくるもんだ」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 1 (少年サンデーコミックス)」)
#005137
もっとキズだらけになって帰ってこいや。何度でも直してやらあ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 2 (少年サンデーコミックス)」)
#005138
「ときどき、この商売やめたいなーと思うことありません?」
「で……でもぼく女房持ちですから……」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 2 (少年サンデーコミックス)」)
#005139
あの人は負けた方が物わかりがよくなると思います!
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 2 (少年サンデーコミックス)」)
#005141
物語を読む喜び、この1編を読んだことで今日1日が輝いたというか、明日またこの続きを読もうと、そういう力がやはり小説にはある。
(宮部みゆき「宮部みゆきの江戸怪談散歩 (新人物文庫)」)
#005144
わかったわよ。――あんたが、そういうつもりなら、頭が落っこちるまで、そこに立って、くだらない冗談を言ってればいいわ。
(火浦 功「ファイナル・セーラー・クエスト【補完計画】 (朝日ノベルズ)」)
#005145
ゲキドした。本当のことを言われると、誰でも、頭にくるものだからである。
(火浦 功「ファイナル・セーラー・クエスト【補完計画】 (朝日ノベルズ)」)
#005149
何を考えているのか(あるいは、考えていないのか)、取りすましたその表情からは、まったくうかがい知ることはできない。
(火浦 功「ファイナル・セーラー・クエスト【補完計画】 (朝日ノベルズ)」)
#005152
――あたしが代わりに刑務所に入ってあげるから、誰か、このトンチキを殺してくれないかしら?
(火浦 功「ファイナル・セーラー・クエスト【補完計画】 (朝日ノベルズ)」)
#005155
「そう。あれは、確か、人類が、やっと火を使うことを覚え始めた頃――」
「でたらめ言ってんじゃないわよ!!」
(火浦 功「ファイナル・セーラー・クエスト【補完計画】 (朝日ノベルズ)」)
#005163
「お前、今度は、やけに落ち着いてるな?」
「そりゃあもう。――人間、メシさえ腹いっぱい食ってれば、何も心配することはありません」
(火浦 功「みのりちゃんの実験室 世界征服のすゝめ (朝日ノベルズ)」)
#005165
あれは本気ね。力いっぱい本気よ。
(火浦 功「みのりちゃんの実験室 世界征服のすゝめ (朝日ノベルズ)」)
#005167
「何考えてんですか、あのひと」
「お前に言われるようじゃ、おしまいだよな」
(火浦 功「みのりちゃんの実験室 世界征服のすゝめ (朝日ノベルズ)」)
#005168
おれだって、根が真面目な常識人なんだぞ。それなのに、毎度毎度、こんな馬鹿騒ぎに、つき合わされて……。あー、胃が痛い。
(火浦 功「みのりちゃんの実験室 世界征服のすゝめ (朝日ノベルズ)」)
#005171
あとで大目玉をくうより、普段から小言言われてた方が気が楽だ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005173
「世の中には二種類の人間しかいない!いいやつと悪い奴だ!!」
「…はあ…」
「悪い奴はほうっておいてもいずれは悪いことをするんだ。それならとっとと悪事をはたらいて、速やかにわれわれに刈り獲られた方が世の為だろうが!」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 4 (少年サンデーコミックス)」)
#005174
なすべき仕事があるならひとつずつ片づけておけ。正義の味方は常日頃の心構えが肝心だ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 5 (少年サンデーコミックス)」)
#005176
「あたしは情けない奴だ」
「それに気づいただけでも上出来だ!」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 5 (少年サンデーコミックス)」)
#005179
「とりあえずどうしたらいいですか?」
「お手上げだ。帰って寝とけや」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 6 (少年サンデーコミックス)」)
#005180
「いてもいなくてもあまりかわりませんけど」
「猫の手も借りたいときってのがあるだろう?」
「そのときは猫の手を借りますわ」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 6 (少年サンデーコミックス)」)
#005181
ミスキャストがあったら監督は降りるぜ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 6 (少年サンデーコミックス)」)
#005183
まあ、お仕事があるのは、人生の喜びだと思って行ってこいや。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 8 (少年サンデーコミックス)」)
#005184
勝ってももうからんが一勝負つきあってくれ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 8 (少年サンデーコミックス)」)
#005186
おれに規則を強制しておいて自分でそれを破るのなら、あんたのいうことなんか信じられっこないよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<上> (創元推理文庫)」)
#005187
話は場所によっては貨幣と同じくらいの価値があるんだぜ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<上> (創元推理文庫)」)
#005190
昔、自分のいうことを聞いてもらえた証が欲しいと切望していたとき、その結果の責任まで想像したことがあっただろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<上> (創元推理文庫)」)
#005192
経験のなかには時間を短縮できないこともある。経験は自然ににじみ出てくるのを待たねばならないのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<上> (創元推理文庫)」)
#005197
あなたは、手のなかにほとんど何も残っていないから、手を握りしめているだけですよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<上> (創元推理文庫)」)
#005199
よくいわれたの、“なんなのよ、いまそれをする時間がなくても、いままでにいくらでもあったでしょ”って。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<上> (創元推理文庫)」)
#005207
十五年もかけて、あたしは欲しくないものを選り分ける練習を積んできたから、もう自分の欲しいものがわかるのにそう時間はかからないわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<下> (創元推理文庫)」)
#005211
心にあふれる愛情は行けといっている。わずかに残った知性は止まれといっている。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<下> (創元推理文庫)」)
#005214
規則は破られるためにある、なんていうけど、じつはそうじゃない。一般的に、誰かが過ちを犯したりへまをしたあと、また他の者が同じことをして後始末をしないですむように、規則が考えられるんだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 地平線<下> (創元推理文庫)」)
#005221
正直、この世が敵と味方だけならいいと思う。敵をやっつけて、味方と仲良くすればいいだけだからな。でも、この宇宙はそうはできていない。敵と味方のあいだに、なんだか分からないごちゃごちゃしたものがあって、そういうのがおれたちを悩ませるんだ。
(小川一水「臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)」)
#005232
ああいう奴らの唯一の取り柄は、暇なことなんだよ。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005234
信頼感や実直さとは無縁だった。お金の管理は大雑把で、思慮はさほど深くなく、勢いと直感で行動している、そういう雰囲気を漂わせている。しかも、実体が、その雰囲気通りでもある。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005236
「あのな、おまえの母親は嘘を隠すのが上手いんだよ。ずるくて、抜け目ない」
「俺なら、ずるくて抜け目ない女の人とは絶対に結婚しない」
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005238
性善説みたいに、あまり、子供や人間に期待してると馬鹿を見る。だろ?暗い部分を分かった上で、どうにかするしかない。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005239
あのな、大人の役割は、生意気なガキの前に立ち塞がることなんだよ。煩わしいくらいに、進路を邪魔することなんだよ。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005240
そこでようやく、この二人の関係が複雑であることを察した。いや、複雑と言うよりは、単純だけど厄介、と言ったほうが近いだろうか。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005243
「あの人、あの女の人に遊ばれてたのかな」
「どうだろうな。その時は彼女も本気だったのかもしれないし、そういうのは意外に、本人にも分かっていないんだ」
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005247
試験での失敗よりも怖いことは世の中にはいくらでもある。父親たちはそのことをよく知っている。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005248
父親というものは、隙あらば息子を欺きたいものなのか、もしくは出し抜きたいものなのか、たびたび、嘘をつく。
(伊坂 幸太郎「オー!ファーザー (新潮文庫)」)
#005252
……たくさんお悩みがおありなんですね。でも、それもお仕事のうちです。たくさん食べて、たくさん寝て、たくさん泣いたり笑ったりするのがお仕事なんだと思いますよ。
(小野 不由美「華胥の幽夢 十二国記 (新潮文庫)」)
#005253
動き廻って何かをすることだけが大変なことじゃあ、ないでしょう。
(小野 不由美「華胥の幽夢 十二国記 (新潮文庫)」)
#005259
何があったか、聞く前に悩むのは無駄な骨折りというものでございますよ。
(小野 不由美「華胥の幽夢 十二国記 (新潮文庫)」)
#005262
あれが、私たちのやってきたことの結果なのだわ。……でも、なぜ?
(小野 不由美「華胥の幽夢 十二国記 (新潮文庫)」)
#005264
責めるのは容易い。非難することは誰にでもできることです。でも、ただ責めるだけで正しい道を教えてあげられないのなら、それは何も生まない。
(小野 不由美「華胥の幽夢 十二国記 (新潮文庫)」)
#005268
人の一生で、いったいいつが盛りであるのかと問えば、それは、必ずしも若いときとは限らぬのだなあ……。
(夢枕 獏「陰陽師 醍醐ノ巻 (文春文庫)」)
#005270
会えぬと思うていた。このわたしを必要としてくれる者など、この世にいないのだと思うていた。ただ、独りでよいのだ。もしも、このわたしを必要としてくれるお方がこの世にいるのなら、そのお方のために、わたしは生きよう。それが、仏に仕えることじゃと思うていた。わたしはぶきっちょで、人よりもうまく何かをすることができない。しかし、こんなわたしでも、そなたのために生きることができるとは、なんとよろこばしい、なんと嬉しいことであろう。わたしは、そなたに救われたのだ。ありがたい、ありがたい……。
(夢枕 獏「陰陽師 醍醐ノ巻 (文春文庫)」)
#005271
おまえと杯を交すこのような刻があるという、そのことだけで、おれは充分に満たされている。後のことは後のことだ……。
(夢枕 獏「陰陽師 醍醐ノ巻 (文春文庫)」)
#005272
命は欲望をもってして輝く。当座であれなんであれ、欲望が命を輝かせるのだと、俺は知ってる。貪欲であればあるほど命が美しいのだとしたら、俺は当代きっての煤けた命に違いない。俺が命だとしての話だが。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005273
十七歳の女の子ほど凶悪な生き物がほかにあろうか。エネルギッシュな情緒不安定。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005274
だがあれほどのんびり開発したにもかかわらず、完成してしまう日は来るものだ。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005277
動機がちらっとでもあったら、それは必然になる。退屈への対抗策としては、困難と危険性は非常に優秀だ。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005282
俺は肝の小ささには自信がある。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005284
こだわるポイントが俺とは根本的に違うんだろうとは思うが、笑える違いと到底許容できない違いというものがある。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005286
俺は情報の扱い方を明らかに間違えていたな。情報には二種類ある。拡散することに価値がある情報と、独占し所有し続けることに価値がある情報と。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005287
俺はきっと、遠回りなどせずに一番近いところにある逃避を選ぶ。結果的にとてつもなく長く険しくなる道を。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005288
ほんと、あのおっさんにはイライラする。年上=時代遅れってことがまずわかってない。クソえらそうに、大人ぶってみせて、だけどあらゆる物事を知らない。おめでたいったらない。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005289
世の中には自己暗示を自己暗示と自覚しつつかける変態もいる。自分の幸運を信じるためにあいての不幸を確認せずにはいられない奴もいる。
(六冬 和生「みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)」)
#005291
「わたしは人に恨まれる覚えはない!」
(え!?)
「おどろいたねどうも…どこの世界にあれだけ言いきれる人間がいるかな?」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 12 (少年サンデーコミックス)」)
#005293
相手を煙に巻くよりほか、僕だって自分を煙に巻く術を知らなかったのである。
(万城目 学「偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)」)
#005294
あの人、化けものだから。年なんて関係ないわよ。それに九十になっても女は女。
(万城目 学「偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)」)
#005300
それを大丈夫と言い切るあなたは、多分大丈夫なんでしょう。
(小川 一水「天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)」)
#005303
あの子の心配をするぐらいなら、魚が溺れるのを心配したほうがいい。
(小川 一水「天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)」)
#005312
人を傷つける以上に楽しいことがあったら教えてくれよ。
(伊坂 幸太郎「バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)」)
#005314
タイムマシンがあったら、おまえを小学校に送り返すのはやめた。おまえの生まれる前に行って、おまえの親たちに避妊を勧める。
(伊坂 幸太郎「バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)」)
#005319
「おまえは本当に何でもかんでも他力本願だな。何で?何で?どうして?どうして? ってわたしはおまえのママじゃねえんだから、聞くなよ」
「じゃあ、教えて、パパ」
(伊坂 幸太郎「バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)」)
#005323
自分の物言いが批判的になっていることに気づき、ああ自分はあの人があまり好きではないのだな、と悟った。
(伊坂 幸太郎「バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)」)
#005324
下世話じゃない事柄なんて世の中にあるのかよ。
(伊坂 幸太郎「バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)」)
#005327
もちろんその時には言いがかりだと反論したが、案外、一理あるのかもしれない。不運は感染するのではないか。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005328
「ここで逃がしてたまるかよ。借りは返すからな」
「後で返してくれ。今は仕事中なんだよ。いや、その借りは返さなくていいよ。あげるから」
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005333
「君のお父さん、ださいね」であるとか、「君のセンスは目も当てられない」であるとか。相手の重要な根幹を、曖昧に否定することは有効だった。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005334
自分に何か特別な才能があるとすれば、それは、本を読解する力に秀でていたことだろう。本を読み、内容を噛み砕くことで、語彙が増え、知識が増え、いっそう読解力が増した。本を読むことは、人の感情や抽象的な概念を言語化する力に繋がり、複雑な、客観的な思考を可能にした。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005337
「『記録なんて壊されるためにあるのさ!』」
「相手の記録を勝手に壊したやつが口にする言葉じゃないな。そこまで心の琴線に触れない台詞も珍しい」
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005338
人は、まだ道があると分かっている限りは、それほど自棄は起こさない。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005340
君にとっては、よくあることでしょ。好かれちゃってるのよ、不運の神様に。女神に。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005347
ありがとう。恩に着るよ。

どこをどう聞けば、引き受けたように聞こえるんだ。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005348
あんたの冗談は本当につまらないね。真面目な男の必死な冗談ほど、笑えないものはない。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005349
情報はある狭い範囲だけで共有できて、自分たちの秘密は外には絶対漏れない、なんて信じてのんびりしているのは、年寄りばっかりあ。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005350
死んだ親父から言い残されたことがあるんだ。小説のなかで体言止めを多用する作家と、会話の中に、『にもかかわらず』って言葉を使うような相手は信用するな、ってな。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005353
共有した時間がいくらあろうと、消える時はそれぞれ、一人ずつだ。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005354
「幼稚園児でも知ってるよ」
「幼稚園児が知っていても、大人が知らないことはあるんだよ」
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005355
「あの栄光をもう一度ってことかい」
「みんなね。アイディアに困った時は、過去の成功例を追いたくなるんだよ。
(伊坂 幸太郎「マリアビートル (角川文庫)」)
#005356
「ご主人は苦しまれなかったと思います。変な云い方ですけれど、それは不幸中の幸いですよ」
いや。
幸いな訳があるか。
(京極 夏彦「冥談 (角川文庫)」)
#005364
虫喰いだなあこの頭。
(京極 夏彦「冥談 (角川文庫)」)
#005366
自分も街も齢を取りました。僕もあなたも老いたけれども、街だって同じだけ老いているんです。だからどっちが変わったということはない。何もかも、この世にあるありとあらゆるものは、一瞬たりとも同じ状態ではいられないんですから。
(京極 夏彦「冥談 (角川文庫)」)
#005372
基準あっての逸脱であり、基準なくしては逸脱のしようがない。
(京極 夏彦「幽談 (角川文庫)」)
#005378
馬鹿じゃなかろうか。私の今は、今此処にある。今此処にいる私が、今の私だ。
(京極 夏彦「幽談 (角川文庫)」)
#005379
愚かですなあ。人は進歩などしない。まるで変わっているのに全く変わっていないと思い込まなければ生きて行けぬような者が、進歩成長などするものですか。
(京極 夏彦「幽談 (角川文庫)」)
#005381
もしみんながシェイクスピアのように書こうとしたら――あるいは、せめてシェイクスピアを読んだら――世界はまちがいなくもっといい場所になる。
(コニー・ウィリス「混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005382
そのためにならなにをあきらめてもいいもの、自分の自由さえ投げだしてかまわないものが、この世には存在するの。
(コニー・ウィリス「混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005383
わたしはただ、自分の人生を使って、なにか有意義で分別のあることがしたいだけなの。
(コニー・ウィリス「混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005385
いや。体の中のすべての細胞が反発する。そんなことはありえない。
だがそれは、お人好しがいつも口にする台詞じゃないか?目の前に証拠を突きつけられたときでさえも、お人好しはこういう。“ぼくは信じない。彼女がぼくにそんなことをするはずがない”と。
(コニー・ウィリス「混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005386
自分が彼女のことをどんなに信じていたか、自覚していなかった。“きっとなにかのまちがいよ。わたしは参加してたもの”といってくれることを願っていた。どんなに嘘くさい言い訳でもいいから、なにか理由をでっちあげてくれることを願っていた。
(コニー・ウィリス「混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005391
「われわれの仕事は所詮、対症療法にすぎませんしねぇ」
「くさるなよ。根絶やしにできんのなら枝葉を枯らしていくしかあるまい」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 14 (少年サンデーコミックス)」)
#005393
何を信仰したってかまわないんだ。あらゆるものが崇拝の対象になる。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005395
あなたは察しがいいんですよ。あなたがそう感じるのは、パラノイアだからじゃない。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005396
引きこもって、市民を巻き添えにしないでいてくれればいい。人にはそれぞれの生きかたがありますからね。でも、めんどうを引き起こすとなるとそうはいかない。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005397
理解不能なことを理解しようとするよりも、待てとだけ申しあげたいですね。待ってなりゆきを見るんですよ。そのうち見えてくるでしょうから。まだまだこれからです。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005399
われわれは恩恵ゆえに神を崇めるのではありません。神が神であるからこそ崇拝するのです。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005402
もとの吐き気にさらに加わってきた、このむかつき感はなんだろう?と敏感な者は考える。この新たな気持ちの悪さ、新たな寒けはなんなのだろう?ああ、そうだ、と彼らは気づきはじめる。これがそうだ。これは恐れだ。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005404
「殺しはおれたちの仕事じゃない、おれたちは略奪者じゃない、そうだな?だけど必要なときもある」天国を守るために地獄を解放する、そんなたぐいの屁理屈だ。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005407
つまりあなたが提案したいのは、あたしにさらに別の仕事をやれってこと?
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005412
ああ、そうとも。考えはある。とんでもなくたくさんね。だが、今はひとつにまとめようとしているところだ。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005415
あなたに何ができ、何ができないかを明確に知ることも、私の仕事でしてね。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005418
今どき、神から逃れることはできないんだ。どこへ行こうと、かならず神々の住む場所がある。
(チャイナ・ミエヴィル「クラーケン(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005421
おれが?なにをしてやれるっていうの?若者は自分の力で立ち直らなくちゃあ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 15 (少年サンデーコミックス)」)
#005423
私と云う言葉は、私そのものではありません。あなたと云う言葉も、あなたそのものではない。言葉は現世に対応してあるけれども、現世そのものではない。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005426
いやいや、そうであったとしても、時流には逆らえないですよ。逆らっても仕様がない。時時折折に合わせて、変わって行くのが正しい在り方です。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005427
儂はね、まあ医者が云うのだから狂うておるのかもしれねえ。でも、ものの道理はまだ解る。躰も、魂も、弱っておるし、神経も傷んで、きゅうきゅうに細っておるけれど、まだ働きてえ。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005428
人には、そうしたことがある。理屈では間違いと解っていると云うのに、如何しても塗り替えられぬ認識と云うのはあるものなのでございます。逆に、それまで毛程も疑わず抱いていた信念が、たった一度の体験ですっかり塗り替えられてしまうこともございますようで――。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005430
働かず、人にも会わずうかうかしていると、浮世のことにはとんと疎くなる。一日も十日も同じ分量である。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005431
ただ、真面目そうではあるのだが、挙動は明らかに不審である。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005432
何度も訪れているのに、一度として買った例がないのだから、筋金入りの冷やかしである。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005435
「あなた様は、もうそれを手に入れているのです。手に入れているから、失うのが怖い。失うのが怖いから手に入れていないと思い込んでいる。手に入れていないのなら、失くしようもない。だからこそ」
裏ばかりを見る。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005437
長幼の礼と云うのはあるから年長者は敬うべきであろうが、こと学問修行に関してだけはそれはないのだ。優れたものは男女長幼の差なく讃えるべきだし、学べる者からは学ぶべきであろう。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005441
見事な喰いっぷりじゃ。そうえなくてはいかんぜよ。人は喰うてなんぼです。どんな境遇でも喰えるものがあって、それを喰うておれば、生きる。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005442
あんなに大勢が死ななければ、世の中と云うのは変わらんものですか。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005443
こうも仰ったのです。人に人は救えない、だが本は人を救うこともある、と。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005446
原因が明白で、改善の余地もなく抗弁も出来ないとなると、小言は苦痛でしかない。犬の尻尾があるを気に喰わぬと文句を垂れられたとて、犬は困るだけなのだ。尻尾があるは当たり前、目障りだと謗られても、あるものはある。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005450
互いに良い処も悪い処もある。違うとしても優劣ではなく差異です。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005456
明らかに時代は変わっている。進んでいるのかどうかは判らないが、変わっていることは確かである。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005458
「自分のことが解らないと云うのは、おかしなものなのでしょうか」
「自分のことだから解らないのかもしれませんなあ」
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005461
猫と別れてお淋しいのですかと、唐突に尋かれた。
「寂しい訳がない。まあ、でも能く判りませんなあ。これを寂しいと謂うのなら、まあそうなのかもしれませんが」
何か、忘れ物でもしてきたような気分ではあった。
(京極 夏彦「書楼弔堂 破暁」)
#005464
自分の部下は三度も同じ相手にコケにされるほどボンクラぞろいじゃありません!
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 16 (少年サンデーコミックス)」)
#005467
だいじなのは、なにがあろうと八時間は眠ること。そうしないと、歩く死人になっちまう。そして、命を落とす。
(コニー・ウィリス「空襲警報 (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005470
この仕事を頼まれたとき最初に頭に浮かんだのは、“この世には絶滅すべきものもある”だった。
(コニー・ウィリス「空襲警報 (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005472
わたしがいうひどいスピーチとは、とりとめがないとか論旨が一貫してないとかいうことじゃありません。それは予想の範囲です。
(コニー・ウィリス「空襲警報 (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)」)
#005475
君が生命を落とすようなことがあるとすればその口の悪さが原因になるよ。保証してもいい。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 17 (少年サンデーコミックス)」)
#005477
たとえ偶然にせよ、戦で全勝すれば常勝の将軍と言われる。常勝の将軍と言えば、優秀な将のように見えますけど、無能だけれどもたまたま負けたことがない、ってこともあるんじゃないですか。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005481
悪意ある者は、他者の中に悪意を見るものだ。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005485
どうして世界には、暖かい国と、そうでない国があるのでしょうか。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005486
我らは所詮、天の摂理の中で生きておる。……そこにありながら、関与できない……理不尽なものでございますな。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005488
期待が裏切られることは辛い。それが心の底からの望みであればあるだけ、得られなかったときの絶望は深い。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005490
剣をもって人を襲うと決めた時点で道義の上では有罪、その罪人に正義を標榜して他者を裁く資格のあろうはずがない。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005492
けれども僕はもう、自分は無力だと嘆いて、無力であることに安住できるほど幼くない。
(小野 不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)」)
#005495
「あなたはひどい人だ」
「ほめ言葉と受け取っておくよ」
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 18 (少年サンデーコミックス)」)
#005496
おれは偶然も2つまでは許すことにしてるんだ。しかし3つも重なったらこいつは偶然とは思えん、何らかの必然があるんだ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 18 (少年サンデーコミックス)」)
#005499
過去を去らせて先へ進むことで正気を保つのはよくあることです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「外交特例 (創元SF文庫)」)
#005502
幸せであるこつは、今日に生きて、先のことを考えないってことかもしれませんね。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「外交特例 (創元SF文庫)」)
#005503
止まった時計が何かを証明するように、馬鹿者でもときには正しいことがあるのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「外交特例 (創元SF文庫)」)
#005504
あなたの鬱をなだめる方法がもうわかったわ。誰かを雇って狙撃させればいいのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「外交特例 (創元SF文庫)」)
#005505
彼なら切り抜けられる。これまでいつだって切り抜けてきたのだ。
とはいえ培ってきた幸運がときには品切れになることもある……。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「外交特例 (創元SF文庫)」)
#005510
ま、読むのが面倒臭い空気だってあるわけである。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005511
失敗したほうが笑えるということはないだろうか。いや。ある。大いにある。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005512
関係はあるなしじゃない。関係はつけるものだ。俺が関係づけてやる。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005514
「な、何ということを言うか」
恐ろしい話である。
「お、お前、他人ごとだと思ってだな」
「他人ごとだからなあ」
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005516
理想は、スタートではなく、ゴールなのである。近づけば近づいただけ喜べばいいし、離れたら離れた分がっかりすればいいのだ。がっかりして、またのろのろ近づけばいいだけのことなのである。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005517
あのな、余裕ないと全力なんか出せないぞ。人間は平常心でいる時が一番能力を発揮出来るのだ。無理して意地張って気合いだけ入れたってダメだから。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005518
馬鹿の神に仕え馬鹿を信奉し馬鹿にひれ伏し馬鹿を味わい馬鹿を愉しむ――馬鹿は素晴らしい。それが僕らの信条である。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005519
まあ、楽よりも苦のほうがエライ、へらへらしているよりも顰めッ面してるほうがエライ、気が抜けてるより気合いが入っているほうがエラというような風潮は、明らかに今でも残っているし、今後も残るのだろうと思う。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005520
嫌な奴である。お互い様だが。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005522
「あのな、知らなきゃ否定も出来ねーよ」
「そうかもしらんが」
「盲信するのと愛好するのは別だ」
「そうかもしれんが」
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005525
不明瞭な言語は時に明瞭な言語の力に圧倒される。時にその意味や、人の記憶さえ塗り替えてしまうものである。
(京極 夏彦「虚言少年」)
#005526
不快な現実として、「全員」にあてはまることは自分にも当然あてはまる。
(ダンカン ワッツ「偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)」)
#005527
興味深いことや、劇的なことや、悲惨なことが起こるたびに、われわれは無意識のうちに説明を探す。だが、出来事があってはじめて説明を求めるせいで、「起こってもおかしくはなかったが起こらなかったこと」よりも、「実際に起こったこと」の説明に偏りすぎる。
(ダンカン ワッツ「偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)」)
#005529
コンピューターシミュレーションはすぐれた洞察をもたらしうる有用な道具であるが、とどのつまり、それは現実の実験よりも思考実験に近いし、だから疑問に答えるよりも新しい疑問を引き出すのに向いている。
(ダンカン ワッツ「偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)」)
#005536
計画が失敗するのは計画者が常識を無視したときではなく、自らの常識に頼って自分と異なる人々の行動を推論したときである。
(ダンカン ワッツ「偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)」)
#005540
現代において報道されないということは、存在しないということと同義である。
(月村 了衛「機龍警察 未亡旅団 (ハヤカワ・ミステリワールド)」)
#005546
「全部自分の責任だなんて思い込んでるんじゃないかしら」
図星であった。
「そんなふうに思っちゃ駄目。もし思ってるとしたら、それはみんなを信じてないってことよ。責任感も大事だけれど、そういうのって、傲慢とか、思い上がりになるんじゃないかって私は思うの」
(月村 了衛「機龍警察 未亡旅団 (ハヤカワ・ミステリワールド)」)
#005547
でも、わたしは生きます。あの人が今日まで生きてきたようにです。
わたしはあの人やあなたのように強くなりたい。
(月村 了衛「機龍警察 未亡旅団 (ハヤカワ・ミステリワールド)」)
#005551
総力を挙げたところで知れたものである。その総力さえ惜しんでいる。何らかの仕事をしていると見せかけつつ、潮が充ちるのを待つのが彼の流儀だった。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005552
小冒険を嗤う者は小冒険に泣く、という言葉がある。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005553
なめてもらっちゃ困るな。あなたは僕がどんなに怠け者かご存じないくせに。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005555
「なあ、『転がる石に苔はつかない』という言葉を知ってる?」
「知ってます」
「つまり、そういうことなんだ。分かるだろ?」
「……もっと苔をつけて、やはらかくなります」
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005561
カリスマ的といわれる人物は、「謎」を上手に使いこなすものである。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005562
男にとって女は謎であり、女にとって男は謎である。しかし我々は一生かけてその謎に取り組むのではなかろうか。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005566
適切な休息を取ることが良い仕事の秘訣だぜ。いやあ、昼日中から呑むビールはうまいね。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005576
好きなことに没頭しているとき、人は幸せになる。幸せの極みにあるとき、しばしば人は阿呆になる。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005577
「少しは緊張感を持ちたまえ、この怠け者め」
「我々は人間である前に怠け者です」
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005578
「いずれ私は死ぬんだぞ。こんなところで何をやってる?」
そのときほど、その問題がまさに手で触れられるようにそこにある、と感じたことはなかった。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005583
祭りが終わるっていうのは淋しいことだ。……でも、俺はこの淋しさが好きだよ。祭りのあとの淋しさあってこその祭りだからな。
(森見 登美彦「聖なる怠け者の冒険」)
#005585
あなたの中に真実がみつけられないのよ。
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 20 (少年サンデーコミックス)」)
#005588
あなたがなにを失ったというの?欲しがってた物が手に入らなかっただけじゃない。ダダをこねれば何でも手に入るとでも思っていたの?なにもかも失うのはこれからよ!
(ゆうき まさみ「機動警察パトレイバー 22 (少年サンデーコミックス)」)
#005592
人間、何ごとにつけ一時の感情で刹那的にものごとを決めてしまうのはいけないことなのだ。肚が立っていようと落ち込んでいようと、どんな時でも熟慮することが肝要なのである。
(京極夏彦「眩談 (幽BOOKS)」)
#005594
予感の方は見事に的中した。期待の方はあっさり裏切られた。
(京極夏彦「眩談 (幽BOOKS)」)
#005595
「人はな」
「はあ」
「なんで忘れるか知っとるか」
「さて。頭が悪いからじゃないんですか」
「覚えていたくないからだわ」
(京極夏彦「眩談 (幽BOOKS)」)
#005596
「あんた、覚えていることが本当か嘘か、事実か虚構か、記憶か空想か、判らんというておらっしゃったでしょう」
「ええ。判らなくなってしまいました。もう二十年も経つので」
「判る必要がありますか」
「いや――」
必要というのはないのだけれども。
(京極夏彦「眩談 (幽BOOKS)」)
#005598
僕には向いているポジションがないんです。向き不向きで考えたら、僕には居場所がありません。
(高橋 秀実「「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)」)
#005599
油断はそこに付け入ることもできますがなめられていていいことはひとつもありません。
(高橋 秀実「「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)」)
#005603
まだ知らないことをなぜ知る必要があるかをおまえはまだ知らない。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005605
人は正しくあろうとしても、なかなか正しくなれないものだ。ましてそうあろうと努力する者は少ない。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005607
「わかってる」
「わかっておられるとわかっています。わかっておられるとわかっていることを、あなたはわかっておられる」
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005613
おなじことを言え。ただし二度目は愛する人に、三度目は恩ある人に言え。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005614
相手を守るべき評判のある人物として扱え。そうすれば、相手も評判にかなうように行動するものだ。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005622
真実という旗じるしを隠れ蓑にした権力機構は、真実をなにより恐れる。その嘘がすこしでもあばかれれば即座に権威が失墜するからだ。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005626
この年齢の子どもにいったいなにを期待しているのですか?ぼくにあるのは可能性だけで、実績はありません。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005632
歴史を振り返れば、ぼくより愚かな人物でもやり遂げた例がいくつもある。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005636
そろそろ気づいただろう。人を重要に、高貴にするのは、その行動であり意志なのだ。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005637
さあ、急いで待ちましょう。
(オースン・スコット・カード「道を視る少年(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#005642
私の命をあんたが食べてくれるなら 何だか死ぬのも怖くない。
(漆原 友紀「蟲師 (3) (アフタヌーンKC)」)
#005643
畏れや怒りに目を眩まされるな
みな ただそれぞれが あるようにあるだけ。
(漆原 友紀「蟲師 (3) (アフタヌーンKC)」)
#005644
……そうでもせねば進めぬ道というものもあるのだ。
(漆原 友紀「蟲師 (7) アフタヌーンKC (404)」)
#005646
「……まァわしもあやつも長く生きた。あちこちガタがくるのも当然だ」
「……またそうやって人の事もうろく扱いして」
「本当の事だろうが」
(漆原 友紀「蟲師(9) (アフタヌーンKC)」)
#005648
あれが意味のない行いだったなんて、思わない。意味なんて案外、ああいう小さなことから生まれてくるのかもしれない……
(小川一水「天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-22)」)
#005649
今のあなたは、今がいい?それとも、昔のほうが?
(小川一水「天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-22)」)
#005652
あいつとは別に仲間でも主従でもない――けれども敵かといえば、そうでもない。いつかぶん殴ってやりたいとは思うけれど、今でなくてもいい。
(小川一水「天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-22)」)
#005654
よくもそれだけ、飽きもせず生きてこられた。いや、何度も飽きたし苦難にもあったが、それでやられないほど鈍感だったというだけか……。
(小川一水「天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-22)」)
#005655
もし、天国があるとしても、そこは冷たい場所に違いない。暗い闇に違いない。ひとりぼっちに違いない。
(桜坂 洋「All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)」)
#005656
戦場というやつは、健全な肉体にも健全な精神にも等しく有害である。
(桜坂 洋「All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)」)
#005657
緊張で体が破裂しそうなときは楽しいことを考えるといい、というのは本当のことである。
(桜坂 洋「All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)」)
#005660
どの道、ヤバいか、マジでヤバいか、ヤバすぎてどうにもならないかのみっつしかないのだ。あせってもしかたがない。
(桜坂 洋「All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)」)
#005664
ものに名前を与えれば、それはいつしか名前のとおりのものになってしまう。すべての真実は、つけられた名前にあるの。そして、すべての虚偽も。不適切な名前ほど、その対象を歪めてしまうものはないわ。
(ジョージ・R・R・マーティン「星の光、いまは遠く 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005665
あなたはかつて、わたしの友人だったわ。たぶん、いちばんの友人だった。でも、別れてから、ずいぶんたっていることだし、性急に空白を埋めるのはやめにしましょう。
(ジョージ・R・R・マーティン「星の光、いまは遠く 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005666
未練なんて、いつだって、すこしはあるものだわ。そもそも、あなたの思いがたしかなものであったのならね。
(ジョージ・R・R・マーティン「星の光、いまは遠く 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005672
しかし、問題があるのは貴兄の聞く耳であって、おれのことばではない。当方は敬意を表して誠実に答えようとしているのに、そちらが耳を貸そうとしないだけだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「星の光、いまは遠く 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005673
きみは勇気ある人間ね。それを証明するのに、自殺行為の必要はない。
(ジョージ・R・R・マーティン「星の光、いまは遠く 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005674
ぼくの通ってきたあとには、守りきれなかった約束が点々と連なっている……。
(ジョージ・R・R・マーティン「星の光、いまは遠く 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005677
思ふにこの類の書物は少なくも現代の流行にあらず。いかに印刷が容易なればとて、こんな本を出版し自己の狭隘なる趣味をもちて他人に強ひんとするは、無作法の仕業なりといふ人あらん。されどあへて答ふ。かかる話を聞きかかる処を見て来て後、これを人に語りたがらざる者はたしてありや。
(柳田 国男「遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)」)
#005678
でもさ、努力が結果にあらわれなくても…努力を見ててくれる人は必ずいるでしょ?
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 11 (少年サンデーコミックス)」)
#005680
まあ、つらくて死ぬくらいになったら逃げちゃえばいいんですけど。
(荒川 弘「銀の匙 Silver Spoon 11 (少年サンデーコミックス)」)
#005683
こうした古い封印話は、こっちがいくら蓋をしようと思っても、蓋の方から開きたがることがある。蓋は蓋の身で、長く口をつぐんできたことに疲れているのだろう。
(宮部 みゆき「お文の影 (角川文庫)」)
#005684
「あんたにはまだわからないことなの。知らなくていいことなの。父さん母さんの言いつけどおりにしてればいいの」
七つの女の子と男の子の差は、女の子はこういうとき、いっぺん引き下がる計略を知っているということだ。
(宮部 みゆき「お文の影 (角川文庫)」)
#005692
でもよ、仕事の価値と報酬はあんまり一致しねえから、気にしないほうがいいぜ。
(伊坂 幸太郎「残り全部バケーション」)
#005696
世の中にはまだ俺の知らないものがあるのか、と思うともっと調べたくなる。
(伊坂 幸太郎「残り全部バケーション」)
#005700
「何だか、君はいい人なのか悪い人なのか分からないな」
「別に、苺味とレモン味みたいにラベルが貼ってあるわけじゃないんですから」
(伊坂 幸太郎「残り全部バケーション」)
#005701
大切な人が次々と去っていく怖さがあった。
(伊坂 幸太郎「残り全部バケーション」)
#005702
あのな、人間、悪い影響ってのは、簡単に受けちまうものなんだよ。
(伊坂 幸太郎「残り全部バケーション」)
#005703
自分の不幸が売り物になるのは子供のうちだけなんだ。あんたが大人になったら、自分でいきてくしかないんだ。
(野尻 抱介「魔法使いとランデヴー―ロケットガール4 (ハヤカワ文庫 JA ノ 3-16 ロケットガール 4)」)
#005707
誰にでも大切に護らなくてはならない物語がある。それは当人にとって、まぎれもない事実だ。
(野尻 抱介「魔法使いとランデヴー―ロケットガール4 (ハヤカワ文庫 JA ノ 3-16 ロケットガール 4)」)
#005709
私はあのとき、何も考えられませんでした。だから今になって、考えずにいられません。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005712
あなたは笑うかもしれないけど、笑ってもいいから付き合って。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005713
何かに困って視野狭窄に陥っている人間は、本人もまた〈困った人〉になってしまう場合があるという見本だ。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005715
中年のおっさん同士だから、あんまりビビッドなやりとりがあるのもおかしい。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005718
こういうことに関わるとね、善意であっても、ひと欠片の後ろ暗いことがなくても、嫌な思いをする。それだけじゃなくて、自分のなかでも何かが変わってしまう。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005719
人間は基本的に善良で建設的だ。だが、特定の状況に置かれると、それでもなお善良で建設的であり続けることができるタイプと、状況に呑まれて良心を失ってしまうタイプに分かれる。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005720
誰かを攻撃するのが楽しいことがある。相手が追い詰められるのを楽しむんだ。人間は誰でも、そういう邪な部分がある。だがそれ以上に邪悪なのは、そういうふうに他人を駆り立てることだ。煽ることだ。それが正しいと、他人の頭に刷り込むことだ。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005722
人を教え導くというのは、本来、非常に尊い技だ。難しい技でもある。そうそう誰にでもできることではない。だからこそ教育者には適性というものがあるはずだ。だが、適性だけでは道を誤ることがある。教育の目的の正邪を見極める良心を欠いてしまえば。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005725
できれば正しく生きたい、善く生きたいと思う人間であれば、どれほどのっぴきならない理由でついた嘘であっても、その重荷に堪えきれなくなって、いつかは真実を語ることになる。
それならば、己の嘘を嘘と感じず、嘘の重荷を背負わない者の方が、いっそ幸せなのではないか。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005730
「そんなことないさ、あんたって、なんか肝が据わってるところがあるから」
私は、自分の肝が身体のどこにあるかさえ知らない。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005736
「あれ、言わなかったっけ?俺は独身だよ」
「だって今、女房より車が大事だって」
「だから離婚しちゃったのさ」
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005737
「だって、俺の責任だ」
「君はまだ若いんだ。ひよっこじゃないか。世間のことをよく知らない。落とし穴に落ちることだってあるさ」
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005738
それを私は、自分が我慢して諦めているのだと思ってきた。実は我慢でも諦めでもなく、私はただ楽な方を選んだだけだった。そのくせ、自分の我慢と諦念に、なにがしかの対価があってもいいじゃないかと、無意識に思ってきたのだ。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005739
何か普通じゃない出来事があったときは、きりをつけるためにも、お祓いってのは大切なんだ。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005741
わたしはあなたを、わたしの幸せのなかに閉じ込めてきた。あなたは窒息しかけてる。
(宮部 みゆき「ペテロの葬列」)
#005747
ああ、……ちくしょう。あの日、空はそっくり取っておいて売りたくなるほどきれいだった。
(佐々 涼子「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」)
#005751
人には誰しも簡単に説明できぬものというやつがある。おぬしにも覚えがあるはずじゃ。
(万城目 学「とっぴんぱらりの風太郎」)
#005752
齢二十にして、はじめて知ったことがある。それは案外、自分がこまめな性分の持ち主だったということだ。
(万城目 学「とっぴんぱらりの風太郎」)
#005753
本当にいくさになったら、きっと商いどころじゃなくなるよ。寸前でじりじりしてくれるのが、いちばんありがたいかな。
(万城目 学「とっぴんぱらりの風太郎」)
#005758
金があるという安心は、何と気を楽にすることだろう。
(万城目 学「とっぴんぱらりの風太郎」)
#005762
だが――、この世は生きている者、これから生きようとする者のためにある。
(万城目 学「とっぴんぱらりの風太郎」)
#005764
呼び返してくれたのかどうか、わからなかった。ただ、こうして最後に呼びかけられる名前がある、というのはとてもいいものだ、と思った。
(万城目 学「とっぴんぱらりの風太郎」)
#005766
「あの後、何回も、何百回も、繰り返し放送された場面だから、君も見たと思うけれど」
「見てないけど」
「見るべきだね」
「絶対に見ない、と今まさに決心したわ」
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005767
わたしが、あなたの鈍感さにもう愛想を尽かしはじめている、という説もある。
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005771
その幼稚ともいえる作用が、実際に、人の心理の法則として生じるのだとすれば、もはや、それを幼稚だと言い捨てることに何か意味があるのですかね。
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005772
もしこれが芝居であるのなら、騙されてもいいじゃないか。
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005773
競争社会には二種類あるんだ。一つは、全員が努力して競い合う、健全な競争だ。でも、多くはそうじゃない。相手を転ばして、楽して勝とうっていう、消極的な競い合いだ。そうなれば自然、お互いが、ミスを恐れて縮こまる。
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005774
クリスマスのプレゼントをもらえるのであれば、サンタクロースからではなくとも構わない。
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005776
過ちを認めることから、はじまるものもあるのかもしれないな。
(伊坂 幸太郎「PK」)
#005778
こんな時代でも、世界は、やっぱり生きるに値するのだと――あらためて教えてやりたいのだ。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005779
成果の見える仕事は楽しい。充実感がある。患者を助けられない医者であるよりも、仲間を救える人殺しであるほうが気持ちがいい。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005782
人間は、過去に記録がある事柄は想像できても、記録のない事柄を推論だけでイメージするのは苦手だ。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005784
愚痴のひとつも吐き出せない人間など、いくら理想が高くても、正常であり続けることなどできません。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005786
この争いは、どこが頭でどこが尻尾かわからなくなった蛇のようなものだ。ぐるぐる回って噛み合っているうちに、輪をほどく方法を失った――。解決の道はあるのだろうか?
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005791
「熱意に満ちた、真っ直ぐな性格なんですね……」
「あれは美点というよりも欠点だ。真っ直ぐ過ぎて融通がきかん。己の正義に従い、それに殉ずることに喜びを覚える大人になってしまった」
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005796
正しい行為で孤立するなら、自ら進んでそれを受け入れよう。それが彼の出した結論だった。心の強い人間にありがちな到達点だった。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005798
「あんまり心配しないほうがいいよ。禿げるから」
「禿げるのは嫌だな……」
「気楽でいるのが一番だって」
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005800
落ち着かないのは腹が減っているせいもあるだろう。まず何かを食わせたほうがいい。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005802
これは間違いじゃなかったが、最短の道であったというだけで最良の道ではなかったようだ。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005803
利益や実りを得るだけが収穫ではないでしょう。自分自身の破滅も収穫のひとつです。それによって何かが成し遂げられるのであれば。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005804
どんどん後戻りできなくなっている――という実感があった。
馬鹿げた祭りに駆りだされ、皆で踊っているだけだ。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005807
あなたにも、ひとつぐらいは不得手な事柄があったほうが可愛げがありますわ。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005808
予算をもっと回してくれよ。お金さえあれば我々は完璧なものを作るよ。それが仕事だし、生き甲斐だからね。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005812
客観的で冷徹な判断だけが〈人間の知性〉ではないはずだ。直感的な想いの中にも真実はある。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005813
大人になれば人間は変わる。再会しないほうが幸せという場合だってある。かつて、どれほど熱い約束を交していたとしても、わざわざ思い出してくれとは言えない。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005819
人間愛よりも、徹底した打算や計算による駆け引きのほうが、真の平和を生み出すことだってある。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005821
私には、彼女があなたとの出会いを通じて、自分の中に、ついに神を見出したように感じられました。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005822
じっと考え込んでいると、自分が、あの時代へ戻っていくような錯覚に囚われた。戻れるはずもなく、取り返しがつくはずもないのに――。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005823
傍から見て不幸でも、本人にとっては幸せってこともあるんです。損得勘定ばかりで物を言わないで。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005824
志を曲げたつもりはありません。ときには寄り道のほうが大切だと、ようやく気づいただけです……。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005836
極限まで突き詰められた冷徹な論理的思考は、ときとして、人間の感情が生み出す配慮と同じ結論を導き出すことがある。
(上田 早夕里「深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#005849
俺は、「大丈夫だ」と伝えたが、それを証明しろとあの男は詰め寄る。が、危険を伝えることは容易いが、安全だと納得させるのはなかなかできない。
(伊坂 幸太郎「夜の国のクーパー」)
#005851
関係は平行線であるだろうが、ほんのわずかでも相手に寄り添おうと向きを変えれば二つの線はいずれ、どこかで交錯するかもしれない。可能性は残る。
(伊坂 幸太郎「夜の国のクーパー」)
#005854
資格があるのと資格を使うのは別問題だ。
(高島 雄哉「ランドスケープと夏の定理 -Sogen SF Short Story Prize Edition- (創元SF短編賞受賞作)」)
#005855
この世の終わりじゃありませんが、かなりきつい蹴りを入れられた感じではあります。
(キース・デブリン「数学で犯罪を解決する」)
#005857
ちゃんと、人のことも信じられるようになれ。面倒でもなんでも他人とつきあいながら、その上で人から力を貰い受け、それ以上に人に与えるになれ。
(門田 充宏「風牙 -Sogen SF Short Story Prize Edition- (創元SF短編賞受賞作)」)
#005858
人の心の向きは、土地柄により、気候により、貧富によってさまざまに変わるものだ。時代が変えてくれることもある。
(宮部みゆき「荒神」)
#005861
これが神仏の計らいであるのならば、その意を疑いたくなるような成り行きである。
(宮部みゆき「荒神」)
#005869
「……わたしには口説いたつもりはなかったが」
「あたしが口説かれちゃったんだから同じなの!」
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)」)
#005870
相手が家族だからこそ、打ち明けにくいこともある。そう感じない者も世の中には大勢いるだろう。しかし、私のような人間は違う。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)」)
#005885
親の期待を裏切りたくない。だから期待をさせないようにふるまう。ずっとずっとそうしてきた。今になって、親とのあいだにいざこざを起こしたくない。だから自分から動くことができない。僕は腰抜けだ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)」)
#005889
前例があるから使おうと思ったのに、前例があるからその道は閉ざされていた。バカみたいだ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第I部 事件 下巻 (新潮文庫)」)
#005891
「知らないと落ち着かないか?」
「わかんない。あたし、ただの野次馬かもしれないね。でも、腑に落ちないまま抱えてるのが嫌なんだ」
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第I部 事件 下巻 (新潮文庫)」)
#005896
あたし、わかった。やるべきことが何なのか、やっとわかった。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第I部 事件 下巻 (新潮文庫)」)
#005897
本ではなくても、子供の頃に好きだったものが猛烈に欲しくなることはある。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)」)
#005903
学校というところは、被害者には弱い。自分が被害者であることを訴える術を持っている被害者には、無条件で譲ってくれるのだ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)」)
#005905
僕には本当の秘密もある。そして、それだけは仮面じゃない。そっちが僕の本性だった――
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)」)
#005908
本当に賢い奴は、時間と折り合いをつけられるんだよ。自分がコドモであることの意味を理解できる。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)」)
#005912
バカバカしくなって、この世からオサラバしたくなる。自分の命には、価値なんてないのだから。だってこの世には人間が溢れかえっている。意味のない生があり余っている。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻 (新潮文庫)」)
#005916
味方がいない。ていうか味方を欲しがらなかった。だからああいう局面になると、根も葉もない中傷でも、けっこう応えたんじゃないかな。なかったことをなかったと立証するのは、ホント難しいからね。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻 (新潮文庫)」)
#005917
でも、あたしだったら、あたしだったらって考え方をしてちゃいけないんだね。人それぞれなんだもん。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻 (新潮文庫)」)
#005919
人間は、どんなことだってやらかす。夫婦や親子の情だの、社会の規範だの世間の常識だの、そんなものが吹っ飛んでしまう瞬間が、人間にはある。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻 (新潮文庫)」)
#005924
先の希望を失った日々を過ごすうちに、いつの間にか、心の中にあった何かが磨り減ってしまっていたのだろう。かつてなら考えずとも気づいたことに、気が回らなくなってしまっている。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005926
誰にとっても宝石、というわけではありますまい。あなたが手にしてこそ輝く原石だ。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005927
どちらを採っても痛みがあるなら、痛みが少ない方を選ぶしかない。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005935
直感というのは侮れない。まだ意識の表層には上っていないことに、すでに気づいているということは、ままあるものだ。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005940
いま思えば、あの頃は灰色に見えた未来にも、多くの生気に満ちた色合いはあったのだろう。幼い目には見えなかったものが、たくさん、あったのだろう。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005942
大義のためだかなんだか知らんが、自分の命なら勝手に捨てろ。だが、おれの命はおれのもの。あの子の命も、あの子のものだ。おまえらに生き死にを決められる筋合いはない。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005943
どれほど残虐なことをしてでも、成し遂げたいと思うことが、おれにはあるんだよ。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005948
そうであったなら、ただの馬鹿だが、そうではない、かもしれん。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005949
もう思わずにいる時間の方が長くなりました。虚しいことですけど……救いでもあるんでしょうね、忘れられる、ということは。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005951
他に聞くべきことがあるだろうに、まず、それから聞くのか、おまえは。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005952
その言葉、嫌いなんだよ。便利な言葉だし、確かにその通り、ということもある。でも、それで納得して、何か変わるか?
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005953
何が命をつなぎ、何が命を奪うのか、その因果の糸はあまりにも複雑で辿りようもない。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005957
死者は答えぬ。──答えはいつも、我が身のうちにある。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005959
知りたい、と思う気持ちが、ときに、人の命を思う気持ちを、超えそうになることがある。
(上橋 菜穂子「鹿の王(上下合本版) (角川書店単行本)」)
#005962
ぼくは笑える出来事の連続であやうく死にそうになり、もっと笑える出来事の連続で生き残ることができた。
(アンディ・ウィアー「火星の人 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005975
もし“この先の人生”があるのなら、ささやかな郷愁くらい、よろこんで受け入れよう。でもいまは、ただただ家に帰りたい。
(アンディ・ウィアー「火星の人 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005976
こんどだって、切り抜けますよ。どうやってかはわかりませんが、かならず切り抜けます。あいつは利口なやつですからね。
(アンディ・ウィアー「火星の人 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005978
ほんとうのところは、人間はだれでも互いに助け合うのが基本であり、本能だからだと思う。そうは思えないときもあるかもしれないが、それが真実なのだ。
(アンディ・ウィアー「火星の人 (ハヤカワ文庫SF)」)
#005980
悪者って言い方は変だよ。あの人たちだって、頑張って戦っているんだから。
(伊坂 幸太郎「ガソリン生活」)
#005983
人間には、認められたい、役立ちたい、褒められたい、という三大欲求があるらしい。だから、金があれば働かないかといえば、そんなことはない。誰だって、役立ちたい気持ちはある。それが満たされなければ、幸福にはなれない。
(伊坂 幸太郎「ガソリン生活」)
#005984
『もしかしたら必要になる時があるかもしれないから』と何でも保留にしちまうんだよ。だから、無駄なものがいつまで経ってもなくならない。
(伊坂 幸太郎「ガソリン生活」)
#005987
「信じているのかよ」
「信じてるかどうかは分からないけれど。あってもいいんじゃないかな、とは思ってる」
(伊坂 幸太郎「ガソリン生活」)
#005989
守れなかったらどうするのよ。あのね、サッカーのゴールキーパーなんて、みんな、ゴールを守るつもりでいるのよ。なのに、試合では何点も取られちゃうんだから。守ろうと思って、守れるんだったら世話ないんだから。
(伊坂 幸太郎「ガソリン生活」)
#005991
インターネットに流した情報は基本的に、世界のみんなに見てもらえるらしい。わざわざ世界中に発信したいものがどれくらいあるのか、僕には分からないけれど。
(伊坂 幸太郎「ガソリン生活」)
#005999
時代が女の子たちの早熟を促し、早く大人びることに高い価値があると唆すことの大きな弊害は、人生の早い段階から異性に依存せずには自我を保つことができない女性たちが増えることだ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻 (新潮文庫)」)
#006000
願望が作り得るのは空想であって、事実ではありません。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻 (新潮文庫)」)
#006004
生身の人間なのだから、驚きという感情を殺すことはできない。ならば、どうすればいかなるときでも驚かずにいられるか。
答えは簡単。驚きが平常心であればよろしい。生きていれば、いつ何があってもおかしくないと思っておればよろしい。だからハッとしても、それはあくまでも生理的な反応であって、驚きとは違うのだ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻 (新潮文庫)」)
#006007
そういうとき、手伝ってあげるのが親友なのかな。それとも、やめなさいって言ってあげるのが親友なのかな。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006011
ホント、大根役者だ。あまりに下手くそなので、かえって本物っぽく見える。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006013
あれは嘘つきの顔だ。嘘をついて他人を傷つけ、自分も傷つく人間の顔だ。
そして何もかも取り返しがつかないと、絶望している人間の顔だ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006019
あなたは嘘をついた。でも、あなたは悪くない。あなたはただ、追い詰められた場所から抜け出そうとしただけだ。そのために、思いつく限りのことをしただけだ。あなたは悪くない。間違ってはいたけれど、あなたは悪いことをしていない。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006020
百の弁舌よりも、ひとつの握り飯が真理を語ることもあるのだよ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006023
あいつは悪魔だ。僕は知ってる。ずっと知ってた。世の中にはそういう人間がいる。他人と共存できないんだ。いつも自分が特別な存在でいなければ気が収まらないんだ。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006028
暴力的な人間というのは、べつに血を見るのが好きなわけじゃない。相手を屈服させ、支配できればそれでいいんです。物理的な暴力は、そのための手段のひとつでしかありません。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006029
最初から反りが合わず、嫌い合っている関係よりも、一度は親しい時期があってから離反した場合の方が、感情の振幅が大きい分だけ、相手を害してやろうという負のエネルギーも強くなるのではないか。
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006030
目的が正しくても、手段に不正があったら、すべてが不正になってしまうのに。悪い奴をやっつけるためなら、その悪い奴がやってない悪いことをでっち上げてもいいの?
(宮部 みゆき「ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)」)
#006033
普通、人間たちは誰か別の人間との関係で満足を得ようとするものなんだ。助けあったり、愛情を確認し合ったり、たとえば、優越感や嫉妬といった感情も、生きる原動力の一つだ。
(伊坂 幸太郎「死神の浮力」)
#006035
人間にとって、年齢とは、その人間の品質を表す数値ではない。つまり、年嵩が増しているからと言って、優秀であるとは限らず、それはただの、肉体の、主に、血管や内臓の使用年数に過ぎない。
私の今までの経験からすると、人間の本質は五歳の頃からほとんど変化はない。
(伊坂 幸太郎「死神の浮力」)
#006040
最近はもう、隙あらばクレームをつけたい人で溢れてますから。
(伊坂 幸太郎「死神の浮力」)
#006046
人間は、一度自分で決めたシナリオができあがると、それに沿わない助言や忠告は撥ねのける傾向がある。
(伊坂 幸太郎「死神の浮力」)
#006048
間違った情報を得てしまったか。
もしくは、故意に嘘を教えたか。
前者はよくあることだ。人間はよく誤る。そして、後者もよくあることだ。人間はよく嘘をつく。
(伊坂 幸太郎「死神の浮力」)
#006057
親ってのは、子供の人生が無事でありますように、と思わずにはいられないんだよ。
(伊坂 幸太郎「死神の浮力」)
#006068
悪気はあっただろうが、罪はない。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006069
自分にこう問いかければいい。『俺が、もし、あいつの立場だったら、正しいことができたのか?』とな。そこで、『俺ならできた』と思えるなら、とことんまで非難してもいい。ただ、『同じ立場だったら、同じようなものだったかもしれない』と感じるならば、批判もぐっと堪えるべきだ。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006071
いいか、おまえは頭がいい。が、そこが命取りになる可能性もある。『驕れるもの得意分野に隙あり』。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006072
「わたしはあの、お間抜けグループの一員じゃないんだから」
「卒業したのか」
「入学していないんだって」
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006075
『すみません、それ知らないので教えてくれますか』なんて言えるか?いいか、人前で、無知を晒すくらいであれば、その場は、知っているふりをして、後でこっそり調べておけばいいんだよ。ネットで検索するか、もしくは、知ってそうな奴にざっくり教えてもらうか。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006076
人と揉めるくらいであれば自分の意見を引っ込めるほうがよほどいい、と私は子供の頃から考える性格だった。そのため、周囲からは、温和であるとか、平和的であるとか、勘違いをされることが多い。実はまったく違う。それなりに陰湿だった。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006077
そのような話は、腐るほどありますよ。もはや、腐るのを通り越して、発酵して乳酸菌飲料とかになるほどじゃないですかね。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006078
あなたはつらいと感じたんだし、それと、どこかで苦しんでいる別の人のつらさを比べて、泣くのを我慢する必要はないでしょ。つらいと思ったのは本当なんだから。
(伊坂 幸太郎「首折り男のための協奏曲」)
#006082
コップ半分の水を見て、「まだ半分もある」と述べることも、「もう半分しかない」と述べることも可能なように、情報や統計は見せ方により、どんなものの根拠にも使えるのだが、とにかく依頼主の意向になるべく沿った報告書を作る。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006086
そうだなあ、悪くはないよ。当たりか外れかで言えば、当たってるほうだよ。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006087
「わたし、もうバリバリ働こうかなあ」
「いまどきには珍しいくらいに?」
「そうそう。それもまた面白いかもしれない」
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006089
まあ、でも、直らないんだよな、性格ってやつは。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006091
積み重ねには、良い積み重ねと、悪い積み重ねがあって、これは悪いほうです。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006092
彼女と付き合ってから、俺、謝ってばかりだったからさ。まあ、実際、俺が失敗したり、うっかりしていることばっかりだったから謝るのも当然だったんだけど、それにしても、もう疲れたのかもしれない。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006095
まあ、抜かりない女は、モテるよ。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006096
慢心の最中に危機を覚えるのであればそれは慢心とは言えない。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006097
俺はな、根性はねえけど、野次馬根性はあるんだよ。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006098
でも、昔のものが全部悪いってわけじゃない。いいものもあれば悪いものもある。現代の流行や常識にだって、いいものと悪いものがある。
(伊坂 幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」)
#006101
これでよかったのだろう…この人類を救うのが…我々であるとは限らないのだから…
(諫山 創「進撃の巨人(15) (講談社コミックス)」)
#006107
間違いであったと、未来の誰かに笑って貰いたい。
(柴田 勝家「ニルヤの島 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006110
今まで自分が得ていた利益が、ある局面になって突如として得られなくなると、人は利益を得ていた時の状況を再現したくなる。
(柴田 勝家「ニルヤの島 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006120
どんなに無駄に思える情報でもどこかに需要はある。
(阿部 和重「キャプテンサンダーボルト」)
#006125
どんな主義主張があっても、他人の不幸を喜ぶようになったら、おしまいだ。
(阿部 和重「キャプテンサンダーボルト」)
#006127
おなじ考えじゃないから、かえって連携が活きるってこともあるからな。
(阿部 和重「キャプテンサンダーボルト」)
#006128
いいか、理不尽なものは、いつだって、理不尽にやってくる。そうだろ。病気も災害も、自分の力ではどうにもならないものが、突然やってくる。俺たちは毎朝、フォーチュンクッキーを引いて、たまたまそこに、『今日は死にません』と書いてあるだけの、そういう日を過ごしてるようなものだ。
(阿部 和重「キャプテンサンダーボルト」)
#006131
野球には逆転があるが、俺たちの生きている社会にはなかなかない。
(阿部 和重「キャプテンサンダーボルト」)
#006132
これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ。
(阿部 和重「キャプテンサンダーボルト」)
#006135
まなざしがいいとか、声がすてきだとか、ご清潔でご誠実だとか、心根が優しいとか、価値観が一致しているとか、そういう説明はつねに不充分だし、あれこれ条件を言うのはそれ自体二流のカップルなのかもしれない。
(阿刀田 高「シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)」)
#006137
妄想をめぐらすことは同じなのだ。問題はその妄想の質であり、それを捕らえる言葉にこそ秘技があるらしい。
(阿刀田 高「シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)」)
#006138
考えようによっては、死んだ人間より、生きてその死の重さを担う人のほうがもっと辛い、ということもある。
(阿刀田 高「シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)」)
#006139
生き物は、いったん選択した生存戦略を手放すことはありません――絶滅しない限り。
(小川 一水「天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006140
人間ができることには限りがあり、大体の者はこの次の食事か、せいぜい明日の朝食を手に入れるていどのことしか考えていない。大昔に裸で棍棒を握っていたころからそうだったし、今でもそうだ。
(小川 一水「天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006142
どうして、と考えても言葉で語れるような立派な理由は出てこない。ただ、自分がすべてに背を向けて明日の食い物だけを心配するような人間では、ありたくないからだ。
(小川 一水「天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006143
「……まあ、言われてみれば、なんらかの理由はありそうだな」
「愛の力や偶然などでないのは間違いないと思う」
(小川 一水「天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006144
「これは親切でもなければ好意でもないので」
「純粋に必要性あってのことだとしても、嬉しいわ」
(小川 一水「天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006145
あのときはわけのわからない話だと思っていたが、今は世界のほうがわけがわからなくなってしまった。
(小川 一水「天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006149
「本当に嫌かどうか、自分でも分からないことだって、あるんじゃないすか」
好き嫌いの感情はそんなに単純じゃない。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)」)
#006153
年を取ると、人間はかえって子供じみた考えを持つことがあるのよ。昔を思い出すことが増えるからかしらね……
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)」)
#006154
手のひらの温かさを感じながら俺は考えていた。いつも届く距離にこの手があるとは限らない。思っていることはきちんと伝える必要がある。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)」)
#006161
作り話だからこそ、託せる思いもあるんです。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)」)
#006162
あなたは自分の思っていることを、きちんと伝わるまで話そうとしたことがありますか?
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)」)
#006164
でもまあ効果があるなら悪くないんじゃないの。言いたかった台詞はそれだ。
結果が出ている。その事実は強い。
(伊坂 幸太郎「火星に住むつもりかい?」)
#006166
どう考えようと、どれだけ不満があろうと、今のこの社会を生きていくしかないよね。ルールを守って、正しく。気に入らないなら、国を出ればいい。ただ、どの国もこの社会の延長線上にある。日本より医療が発達していない国もある。薬もなければ、エアコンもない。マラリアに怯えてばかりの国だってある。この国より幸せだと言えるのかな。それとも、いっそのこと火星にでも住むつもり?
(伊坂 幸太郎「火星に住むつもりかい?」)
#006167
こちらの正義は、あちらの悪、そんなことはあちこちにある。どんなに正当な罰でも、受けた側からすれば悪、となるからね。
(伊坂 幸太郎「火星に住むつもりかい?」)
#006171
人それぞれ、生き残る道があるってことですかね。
(伊坂 幸太郎「火星に住むつもりかい?」)
#006180
彼らからすれば、真実がどうであるかは関係がないのだ。必要なのは、「自分たちにとって都合のいい情報が、真実として扱われる」ことだ。
(伊坂 幸太郎「火星に住むつもりかい?」)
#006181
さらに忘れてはならないことがある。自分もいつか必ず死ぬ、そのことだ。しかも、どうやって死ぬのかは、よほどのことがない限り、選べない。
(伊坂 幸太郎「火星に住むつもりかい?」)
#006185
正しい道は数えるほどしかなく、おそらく1つしかないが、間違った曲がり角は無数にある。
(カイザー・ファング「ヤバい統計学」)
#006189
面白く生きるほかに何もすべきことはない。
まずはそう決めつけてみれば如何であろうか。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006191
「儂に何か隠し事があるのではないか?」
「何を今さら」私は慌てて陽気な声を出した。「隠し事なんていっぱいありますぜ」
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006195
「おまえたち、これから一杯やる時間はあるか?」
「まだ宵の口だよ、兄貴。一杯なんてケチくさい」
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006196
「俺様にとっては森羅万象これエンターテインメントよ」
「へへえ。でもそれなら俺の方がすごいって自信があるな」
「ほほーう!その自信はどこから来るんだ?」
「俺の自身に根拠というものはないんだよ、おじさん」
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006197
匂い立つ胡散臭さの中に一抹の愛嬌がある。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006198
しかし悪気があってのことではない。そいつを分かってもらわなくちゃいかん。俺は生まれてこの方、悪気があったことなんて一度もないのだ。やることは大抵インチキだが、善意のインチキですよ。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006199
人生はオリンピックにあらず。どんな手段を使っても勝つべきだ。正真正銘のインチキ野郎というものは、インチキにあらざる奥の手をバッチリ隠し持ってことに臨む。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006201
可愛げのない阿呆に何の意味がありますか。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006202
どこに理路整然と説明できる愛がありますか。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006203
私はそのことにひどく苛立った。かつては手に取るようにハッキリそこにあると思えたものが、どうしようもなく消えていくのだ。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006205
でもあの子の手を放してやれる自信がなかったのよ。もし顔を合わせて引き留めたりしたら、あの子はきっと行けなくなるから――
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006209
……おまえは救いがたい阿呆だが、たまには役立つこともある。
(森見 登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」)
#006219
人が関心を向ける対象の中には、自分の心ときわめて深いところでつながっているものがあって、そのつながりが切れてしまうと、もはや立ちなおれないほど強烈な衝撃を感じてしまうのだ。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006220
さすがにもう、あんたのいうことを信じる。あんたを信じる。ほかに選択の余地がないからだ。もっといい仮説はほかに見つからない。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006222
まるで、あれだな、いままではずっとぼくを待っていたみたいな言いぐさだな。で、ぼくはもう、きみの前に現われたのかい?
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006223
「いいや、子供のころにだって、きみのことを好きになってたさ」にやりと笑って、夫はいった。「きみにぞっこんで、どこへいくにもあとをついてまわってたはずだ。すこしもためらわずにね」
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006225
必要なものはあまりにも多く、伝えなければならないことはあまりにも多かったにちがいない。そして、得られた成果はなにもなかった……。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006226
夫の友人がわたしの友人であったことはない。ほんとうの意味で友人であったことはない。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006227
わたしにとって、観察とはつねに、人づきあいよりも大事なものなのである。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006230
謎のあまりにも近くにいると、身を引いて全体像を眺めることができなくなるものだ。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006233
“理性的すぎる”といわれてきたわたしだが、じっさいには、そんなことはない。理性的であった例(ためし)はないし、理性的でありたいなどと思ったこともない。
(ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域 (サザーン・リーチ1)」)
#006234
タイムマシンがあったらその頃の自分に教えてやりたいです。そのうちいい事がある、って。想像もつかないくらい太るけどな。
(有栖川 有栖「怪獣文藝の逆襲 (幽BOOKS)」)
#006236
頑張った記憶がある奴はちゃんと立ち直ることが出来る。
(椎名 軽穂「君に届け 23 (マーガレットコミックス)」)
#006237
ある感情の状態のとき、べつの感情の状態を考えるのはむずかしい。
(ダン アリエリー「予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」)
#006238
わたしたちは、重要かもしれないことのあいだを行ったり来たりしているうちに、ほんとうに重要なことに十分時間を割くことを忘れてしまう。これこそ愚か者のゲームであるのに、わたしたちはこのゲームにひどく熟練しているようだ。
(ダン アリエリー「予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」)
#006239
「大変だぞ!」「死んじゃうぞ!」って、でかい声を出している人は、何か落ち着いて説明できない不利なことがあるのに、それはひとまず置いといて、とりあえず大声出せばみんなが来ると思ってやっているんじゃないかと思う。だから、どんなにいい人でも、叫びながら言ってることは注意深く聞かなくちゃいけない。
(早野 龍五「知ろうとすること。 (新潮文庫)」)
#006240
よくわからないけれど、大変なことが起こった。そんなときに、「野次馬」が暴れまくると「事実」がどこにあるのかわからなくなってしまうのです。
(早野 龍五「知ろうとすること。 (新潮文庫)」)
#006247
苦笑した。
原因を探るべきときに、相手の無実の材料ばかりを並べる自らの滑稽さに気づいたからである。
(万城目 学「悟浄出立」)
#006248
貴女さまは、今という現実に何よりも満足しておられるのだろう。ならば、何を考えることがあろうか。貴女さまに大事なのは、過程を知ることではない。不安を弄ぶことでもなく、ただ、その先に訪れた結果を受け入れることじゃ。
(万城目 学「悟浄出立」)
#006249
しあわせで、あられよ。
(万城目 学「悟浄出立」)
#006251
迷走することは、断じてよいことではないと誰もが知っている。しかし、人はときに、いやでも迷走せざるを得ないことがある。
(小玉 武「係長・山口瞳の<処世>術 (小学館文庫)」)
#006253
しかしながら、酒はただ合理的な飲み方をすればいいというわけではない。酒はアルコールだけを飲んでいるのではなくて、雰囲気と気分も飲んでいるのである。
(小玉 武「係長・山口瞳の<処世>術 (小学館文庫)」)
#006254
趣味とは当人の意識の問題で、本人の感じ方次第なのだ。だから「趣味のライフワーク」という言い方もできるのである。
(小玉 武「係長・山口瞳の<処世>術 (小学館文庫)」)
#006257
どうしてああも複雑なうわさが持続しうるのだろう。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006258
真実というものには特有のシンプルさがある。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006261
きょうは一日ぶんとしては充分すぎるほど奇妙なものを見聞きした。ひと晩、ゆっくりと英気を養って、あすにそなえるべきだろう。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006266
必要に応じて、ときには戦略を変えねばならない。なにかを得るためには、なにかをあきらめねばならない。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006267
テレビが退屈でも、本があるだろうと思うかもしれないが、もはやいくら読んでも中身が頭に入ってこない状態では、本で退屈をしのぐことができない。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006268
夕食後の皿洗いや朝のベッド・メーキングのように、なにも考えずに淡々とこなす作業には、ある種、心をリフレッシュしてくれる効果がある。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006269
いま自分が浮かべている表情は、潔白な人間のそれには見えないだろう。しかし、腹の中では激しい怒りが渦巻き、自分がほんとうに潔白であるかのように感じていた。なぜなら、ある意味で、自分に罪はないと本気で感じていたからである。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006270
「万事、順調ですか?」
万事順調だったとも、一瞬前までは。なら、その一瞬で変化が起こるはずはあるまい?
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006272
いちばん人目につかずにすむのは、“見るからにそれらしく”あることだ。なにかの典型になってしまえば、注意を引くことはない。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006273
これはフェアだ。十二分にフェアだ。あらかじめこういうことはしないと取り決めておかなかったのだから。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006276
おっと、もう一杯やる時間だぞ。河岸を変えて。ひとまず忘却に沈もう。あとで態勢を立てなおすために。
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006284
――まだあるんだな?まだおれに打ち明けてないことがあるんだな?
(ジェフ・ヴァンダミア「監視機構 (サザーン・リーチ2)」)
#006287
あんた小物なんだから……小物は小物なりに小ぢんまりとね。
(岩明 均「新装版 寄生獣(6) (KCデラックス アフタヌーン)」)
#006294
ありがとう。そして、よくがんばったね、一四年前の自分。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006296
ウロコとは、心の目にかかった偏見のフィルターである。フィルターがなくなれば、世界がよりクリヤーに見えると思われるかもしれない。それは逆だ。このフィルターは自分に都合の悪い情報をシャットアウトする働きがある。だから目にウロコが飛びこんだ者は、不都合なことが目に入らなくなり、世界が単純明快に見える。「目からウロコが落ちた」と勘違いしてしまうのだ。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006297
いいかげん、こんな幻想は捨てよう。世界は複雑である。ちっぽけな人間の頭ではとうてい把握できないほどにややこしく広大なのである。正解が存在しない問題だってたくさんある。それに単純な正解を出そうとするのは間違った行為なのだ。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006301
親が想像もしていなかった方向に子供は育つ。親が子供の性格をコントロールしようというのは不遜だし、不可能である。結局、子供は「自分がなりたい自分」になってゆくのだろう。せいぜい「法律を破るな」「人に迷惑をかけるな」と、きびしく教えこむぐらいである。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006302
「子供騙し」という言葉がある。だが、実際には子供は騙されてなんかいないことが多い。アニメや特撮や怪獣が好きだから、大人たちが苦労して番組を作っているのを知っているから、気づいていても、あえて騙されているふりをしているだけなのだ。
制作者たちは、その優しさに甘えている。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006303
愚か者を笑うのはたやすい。しかし、彼らこそ人類の恩人であることを忘れてはいけない。だから僕は、彼らに感謝をこめてエールを送る。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006304
だが、本当にあばたがえくぼに見えるわけがない。見えたとしたら、目がおかしい。
(山本 弘「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」)
#006313
恐ろしいが、しかしまた、これはなんという美しさであろうか。
(夢枕 獏「陰陽師―酔月ノ巻」)
#006314
母が、子より先に死にたいなどというあれは嘘じゃ。それは、世の阿呆どもが口にする戯ごとにたれもがされておるのさ。親は、たれであれ、自分の子らが死ぬまで見続けていたい、可愛がってやりたい、子より長く生きて、子が死ぬまで、何かしらしてやりたいと、苦しいほどに願うておるものさ……
(夢枕 獏「陰陽師―酔月ノ巻」)
#006315
なかなか凄みのある笑みであった。
いったい、どのように生き、どれだけ生きれば、このような笑みを浮かべることができるのか。
(夢枕 獏「陰陽師―酔月ノ巻」)
#006316
好きだったのか、どうか。今となっては、その男を、憎う思うているのかどうかさえわからぬ。ただ肚の中に、ごりごりと、渋う瘤のように、その想いが凝り固まっているだけじゃ。それが、恨みであるか憎しみであるか、情であるのか、もはや我には見当さえつかぬ……。
(夢枕 獏「陰陽師 蒼猴ノ巻」)
#006317
不死などになったら、美味い酒は飲めぬ。笛の音を聴いても、それを心地よく聴けぬ。生命に限りあればこそ、酒が美味いのじゃ。なあ──
(夢枕 獏「陰陽師 蒼猴ノ巻」)
#006320
先のことなど見えて、どれだけのよいことがござりましょう。見えぬからこそ、見えねばこそ、人には生きる悦びも、哀しみもあるということでござります。
(夢枕 獏「陰陽師 螢火ノ巻」)
#006322
長く生きるだけが、生命のあり方とは思うておりませぬ。たとえ、このことで、生命がどれほど縮もうとも、後悔はござりませぬ。
(夢枕 獏「陰陽師 螢火ノ巻」)
#006323
古きものが、常に新しきものと入れかわり、入れかわりして、この天地の間を動いてゆく。この、身が震えるほどの変転の中にあって、人の為せることというのは、いかほどのものであろうか。哀しいほどに、人の為す技は無力ではないか。桜を眺めていると、その人の技のはかなさが思われて、人というものの可憐さに、おれはしみじみとしてならぬのさ。
(夢枕 獏「陰陽師 螢火ノ巻」)
#006327
だけど、あなたの存在そのものが、どれほどわたしに喜びをもたらしたのか、わかってもらえるかしら?
(ケン・リュウ「紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006330
なにがほんとうに正しいことなのか見分けるのが難しい場合があるんだ。まっとうだと感じることをやらないとならないんだよ。
(ケン・リュウ「紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006333
ときどき、合理的でないことが合理的なことがある。自分のまわりのみんなが世界がある形で動いていると信じていれば、少なくともそのように世界が動いているふりをすることに利点はある。
(ケン・リュウ「紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006337
記者たちはあらかじめ頭のなかで書き上げている記事を書けるような内容をわたしが話すのを期待している。
(ケン・リュウ「紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006342
暗い星を探しているなら、それが存在しているところを直接見ても見えはしない。まず脇を見て、意識せずに目で捕らえるんだ。直接の吟味に耐えられないことが一部にはある。
(ケン・リュウ「紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006349
もうすぐ、ぼくが知っていたものすべて、ぼくを知っていた全員をあとにするのだ。それが待ち遠しくてしかたない。
(マルコ・クロウス「宇宙兵志願 (ハヤカワ文庫SF)」)
#006353
「完璧な場所なんてこの世に存在しないんだ。いつだって、結局、ある種のクソと別の種類のクソを交換するはめになる。わたしは、知ってるクソで我慢するつもりなのさ」
「それをいうなら。ぼくはこのクソにはもううんざりだから、別のを試してみたいんです」
(マルコ・クロウス「宇宙兵志願 (ハヤカワ文庫SF)」)
#006354
いまから、きみがこの部門の責任者だ。だが喜びすぎるなよ──なにかあったら、きみが責任をとることになるんだからな。
(マルコ・クロウス「宇宙兵志願 (ハヤカワ文庫SF)」)
#006355
歓声をあげられないほど疲れることってあるのね。
(マルコ・クロウス「宇宙兵志願 (ハヤカワ文庫SF)」)
#006356
「ああいうことって、あるんスね。二人とも相手の内心をすごく気にしてるのに、全然わかってない――」
「腹を割って話してしまえばいいのに」
(小川 一水「美森まんじゃしろのサオリさん」)
#006357
行って謝ってこいよ。わかってんだろ、こういうのは男が折れにゃあどうしようもならん。
(小川 一水「美森まんじゃしろのサオリさん」)
#006358
彼女も、「あのお店、良かったのにねえ」と残念がった。
「そうだよな。空いてて、隠れ家的だったし」
「空いてて、隠れ家的だったら、そりゃ、閉店するよね」
(伊坂 幸太郎「仙台ぐらし (集英社文庫)」)
#006359
「あれほど心配したからこそ、無事で済んだのだ」と考えるのが、僕だ。
(伊坂 幸太郎「仙台ぐらし (集英社文庫)」)
#006360
好きではじめた仕事は、嫌いになったとたんに終わるけれど、「嫌々」がベースにあるのならこれはなかなか終わらない。
(伊坂 幸太郎「仙台ぐらし (集英社文庫)」)
#006361
どうなっていくのかはまったく分かりません。が、どうせ分からないのであれば、明るい未来を想像したいな、と最近ようやく思うようになりました。それはとても難しいですけれど、想像するくらいであれば、そしてそれを少し信じることくらいであれば、やってやれないことはないような気もしています。
(伊坂 幸太郎「仙台ぐらし (集英社文庫)」)
#006362
役に立たない人間ほど、よく泣く。そういう諺があってもいいようにも感じる。
(伊坂 幸太郎「仙台ぐらし (集英社文庫)」)
#006363
理不尽な出来事に巻き込まれた人には、その当事者とならなければ分からないことがたくさんあるに違いない。「想像力」はとても大事なことだけれど、それは安易に使ってはいけない言葉のように、感じてきた。
(伊坂 幸太郎「仙台ぐらし (集英社文庫)」)
#006369
きれいな嘘で世間を煙に巻くぐらいなら、泥臭い真実を提示して、あとの整理はほかの人たちにまかせたい。
(マイケル・ルイス「マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」)
#006370
こんな混乱の種をまいたのはわたしではない、わたしは無関係だと、本当なら言いたい。……しかしそうもいくまい。混乱を生み出したのはわたしではないが、結果的には手を貸したのである。
(マイケル・ルイス「マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」)
#006374
想像力の欠如は、投資の効率性を損なう。見た目だけで判断して、ある一団をごっそり除外してしまっては、有能な人材を見つけるのは難しい。
(マイケル・ルイス「マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」)
#006379
二度とあんなものは口にするまい。そう決意したが、それで渇望がおさまるわけもない。
(酉島 伝法「皆勤の徒 (創元SF文庫)」)
#006380
申し合わせたわけでもなく淡々と進むありふれた共同作業が、奇跡的な瞬間に感じられる。
(酉島 伝法「皆勤の徒 (創元SF文庫)」)
#006381
みんな何かに酔っ払ってねぇとやってらんなかったんだな…みんな…何かの奴隷だった…あいつでさえも…
(諫山 創「進撃の巨人(17) (講談社コミックス)」)
#006383
自分がリーダーだと思い込んでいる人は自分の知識を過大評価し、まったく根拠もないのに自信に満ちあふれた雰囲気を醸し出す。
(ジェームズ・スロウィッキー「「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)」)
#006385
いまとなっては、役割など気にかけている場合ではないかもしれない。しかし、それでも演じるべき役割というものがある。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006386
世の中には、訪れるのが遅すぎるものがある。しかし、いくら遅すぎても、まったく訪れないよりずっといい。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006387
その熱意が真摯で本物であることはわかる。だが、軽薄で未熟でもある。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006388
「質問して、なにが悪いの?」
「悪くないとも、なんにもな」じっさいには、なにもかも悪い。ひとたび質問をされれば、それまで確実であったことがらも不確実になってしまう。質問とは疑念をいだかせる入口にほかならない。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006389
じっさいには、なにか自分を支えるもの、馴じみのあるものにしがみつきたいだけでしかない。だが、そんなうそをつく気持ちもなんとなくわかる。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006390
もうじきこの男とは、腹を割って話しあわねばならないだろう。たとえそれによって諍いが起ころうとも。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006394
睡眠中の思考を信用しなければならない。虫の知らせというものを信用しなければならない。理解できないからといって不合理と見なしているすべてのものについて、あらためて検証しなければならない。逆にいえば、より高次のもの、より価値あるものに到達する試みにおいては、合理的なもの、論理的なもの、正常なものを信じてはならない。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006396
どれだけがんばっても、おまえが説得力のあることをいえるとは思えんよ。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006399
そのあとで、はっとわれに返って、なんでこんなことをしてしまったんだろうって、泣きながら悔やむのね。結局、理由はわからないっていってたっけ。でも、いつも思うんだけど、そこにはなにか理由があるはずなのよ。自分では認められない理由、自分では気づいていない理由があるはずなのよ。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006400
この世界を離れたくはない。しかし、それでも離れていこうとしているのがわかる。あるいは、世界のほうが自分から離れていこうとしているのかもしれない。
(ジェフ ヴァンダミア「世界受容 (ハヤカワ文庫NV)」)
#006406
無理?私が一度でも無理をしたことがあるかい。私は私のやりたいことをやりたいようにしているだけだ。無理とは縁遠い人間なんだよ。
(牧野 修「月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006415
あなたのことが好きだとは、怖ろしくて口にできない。云ったところで返事が欲しいわけでもない。そんなことはどうでもいい。そう、どうでもいいのだ。
(牧野 修「月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)」)
#006417
大企業は共産主義国のようなものだ。誰もが知るように、かつて共産主義国は隆盛を極めたものの、あるときに崩壊を迎えた。その原因は、リーダーが愚かだったからではなく、意思決定を行なうリーダーに誰も口を出せなかったからなのだ。
(ドナルド・トンプソン「普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する」)
#006426
大人たちは隠れてこの遊びに耽る。
しかし彼らは知らない。子供たちが、悪い遊びの匂いに何より敏感であることを。
(宮内 悠介「ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)」)
#006429
「決まり事には意味がある。社会の合理性を乱さないための仕組みだ。勝手には変えられないんだ」
「合理性というのは、状況に対する判断を言うんでしょう。だとすれば、前例に囚われない考え方も、合理的と呼ぶべきじゃないかしら」
(上田 早夕里「薫香のカナピウム」)
#006431
子供が大人になって伴侶を得るという人生のあり方は、言葉による説明だけでは実感が伴わない。
(上田 早夕里「薫香のカナピウム」)
#006432
我々には自分の意思で滅びる自由がある。
(上田 早夕里「薫香のカナピウム」)
#006436
使わない、という選択肢はないのだろうか。技術を持っていても、あえてそれを使わない――。そんな考え方はできないのか。
(上田 早夕里「薫香のカナピウム」)
#006438
「今日も機嫌悪いっスねぇ」
「あ!?悪いよ!で!?お前が良くしてくれんの!?」
(田中 雄一「田中雄一作品集 まちあわせ (KCデラックス アフタヌーン)」)
#006439
大事な決断ってのは元気な時にしなきゃ間違っちまうぜ。
(田中 雄一「田中雄一作品集 まちあわせ (KCデラックス アフタヌーン)」)
#006454
まあ、人間誰しもどこか人と違うところがあるものです。そもそも異常か異常でないかの区別など実に曖昧なものでして……。
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 エピソード1<新装版> (講談社文庫)」)
#006456
まあ、物事の価値というのは、見る側が決めるものですからね。
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版> (講談社文庫)」)
#006457
あたしたちを認めないということは、あたしたちを生かす能力がないということよ。
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版> (講談社文庫)」)
#006459
「否定する根拠なんてないわ。だって、最初から関係あるはずないんですもの」
「否定する根拠がないのなら、可能性は残されているというのが、科学的推論だよ」
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版> (講談社文庫)」)
#006461
「でも、あたしにも悪いところがあったのは事実です」
「当たり前じゃん。誰にだって悪いところはあるよ。でもいいところだってあるんだ」
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版> (講談社文庫)」)
#006462
誰にだって、趣味を持つ権利はあります。
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ (講談社文庫)」)
#006464
私はあきらめません。白紙に戻ったと言っただけです。将来の希望が絶たれたわけではありません。
(今野 敏「ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ (講談社文庫)」)
#006465
神も仏もむやみと人を救いはしない。ただ人に己自身のありさまを見せるばかりである。むしろそれが一番の救いだというのだろう。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006466
書は、“如在”である。
まさに聖人が述べたように、もういない者たち、存在しないものごとを、あたかもそこにあるかのごとく扱い、綴ることをいうのである。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006467
あの人は、試さずにはいられないんだ。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006473
天地の狭間にあるもの、悉くが師だ。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006478
本当に女っ気のない清廉の士だったら、とっくに惑乱し、なるようになっていたはずである。
(女に慣れておいて良かった)
(冲方 丁「光圀伝」)
#006479
だがこの問いには罠を仕掛けるというより、ひどく切迫したものがあった。遮二無二、答えを求めている者の必死さに満ちた問いだった。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006486
私自身が見出した義です。いかなる書も人も関係ありませぬぞ。それとも父上は、誰かの助けを得ねば、私にはどのような考えも抱けぬとお思いですか。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006487
容色によって愛される女性は、いつかその容色の衰えとともに愛情すら失うことがあるだろう。だが徳をもって愛される女性は、愛情を失うことがない。たとえ美しい錦の袋であっても、中身が糞土であれば、誰がそれを手に取るだろうか。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006490
果たして、このような体験をした人間は、昨日までの自分と、同じ人間であり続けられるのだろうか。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006493
傍にいると、言うたであろうが……!
(冲方 丁「光圀伝」)
#006495
君主の務めは、いわば用事を作ることにある。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006496
どれほどの駿馬であっても、使いすぎて潰せば駄馬となる。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006497
力めば苛立つ。なかなか育たないことに苛立っては、人材を畏縮させ、あるいは憔悴させ、せっかくの芽を潰してしまいかねない。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006500
互いに競争心を抱き、切磋琢磨できる、実に貴重な相手だった。
それぞれ今や若手を育てる立場である。遠慮なくそういう思いを抱ける相手はどんどんいなくなってゆくのだから、勿体なくて嫌忌していられないのである。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006501
にやりと笑みが浮かんだ。若い頃そのものの獰猛な笑みである。本当に、歳を取れば取るほど、己の本性があらわになっていく気がした。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006502
崩壊するはずがないと信じ切っている。だからこそ、わけのわからないところで、あっさり思考を放棄し、平然としていられる。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006504
正しい苦楽をもって、生をまっとうすること。そのすべこそ、大義なのである。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006505
謹厳をゆいいつ絶対の美徳とし、緊縮を断行して自ら率先するばかりでは、君主の自己陶酔に過ぎない。苦しむのは家臣であり、部下であり、領民である。ひたすら苦痛を与えるだけの君主では、愚かな暴君と変わらない。
(冲方 丁「光圀伝」)
#006509
手垢のついた表現には真実がある。だからこそ手垢がつくほど使われるのだ。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(上)」)
#006511
予測して備えておくことは大切よ。でも、そのために情報を得ることが、その情報によってあるパターンの事件が引き起こされる遠因にもなる。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(上)」)
#006514
始まったときにはありふれた一日が、終わるころには特別なものになる。それは幸福なことであり、意外と疲れることでもある。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(上)」)
#006515
そういう輩は、いったいどうやって見ず知らずの取引相手とのあいだに信頼関係を築きあげるのだろう。蛇の道は蛇と言うしかないか。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(上)」)
#006516
突飛であり得ないことだから、もしかすると、毎日があんまり退屈なんで、俺がおかしな夢を見ているだけなのかもしれない。ただ――
(宮部 みゆき「悲嘆の門(上)」)
#006521
誰でも情報発信することができる開かれたネット社会は、そういう愚かな目立ちたがり屋の放牧場でもあるのだ。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(上)」)
#006524
罪ある者は追われずとも逃げ、そして後ろを振り返る。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(下)」)
#006525
悔しいけれど、酷いけれど、彼女の読みはあたっている。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(下)」)
#006529
視てきたものを全部打ち明けて、聞いてもらいたい。あの人ならわかってくれる。全身でそう思った。
こんなにも誰かが恋しいのは、生まれて初めてだった。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(下)」)
#006530
もう手遅れだと思ったからだろうか。それとも、もう現状以上に悪いことにはなるまいと思ったからだろうか。
だとしたらおっさん、あんたは甘い。オレはもっと悪いことをしようとしている。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(下)」)
#006533
ああいうガキは、大人になっても変わらない。それどころかもっと悪いことをする。邪な苗木は邪な樹木に生長し、人を毒する果実をつけて社会を害するだけだ。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(下)」)
#006537
闇であれ。さればこそ光を支え得る。
(宮部 みゆき「悲嘆の門(下)」)
#006550
温かくて柔らかい。なぜみんな温かくて柔らかいことに価値があると思わないのだろう……?
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)」)
#006554
ときには、もはやあらゆることを耳にしたと思うこともあるが、それでもときどき新しい驚くべきことに遭遇する。人類には限りなくさまざまな変化があるものだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)」)
#006561
言うまでもありませんが、これは好ましいことではありません。
(ランドール・ マンロー「ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか」)
#006565
このあとどうなるのか、誰かが教えてくれるだろう。これまでいつも、知りたいと思わなくても誰かが教えてくれたのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006566
はじめて聞くことだったら、知りたがるだろうし、二度目だったらきみのほうが知る必要がある。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006570
突破口にどう対処するかで、成功まで駆け登ることもあるし、どぶ浚いの作業員に追い落とされることもある。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006572
そうだな、最初に見て思ったより興味深いものであることはわかったよ。わたしがきみらより知っていることなんて、どうすればわかるんだね。それはじつに哲学的な質問だ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006576
おまえのためにできるかぎりのことをしてあげたいけど、ヒントをくれないとどうしてほしいのかわからないよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006577
そもそもわたしが何を知っているかあなたは知らないのに、私が知らない何かを知ってるなんてどうしたらいえるの?
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006578
それは修辞学的指摘であって、血の通った示唆じゃない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006580
どきどきするような人は一人もいなかったが、そういう選択に近づいたことは二、三回あった。それでもこういうことはなかった。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006584
歴史の最も興味深い質問は常に、“この人々は何を考えていたか”ということです。とはいえ、それはまた最も捉えがたい質問でもあると思います。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006586
慎重になるのはいいですが、パニックになる必要はありません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006588
ある女についての欠点は、他の女には喜びなのだろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)」)
#006596
「思いつきを言うのはタダだけどさ」
「驚くだろうがな、私のありがたい言葉はどれもタダなんだよ」
(伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)」)
#006598
無駄な作業はしなくてもいいと判断できる上司は、ありがたいよ。
(伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)」)
#006602
ああ。個人の日常が続くことは何よりも大事だ。
(伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)」)
#006603
施主を選り好みするなどあるまじきこと。富者から多く取ることをしないように、貧者だからといって拒んではいけない。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006604
そしてあなたは、何か焦っている。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006609
会社勤めをしていれば、たとえ不本意な仕事をした月であっても、ルーティンワークばかりでこれという仕事もしないまま過ぎ去った月であっても、預金口座に月給が振り込まれた。その頃の方が良かったとは思わない。選択を悔いてはいない。ただ、あの時は、月々の家賃が自分の足元を少しずつ掘り崩していくようなうら寒さは感じなかった。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006612
真実ほど容易くねじ曲げられるものはない。あるいは、多面的なものはない。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006613
確かに信念を持つ者は美しい。信じた道に殉じる者の生き方は凄みを帯びる。だが泥棒には泥棒の信念が、詐欺師には詐欺師の信念がある。信念を持つこととそれが正しいことの間には関係がない。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006614
自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。恐ろしい映像を見たり、記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と。そういう娯楽なのだ。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006620
「とんでもない。まだ何も越えていません」
「なに。山があることに気づけば、後はたいてい上手くいくものです。そうなるよう、私も祈っていますよ」
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006621
あれほどの憤りが拭ったように消えてなくなったわけではないだろう。単に、見えなくなっただけだ。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006622
こちらに考え違いがあった時、無償で叱ってくれるのは家族か学校の教師ぐらいのものだ。それ以外の人間はほとんどの場合、ただ怒りをぶつけてくるか、何も言わずに以降の関係を絶つかに留まる。彼はわたしに、優しくしてくれたのだ。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006623
相手が誰であれ「いい加減にしてくれ」と言われるまでに訊ける質問の数は限られている。浪費しない方がいい。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006624
闇雲に動きたくなる局面ではある。けれどいつでも大事なのは、整理と計画だ。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006625
誇り高い言葉を口にしながら、手はいくらでもそれを裏切れる。ずっと手を汚してきた男が、譲れない一点では驚くほど清廉になる。……どれも当たり前のことじゃないか。あんた、知らなかったのか。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006627
けれど原則は原則であり、何事にも例外はある。
(米澤 穂信「王とサーカス」)
#006630
能動者があって受動者のない快楽は人間にあるだろうか。
(川端 康成「みずうみ (新潮文庫)」)
#006631
なにも秘密のないところに友情はなりたたないよ。友情ばかりじゃなく、あらゆる人間感情はなりたたないね。
(川端 康成「みずうみ (新潮文庫)」)
#006633
秘密はまもられていると、あまくたのしいものだが、いったんもれると、おそろしい復讐の鬼になって荒れるよ。
(川端 康成「みずうみ (新潮文庫)」)
#006635
付き合いたい奴なんかいるかねぇ?あんな面倒くさい男と!
(恵 三朗「フラジャイル(1) (アフタヌーンKC)」)
#006638
「ほかに行くところないのかよいい年こいて」
「あんただってあたし以外に誰か友達いるの?」
(恵 三朗「フラジャイル(2) (アフタヌーンKC)」)
#006641
私には生きる理由がある。
(恵 三朗「フラジャイル(2) (アフタヌーンKC)」)
#006643
一でしかないものを百や千に持っていくのは大変だが、何よりも苦しいのは零を一にすることである。
(日本推理作家協会「ミステリーの書き方 (幻冬舎文庫)」)
#006647
センスとは生まれもった才能のことです。センスのよい者には永遠に勝てないという残酷な現実がある一方で、推敲を重ねることによってある程度のセンスを獲得できるというのも事実であります。
(日本推理作家協会「ミステリーの書き方 (幻冬舎文庫)」)
#006648
物書きというのは病気であって、おそらく一生癒えることはありません。感染してしまったと笑って引き受けましょう。
(日本推理作家協会「ミステリーの書き方 (幻冬舎文庫)」)
#006649
一筋が最短距離というわけではありません。
(日本推理作家協会「ミステリーの書き方 (幻冬舎文庫)」)
#006650
「私も若輩者ですので……」
「でもだからこそ突進力が強い面もあるし君達体力もあるから!それをうま~く誘導するのが我々おっさんの仕事なわけだ!」
(恵 三朗「フラジャイル(3) (アフタヌーンKC)」)
#006651
「あっさてはうさんくさいと思ってらっしゃる」
「ちょ~~~~~っぴしね!」
(恵 三朗「フラジャイル(3) (アフタヌーンKC)」)
#006653
やはり乗る船が大きいと揺れが少なくてありがたい限りです。
(恵 三朗「フラジャイル(3) (アフタヌーンKC)」)
#006658
「あたしにしゃべっていいの?」
「いいわけないと思う。でも、知るか」
(小川一水「砂星からの訪問者 (朝日文庫)」)
#006659
いま、彼らと我々はなんらかの緊張した均衡状態にある。
(小川一水「砂星からの訪問者 (朝日文庫)」)
#006661
まあ、言いに来ただけ成長したってことか。で、なんだ。俺がそれをあっさり見逃すと思ったのか?
(小川一水「砂星からの訪問者 (朝日文庫)」)
#006662
「でも、こういうのはあれだ。見る前に飛べっていうだろ?」
「見る前に飛んで歴史の上から存在しなかったことにされた、たくさんのおっちょこちょいの中に、あんたが入ってほしくないから言ってるのよあたしは……!」
(小川一水「砂星からの訪問者 (朝日文庫)」)
#006663
二十歳を過ぎれば、ある日突然人生が劇的に変わることを期待するわけにもいかない。それくらいは心得ている。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006664
ある対象のことで頭がいっぱいになり、その対象についてはどんな情報でも知りたくなる。対象と一緒になるために、ありとあらゆる手段を試す。対象のことを考えただけで胸が高鳴り、他の人々がそれについて話をしていると嫉妬に似た感情が生まれる。これを恋と呼ばずに、何と呼ぶのだろうか。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006667
むしろこう考えるんです。この街で、何事もなかったかのように生活しているすべての人々が、ある種の能力に恵まれているだけなんだ、と。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006668
大事なことは、従順なラクダのように、指し示された方角に向かってひたすら歩き続けること。そうやって歩いていけば、たまに振り返ったときにそれなりの距離を歩いてきたと実感することができる。歩いた先に何があるかわからなくても、砂漠にどこまでも延びた自分の足跡を見れば、何か意味のあることをやっているような気分になる。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006672
あるキーワードに反応して、いくつかの発言パターンから、もっともらしいものを選びとっているだけなんだ。怖くないか?人間の姿をしたやつは大勢いるのに、自分以外はみんなラジコンなんだ。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006674
時間という気が遠くなるほど長いあぜ道を、決して立ち止まることなく、後ろを振り返らず走りきるためには、きっと祈りという穏やかな光が必要なのだ。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006675
たとえば目の前の景色をすべてまとめてミンチにして、できあがったペーストを眺めてみる。それでも美しいと言えるのか──言えるわけがない。美しいものと醜いもの、良いことと悪いこと、すべてを一緒くたにしてはいけない。それらは慎重に切り分けて、ラベリング済みのしっかりとした箱に保存しなければならない。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006676
「どういうこと?昔から、あなたの話は難しすぎるのよ。私、難しい話は嫌い」
「僕の話が難しくなったのは、君と出会う前と、最近だけだよ」
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006678
あのときは、山奥の田舎の片隅で、いつか自分が世界に対して何か大きな影響を与えることができると無邪気に信じていた。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006680
これは技術や不運の問題ではない。当たり前のことだ。技術が可能にしたのは、あの頃に戻ることはできない、という当たり前の事実を思い出すことだ。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006681
十代の頃、あれだけ多くの色を揃えていたはずのクレヨン箱は、どれもこれもすり減って、すっかり空っぽになってしまっていた。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006687
人間が人間である限り、犯罪も宝くじもなくなることはない。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006688
弱さを隠して、常に勇敢であろうとしていました。ものごとの効率や価値の大小などは気にもせず、いつも目の前のことに一生懸命で、実直で優しい心の持ち主でした。俺はあいつに何度もひどいことをしましたが、あいつは信念の力で感情を抑えこんでいました。人間として、何が一番重要か俺に教えてくれたんです。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006690
自分は欠点の多い人間だし、普通の人間よりずっと多くの間違いを犯してきた。そんな自分にも、何か一つくらい良いところがあったはずだと考えるのは傲慢だろうか。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006691
賛成することは正義を守ることで、反対することは悪を許容することだという単純な図式が強調され、その奥にある複雑な問題は一切考慮されていないように感じます。一旦議論の対象から離れて、冷静にものごとを批評する精神を失っているんですよ。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006696

私はかつて、ある者に対して正しくない感情を抱き、それを神の怒りに任せませんでした。
(小川哲「ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)」)
#006704
知的な患者ほど、自らを客観視し、そのことに苛まれ、苦しむことがある。
(宮内 悠介「エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)」)
#006707
迷信だ。だが、ここにあるような洞察は、簡単に切り捨ててしまってよいものだろうか?
(宮内 悠介「エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)」)
#006710
しかし逆に、自責した日々を振り返ろうとしても、自分でも驚くほど、細かいことを憶えていないのだった。脳が、辛い記憶をなかったことにしたのだ。虫食いのような空白の期間があり、それよりも前の自分は、もはや別人のようにも感じる。
(宮内 悠介「エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)」)
#006717
我々の内面にモラルを生み出すトリガーは、恐怖だ。過ちを犯したとき、人間の脳は怖れを感じるようにできている。この怖れを出発点として、次第にモラルが育まれる面がある。逆に、それをスリルとして享受してしまうと、モラルを獲得することは難しくなる。
(宮内 悠介「エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)」)
#006718
勇敢さは人の美徳だ。だが極論すれば、善であることと、勇敢であることは両立できない。
(宮内 悠介「エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)」)
#006721
権力志向の男であるだけに、人が離れていく様子は侘びしいものがある。
(宮内 悠介「エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)」)
#006727
事業というのは、社会的な存在意義があれば黙っていても続くもの。
(中村 耕史「「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力」)
#006733
これは厳然たる事実だよ――栄華は他者を犠牲にして得られる。文明の数ある利点のひとつは、そのことに目をそむけていられることだろう。見たくなければ見なくていい。良心の咎めを感じることなく存分に、文明の恩恵に浴せる。
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006737
あんたって人は、何事も無難にすませようとは思わないのか?
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006738
何もかも消えてなくなった。残ったものも、どこかしっくりこない。色が違って、あるべき場所からちょっと左にずれているように思えた。人がしゃべるのを聞いても、まったく理解できない。言葉だっていうのはわかる。なのにぜんぜん頭に入ってこない。夢のなかにいるようだった。
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006741
そこまでいうのなら、あなたは自分の質問に対する答えをすでに自分で決めているのでしょう。
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006742
しかしそれは“もしも”であり、現実に選択を迫られた場合とは異なります。
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006744
「そこまでやるほどの自信と気力があるでしょうか?」
「ないだろうな。しかし、やけっぱちにはなりえる」
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006745
「きみの責任か?」
「わたしの監視下にあるものは、すべてわたしの責任ですから」
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006750
個人のアイデンティティとは、さまざまな断片を都合のよい、便利なシナリオでつなぎあわせた虚構にすぎないのではないか?
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006752
嫌いな相手にあそこまでできるのなら、愛する人間にはどうする?
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006757
「分別ある人間なら、あのようなことはしない」
「きみに分別があったなんて、いった覚えはない」
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006758
苦痛は警告でもある。気に入らないものをすべて排除したらどうなる?
(アン・レッキー「叛逆航路 (創元SF文庫)」)
#006759
「猫は教えてくれない。少なくともあの猫は」
「あらゆるものが勉強の材料になるよ」
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006762
贈り物を持ったギリシャ人に用心せよ。
ああ、わかってる。でも、言うはやすしだ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006764
自分は狂っているかもしれない。それは内心で認めざるをえなかった。ただし、かりに狂っているとしても、それは明晰に物事を見通す無慈悲な狂気であり、普通の女が陥るようなそれではない。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006765
ここでまた、あの言葉がキーワードになる。“必要”という言葉が。あまたの罪を免じる魔法の言葉。要するにその意味は、“このほうがほかの方法より簡単だ”ということにすぎないのだが。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006766
商店のウィンドーに映った自分の姿を見て、おれのものであるはずの身体を占拠しているこの男は誰だ、といぶかる。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006769
実際にはないが、こんな弔いの言葉があってもいいはずなんだ。『故人は本当に厄介者で、本人が思っていたのの半分も賢くありませんでした。ですからとっとと埋めて、みんなでビールを一杯やって、ああせいせいしたと祝おうではありませんか』おれは個人的にこういうのもありだと前から思ってるよ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006770
何者かになりたい。何者にもなりたくない。自分自身でありたい。幸せになりたい――でも、どうやってなればいい?さっぱりわからない。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006771
「おれがまた来たら、喜んでくれるかな」
「あんたが自分で来て確かめないかぎり永遠にわからずじまいさ」
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006773
あんたは馬鹿だ。彼女を愛してたくせに。いや、いまでも愛してるくせに。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006774
あんたらの死因は自分たちの無能さとあたしの経験の豊かさだ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006777
どんな考えであれそれを鵜呑みにしてまったく疑わないような人を信用できない。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006779
聖戦じゃない。サバイバルだ。戦いはそのためだ。われわれは善いこと、正しいことをあとで行なう。いまは戦いのときだ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006781
意見を持つ人間は多いが、知識を持つ人間は少ないということだ。わたしは意見にあまり興味がない。知識を充分に、まぎれもない経験として持つことに興味があるんだ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006782
有利な武器をあえて使いたくないというならそれでもいいが、せめて自分に害のあることはしないでくれるかね。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006784
「えっ?」
「その“えっ?”ってのはやめてくれる?あなたの知性を疑いたくなるから。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006786
「ちょっと頼みがあるんだ。でも安易に引き受けないで、よく考えてみてくれ」
「引き受けるよ」
「そう単純な問題じゃない」
「おれには単純な問題さ。あんた、いいやつだから」
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006787
あんたはいま戦争中だ。となりゃおれたちは戦友さ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006790
どうかしてる。ただ同時にいい考えでもあるようだ。そのふたつが両立するのはどうも不安だ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006792
人々は疲れ果ててはしゃぐ気になれなかった。みんなは勝利したヒーローのようにではなく、パンチドランカーのプロボクサーのように微笑みあったものだ。目が腫れあがってふさがり、唇は切れて、なぜみんなが拍手しているのか理解できない。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006795
間違いが起きたのだ。あるいはこのほうがありそうなことだが、正しすぎることが。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006796
人類は月に着陸できるかもしれないけれど、善良にはなれないのです。わたしたちは邪悪です。この世界は邪悪です。喜びは小さな島々のように点々とあるけれど、邪悪な海の水位はどんどん高くなってくるし、島にいる人間のなかにも邪悪な海を愛する者たちがいるのです。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006798
永遠にあなたを愛します。いま愛せなくてごめんなさい。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006799
白状するけど、あなたのことは馬鹿だと思ってた。もちろんあなたは、馬鹿だと人に思わせるようなことをしたことはなくて、わたしがせっかちなだけだったけど。わたしはこういうふうに生まれついた人間なの。欠点を改める努力はしているわ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006801
信仰心なるものは、とてもすばらしいものであるか馬鹿げた思い違いであるかのどちらかで、それは神が存在するか否かで決まるといつも思うのだ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006803
わしにはあいつがわからなかった。わかろうとしたが、だめだった。わしはだめなんだ。言葉が苦手だ。人間も苦手だ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006804
だから哀悼してやってくれ。頼む。今日、おまえの気持ちを全部出してくれ。わしのためにも。叫んでくれ。泣いてくれ。酒をがぶ飲みして、馬鹿なことをやらかしてくれ。あいつのようになってくれ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006806
二十世紀にもっともだと思えた理屈は、二十一世紀にはおかしなものに聴こえる。荒すぎるというか、あまりにもうぶなのだ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006808
これは、やりすぎだ。もう少し控え目がいい。熱く燃えたぎるのではなく、堅実であれ。狂乱ではない、静かな力が必要だ。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006811
さあベストをつくしてかかってこい!どちらかが倒れるからだ。それがどっちか、おれは知らないし、どっちでもかまわない!
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006812
おれには分別があった。その結果こんなことになった。だからもうおれは分別を捨てた。
(ニック ハーカウェイ「エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」)
#006817
私はあれから三十年ばかり生き、少しばかりこすっからく、そしてたいそう恥知らずになった。
(坂永雄一「ジャングルの物語、その他の物語」)
#006821
「この決定は……一時的にすぎない。明日になったら消えてなくなる!」
「ああ、きみの言うとおりさ。ただし、いまはまだ明日じゃない。今日だ」
(パオロ・バチガルピ「神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006825
人間は適切な語彙を持たないと、目のまえにそれがあっても認識できないという仮説があるのよ。状況を的確にあらわした言葉がないから、それが見えない。逆ではなく。
(パオロ・バチガルピ「神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006828
それが世間のやり方なのよ。駄々をこねてもしかたない。あんたがルールを変えられるわけじゃないんだから。
(パオロ・バチガルピ「神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006843
「あなた、自分の組織から嫌われてるみたいね」
「ああ、そんな気がしてた」
(パオロ・バチガルピ「神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006844
最近信じられるのは、だれもが勝手に行動するということだけよ。その推測は高い確率であたる。
(パオロ・バチガルピ「神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006845
「話を聞いてほしいだけだ!」
「話しあうことなんかない!」
「きみは言葉の力を信じる人間のはずだ」
(パオロ・バチガルピ「神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#006858
どうだろうね。私には関係ないことだよ。どうせ老い先は長くない。これから困るのはあんたたちさ。
(パオロ・バチガルピ「第六ポンプ」)
#006864
「それが、あなたがこの事件に上書きしようとしている物語ですか」
「推理です」
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006866
「何か理由があるはずだ」
「──理由がなければいけませんか」
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006867
反応はあるが一貫した理屈はない。思考過程は自動的に進行し、その場しのぎを終えて拭い去られる。この男にはきっと、嘘をつくときにも自覚がないだろうという確信がわたしを捉える。素直に見える反応も、素朴に映る挙措振る舞いも、意識を経ずに湧いては消える。彼には嘘をつく必要がない。自分が語る内容は全て嘘だと知っている種類の人物だ。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006872
一度生まれた技術とは、誰かの都合で停止させることのできないものだ。科学は誰の手によっても実行できるが故に科学であり、真理は誰が思いつこうと真理であるから。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006878
あんたは俺が嫌いだ、俺もあんたみたいな男が嫌いだ。だから気が合う。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006881
急場しのぎの詐術は捨てる時期にきたのですよ。出来あいの技術の移入ではなく、基礎からの研究開発へ道を譲ってよい頃だ。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006884
個人の欲望はどれほど暗いものであっても、動機を推測できる分ましだと言える。国家の欲望なんてものに比べれば、ただ人目を引くだけの賑やかしにすぎん。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006886
「あんたは世界を滅ぼしうるのに何故そうしない」
「興味がないからだ。わたしは一介の学究にすぎない。そんな面倒なことに構いつける暇はない」
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006888
しかし、人間とはそれほど大したものかね。世界の存在をありありと感じるこの機能は、本当に進化の果てに登場したものなのだろうか。わたしにはとても信じられない。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006890
真相は教えてくれるな。そんなものがあるとしてだが。俺は余計なことを理解しない方がいい。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006891
せめてただほんの一言を、あなたに聞いてもらいたい。
「ありがとう」
もしこの言葉が届くのならば、時間は動きはじめるだろう。
(伊藤 計劃「屍者の帝国 (河出文庫)」)
#006892
ぼくは、ご冥福を、というよりは、「ありがとうございました」と送り出すのが、自分にはしっくりくるのだ。
(円城塔「屍者の帝国 あとがき」)
#006893
賞賛は死者に、嘲笑は生者に向けて頂ければ幸いである。
(円城塔「屍者の帝国 あとがき」)
#006896
わかんないわ、あんたたちの世代って。──何かにしっかりこだわってるくせに、いーかげんでお気楽に見せかけることに妙に熱心なのね。
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006899
──女は、過去がなくても、今その時で、すでに女でありうる。しかし、男は、背負うべき過去なしには生きられない。
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006900
負けた人間には、捨てゼリフを言う権利ってもんがあるのよ。時代劇を観たことないの?
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006901
仕事のついでで近くまで来ているから、ちょっと顔を出さないかと言うのだ。
ついでなんかじゃないことは、声の調子ですぐにわかった。
事が重要であればあるほど、ついでみたいな顔をしたがる。
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006906
一度、うちの社員食堂へ来てみろよ。──本当に常識のある大人の会話ってやつが、どんなものなのか、よーくわかるから。言っとくが、ここじゃ、おれもその常識のある大人の一人なんだからな。忘れないでくれ。
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006908
見なかった夢。
会わなかった人々。
ついに口に出せずに終わった言葉。
そういったものだけで構成されている街が、どこかにあるとしたら……。
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006909
──現実なんか見たくもないって、そんな気分の時もあるわけよ。
(火浦功「明るい世紀末のすごし方 ブロークン・ハーティッド・シティ」)
#006913
今となっては懐かしいけれど、思い出せばいろいろな意味であちこちが痛む。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006919
あんたさんの頼りないのにも、磨きがかかっておりますなあ。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006920
何より恐れていたのは、信義に悖る行いをすることだ。省みて、己を恥じるような行いをすることだ。その恐れがあるからこそ、他人に誹られようが、見下されようが、けっして揺るがぬ人であった。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006921
二人の女に挟まれた男というものは、この世でいちばん弱くなるのだ。ともかくも事なかれと流されやすくなっての。角を立てず、あちらにもこちらにも甘いことを言ってやろうとするうちに、にっちもさっちもいかなくなる。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006922
蛙を捕るなら池へ、鯵を釣るなら磯へ行くものだ。的と同じ池におれば、どれほど広い池だろうとも、波紋は伝わってくる。同じ磯におれば、どれほど入り組んだ磯であろうとも、同じ潮が寄せてくる。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006924
金持ちのおこぼれにあずかれるときは、がっちりあずからねえとな。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006928
ありそうにないことでも、確かめてみるまでは脇に除けてはいけません。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006932
世間じゃ女は気まぐれだって申しますけど、あれは濡れ衣ですよ。気まぐれは男の本性です。ちょっとしたことで、ころころ心が動いちまってさ。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006933
あたしにはわかってましたから。あの人があたし以外の女と添って、収まるわけありませんもの。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006934
あたしみたいな女につかまっちゃいけません、けど、あたしみたいな女をつかまえたら、一生の果報だわよ。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006935
――そなたの父が真に望むのはどちらであろう。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006937
あんたを担ごうと思うなら、もっと念には念を入れて嘘をつくべきだった。嘘というのは、その気になってつこうとすると難しいね。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006941
人は目でものを見る。だが、見たものを留めるのは心だ。人が生きるということは、目で見たものを心に留めてゆくことの積み重ねであり、心もそれによって育っていく。心が、ものを見ることに長けてゆく。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006942
まあ、こういう話は勝手に広がって、忘れたころになってひょっこり返りがくることもありますからね。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006944
人の心は揺れ動くものだし、何かの拍子にころりと変わることもある。明け方にはこれが正しいと信じていたものが、夕べには色あせて見えることもあるんじゃないか。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006951
知らなきゃ、面白がりようがねえからなあ。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006952
あの人は面白がり屋なんですよ。どっちが義だの、どっちが忠だの、そんなことはどうでもいい。腕を見込まれて頼まれれば何でもやります。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006953
性根のねじくれた野良犬でも、餌をもらえるあいだは忠犬になる。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006956
寝た子を起こすな。どんな形であれ収まっているものを蒸し返すな。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006958
人には、大きな口を叩かず、一途に生きる道がある。忠義というものは、声高に語るだけのものではない。権勢を掴むことだけが、人の誉れではない。
(宮部 みゆき「桜ほうさら」)
#006963
相手に勝つことも、仲間になることもできないなら──相手より長生きすることだ!
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫SF)」)
#006965
「わたし、これまで一度も病気で仕事を休んだことはありません」いわんとしていることはあきらかだった──病気になる人間は、自分で病気を招いている。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「ヤンキー・ドゥードゥル」)
#006966
ああ、あの薬が欲しい!
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「ヤンキー・ドゥードゥル」)
#006968
わたしたちは一心同体だ。ひとりが苦しんでいれば、もうひとりも一瞬たりとしあわせな気持ちにはなれないし、相手が晴々としていれば、もうひとりも不幸とは無縁でいられる。これは人生が与えてくれるもっとも高価な贈り物のひとつだ。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「もどれ、過去へもどれ」)
#006969
それが愛なの。あなたがまだ知らない、愛。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「もどれ、過去へもどれ」)
#006970
いいえ。絶対にそんなふうにはならない。あきらめて凡庸な人生に沈みこんだりしてたまるもんですか。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「もどれ、過去へもどれ」)
#006973
そのときはにっこり笑って右から左へきき流していた。いまは、恐ろしい可能性に愕然としている。人生の土台となっていたものがまちがいだったなんて、そんなことがあるだろうか?
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「地球は蛇のごとくあらたに」)
#006974
かれらの興味が尽きたところから、彼女の興味ははじまっているのだ。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「地球は蛇のごとくあらたに」)
#006975
節目ではあるけど、最後ではない。
(長澤公介)
#006976
――憎しみは、ときには恋とおなじほど自然で奇跡的なものなのである。
(コードウェイナー・スミス「夢幻世界へ」)
#006980
教師たちはしばしば彼女をおそれた。彼女は色白の静かな娘、与えられた問題をつねに理解している娘であった。
(コードウェイナー・スミス「星の海に魂の帆をかけた女」)
#006981
彼女もおのれに忠実であるほかはなかった――それがなにを意味するか知るときは、永久に来ないにしても。
(コードウェイナー・スミス「星の海に魂の帆をかけた女」)
#006986
これほど自信ありげに、しあわせそうに死んでゆく人を、彼は今まで見たことがなかった。
(コードウェイナー・スミス「星の海に魂の帆をかけた女」)
#006989
恐怖もあり、好奇心も手伝っていた。この二つのうちでは、好奇心のほうが始末がわるい。
(コードウェイナー・スミス「青をこころに、一、二と数えよ」)
#006996
正気をたもつ秘訣は、仕事のことをなるべく考えないようにすることである。やむをえないときだけ全力で立ちむかい、あとはきれいさっぱりと職務を忘れて、つぎの緊急事態までのんびりと過ごすのだ。
(コードウェイナー・スミス「鼠と竜のゲーム」)
#007000
可能性としてのリスクを認識していても、それに対して危機感を持たなければ、具体的な対策には結びつかないのである。
(樋口 晴彦「なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか-有名事件13の原因メカニズムに迫る- (B&Tブックス)」)
#007002
かつて好きだったものをあっさり捨て去ることが「大人になる」ことだというのなら、そんなつまらない大人になどなってやるものか。好きなものを「好きだ」と堂々と言える大人になってやる。
(山本弘「多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)」)
#007008
世の中の大半のことは、「そこまでする必要がある」とは言い難く、それを言い出すのなら古代エジプトの建築物も科学の進歩も否定されかねない。
(伊坂 幸太郎「サブマリン」)
#007010
当事者ではないにもかかわらず、当事者の気持ちを代弁しようとする人物を、僕は少し警戒する。あの人はきっとこう思うはずだ、と言い切れる人は、自分を正しいと思いすぎているきらいがある。当事者にとって、ありがた迷惑になることを想像していない。
(伊坂 幸太郎「サブマリン」)
#007011
「そんなのはな、ばれないように会えばいいじゃねえか」
「どんなふうにですか」「俺に考えがある」「本当のことを教えてください」
「本当のことをか」「はい」
「考えなんて、ない」「でしょうね」
(伊坂 幸太郎「サブマリン」)
#007015
おまえ、昔のお詫びに、人助けをしたいとかそんな調子のいいことを考えたんじゃねえだろうな。あのな、人の命は別の命じゃ埋まらねえぞ。
(伊坂 幸太郎「サブマリン」)
#007017
あのな、自分のことは全部、みんなに理解してもらって当然とか思ってるんじゃねえだろうな。中学生じゃねえんだから。
(伊坂 幸太郎「サブマリン」)
#007023
これは、ひとつの話に、三月、四月、ことによったら一年もかけているだろう。あるひと文字を、別の文字に変えた方がよいかどうか、そういうことに、二日も三日もかける。そういうことのできる才というものがある。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)」)
#007025
自分は奇想する──あとは、その奇想を誰かが現実化すればいい。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)」)
#007026
新しいことをやりたがらないというのは、この国の何という悪癖であろうか。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)」)
#007028
頭の中で、幾つもの思考がたて続けに生まれ、それがまた次の思考を生みながら増殖してゆくのが見えるようであった。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)」)
#007029
もののわかる人間は、話が早えってえことさ。初っから、こうすりゃよかった。役人やら何やらは、ものがわからないばかりか、話も遅くっていけない。あんたみたいな人間が、役人の中に何人かいるだけで、この日本はもっと風通しがよくなるだろうになあ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 一 (小学館文庫)」)
#007031
おれの、この頭の中にゃあ、まだまだ色んなことが納まってる。こうなってみたら、あれも書いときゃあよかった、これも書いときゃよかった、そんなもんばっかりだ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)」)
#007032
智恵をつけたら、それは出さなきゃならねえ。智恵をつけるのに時間を使っていたらその暇はねえ。かといって、出してるばかりじゃ、智恵は身につかねえ。なかなかうまくはいかねえよなあ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)」)
#007033
時々、おめえを見てると、涙がこぼれそうになるんだよ。才能があるのをうらやむやつもいるが、おめえさんみたいにあり過ぎるのもなあ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)」)
#007034
おまえを恨んではおらぬ。これは、我が欲得から銭を出したことであり、おもしろい夢も見させてもらった。出した銭は、その夢の駄賃じゃ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)」)
#007037
考え続けている。
いや、すでに思考は停止しているのと同じだ。“考えなくては”と考えているだけで、思考そのものはそこで足踏みをしているのと同じである。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 二 (小学館文庫)」)
#007038
ここは、上手に嘘をついてやらにゃあならねえだろうなア。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 三 (小学館文庫)」)
#007040
こいつは、日本国の宝だ。あたしだけの仕事にしちゃあならねえ。めったにねえ機会です。できるだけたくさんの人間に一緒にやってもらって、仕事をするのが、この日本国のためにもなるでしょう。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 三 (小学館文庫)」)
#007042
俺らあ、これまで何ひとつ、まっとうにやりとげた仕事がねえ。失敗とはったりばかりで、世の中を渡ってきた。気がついたら、もう、じきに五十だ。こいつばっかりは、しくじるわけにゃあいかねえんだよ……。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 四 (小学館文庫)」)
#007043
「百年後で、いいじゃあねえか」
「百年後?」
「二百年後、三百年後だって、いいじゃあねえか。わかってもらえるのはよ。いや、もしかしたら、四百年、五百年経ったって、誰にもわかってもらえねえかもしれねえ」
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 四 (小学館文庫)」)
#007044
嬉しいねえ。あんたと話をしていると、細かい説明をせずに済むというのがいい──。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 四 (小学館文庫)」)
#007048
「あんたの言うことは間違っちゃいねえよ。たぶん、正しい。しかし、その正しいやり方ばっかりを選んで、人間は生きていくわけじゃあねえ。正しくねえことや、理不尽なことを、時に、人は選んでしまう」
「でも、今、あなたがどうすべきかは、はっきりしてる。それができないんなら──」
「できねえなら?」
「その人間は、馬鹿よ」
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 五 (小学館文庫)」)
#007049
そうか、自分は、馬鹿なんだ。
馬鹿だから、あれこれわけのわからぬことに手を出して、馬鹿だから、他人の馬鹿に我慢ができない。馬鹿だから、やらなくてもいいことまでやってしまう。
その馬鹿で、自分はここまで来てしまったのだ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 五 (小学館文庫)」)
#007050
どれほど、人が時間をかけ、心をこめて造ったものであろうと、いったん人の手が離れると、刻が、あっという間に、その間に、人の痕跡を埋めていってしまう。
この圧倒的とも言える時の流れの中で、人の成せることに、人の行なう業に、いったいどれほどの意味があるのか。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 五 (小学館文庫)」)
#007052
こんなところで、くたばるのか。
まだ、何もやっちゃあいないのに。
何ひとつ、まっとうなことをやってない。
しかし、この世で、いったい何人の人間が、死ぬ時に満足して死ねるのか。
やるだけのことはやり尽くした……
そう言って死ぬ人間などはいなかろうとも思った。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 五 (小学館文庫)」)
#007054
その生き残った自分には、何がしかの役目があるのではないか。死んだ者たちの思いを、自分という人間は、背負っているのではないか。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 六 (小学館文庫)」)
#007056
こんな場所、この時代にいちゃあならねえ化け物だ。
盲目で、どっちにゆこうにもそれが定まらない。
傷だらけで、血だらけだ。
あっちこっちへぶつかって、転んで、また起きあがっちゃあ、銃弾を浴びる。
あれは、おれだ。
(夢枕 獏「大江戸恐龍伝 六 (小学館文庫)」)
#007057
できることなら、作家として書くより、読者としてこれを読みたかった。
(夢枕獏「大江戸恐龍伝 あとがき」)
#007058
そういうものだ。
人の世とはそういうものだ。
いずれかが先に死ぬ。
残った方は残った方で、生きてゆかねばならない。
そして、いつか、自らも、幾つかの約束を残して、誰かより先に逝くことになるのである。
(夢枕獏「大江戸恐龍伝 文庫版あとがき」)
#007059
「わたしなんてみっともなくって…なにを着たって」
「あら!みっともない若い娘なんていやしません」
(萩尾 望都「ポーの一族 復刻版 1 (フラワーコミックス)」)
#007064
後悔する部分も、ほんの少し残るのよ。いいことも、悪いことさえも、それは私だけのものである、人生だったんだって。
(三島 浩司「ウルトラマンデュアル (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)」)
#007065
あんたが“い”の一番にここに乗りこんできたことは、絶対にまちがいじゃないぜ。オレはみんなと力を合わせて、あんたのおっちょこちょいを正解にして見せたい。
(三島 浩司「ウルトラマンデュアル (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)」)
#007069
ボクの前で泣いてくれて、ありがとう。
(三島 浩司「ウルトラマンデュアル (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)」)
#007075
こういうことは、ふしぎと、傍目から見た方がわかるってこともあるのよ。
(上橋 菜穂子「狐笛のかなた (新潮文庫)」)
#007076
どうしようもない思いって、あるよね。その思いを守るために、人から見たら、ばかだなぁと思うようなことをしてしまうことも、あるよね。
(上橋 菜穂子「狐笛のかなた (新潮文庫)」)
#007079
発想さえできれば、あとはコンピュータ(あるいは部下)が計算してくれるだろう。
(森博嗣「「考えなしの行動?」訳者まえがき」)
#007084
たぶん彼らはたがいを知りぬいており、よく似ているので、まるで自分の両手を信じるように、疑いもなく信頼しあえるのだ。
(アーシュラ・K・ル・グィン「求めぬ愛」)
#007088
これまで行ったどこであれ、自分たちの生活が単調だと思っているひとには会ったことがない。細かいことを省くと、生活や時間は単調に見えるのだと思う。
(アーシュラ・K・ル・グィン「孤独」)
#007097
だがあのとき神はいなかった、いまもいないように。
(アーシュラ・K・ル・グィン「世界の誕生日 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-11) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007102
恥辱と名誉は、強力な社会的エンジンである。もし完全な公開を強要され、さらに階層性の幻想や支配欲ではなく、合理的な必要性がそれに加えられるなら、恥辱と名誉は社会を長期にわたって安定させることができるのである。
(アーシュラ・K・ル・グィン「失われた楽園」)
#007104
終着駅こそが、出発点。新たなリファインメントのスタートですよ。
(輿水 精一"「ウイスキーは日本の酒である (新潮新書)」)
#007107
お嬢さん、ハキハキものを言うのがあんたの売り物かもしらんが、世間様のお買い求めになるものは違います。
(宮部 みゆき「泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)」)
#007114
こわさは感じなかった。驚いただけだった。恐怖はもっとあとから来るように思えた。まもなくだろうが、いまこの瞬間ではない。
(コードウェイナー・スミス「クラウン・タウンの死婦人」)
#007118
死は珍しいものではないが、たいへん不愉快なものである。
(コードウェイナー・スミス「クラウン・タウンの死婦人」)
#007120
おれはたいへん親切な男でね。あんたには嫌われてるかもしれないが。
(コードウェイナー・スミス「老いた大地の底で」)
#007122
手にある武器は、ツキと彼自身。その二つを、彼は有効に役立てるつもりだった。
(コードウェイナー・スミス「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」)
#007123
記憶にあるとは思いもしなかったさまざまなものが、いまでは猛烈に恋しい。
(コードウェイナー・スミス「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」)
#007125
帝位は人間至上の位である。それをもし上にたつ天子から人道を乱すときは、天の命ずるところにしたがい、民の与望にこたえて、天子たりともこれを伐つのが聖賢の道である。
(上田 秋成「改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)」)
#007126
たしかにそういう人自身は賢人かもしれませんが、そういう行為そのものは賢いことではありますまい。
(上田 秋成「改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)」)
#007127
自分が善行をして、自分でその善報を期待するというのは、けっして素直な心ではありません。
(上田 秋成「改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)」)
#007128
欺くに詞なければ、実をもて告ぐるなり。(あなたをだますことばもありませんから、ほんとうのことをうちあけます。)
(上田 秋成「改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)」)
#007129
お酒じゃ忘れられないことってのも、世の中にはあるものよ。
(中井 紀夫「忘れえぬ人」)
#007135
しかし、もちろん、異常性というのはだれのなかにもある。異常と正常の境目は、そんなに画然としているわけではない。
(中井 紀夫「ずどん!」)
#007140
ブラック・コメディの主人公が口にしそうな詭弁だ。片目で見れば真実かもしれない。
でも、目は二つある。もうひとつの目を開けるのは、先延ばしにしたい。いずれ、いやでも、開く。
(一色 伸幸「うつから帰って参りました (文春文庫)」)
#007141
知識は病気を治すが、病人を作ることもある。医者と製薬会社に必要以上に貢ぎたいのでなければ、心配し過ぎないことだ。
(一色 伸幸「うつから帰って参りました (文春文庫)」)
#007146
気がついたら、結婚してから二十年が過ぎようとしている。結婚記念日は忘れてしまった。でも、問い質されたときの答えは準備してある。

「それって、いまだよ」

僕が書いたセリフにしては、悪くない。本当のことだからだ。
(一色 伸幸「うつから帰って参りました (文春文庫)」)
#007148
今後あなたにどんな仕打ちをされようと、過去にされたことを思えばたいしたことはない。
(アン・レッキー「亡霊星域 (創元SF文庫)」)
#007149
いまこの世にいる者で、彼女より強情なのはあなたくらいのものだろう。
(アン・レッキー「亡霊星域 (創元SF文庫)」)
#007154
――人みなそれぞれ神の意図のもとにあるのだから、いま話題の人物にもよい面はあるはずだ、しかし自分にはそれがどこなのか見当もつかない。
(アン・レッキー「亡霊星域 (創元SF文庫)」)
#007156
あなたの足を引っぱりたい人間のいうことなど、耳を貸さなくていい。
(アン・レッキー「亡霊星域 (創元SF文庫)」)
#007157
「わたしはあなたの礼節のなさにとても驚いている」
「この思いは礼節をねじふせてしまうほど激しい、といったら?」
(アン・レッキー「亡霊星域 (創元SF文庫)」)
#007159
想像がつくかしら。自分が何をやっても何ひとつ変えられないとわかったときの気持ちが。いくらあがいても、愛する者を守れないってわかったら?何かやったところで、悪あがきにもならないってわかったら?
(アン・レッキー「亡霊星域 (創元SF文庫)」)
#007161
――けれども自分は、生き延びたいのだろうか?
(小川 一水「天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)」)
#007162
私たちの立場は違う。……けれども、折り合うことはできるんじゃないかしら。
(小川 一水「天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)」)
#007163
「す――済まない――こんな体たらくで――」
「生き抜いたじゃないか、上出来だ」
(小川 一水「天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)」)
#007164
人間ってものは、何かの基準に沿って人を愛するなんてことは、そもそもできないじゃないか。愛ってのは、どこからともなく、理由もなく湧き起こって、それで人は人を好きになるんじゃないか。それをどうやって制止できるっていうんだ?
(小川 一水「天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)」)
#007165
これは価値のある問いかけだ。自分たちは難局を切り抜けることに精いっぱいで、まだわからない。このような問いそのものを立てていない。それゆえにこの問いは尊い。
(小川 一水「天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)」)
#007177
他人があまりに嘆き悲しむと、自分の悲しみを忘れることもあります。
(今野 敏「ST警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル (講談社文庫)」)
#007182
暴力は、ときに言葉よりずっと説得力がある。
(今野 敏「ST警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル (講談社文庫)」)
#007184
災厄のあとであれば、人々は再発を防ぐためにどんなことでも喜んでするだろうが、いったいなにが危険にさらされているのかと大多数の人々が思っているような状況では、そうはならないだろう。
(グレッグ・イーガン「白熱光 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007189
とはいえ、あらゆる単純なことは、ふり返って考えたときにはわかりきったことに思えるものだ。
(グレッグ・イーガン「白熱光 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007191
あなたの頭はわたしのより壊れていると思います。
(グレッグ・イーガン「白熱光 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007193
そういったものをながめていると、人間という動物にとって、「進歩」というものは宿命であり、業のようなものだ、という事が、身にしみて感じられるのだった。
(小松 左京「小松左京短編集 大森望セレクション (角川文庫)」)
#007194
惚れられた自信は毛頭なかったが、惚れた自信はあった。が──一体、何という惚れ方だったか!
(小松 左京「小松左京短編集 大森望セレクション (角川文庫)」)
#007197
でも奇形の方が値打ちのある事もあるのよ。
(小松 左京「小松左京短編集 大森望セレクション (角川文庫)」)
#007199
「疲れているみたいだね」
「疲れさせたのはあなたたちでしょう」
(森見 登美彦「夜行」)
#007200
いったん気になり始めると、どうしても見ちゃうんですよ。見れば見るほど、それがへんなものに見えてくるの。そういうことってありませんか?私がへんなんですかね?
(森見 登美彦「夜行」)
#007201
しかし日常的な眺めだからといって、それが平凡なものであるとはかぎらない。
(森見 登美彦「夜行」)
#007204
しかし無事に帰ってこられない可能性もあったわけだ。
(森見 登美彦「夜行」)
#007206
喜劇こそ、ものごとを覆し、どれほど強固な現実であっても変えることが可能である、ということを教えてくれるのです。
(冲方 丁「冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場」)
#007208
人間、強いエリート意識を持って閉鎖社会に入ってしまうと、あまりいいことにはなりませんからね。
(冲方 丁「冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場」)
#007209
「帰ったら休みなよ」
「そうしたい」
そうする、と言い切れたらどんなにいいか。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007210
その点では、目の前の女が守ろうとしているものも、確かに自分と同じはずだった。きっとほんのわずかに認識と立場が違うだけなのだ。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007211
いつだって僕の観客は僕より時間がない。だから気がつけばいつも、最後には僕自身しか観客がいなくなってしまうんだ。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007212
大きな構図の、外側のさらに大きな構図がわかったところで、いちばん小さな手元の問題が消えてなくなるわけじゃないの。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007213
何かに責任を負いたいなら、政治家になるのも捨てたもんじゃないぞ。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007214
どちらに転んでもいけない。この緊張は、綻んでも跳ね飛んでもいけないのだ。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007215
あなたが背負いこまなくてもいいこともあるのよ。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007216
私たちも言いたいことはすべて呑みこむことにします。小さな衝突はあるでしょうが、それも含んで、乗り越える。よろしいかしら。
(小川 一水「天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)」)
#007218
ルールには形があり、こうしろああしろというのなら、目の前で実際にやってみせるか、図にして説明すべきであり、そうでないものは少女には理解しがたかった。
(冲方 丁「十二人の死にたい子どもたち」)
#007224
誰かが自分にとって邪魔であり、しかもその人物の弱点に見当がつくやいなや、容赦なく、巧妙に、徹底的に、攻撃してやれ、と心が叫び始めるのだ。
(冲方 丁「十二人の死にたい子どもたち」)
#007225
そのとき、たまたま不幸がそこにあって、それに出くわした。ある日、僕の体の中に病気が出現したように。単に、それだけのことなんだよ。
(冲方 丁「十二人の死にたい子どもたち」)
#007229
ババアにはネガティブな感情を維持するだけの体力がないのである。
(深爪「深爪式 声に出して読めない53の話」)
#007230
加齢による記憶力低下が人生における苦痛を和らげてくれたのである。
(深爪「深爪式 声に出して読めない53の話」)
#007231
「ともかく、きょう一日を無事にのりきろう」これから数週間を、あるいは数か月か、それ以上を。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007232
行列というのはたいてい自然発生するものだが、ある程度の規模にふくらむと、組織だったものになる。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007233
あなたは指揮官です。指揮官らしく振る舞ってください。もしそれができないようなら――わたしは懸念を強めています――医務室に行かれたほうがよいでしょう
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007234
「ばかなんだよ」声をしぼりだす。「チャンスはあったのに、またこの手で台無しにした」
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007235
「あなたはつねに正しいのだろうか?」
「もちろんそんなことはない」わたしはあっさり否定した。「ただし、この件に関しては正しかった」
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007237
礼儀正しさは、相手に敬意をもっていることと同じではありません。思いやりとも違います。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007239
わたしにそれを修復することはできない。しかしわたしたちは、精一杯のことをする。あなたがそれをさせてくれれば。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007241
ふたりの関係は彼女にも、あなたにも、良い面があるだろう。だからといって、心が傷ついてまで関係をつづける義務はない、とわたしは思う。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007242
「あなたが生きて帰ってきたら――率直にいえば、同朋、あなたの勝率は低い――またあらためて尋ねたい」
「勝率に関しては同意見だ。しかしわたしはこれまで、勝率をもとに諦めたことはない」
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007243
できることはない。何ひとつない。これまでもそうだったのだ。こうなる道をひたすら歩んできたのだ。ずいぶん長い歳月、強い決意でのりきってきただけで、この瞬間はつねにわたしの前にあり、わたしを待っていた。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007245
千年後、あなたが心配するようなことは何ひとつ問題ではなくなるだろう。あなたにとっても問題ではない。とっくに死んでいるからね。わたしも気にしないし、いま生きている者は誰も気にしない。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007246
「意味があるとすれば――」わたしはほほえんだ。「それは“意味などない”ということかな。一人ひとりが自分で決めるだけだ」
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007247
まあね、わたしにはどうしようもないかもしれない。あれこれやるのは現実的ではないでしょう。しかしそれでも、話してはくれないと。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007248
ぼくはずっと考えた。だがいまだに、なぜきみがあそこまで怒るのかがよくわからない。しかし、それはもういい。きみは傷ついた。ぼくはそれを聞いたとき、すぐにあやまり、ごたくを並べるのをやめるべきだった。そしてじっくり、ふりかえるべきだった。きみのほうこそ、ぼくに合わせろなんていわずにね。きみにあやまりたい。ほんとうにごめん。今回は心からの謝罪だ。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007252
理由は不明だが、なぜかわたしはあなたに好感をもてない。
(アン・レッキー「星群艦隊 (創元SF文庫)」)
#007260
生存率ほぼゼロの選択肢と生存率不明の選択肢があったら、どっちを選ぶかってことだろ。俺が選ぶのは後者だ。
(小林泰三「草食の楽園」)
#007263
体験していないから理解できないというのであれば、私たちは戦場の兵士の心情も理解できません。戦場に行ったことがないから。宇宙飛行士の心情も理解できません。宇宙に行ったことがないから。それらは体験者の記録やフィクションを通して知るしかない──違いますか?
(山本弘「リアリストたち」)
#007264
時を経る毎に充実している。充実してはいる。でも、“充実”しているだけ、なのだ。日々、増える“必要”を、“充実”が完全に補完できるようになるまで、一体どれだけの時間がかかるのやら。
(新井素子「あの懐かしい蝉の声は」)
#007265
でも、“障害”って、多分、こういうことなんだろうな。
多数決なんだろうな。
うん。
(新井素子「あの懐かしい蝉の声は」)
#007275
あぁ、誰か螺子を巻いておくれ。そうすればいずれ止まることもできるだろうに。
(黒石 迩守「ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007277
「勝てる可能性って、どのくらいある?」
“五・三パーセント”
「やっぱり低い!けど、十分だね──二十回に一回も勝てるんだもん。諦める理由にはほど遠いね」
(黒石 迩守「ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007293
「あいかわらず生意気だな」
「賢明な意見を述べることが生意気ですか?」
「無意味な意見を述べて賢明なふりをすることが、生意気なのだ」
(ピーター トライアス「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007294
そばにいて見守ってあげたかった。でも、ごめんなさい。
(ピーター トライアス「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007295
俺の過去、俺の人生は、おまえの重荷になっただけだった。おまえをしあわせにしてやれなかった。
(ピーター トライアス「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007299
この人が全ての答えを持っていると思い込んでいる節が僕にはあったのだろう。 
(又吉 直樹「火花」)
#007305
熱意さえあれば、金など障害にはならない。
(バリントン・J・ベイリー「ゴッド・ガン (ハヤカワ文庫 SF ヘ)」)
#007307
数百年ものあいだ、あんたたちはなにも返さずに地球から奪ってきた。
(バリントン・J・ベイリー「災厄の船」)
#007310
持つ値打ちがあるものは、闘って勝ちとる値打ちがあるものだ。
(バリントン・J・ベイリー「邪悪の種子」)
#007313
あ、でも、あれね、気をつけなくちゃいけないのは、『わたしが一番大変』って思っちゃうことね。『わたしだけが大変』とか。
(伊坂 幸太郎「彗星さんたち」)
#007314
明日はもっといい母親であろう、と自らに言い聞かせるが、明日になればまた、家事と仕事のモンスター退治で、てんやわんやとなる。
(伊坂 幸太郎「彗星さんたち」)
#007315
二十七年という長くも短くもない人生を経て、最近知った真実がある。
それは、寝過ぎはよくないということだ。
(万城目 学「バベル九朔」)
#007319
考えたところで、何にもならないとはわかっているけど、つい頭に思い浮かべてしまうんだよ。トイレで小便しているときや、風呂でシャワーの水があたたかくなるのを待っているときや、一人で食器を洗っているときなんかに、フッと──。
(万城目 学「バベル九朔」)
#007326
昔話の定番で、お約束の文章ではあるが、今となっては眩しいばかりの、魅力的な言葉だ。「幸せに暮らしました」を、現実にするのがどれほど難しいことか。
(伊坂 幸太郎「3652: 伊坂幸太郎エッセイ集 (新潮文庫)」)
#007331
あんたの気性には合わないだろうけどさ、逃げるってのは大切な技術だよ。年寄りの言葉だ、おぼえておきなよ……。
(上橋 菜穂子「軽装版 流れ行く者 守り人短編集 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#007333
あれは、もっと伸びる男だ。──ぜひとも、敗戦というものを、あじわわせてやってくれ。
(上橋 菜穂子「軽装版 流れ行く者 守り人短編集 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#007338
会社ではいつものように大量の仕事が私を待っていた。クレーム対応。無茶を言う得意先から笑顔で話を聞く打ち合わせ。ストレスで吐きそうになりながら上司からの嫌味に耐える。際限なく担当範囲が広がっていく仕事に次々と応えつつ、それと同時に、いつ首を切られるかわからない立場でもあるので怯え続ける毎日だ。やめるにやめられないし、降りるに降りられない。いや、思い切れば降りられるのだが、もっと苦しくて痛い人生になるのは嫌だし怖いので仕方なく働いているだけだ。でも正直に言うともう辞めたい。
(上田 早夕里「石繭」)
#007339
虚構と物語があれば何とか道を歩いていける――。
(上田 早夕里「石繭」)
#007341
判断の正誤がフィードバックされるのは、私たちにとって非常に価値のあることです。
(上田 早夕里「ハイライト」)
#007343
戦争にいいも悪いもありませんよ。いったん始まってしまったら、双方、必死に殺し合うだけです。
(上田 早夕里「上海フランス租界祁斉路三二○号」)
#007345
「仕事が性に合うから、ここにいるだけだ。宇宙に興味のある人間が、みんな宇宙飛行士になるわけじゃないだろう」
「それはそうだが、人間というのは、そんな動機だけで働き続けられるのか?」
(上田 早夕里「アステロイド・ツリーの彼方へ」)
#007346
「本人のやりたい仕事をやらせてあげる」は、仕事というものを知らない新人にはむしろ酷なことが多い。
(篠原 信「自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書」)
#007348
もし本当に部下を育てる余裕がないのなら、無理して部下を持たないほうがよい。部下を育てる余裕がないと、あなたにも部下にも不幸だ。
(篠原 信「自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書」)
#007349
うまくいかないことがあった時というのは、もうダメだというサインではない。やり方を変えろというメッセージだと考えたほうがよい。
(篠原 信「自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書」)
#007355
その時々でこれこそ自分と言いきれるのが本当の自分。単に感情の強度があるだけで、人間はその強度に応じて決断すればいい。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)」)
#007357
そりゃお前は凡人だろうよ。これからの人生で、いつかあの姉ちゃんはお前から離れていくかもしれねえ……でも、それがどうした。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)」)
#007359
あなた以外の誰とも付き合わない。他のどんな男の人も、わたしにはなんの価値もない……あなたを好きなわたしが、わたしという人間。
(三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)」)
#007360
難しいことを素速く習得する能力は、どんな分野であれスーパースターになるカギでもある。テクノロジーとほとんど関係のない分野でもだ。
(カル・ニューポート「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」)
#007361
重要なものが明快であれば、拒否するものが明快になる。
(カル・ニューポート「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」)
#007362
生産性の代用としての多忙:仕事において生産力や価値があるとはどういうことかを示す、明確な指標がなければ、多くの知的労働者は工業における生産性の指標に戻っていく。つまり、目に見える形で多くのことをなすことである。
(カル・ニューポート「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」)
#007363
職人は、定義は簡単だが実行は困難な、専門的な課題に取り組んでいる。知的労働にはこの明快さがない。ある知的労働者が何をし、他の人とどう違うのかを明確にすることは難しい。
(カル・ニューポート「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」)
#007364
あなたは高尚な仕事を求める必要はない。高尚な仕事の仕方を求めるべきだ。
(カル・ニューポート「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」)
#007373
まァ聞いてくれ。アル中じゃないんだぜ、俺は。アルコール依存症なんだと。アル中じゃないんだ。大きな違いがあるんだ。
(東 直己「探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)」)
#007374
あのなぁ、もしかしてお前、世界中が自分みたいなヒマ人で溢れてると思ってやしないか?
(東 直己「探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)」)
#007375
美しい女に稀にあることだが、この女は自分がどれほど美しいか、よく理解していないようだった。
(東 直己「探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)」)
#007379
お金は、貯めれば増えるし、絶食すれば体重は減るわ。そして、捨てた欲望とキープした時間が、目に見える形になって残るんだわ。そうなれば、あとはお金や体重の奴隷よ。人生に生きがいを持ってなけりゃ、貯金通帳や体重計の数字に、たやすく乗っ取られちゃうわ。
(東 直己「探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)」)
#007384
私たちは、実はあまり知識を持たずに、あるいは持っていても特に振り返らずに、いわゆる日本的なものに日々接しています。
(マイケル・ブース「「英国一家、日本を食べる」あとがき」)
#007385
私の故郷でもそうだけれど、地元のおばさんは無敵である。
(宮部 みゆき「希望荘」)
#007387
悲観論者だねえ。まあ、あなたの人生を思えば無理もないけど。
(宮部 みゆき「希望荘」)
#007388
もう一度家庭を持つ。待っていてくれる人のいる家を。この先、私にそういう機会があるかどうかはともかく、今はまだ、いつか自分がそう望むようになるとは思えない。
(宮部 みゆき「希望荘」)
#007391
いい大人がぶらぶらしてたら腐っちゃうわよ。働くってことは、義務じゃないの。自分自身のためでもあるの。
(宮部 みゆき「希望荘」)
#007403
美人ではないが、この年頃の女の子に、美人かどうかなんて物差しは、実はあんまり意味がない。肝心なのは好みと個性だからだ。
(宮部 みゆき「希望荘」)
#007409
けどもよう、あんたの息子はあんたの亭主じゃねえんだ。女房を大事にしてる。それを褒めてやっておくんなせえ。
(宮部 みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四之続」)
#007416
人は、自分で思っている以上に、お天道様に気分を左右されるものなのである。
(宮部 みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四之続」)
#007418
「年頃なんだから、いろいろあるさ。もの思うことがあって当たり前だ。で、思っても思っても思うようにならないときは、さ」
なるようになってりゃいいと言ったのだった。
(宮部 みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四之続」)
#007423
生身の人の語りは、血が通っていて面白うございます。ですが、生ものだけに、時にはあたる。
(宮部 みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四之続」)
#007427
あたしを捨てて戻ってこなくても、おまえを咎めはしないよ。
(ケン リュウ「草を結びて環を銜えん」)
#007430
死んだ儒者や生きている偽善者の教えを無視できても、あたしは自分が願っているように生きるのを止めたくないんだ。
(ケン リュウ「草を結びて環を銜えん」)
#007431
客たちは、学識ある学者や賢い商人の習慣である、言わねばならないことを考えるかわりに、心に浮かんだことをすなおに口にしていた。
(ケン リュウ「草を結びて環を銜えん」)
#007433
あの人はろくでなしだった。それを認めるのに、何年もかかっただけ。
(ケン リュウ「母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007436
ひょっとしたら、わが子を、絶対的な依存と自我の独立とのあいだのごく短い時期に留めていたいというのは、すべての親が夢見るものかもしれない。
(ケン リュウ「シミュラクラ」)
#007437
人は物よりも経験にお金を払うべきだと、あたしはつねづね思っているの。
(ケン リュウ「レギュラー」)
#007439
彼らがすることに意味がある、と伝えられるのを嫌がる人間はいない。
(ケン リュウ「レギュラー」)
#007441
相手の決断に賛成していないときですら、人は友人を助けることがままある。複雑怪奇だ。
(ケン リュウ「レギュラー」)
#007442
頼るものがなにもなかった。信頼するものが、よりかかるものが。あるのは自分だけだった。怒り、怯え、震えている自分だけ。彼女は裸でひとりきりだ。われわれみながそうであるように、ずっとそうだと彼女自身知っていたように。
(ケン リュウ「レギュラー」)
#007445
自分は自由だと信じて育つと、そうでないときにそれに気づくのはいっそうむずかしいものよ。あんたたちはなべに入れられてゆっくりとゆでられてるカエルみたいなものだわ。
(ケン リュウ「パーフェクト・マッチ」)
#007446
われわれは人々の内側にすでにある闇の覆いをはがしているだけだ。
(ケン リュウ「パーフェクト・マッチ」)
#007447
中立の立場での情報の提供なんてものはありやしないんだ。
(ケン リュウ「パーフェクト・マッチ」)
#007449
あの子がわたしたちを信頼してるなら、きっとわたしたちに話してくれるでしょう。そうでなかったら、あの子が隠したいと思ってるものをわたしたちが見つけることはできないわよ。
(ケン リュウ「残されし者」)
#007450
あらゆる親は子供のために選択をする。たいていの場合、それがいちばんいい選択だと思っている。
(ケン リュウ「上級読者のための比較認知科学絵本」)
#007451
愛してるって伝える方法はたくさんあるの。
(ケン リュウ「上級読者のための比較認知科学絵本」)
#007452
この冷たく、暗く、静かな宇宙で、愛していると伝える方法はたくさんある。きらめく星の数と同じくらいたくさんある。
(ケン リュウ「上級読者のための比較認知科学絵本」)
#007453
広い世界に何があるのか、興味を持ったりしなければよかったと思うことがある。
(ケン リュウ「訴訟師と猿の王」)
#007456
小さなアメリカ人の女の子にはわからないことがたくさんあるんだ。年取った中国人がわからないこともたくさんある。
(ケン リュウ「万味調和ーー軍神関羽のアメリカでの物語」)
#007458
この子は子どもであって、鉢植えの植物じゃない。一日じゅう家に閉じこめておくなんて無理だ。
(ケン リュウ「万味調和ーー軍神関羽のアメリカでの物語」)
#007459
だからこそ、われわれはここにいるんだ。このだれのものでもない国に。だれもが自前の物語を持っている異邦人である国に。
(ケン リュウ「万味調和ーー軍神関羽のアメリカでの物語」)
#007461
だけど、おれはあいつといっしょにいると幸せな気分になるのをわかっている。おれにはそれで充分だ。
(ケン リュウ「『輸送年報』より「長距離貨物輸送飛行船」」)
#007462
しかし、怒りに身を任せるなど、およそ教養のある人間のすることではない。
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007468
「……すみません、私、話すのがヘタなもんで、つい人を怒らせちゃうんです。悪気はないんですけど」
「そりゃそうだろうな。悪気があってこういう口の利き方をしてるんだとしたら、今まで殺されずに生き延びているはずがない」
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007471
そう、その通り。酒をあまり呑まずに早く寝れば、翌朝は爽快で、それに続く一日もハツラツとして過ごせるということは、証明を全く必要としない経験的な真実だ。それはそうなのだが、俺は別に朝爽快に目覚めるために生きているのではない、ということが問題なのだ。
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007472
しかし、どんな下等な人間にも真心はある。人間の真心は、その人間なりに最もふさわしい形で外に出ようとする。
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007476
お前、時折、とんでもなくイヤな酔い方することがあるぞ。反省しろ。
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007478
俺も、たまには真実を述べることもあるのだ。
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007481
あやまってすむことではありませんから、おわびの言葉は書きません。
(東 直己「バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007482
俺は、中学校の教師というのは全員バカだと思っている。だが、この女は唯一の例外だろう、とあの時考えたんだった。
(東 直己「消えた少年 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007483
でも、そんなに心配することはありませんよ。ものごとは、たいていシンプルな方法で解決することができるものだから。
(東 直己「消えた少年 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007484
なんだかわからないが、とりあえず「俺の出番」だ、と決めた。カッコイイ!
(東 直己「消えた少年 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007500
それにしても、俺もあと十年か二十年くらい呑み続ければ、あれだけの風格を持てるようになるんだろうか。ちょっと考えてみたが、どうやら絶望的だ、という結論が即座に出て来たのでがっかりした。
(東 直己「向う端にすわった男 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007503
おまえの問題は、あまりに考えすぎることだ。まず行動しろ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007505
あんたは怠け者で馬鹿の振りをしているかもしれないけど、わたしはあんたの心を見たよ。明るくて強い花は、名も知れぬまま埋もれやしない。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007507
「お母さま、娘に幸せになってもらいたくないの?」
「もちろん、なってほしいわよ。だけど、あなたは行かず後家になると決めたみたいね」
「でも、そうなったら、永遠にお母さまのおそばから離れずにいられるじゃないですか!」
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007508
あなたは自分がだれよりも優れているとは思っていない。それってほんとうに心が広い証拠よ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007509
「あまり高貴なものは好きじゃないんじゃ?」
「真の高貴さははるかに偉ぶらない形で示されるものだと考えているの」
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007510
あらゆる人生は実験だ。そんな先の計画をだれができる?おれは機会があるたびに一番面白いと思うことをすると自分に約束しているだけだ。もし大体の場合、その約束を破らないようにすれば、十年後におれがけっして後悔していないのは確かだろう。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007512
一番面白いことは、一番簡単なことでない場合がよくある。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007513
改心した人間は生まれながらに徳の高い人間十人分の価値があります。というのも、誘惑がなんであるか理解しており、道を踏み外さぬようより一層の努力をするでしょうから。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007516
往々にして、完璧と邪悪のあいだに境界はないのだ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007519
だが、ほかよりも面白い選択肢があるにはある。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007522
あなたがあることを幸運だとみなすとき、わたしはそれを、用意を整えたうえでの結果だと考えるわ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007523
壮大な構想や新しい法制度の起草者、何十年も光り輝くであろう新しい哲学の創始者になりたかった。だが、人々が十五分おきに扉を叩く状態で哲学に耽る暇があるだろうか?
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007530
だけど、人には役割とかぶっている仮面がある。そのふたつに個々人の現実が伴っている。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007534
神々が明確に語らないことは、よくある。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007535
すべての解決策があらたな問題を発生させるようだった。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007536
良き友とはいつだってあまりに早く別れるものだ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007542
あの人は自ら手本になっている。おれはあの人を失望させるくらいなら死んだほうがましだ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007544
こういう男にとって、わたしは男のほうを向いている場合にのみ、価値があるのだ。向日葵が太陽を向いているように。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007547
すでに知っていることをあらたな形で見ることによって、新しい考えが浮かんだ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007549
嘘をつき、あなたの聞きたいことを話すのは簡単だろうが、わたしはそんなことをするつもりはない。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007551
成功が目と鼻の先にあるときですら、失敗したときの計画を立てているのか?
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007552
戦わねばならぬ戦いがあるというのに、こんなところでむくれているとは、なんとおれは愚かなのだろう。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007554
つづいているあいだはいい夢だった。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007559
あなたはなにをしようとしているの、旦那様?わたしのことを考えている?
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007565
おれたちのあいだで信頼というのがこんなにも難しいものになるとは思ってもみなかった。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007566
あんたたちはふたりとも、現実よりも、勝手に想像したおたがいの姿に慣れてしまったんだよ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007569
故郷とは、自分の心のあるところです。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007570
丁重に応対する必要があると聞かされていたので、おれは王のような態度は取らず、偉大な戦士を捜しているただの男という態度でいた。それは簡単だった――どのみち、おれはいつもそうしていたから。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007571
機が熟するのを待つことをおまえは学んでおらん。行く手にあるすべての戦いに挑もうとすれば、たんに異なる方法で力ずくを通されるだけだ。おまえは若くして死ぬだろう。愚かなことだ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007572
もしそれが成文ないし不文の戦争の法を破るような異端の戦術であったとしても、追求せよ。「戦いにおいて、われらの唯一の目標は、勝利だ」
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007573
聡明な心であっても、ときには、なまくらな石で研ぐ必要があるものです。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007575
あんたが夢見ている大仕事を完成させる人間がおれなのか、自分ではわからない。というのも、それは千年後のわれわれの子孫に訊かねばならない質問だからだ。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007579
――大事なことはたくさんあるけれど、心で信じていることが、唯一の物差しなの。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007581
理想が完璧であればあるほど、方法は理想とはほど遠いものになる。
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007583
立場を利用することが許されないなら、わたしの立場になんの意味があります?
(ケン リュウ「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007586
「いずれ、秋になる……」
「うむ」
「いつまでも、夏であるというわけにもゆくまいよ、おれたちもなあ……」
(夢枕 獏「陰陽師 玉兎ノ巻」)
#007589
ああ、虫に生まれかわっても来世で物語を書きたい。
(夢枕 獏「陰陽師 玉兎ノ巻 あとがき」)
#007593
環境保全という綺麗な言葉の裏にある泥臭い現実を忘れてはならない。
(川上 和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」)
#007596
飢えた家族を救うためなら、たとえ絶滅危惧種の最後の1個体であっても食べさせて一時の空腹を癒してやることだろう。環境保全は、経済も治安も安定した社会においてのみ、安心して推進されるものなのである。
(川上 和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」)
#007597
恋心をこじらせてストーキングをするのは自然な衝動である。相手を深く知りたいという純粋な知識欲は、研究者の本能と言えよう。
(川上 和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」)
#007598
「急がば回れ」は嘘、「善は急げ」こそが幸せの秘訣である。
(川上 和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」)
#007600
壮大な目標を持って情熱的に生きる姿はカッコよい。しかし、そんな夢を持つ主役級の人材なぞ現実にはほんの一握りである。主人公への視線は憧憬であって共感ではない。
(川上 和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」)
#007602
すっかり慣れ親しんでいることを、まったくこっちと異質の概念を持つ相手に説明しなければならないというのは、まるで知能テストを受けているようなものである。
(バリントン・J・ベイリー「宇宙の探求」)
#007606
関心はあるさ。ただ、決断をくだせるような心の持ちあわせがないだけだ。
(バリントン・J・ベイリー「王様の家来がみんな寄っても」)
#007607
ある状況が厄介なのを、そして、なぜそれが厄介なのかを、いくら頭で知っていても、その状況の解決には、たいして役立たない。
(バリントン・J・ベイリー「王様の家来がみんな寄っても」)
#007612
正義にこだわってるかぎり、あんたは苦しむよ。でも、あきらめることができたら、きっと目が開かれて、しあわせになれる。
(コードウェイナー・スミス「宝石の惑星」)
#007614
暗黒時代は、ひとが技術や科学を見失ったからそう呼ばれているのではない。ひとがひとを見失ったから、暗い時代と呼ばれたのです。ひとであるためにはたいへんな努力がいる。努力をつづけなければ、忘れられる。
(コードウェイナー・スミス「宝石の惑星」)
#007619
母のことはよく忘れてしまう。忘れているほうが簡単だからである。
(コードウェイナー・スミス「砂の惑星」)
#007621
自分を見つけられない理由は、見つけるべき自分が存在しないからにちがいない。自分は用済みの道具、廃棄された容器だ。時の残骸の上に捨てられた欠片だ。それでいて目を持ち、考える脳を備え、たくさんの特別な力を持った人間でもある。
(コードウェイナー・スミス「砂の惑星」)
#007623
肝心なのは技術的にいい仕事をすることであり、もうひとつはみんなと仲良くすることだ。
(コードウェイナー・スミス「西洋科学はすばらしい」)
#007625
きみといっしょなら、ずっと満足でいるだろう。酒はいらない。麻薬には手を出さない。でもしあわせなんだ。
(コードウェイナー・スミス「ナンシー」)
#007634
物事には戦い方というものがある。我々は現実というフィールドの中で戦っているのだ。猪突猛進もいいが、先に力尽きたらそこですべてが終わってしまう。
(月村 了衛「機龍警察 狼眼殺手 (ハヤカワ・ミステリワールド)」)
#007638
それなりに人付き合いは経験している。営業社員として得意先と接し、同じ部内の飲み会に参加することも少なくない。ただ、それらはあくまでも表面的なもので、「親しい人間同士はこう振る舞うのではないか」と考えたものを、自ら模倣しているに過ぎなかった。
(伊坂 幸太郎「AX アックス」)
#007642
待てば海路の日よりあり、だけじゃなくて、待っている間に嵐がひどくなる、というケースもあるってことね。日々、勉強になるわ。
(伊坂 幸太郎「AX アックス」)
#007644
若さの本質は、「これから先が長くある」「柔軟性がある」ではありません。「まだ何もない」ということなのです。
(楠木 建「好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則」)
#007645
自分の仕事に正面から向き合う。それは自分を向くということではありません。自分が役に立とうとする他者を向くということです。
(楠木 建「好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則」)
#007647
人間、髪の毛のあるうちはわからないことがある(女性や、男性でもなかなか髪がなくならない人も大勢いますが、ここでは象徴的な意味合いで言っています)。
(楠木 建「好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則」)
#007649
周囲の人々は口では「すごいね」と言うかもしれませんが、本当のところ心の中ではあなたのことなんか誰も何とも思っていません。
(楠木 建「好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則」)
#007650
本当にやりたいことが何かなんて、すぐには見つかりません。ただし、やりたいことがなくても、やりたくないことをやる必要はありません。
(楠木 建「好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則」)
#007651
東京には全員他人の夜がある…
(武富 健治「火花 上 (ビッグコミックススペシャル)」)
#007655
しかし、現実は違ったのです。次第に「参考になりました」という言葉は、「参考程度にしかなりませんでした(内容は面白いけれど、仕事には使えない)」というネガティブな反応であることに気づきだしたのです。私のモチベーションは大きく下がりました。
(河本 薫「最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか」)
#007656
自分が取った行動はすべて自分に責任があるという結論に達した。自分の人生をよりよいものにしたいならば、それを正しい方向に導くか否かは自分次第でしかない。
(水谷 竹秀「だから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人」)
#007657
だから、居場所が欲しかった。
自分のことを認めてくれる環境を探し求めていた。
他人に好かれ、嫌われないような人間でありたかった。
(水谷 竹秀「だから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人」)
#007658
彼らを見ていて同時にこうも感じる。
そもそも日本社会に順応する必要があるのか。
(水谷 竹秀「だから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人」)
#007665
今は伝わらなくとも、いつか届くことはあるかもしれない。言葉には、そのための時間がある。
(銅 大「SF飯 宇宙港デルタ3の食料事情 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007668
断る選択肢はなかった。あったのかもしれないが、俺には見えなかった。
(伊坂 幸太郎「ホワイトラビット」)
#007673
はい、生まれました。はい、死にました。その間には、いろいろあるんだよ、お父さん。
(伊坂 幸太郎「ホワイトラビット」)
#007682
一度渋柿にあたったからといって、この世の柿の木には渋柿しか生らぬと見限ってしまうのは勿体ない。
(宮部 みゆき「この世の春 上」)
#007686
呪縛を解くには、それにかかっている当事者たちが、まず自分たちを縛っているものがあることに気づくのが第一歩だ。
(宮部 みゆき「この世の春 上」)
#007687
人の心は、そうしなければならない切実な目的や必要があれば、どんな風にも変わり得る。
(宮部 みゆき「この世の春 上」)
#007696
私を押し潰そうとする大岩を、両手で懸命に支えている。一人で、日々力を振り絞って支えている。傍らの誰かに、私は今にも潰されそうだと声をあげて助けを求めることはできない。
(宮部 みゆき「この世の春 下」)
#007703
人が〈戻れるものなら〉などと言うのは、戻れぬとわかっている時だ。あるいは、戻らぬと決めている時だ。
(宮部 みゆき「この世の春 下」)
#007705
『忘れる』人はあとで苦しむ。
(オリヴァー・サックス「見てしまう人びと:幻覚の脳科学」)
#007706
ただでさえ、ここでは悪意ある嘘は通じやすく、好意の真は届きにくいものなのです。
(阿部 智里「烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)」)
#007714
稼げる時に稼ぎます!そこに仕事があるのなら!
(海野 つなみ「逃げるは恥だが役に立つ(3) (KC KISS)」)
#007723
俺は一人で暮らす幸せではなく誰かと暮らす幸せを選んで今があるんだなあ。
(海野 つなみ「逃げるは恥だが役に立つ(7) (KC KISS)」)
#007731
追いかけたくなる背中がそこにあるか…って話だろうに。
(恵 三朗「フラジャイル(11) (アフタヌーンKC)」)
#007732
自分がろくにわかっていないことをわかっている程度にわかっています。自分がもっと学ぶ必要がある──もっともっと学ぶ必要があるとわかっている程度にわかっています。そして、世の中には単純な答えなどないことをわかっている程度にわかっています。
(ケン・リュウ「序文 中国の夢」)
#007747
きみのなかには危険な火花がある。わたしは世界を変える野心も意志も失ったが、だれもがそうではないと思いたいんだ。
(馬伯庸「沈黙都市」)
#007750
まことに興味深い。一人一人のふるまいは単純そのものだが、集まると複雑な知性があらわれている。
(劉慈欣「円」)
#007751
この宇宙では、忍耐さえあればなにごとも不可能ではないんじゃ。可能性は小さくてもゼロではない。
(劉慈欣「神様の介護係」)
#007752
この重大な歴史的局面にあって、わたしは現実を改革するには科学とテクノロジーだけでなく、人生がよりよくなるはずだというわたしたち全員の信念もまた必要だという確信をいっそう強くしている。
(夏笳「中国SFを中国たらしめているものは何か?」)
#007753
あらゆる接点でファンは見ている。つまり手抜きも不誠実もすべて見られている。唯一の対抗策はすべての施策・接点・活動において、誠実であることだ。
(佐藤 尚之「ファンベース (ちくま新書)」)
#007756
世界の終わりは騒々しいと思っていた。銃声とか、暴動とか。生きようとあらがう人々の叫びとか。
(ダニエル・H・ウィルソン「神モード」)
#007757
無知であることと、知ろうとしないことは、別物である。
(ケン・リュウ「時計仕掛けの兵隊」)
#007758
…ですが私は死にたくありません。それは…私がこの世に生まれてきてしまったからです。
(諫山 創「進撃の巨人(25) (講談社コミックス)」)
#007762
「負け犬だ、と」
「そんなことは言っていない。思ってもいない。そう思っているのは、あなた自身だろう」
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007763
凶悪な人間に対するときは、相手にそれを思い出させる話題にはあまり触れないほうがいい気がする。
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007765
科学や技術というのは世界一を目指さなければ見えてこないものがあるんだ。だれも経験したことのない現象がその途中で発生したりする。それへの対処が経験になり、商売敵に対して優位に立てる。技術分野とはそうしたものだ。二位に甘んじてもいいのなら、初めからそんな計画に予算を付けるのは無駄だよ。
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007767
心配事は息子に任せて、わたしたちは楽しい話をしようではありませんか。
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007770
おれのような共感能力が薄い人間にこそ神の助けが必要だとあんたは考えるのだろうが、必要なのは神の助けではなく、人の理解だ。
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007771
「あんたは、酔っ払って記憶をなくしたりしたことはないようだな」
「ありません」
「記憶がない間、自分がなにを話し、なにをしていたかわからないという不安は、経験した者でないとわからないだろう」
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007776
「悪魔に魂を売ったのです、あなたは」
「おれの魂など安物だ」
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007777
死者というのは忘れ去られたときに完全に死ぬのだとすれば、生きていたとしても、だれからも忘れられて生きながらに死ぬこともある。
(神林長平「絞首台の黙示録」)
#007789
うん、そりゃあまあ、こういう雑談がきれいさっぱりなくなったって、僕はやっていけると思う。でもきっと僕は彼を思い出し、さみしくなるに違いない。
(チャールズ・ユウ「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007790
もう父を恋しく思うことはない。まあ、ほとんどの時間はってこと。恋しく感じたい。もしできるなら。でも残念ながら、あの説は正しい。時は全てを癒すってやつ。
(チャールズ・ユウ「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007797
「皮肉のアップグレード版をダウンロードしたなんて聞いてないな」
「わたしについてあなたが知らないことなんていっぱいあるんですよ」
(チャールズ・ユウ「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#007801
人はダメなままでいても幸せになっていいと思うんですよ。成長するのも、役に立つ人間に変わるのも、幸せになった、そのあとでいい。
(銅 大「SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007809
気持ちはわかりますが、やはり無理はよくありません。疲労や睡眠不足は、ミスの原因です。失敗が許されない時にこそ、きちんと休まねば。
(銅 大「SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007810
あまりに大きい悲惨を前にすると、人はそこに正当な理由を求めてしまいますからね。
(銅 大「SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行 (ハヤカワ文庫JA)」)
#007813
ここでうんというのには抵抗があった。理屈の問題じゃない。手ざわりの問題だ。
(小川 一水「くばり神の紀」)
#007814
けれどもそんなことってあるんだろうか。みんなが間違っていて、私一人が正しいなんて。
(小川 一水「くばり神の紀」)
#007828
それが正しい判断だとわかってはいたけれど、だからといってその判断が気に入るとはかぎらない。正しいけれど、いや、ということだってある。
(アンディ・ウィアー「アルテミス(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007830
生意気なことをいってやりたかったけれど、在庫がなかった。めったにないけれど、たまにはこういうこともある。
(アンディ・ウィアー「アルテミス(上) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007833
「ワオ、あなたはほんとうにまるごと経済の人なのね」
「それがわたしの仕事ですからね。けっきょくのところ、大事なのは経済、それに尽きるのよ」
(アンディ・ウィアー「アルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007835
父親が自分をどれくらい愛しているか知るチャンスに恵まれる人はあまりいないと思う。でもわたしはそのチャンスに恵まれた。
(アンディ・ウィアー「アルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007836
おまえは急がなくてはならないわけじゃない。ただあせっているだけだ。
(アンディ・ウィアー「アルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007838
「そのうち痛い目を見ることになるわよ。彼女は信用できないわ」
「ああ、信用なんかしてないわ。ただ彼女の力が必要なだけ。ぜんぜんちがう話よ」
(アンディ・ウィアー「アルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF)」)
#007842
人が生きていくのはとても悲しいことだ。嬉しいこともたくさんあるけれど、ときどきその嬉しさを全部消してしまうような悲しいことが降ってくる。
(村木 嵐「マルガリータ (文春文庫)」)
#007844
人にはそれぞれ与えられた道がある。もちろん、その道を行かず、あっさりと全てを投げ出すこともできる。
(村木 嵐「マルガリータ (文春文庫)」)
#007845
十度に一度くらい、胸で考えたことをそのまま言えるようでありたい。いつもうつむいてもぞもぞするのではなく、はっきりと頭をあげて己の考えを伝えたい。
(村木 嵐「マルガリータ (文春文庫)」)
#007850
わからんぞ。物事には成り行きということがある。俺を見ろ、成り行きまかせがこの結果だ。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(1) (講談社文庫)」)
#007852
近ごろこのようなことがしばしばある。思うことは言葉に変えるそばから、掌中の水のごとく喪われてしまう。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(1) (講談社文庫)」)
#007855
まったく、みんなどんどん死んじゃって、おまえみたいな悪いやつしか残らないなんて、ああ、あたしは何て不幸なの。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007857
そう、ひどい。みじめじゃ。しかし最も才気ある者は、最もみじめな思いをせねばならぬ。最も苛酷な使命を負わねばならぬ。それは天の摂理じゃ。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007858
この役回りがなぜ自分でなければならなかったのか──それだけは不満である。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007862
実のところ彼には悪意や野望のかけらもない。まじめな人物がまじめに仕事をした結果、こういうことになったのである。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007863
覇者となる資格はなかった。もちろん資質はあったよ。だが、資格がなかったのだ。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007865
だって、あなたがおかわいそうだから。親の悲しみを救うのは、子のつとめですから。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007867
天意の前に、人はあまりに小さすぎる……すべては天の決めたことであろう。願わくば今すこし天が雄弁であれば、他に手だてもあろうが。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(2) (講談社文庫)」)
#007868
僕だって身よりがないし、お金もありません。でも、だからってあなたを選んだわけじゃありません。好きなんです。ずっと好きだったんです。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(3) (講談社文庫)」)
#007874
だからお願いです。あなた方も私を愛して下さい。
肌の色がちがう、ふしぎな風土と習慣で彩られたこの国の民を、同じ人間として、心の底から愛して下さい。
それだけが──すべての人間に幸福をもたらす、唯一の方法なのですから。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(3) (講談社文庫)」)
#007876
ぼくには何もしてあげられない。一生けんめいがんばっているんだけど、ぼくひとりの力じゃどうにもならないんだ。ほんとにがんばってるんだよ。でも次から次へとむずかしいことばかり起こって……。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(3) (講談社文庫)」)
#007878
努力にまさる才能など、あってたまるものですか。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(4) (講談社文庫)」)
#007879
真の芸術は決して埋もれるものじゃない。忘れられる時期はあるだろうがね。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(4) (講談社文庫)」)
#007881
「君ほどの人物なら、望んで手に入らぬものはあるまい」
「それは私の分を越えている。たとえば愛する人にめぐり逢い、その愛を一身に享け、腹を満たし、肌のぬくもりを得られれば、そのうえ何を欲する。私はすでに満たされている。ゆえに死を怖れてはいない。いや、怖れてはならないのだ」
(浅田 次郎「蒼穹の昴(4) (講談社文庫)」)
#007886
是非はともあれ、憂国の衷情とおなごの真心、この二つにはいやしくも男子たるもの、命と代えてでも応えねばならぬ。汝はそれらをともに踏みにじった。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(4) (講談社文庫)」)
#007887
「あなたには生きる義務があります」
「死ぬ権利はありませんか」
(浅田 次郎「蒼穹の昴(4) (講談社文庫)」)
#007891
敵は常に僕らのうちにあった。
(浅田 次郎「蒼穹の昴(4) (講談社文庫)」)
#007902
人々のいのち輝くひとときには、太古より美酒と音楽がありました。両者はつねに寄りそって陶酔の翼となり、人々を自由の大空へと誘います。
(佐治敬三「サントリーホール オープニング・シリーズ 総合プログラム」)
#007908
困難はむこうから勝手にやってきます。わざわざ見つけにいく必要はありませんよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007911
気安く何かを願うことをためらうようになった。うっかりかなえられてしまっては困る願いだってあるではないか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007912
偽の告発は、告発した本人が偽であると自覚している場合、とりわけ悪質といえるでしょう」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007913
わたしはまず第一に魂に対して義務を負っているのであり、法はそのつぎにすぎません。教え導くことと同じく学ぶことをしないなら、神々がわたしたちをこの世界にくだしたもうた意味などないではありませんか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007915
話すことはできる。でも言葉は、おれに何も伝えることができなかったように、あんたにも何も伝えないだろう。あんたに理解できるとは思えない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007916
「あんたが何を計画しているかは知らないが、うまくいくわけがない」
「何を計画しているか知らないのなら、どうしてうまくいかないとわかるのですか」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007917
神々は偉大なる魂を受け入れたもうように、愚者の魂も受け入れてくださるだろうか。いや、愚者は逃げるから神々の手も届かない。ああ、だが自分はもう逃げることにも疲れてしまった。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007920
神々を否定してはなりません。そうすれば神々もあなたを否定しないでしょう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007921
ありがたいことに、わたしの成功を知り表立っての非難は諦めたようだ。陰で何を言おうとわたしの知ったことではない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007923
謙虚と敬虔がふさわしい場所もあろうが、今宵はそれにはあてはまらぬ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007924
べつの日にはそなたの好みにあう料理が出されることもあろう。だが目の前の食べ物を粗略に扱うものではない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007927
わたしたちに必要なのは答えです、議論ではありませんよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007929
責任ある権威を得たとき、人はどれほど不自由に――自由にではなく――なるのだろう。子供のころ、大人はみんなすばらしい力をもっているのだと考えていた。現実にはまったくそんなことはない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007930
おれのものにならないなら誰の手にもわたしはせん。とりわけあいつらにはな。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007931
ふたりの芸術家を考えてみてください。たがいに競いあいながら、相手の作品を高く評価している。生き残った者は、ただ失われた相手だけではなく、あり得たはずの未来を惜しんでいるのです。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007932
理解できないことがあるなら、それについて学べばいいだろう。それだけのことだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007933
学習に喜悦あり、教導に至福あり。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック (創元推理文庫)」)
#007935
悪くとらないでほしい。だが、人には向き不向きってものがあるからね。
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007937
「あなたは人殺しをするような人には見えないけど」
「人殺しは、たいていそうだよ」世間話でもするように淡々と。
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007939
さあ、もう行きなさい。わたしは待たせてはいけない人たちをずいぶん待たせている。
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007940
個人的には納得しかねますけどね。法律は住民を守るためにあります。もてあそぶものでも、都合よく解釈するものでもない。
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007941
あなたの提案は気に入らないが、検討はしてみよう。
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007944
そう、昔から欲深で権力欲が強かったが、野心のある議員はみんなそうだよ。しかし、裏切り者というのは初耳だな。
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007945
わかろうがわかるまいが、やるのです。選択の余地はありません。よろしいですか?
(アン・レッキー「動乱星系 (創元SF文庫)」)
#007948
酔いつぶれて寝てしまうことはしょっちゅうだったが。せめてもの救いは夢を見なくなったことだろう。このささやかな生で、夢はもう見あきた。うんざりだ。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007949
神々が公正なことなどあったろうか。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007950
こんな旨いものを食えるんなら、この地獄の境遇に堕ちたことにも、いい側面はあるな。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007951
おれに残された道は、無益な悪あがきをすることだけだ。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007953
あなたに欠けていると思われるのは大義であって、礼節ではないわ。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007954
恐れるべきは、あの方の沈黙ですよ、饒舌ではなく。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007955
あなたがほんとうに恐れねばならない相手は、面と向かってあなたをののしる敵ではありません。あなたと顔を合わせているときには笑顔で迎え、背中を向けたとき、ナイフを研ぐ者たちです。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007957
わたしは老人だ。この世界と世界をおおう背信にはあきあきしている。この人生がおわる前に、なにか善行を施しておこうと考えるのが、そんなに変なことかね?
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007958
勇敢であれと命令することはできないが、恐怖を押し隠せ、と命令することはできる。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007961
いつだ?いつ払われる?あすか?新月の日か?赤い箒星がまた降ってくる日か?
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007962
「あの者どもが誓約を守ると思われますか?」
「守る者もいるだろう。全員であるはずはないが。われわれにも臆病者はいるし、ならず者もいる。弱い者もいるし、愚か者もいる。連中も同じだ」
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007963
旨いオニオン・スープ一杯にくらべたら、神さまなんてどれだけのありがたみがあるものやら。おれだってスープを選びますよ。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007964
“上に立つ者は、自分の裁量下にある者たちを慈しんでもかまわんが”(略)“しかし、友だちになることはできない。いつの日か、その者たちの運命について判断を下し、死地に赴かせねばならないかもしれないからだ”
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007965
発狂させられてたまるものか。手の指なら奪うこともできる。足の指なら切断することもできる。目を抉りだし、耳を切り落とすこともできる。だが、おれがあきらめないかぎり、心まで折ることはできない。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007969
そりゃあ、どんなクソでも食うけどさ。好きで食ってるとは思わないこったね。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007970
あなたを信用しているわけではないのよ。けれど、あなたが必要なの。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007971
「酔われたのなら、それはワインのせいでしょう」
「どんなワインも、あなたの美しさにくらべれば、半分も人を酔わす力はありません」
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007972
すべての人間が食物のために土を掘り起こしてばかりいたら、だれが天を見あげて、星々のことを考えるのです?
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007980
敵に包囲された者は、自力で身を護ることなど不可能。ためしに防戦してみてごらんなさい、ひとりの剣を受けとめているあいだに、背中に斧を突きたてられてしまう。防戦一方ではいけません。おおぜいの敵に直面したときには、もっとも弱い敵に的を絞って、その者を殺し、踏みつけ、包囲の輪の外へのがれるんです。
(ジョージ・R.R. マーティン「竜との舞踏 上 (ハヤカワ文庫SF)」)
#007982
未来とは意志の力であり、信念が切り開く可能性だ。
(三方 行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」)
#007986
全体は部分の総和に勝る。統合体としての君はあの残骸すべてを合わせたより価値がある。
(三方 行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」)
#007989
けど、間違いないこともある。これは新しい何かだ。いままで見たこともない冒険だ。こんなものを見ちまったからには、私はもうがまんできないんだよ。
(三方 行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」)
#007991
「君は悪くないよ。俺がダメだっただけだ。最初から、こんなもんが俺の関の山だったのさ」
「──私はあなたを信じたのに」
「残念だけど、まあ、結論から言うとハズレだった」
(三方 行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」)
#007992
莫大なリソースをつぎこんで、最初からわかりきってたことを確認しに来ただけだ。ハッピーエンドなんか最初からありえなかった。
(三方 行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」)
#007993
この身ひとつで自分の商いを始めてみたいんだ。そうでないと、自分の器量がどれくらいのもんかわからない。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#007994
語ってしまえば、消えますよ。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#007995
何が悪い?
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#007996
どれだけ恃みにされたのかはわかりませんわな。けども、空手形にするつもりはありませんでしたから、無い知恵を絞って考えましたわな。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#007997
そして何度でも討たれよう。滅びることを寿がれよう。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#007998
誰にもしゃべっちゃいけないなんて言われたら、こっちは腹にもたれてしょうがない。好きで知った話じゃないのに、たまったもんじゃないよ。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#007999
人ってのはね、昔の出来事をよく学んでおかないと、同じ過ちを繰り返してしまうんだからね。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008000
ふるまいを変えたりはしなかった。自分がそうできると踏んだからこそ、親父が教えてくれたのだと思えば、大人として扱ってもらえたのが誇らしい。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008001
思いやりのように見えるだけの思い上がりだという言葉は身にしみました。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008002
好きなだけではない。読み物は人の心の滋養になり、人を癒し励ます効用を持っていると信じている。かつて己が書物に慰められた経験があるから、その思いが揺らいだことはない。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008003
どれだけ目がよくたって、心の眼が曇ってちゃ役に立たんわ。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008004
魚によっちゃ棲む水が違う。やたらまぜこぜにしちゃいけませんという教訓でございますね。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008005
人は今を生きるしかなく、今ここのことしかわからない。学べるのは過去からの教訓ばかりだ。先のことを見通し得る千里眼なんて便利なものは、残念ながらこの世にはない。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008006
「いいや、お前さんの顔には、もっともっと詳しく知りたいと書いてある」
言葉つきはやわらかいが、容赦のない決めつけである。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008007
死ぬのが怖くなくなると、人はこんなに豊かになるのか。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008008
懐かしい人びとに合わせる顔がない。故郷には居場所がなくなった。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008009
しっかり、幸せになってくれている。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008010
負けないでくれてありがとう。背負ってくれてありがとう。顔を上げていてくれてありがとう。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008011
こういう勘は当たれば幸いだが外れたらややこしいことになるので、口には出さないようにしてきたけれども。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008012
とんだ災難だったが、あれで一生分の厄落としが済んだと思えばいいよ。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008013
絵のどこに何を見るのか、見つけるのか、見いだすのかは、見る者の目と心にかかっているのだ。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008014
――あ、こいつも動じることがあるんだな。
それも可笑しく、可愛らしい。
(宮部 みゆき「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」)
#008015
最良の詐術は真実の種子を育てあげたものと決まっている。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008017
人生、笑いごとさ、あんたのも、おれのも、だれの人生も。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008022
自分の一生の最期を見つめるにあたって、人にはもっというべきことがあるはずだ。だが、なにもことばが出てこなかった。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008030
恐れるべきなのだ。この裏切りと欺瞞の世界にあっては、恐怖こそが人を生き残らせる力なのだぞ。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008033
「あなただって逃げてるでしょ」
「そのとおり。しかしおれは特定の場所へ逃げこもうとしている。それに対して、おまえはなにかから逃げだそうとしているだけだ。そこには天と地ほどの隔たりがある」
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008036
だめよ、あの人を馬鹿にしちゃ。人との接し方を知らないの?
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008038
すべての者は死なねばならぬ。しかし、われわれは死の神の道具であり、死の神そのものではない。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008039
自分に望めるかぎり、もっともありがたい恩寵とは、死なのである。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 中 (ハヤカワ文庫 SF マ 8-16 氷と炎の歌 5) 」)
#008043
あいつはたいした男ではなかったとも。それは認める。だが、それでもあいつはおれの息子で、おれはあいつを溺愛していたんだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008046
あんたらにとって、おれの首は肩の上に乗ったままにしておいたほうが価値がある。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008047
たしかに、おれにはわかっていないとも。神々がおやさしくあるならば、このままわからずにすむだろう。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008053
年寄りは若いものほど眠りを必要としないものだといわれたが、必要かどうかだけが理由ではない。いちど目をつむったら、そのまま二度と起きないのではないかと恐れる年齢に達したからである。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008054
諸君に懸念と疑問が多々あることは承知している。その疑念は、いまここで、洗いざらい吐きだしておいてくれ。このテーブルを離れるとき、われらは心をひとつにしておかねばならぬ。単一の目的を共有しておかねばならぬ。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008055
すこしいかれてた、とあんたはいうかもしれん。だが、夢想家というのはみんなすこしいかれてるもんだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「竜との舞踏 下 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008060
嘘がバレるのは、ひとつのストーリーを守りきれないからだ。ある人にはこういったのに、べつの人にはまた違うことを――
(コニー・ウィリス「クロストーク (新・ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#008065
でも面白い小説が読み切れないほどあるということはそれだけで無条件に良いこと、それだけでステキなこと、みんなよく頑張った、人類万歳!そう思えたんですよ。
(森見 登美彦「熱帯」)
#008066
「苦手なんですよね、あの人」
「苦手じゃない人なんているのかしら」
(森見 登美彦「熱帯」)
#008071
それらの本は私が夢中で本を読んでいた少年時代につながっています。物語を読む幸福が、手で触れられそうなほどありありとそこにあると感じられた時代です。
(森見 登美彦「熱帯」)
#008075
美しい乙女の写真には心を落ち着かせる作用がある。
(森見 登美彦「熱帯」)
#008079
そのとき僕の耳元で囁く声があった。
──おまえは彼らを置き去りにしていくのだろう?
僕は首を振る。そんなつもりはない。そんなつもりはなかった。
(森見 登美彦「熱帯」)
#008081
近くに住み、おたがいに好き勝手な放言を許すことができる友人というものは、年を追うごとにいっそうありがたく感じるようになる。
(森見 登美彦「熱帯」)
#008083
「最悪だ」
「いや、最も悪いとは言い切れない。もっと悪いことは世の中にもっとたくさんある」
(伊坂 幸太郎「フーガはユーガ」)
#008089
「どーにもなんねぇなありゃ」
「どうにかしようなんて思っちゃいけません」
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(1) (KCx)」)
#008092
あんたみたいな優しい人苦手。つれない人が好きなの。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(3) (KCx)」)
#008094
女房なんてのは居てあたり前だと思ってたが居ねぇとなると寂しいもんだな。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(4) (KCx)」)
#008096
鮮明に記憶している細部が、でっちあげられたものだと気づいた経験はない?夢だと確信していたことが実際の経験だったことは?作り話だと信じていたことが真実だったことは?
(ケン リュウ「生まれ変わり」)
#008100
「それって、そっちの計画ミスに聞こえるけど」
「その話を蒸し返すのはやめよ」神はうなった。「どいつもこいつも、わたしのせいにしたがる。ならば、自分ですべての世界を造ってみればよいのだ。ただし挑戦は一度きり、いかなる過ちも見過ごしもあってはならん」
(ケン リュウ「化学調味料ゴーレム」)
#008101
あたしたちは発見者を祝福することがよくある。だけど、ひょっとしたら、あたしたちが誇りに思うべきなのは、発見しなかった者たちなのかもしれない。
(ケン リュウ「ホモ・フローレシエンシス」)
#008102
物語がある形で終わらざるをえないからといって、そのように語らなければならないことにはなりません。われわれには選択肢がある。
(ケン リュウ「ホモ・フローレシエンシス」)
#008103
ときには、観客が理解しているかどうかより、観客が存在するという事実のほうが大事なこともある。
(ケン リュウ「訪問者」)
#008104
この人はあたしの幸せを惨めさだと見なし、あたしの思慮深さを気鬱だと見なし、あたしの願望を妄想と見なしている。人がどれほど自分の見たいものしか見られないのか、おかしなものだ。
(ケン リュウ「悪疫」)
#008105
彼はあたしを自分とおなじものにしたがっている。なぜなら自分のほうがよりよい存在だと考えているからだ。
(ケン リュウ「悪疫」)
#008106
だが、なにかがほんとうのことだと計算するのと、実際に経験するのとのあいだには、つねに相違があるものだった。
(ケン リュウ「ペレの住民」)
#008108
「あなたの言葉が……役に立ちました」
「目を覚ましたときの自分の感覚をきみに話しただけだ。すでに自分でわかっていることをほかの人に言ってもらうのが役立つ場合がときにはある」
(ケン リュウ「ペレの住民」)
#008109
きみはひとりじゃない。まあ、より正確に言うと、われわれはみんな揃って孤独なんだ。
(ケン リュウ「ペレの住民」)
#008112
あたしたちの代表みたいな口をきくのはやめてください。あたしたちが何を望むべきか、あなたに教えてもらう筋合いはありません」
(ケン リュウ「揺り籠からの特報:隠遁者――マサチューセッツ海での四十八時間」)
#008115
倫理的な意見の相違には、折り合いのつかないものがある。
(ケン リュウ「七度の誕生日」)
#008117
年を取ったら旅行をするんだと口にする人のことが理解できない。旅行は若者のものだ。ある程度の年齢までに旅行をはじめないと、わたしのようになる。自分が育った場所にしっかり根を生やしてしまう。
(ケン リュウ「カルタゴの薔薇」)
#008119
ありえないことを経験してしまうと、どんな陰謀もありうるように思えるのだ。
(ケン リュウ「神々は鎖に繋がれてはいない」)
#008122
この世界は人間をあてにするにはあまりに脆弱なものになってしまった、そしてわたしたちにはもう、さらに脆弱になっていくという選択しか残されていないのよ。
(ケン リュウ「神々は犬死にはしない」)
#008124
親が恐れているのは、子どもたちに忘れられることであって、わかってもらえないことではない。
(ケン リュウ「ゴースト・デイズ」)
#008132
わたしは彼女の言語を理解していたが、彼女はわたしの言語を理解していない――あるいは、理解しようとも思っていない。それがこの世界での力の働き方だった。
(ケン リュウ「ビザンチン・エンパシー」)
#008135
女の幸せなんてもの、どこにもないのよ。あるとすれば、女の幸せじゃあなくて、わたしの幸せなんだから。
(夢枕 獏「陰陽師 女蛇ノ巻」)
#008138
ただ、そこにいる、それだけで、このおれにはありがたい。
(夢枕 獏「陰陽師 女蛇ノ巻」)
#008142
今のわたしはあまりにも矮小だった。以前は考えておこなったことを、今は単なる反射でやっている。
(ピーター・ワッツ「遊星からの物体Xの回想」)
#008148
ただ、帰る場所はもうそこじゃないってこと。そこだったらよかったとは思う。あなたはわからないでしょうけど、本当に心底そう思う。
(ピーター・ワッツ「肉の言葉」)
#008156
あんたは自由を手にしていればいい。わたしにはもっといいものがある。
運命が。
(ピーター・ワッツ「ホットショット」)
#008159
そんなわたしが育てても、あそこまでひどくはならなかったろう。
(ピーター・ワッツ「島」)
#008161
だが、どんなにありそうにないシナリオも、宇宙の生涯という時間の中では必然に近づく。
(ピーター・ワッツ「島」)
#008162
チェックリストの使用は規律の問題であり、才能の問題ではない。一部の項目だけを守ることは、全体の失敗を招きかねない。
(ダニエル・カーネマン「意思決定の行動経済学 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文」)
#008163
特にニュース性はなくても、ありきたりの問題でも、当事者にとっては大問題、大きな苦しみだからな。
(伊坂 幸太郎「シーソーモンスター」)
#008164
蓋を開けてみないとうまくやっていけるかどうかは分からないだろうな、と警戒は緩めていなかったものの、まさか、「本当に蓋を開けたらこんなことに」「蓋のあるとないとでは大違い」という心境だった。
(伊坂 幸太郎「シーソーモンスター」)
#008166
人間関係のストレスはゼロにはできない。うまく受け流し、あちらの不満をそれとなく吐き出させるくらいがちょうどいい、とわたしは知っている。
(伊坂 幸太郎「シーソーモンスター」)
#008174
研究だろうが、国家事業だろうが、はじめはやる気満々でも、その後続かない、ってことはよくある。成果が出なそうだぞ、こりゃ儲からなそうだぞ、ってなったら、潮がひくように予算が減って、人員が減らされて、うやむやになる。
(伊坂 幸太郎「スピンモンスター」)
#008183
いまの自分をありのままに受け入れてはいるが、これは自分で選んだ状態じゃない。
(ジョージ・R・R・マーティン「ナイトフライヤー (ハヤカワ文庫SF)」)
#008187
きみたちは事情を知って当然の立場にある。なにも知らないほうが身のためである分岐点は通りすぎた。
(ジョージ・R・R・マーティン「ナイトフライヤー (ハヤカワ文庫SF)」)
#008194
「苦悩はつねにそこにあって、ずっと彼を苦しめつづけていたんです。ただそれを表に出さなかっただけで」
「その点は、彼の勝利――ではないのかな?」
(ジョージ・R・R・マーティン「この歌を、ライアに」)
#008195
あなたは人といっしょに笑いたいのであって、人を笑いたくはないの。
(ジョージ・R・R・マーティン「この歌を、ライアに」)
#008196
でも、それはほんとうのあなたなの?それはほんとうのわたしなの?わたしが完璧な相手でなかったら――わたしが本来のわたしのまま、欠点だらけで、あなたに見せたくないことだらけの人間であったら?それでもわたしを愛してくれる?
(ジョージ・R・R・マーティン「この歌を、ライアに」)
#008200
理由を言えなんて……。あんたがしていい質問じゃないよ。あたしを理解する気もないのに、理解しようとするフリはやめろよ。
(草野原々「幽世知能」)
#008203
それがなにか、なにを意味しているのかわからなくても、うつくしいものであることはわかるから。
(桜木みわ×麦原遼「海の双翼」)
#008205
科学に身を捧げる人間としてあるべき姿でもありました――理解されなくても、もしくは不公平な扱いを受けたとしても、ひとり孤独に真理を追求すること。
(陸秋槎「色のない緑」)
#008207
でもこれからはどうなるんだろう?もしある日、人工知能が人間に代わって技術開発の仕事を進めて、あたしたちがすべきは人工知能の開発した技術から、人間の役に立つものを拾いあげる作業だけになったら。
(陸秋槎「色のない緑」)
#008208
「その日が来るまで、あとどれくらいあるの」
「わからないよ。十年かも、それとも二十年かも。わかるのはその日がいずれやってくることだけ。それに、ほんのすこしの研究者を別にして、だれも変化には気づかない。だってあたしたちは、日常生活にブラックボックスがあることに慣れてるから」
(陸秋槎「色のない緑」)
#008210
「……あのころは?今は?」
「今は、ちょっと変わりまして」
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」)
#008211
人類のすべての行為は悪であり、悪こそが人類の本質であって、悪だと気づく部分が人によって違うだけなのではないか。
(劉 慈欣「三体」)
#008213
これまでに、人生が一変するような経験をしたことは?その出来事からあと、世界がそれまでとはまったく違う場所になってしまうような経験。
(劉 慈欣「三体」)
#008214
これまでの人生は幸運だったわけだ。世界には予測不可能な要素があふれているのに、一度も危機に直面しなかったのだから。
(劉 慈欣「三体」)
#008216
ほんとうに関心のあることを隠そうとして、われながら歯切れの悪い質問になってしまう。
(劉 慈欣「三体」)
#008218
「ぼくらの番なんですか?」
「少なくとも、わたしの番ではある」
(劉 慈欣「三体」)
#008219
「あんたの問題は、わかりすぎることだな。……まあいい、飯でも食いにいこうぜ」
「腹は減ってない」
「じゃあ酒だ、おごるぜ!」
(劉 慈欣「三体」)
#008221
「でもな、おれは究極の法則をひとつ発見したぜ」
「なんだい」
「不可思議な出来事にはかならず裏がある」
「なんだって?そりゃまた、ひどい法則だな」
(劉 慈欣「三体」)
#008222
「くだらねえ。不思議なことなら、山ほど見てきたよ」
「じゃあ、次はどうしたらいいか教えてくれ」
「飲んで飲んで飲み倒して、寝る」
「よし、いいだろう」
(劉 慈欣「三体」)
#008223
いまのあんたは、まず二本の足でしっかり立って、倒れないことがだいじだ。他のことはそれからだ。
(劉 慈欣「三体」)
#008225
わたしの年になればきっとわかると思うけど、天地がひっくり返るほどの大事件だと思ってたのに、あとになってみれば大したことではなかった、ということはよくあるのよ。
(劉 慈欣「三体」)
#008228
あなたはいい人だし、責任感がある。だからぼくとしては、こんなことから遠ざかったほうがいいと助言したい。世界はまもなく変わろうとしている。だれもがみんな、残りの人生をおだやかに過ごせるように努力すべきだ。それがベストの選択だからね。ほかのことはあまり心配しないように。どうせ、なにもかも無駄なんだから。
(劉 慈欣「三体」)
#008233
それでも人は共に暮らす。取るに足らねえ詮ない事をただ分けあう事が好きな生き物なんだ。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(5) (KCx)」)
#008239
ハコに合わせて中身が大きくなることだってあらァな。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(7) (KCx)」)
#008241
磨き上げた芸はもうあなただけのものじゃないんです。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(8) (KCx)」)
#008242
死んじまうにはこの世はあまりに愛おしい。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(8) (KCx)」)
#008245
あなたも僕と一緒。あの人に人生を狂わされた一人だ。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(9) (KCx)」)
#008247
生きてりゃあどうしても言えねえ事なんざいくらでも出てくらァ。しょうがねえなあ人間てのは。
(雲田 はるこ「昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)」)
#008250
自分には知らされていないことがある。判断をさせてもらえないことが、まだ、たくさんある。
(上橋 菜穂子「鹿の王 水底の橋」)
#008258
さっきのあれ、覚悟を決めて大見得をきったというより、鬱憤をぶちまけたんでしょ。
(上橋 菜穂子「鹿の王 水底の橋」)
#008262
政治という手が私を縛るのであれば、私は政治と戦わねばなりません。
(上橋 菜穂子「鹿の王 水底の橋」)
#008263
雑草は、一本であるからと見逃せば、気づいたときには庭を覆い尽くすものです。
(上橋 菜穂子「鹿の王 水底の橋」)
#008264
事実であることは、確かにその通りです。しかし、事実であることが、正義であるとは限りません。
(上橋 菜穂子「鹿の王 水底の橋」)
#008273
一体の生命体に日々可能なことといえば、自らを前日とある程度類似した状態に保つのがせいぜいだ。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008276
でも、あなたは風を感じたことがある。土のにおいを嗅いだことがある。わたしたちが失ってしまうものをはっきりと知っている。自分を生みだしたものを、どうしてさげすむことができるの?
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008281
だれもが誠意を持って行動している、とわたしが信じたがっているとは思わないかね?できればそう信じたいんだよ。だが無理だ。あまりに多くがそこにかかっている。そのせいでわたしを狭量だと思うなら、それはそれでいい。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008283
あそこへはいちどもいったことがないから、わたしにはとくに意味はない。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008287
わたしたちが力を奮いおこせたのは、ひとえにあきらめることを拒絶したからだ。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008289
「傷跡があるなら、キスで拭い去ってあげる」
「傷跡は残しておきたいんだ」
「それならそれでかまわない。じっさいにキスで拭いとれるわけじゃないし」
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008292
もはや睡眠に倦怠感をやわらげる力はまったくなかったが、それでも眠っているあいだは逃避にはなった。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008294
押しつぶされそうな容赦ない罪悪感は感じていない、もしそういうことを訊いているのなら。でも、あれがまちがいだったことはわかっている。あのときもわかっていたし、その考えが変わったことはない。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008297
たがいの必要とするものや動機が相手にとってどれほど異質でも、時間と、忍耐と、動機づけがあれば、理解できないままに終わるものは――たがいの一生や、習慣や、言語を含めて――なにひとつない。
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008298
「きみはどうして、いつもほかのだれよりも遠くまで行かずにはいられないんだ?」
「あなたはどうして、いつもほかの人のあとに付き従わずにはいられないの?」
(グレッグ イーガン「シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF)」)
#008302
大人になると、感情というものは、あえて掻き立てないと湧き上がってこなくなるのよ。
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008304
兵士が目の前の敵に全力を叩き込めるのは、自分の背後に自分より大きなものがあるとわかっているからだ。
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008307
「驚いた、あなたが人を褒めるなんて」
「たまにはそういうことも言いたい。叱ってばかりでは疲れる」
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008308
あたしたちは、取り戻すんだ。あたしたちのものだったここを、そいつからから取り戻すんだ!
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008311
「誤解してもらったほうが話が早い人が多いのよ。あなたも誤解していいのよ?」
「僕はもっと誠実なやり方が好みだ」
(小川 一水「天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008312
あたしはこう聞きたいのかもしれない。姿を変えたけれどその場で生きるのがうまくなくて、だんだん押しのけられて滅んでしまうような者たちもたくさん生まれると思うの。それを悲しいと思ってはいけないの?
(小川 一水「天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008315
「それがあんたの、プロとしての意見かい」
「そんなものには、なれなかった」
(小川 一水「天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008318
あなたの話が、突拍子もなくはなかったことがあるんでしょうか。
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008319
五百年、千年も昔の人々であっても、同じ人間です。広ければ広いで、穏やかなら穏やかで、やはり何かしら理由をつけて、揉め事を起こしていただろうと思います。逆に、今から千年後の人々も同じじゃないでしょうか。争いがなくなることはありませんよ。
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008321
「あんた、どうしてそんなに平然としていられるの?」
「それは君が僕の代わりにどんどん驚いてくれるからだよ」
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008326
あたしたち自身よりも先に幸せにしたい人たちが、多すぎる。
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008328
おめでとう、もう、やめていいのです。あなたは。――この苦しい旅路に飽きて、さらに先の光景を見たいのでなければ。
(小川 一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 あとがき」)
#008331
だけど人生ってね、あれもこれもってわけには、いかないのよ。
(藤崎 慎吾「風待町(かざまちちょう)医院 異星人科」)
#008332
これを受け入れるまでの葛藤は、相当なものだったと想像できます。自分がよかれと思ってやってきたことが、いつの間にかよくない結果をもたらしていたことを受け入れるというのは楽なことではないでしょう。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008333
権力を持っていることに自覚的でなければ、自分が見たい現実だけを見ることになります。それは対話ではありません。自らの権力によって、見たいものが見られない、という不都合な現実を見ることこそが対話をする上では不可欠なのです。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008334
対話に挑むことを別な言い方をするならば、それは組織の中で「誇り高く生きること」です。
つまり、成し遂げられていない理想を失わずに生きること、もっと言うならば、常に自らの理想に対して現実が未完であることを受け入れる生き方を選択することです。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008335
の知る方々の中にも、会社の色々な課題を忙しい中で変えようと試みているものの、なかなかうまくいかず、疲れている人が何人もいます。
何よりも、そうしたときに大切なことは、辞めたり、休んだりすることです。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008336
今いる世界で精一杯努力することは大切ですが、しかし、それは世界のすべてではありません。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008337
私たちは敵と味方の関係ではないのだ。私たちはともに、弱さを生きている存在なのだ。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008338
私たちは、弱さや過ちを抱えて生きています。それだからこそ、私たちには対話を通じて、よりよい未来を切り開く希望があるはずです。私はそれを信じています。
(宇田川元一「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)」)
#008341
どんな話であれ、伺ってみなければその重みはわかりません。
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008350
「だけども、人は気分で景色を見ますからね」
気分によっては、曇り空が心地よいこともあれば、晴天が悲しいこともある。
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008355
罪を問われるならば、それがしにも思い当たる節はある。現世を生きる衆生ならば、誰でも同じだ。何ひとつ覚えがないと言い切る者こそ、自ら恃むこと強く、驕り高ぶる罪をおかしているのではなかろうか。
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008356
それをひっくり返して、自分の思うようにできるツキを引き戻す刹那が嬉しいんです。負けが込めば込むほどに、勝ちにまわった時の心地といったらあんた、天下をとったようだった。
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008362
だけど、蟻には蟻の意地があります。
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008363
死ぬにも、納得のいく死にようというものがあるはずだ――
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008365
――何か旨い物を食わせてやりたいなあ。
(宮部 みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」)
#008368
天は見捨ててはおられなかった。希望を捨てるな、堪え忍べば必ず良い報いはあるのだと――言ってきた私の言葉は嘘にならずに済みました。これほど有難いことはございません。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008374
護るべきものがある者は、護ることに専念すべきだと思う。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008375
あえて言い逃れる余地を残してくれたように思った。……だからそれに乗ったまでだ。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008376
無理をなさってもいいことは何一つありませんからね。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008380
同じく喧嘩を分けるにしても、手間を惜しめば双方から怨まれるだけになる。だが、双方から感謝される収め方もある。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008381
まあ、大変さ。だが、子供はいいぞ。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008394
「あえて投げ捨てて踏み躙ることで憂さを晴らしているのかもしれない」
「憂さが晴れているようには見えませんでしたが」
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008406
だからあんたは盗人で終わる。実体のないものに振り廻されたんだから当然だ。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008407
「たぶん、良くも悪くも強かになりました」
「惜しくもあるが、心強い」
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008408
そこまでしなければ、削ぎ落とすことのできない邪念がある――ということでしょうか。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008409
私が生きてここにある。そして天を信じている。――そうではなく、天が私を生かしているのです。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008416
他の選択肢はなかった。いや――あったのかもしれないが、常に生きることで精一杯で、分かれ道など目に入らなかった。そもそも分かれ道があったのかどうかすら分からない。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008419
下衆には下衆の使い道がある。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008421
俺たちには目的があり、目的さえ完遂されるなら戦場にいる兵卒が全員死んでも勝利なんだ。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008429
たしかに義理はないよ。だけど、俺には怨みがある。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008434
治りかけた傷跡の瘡蓋を剥がすような行為なのだと思う。忘れてしまえば癒える傷の、瘡蓋を剥いであえて痛みを確認する。死んだことをなかったことにしたいが、死者のことは忘れたくない。
(小野 不由美「白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)」)
#008437
子は親を選べませんからね。切ってしまいたいような…苦しい親子の縁もあるでしょう。
(柏木 ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活 (4) (ビッグコミックス)」)
#008439
まあ、いいことさ。なんにせよ、活気があるってことは。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008441
あの頃――十六の頃の自分のことなど、思いだしたくもない。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008444
運命に、情けはない。我が子に伝えたいことがあるから、ほんのすこしだけ生きのびさせて、と必死で願ったとしても、かなわない。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008445
非業の死を遂げた者の、苦しみや、かなしみを、癒せるものなんてあるはずがない。彼らの時は、死の時点でとぎれてしまったんだから。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008446
記憶というのは、ふしぎなものだ。きっかけがあると、闇の底から、するすると釣り糸にひかれるように、思いがけぬ鮮明さで過去がよみがえってくる。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008450
わたしがずだぼろになると、いつも、あの家に帰ろう、と言ったなあ。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008453
なんだ、そりゃ。物見遊山じゃあるまいし。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008455
そうね。そのことは、おいおい考えることにしましょう。いまは、急いで考えねばならないことがあるから。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008457
いや、ま、あんたと飲む酒はうまいから、がんばって、まだまだ元気で生きてなよ。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008460
そりゃ、わたしらに言うには、あんまりな言葉だと思わない?
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008463
金をもらえる仕事なら、たしかに、ほかにいくらでもあるだろうよ。そうじゃないんだ。わたしが生きる道って言ったのは、そういう意味じゃない。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008464
わたしらのことは、わたしらにしかわからない。――あんたらの秤じゃ、測れないんだ。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008469
――おまえは小心なところがあるが、それはかならずしもわるいことではない。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008470
その容赦のなさ――あまりにもあっけらかんとした容赦のなさに、啞然とした。とても、ほんとうにそんなことが起きているとは思えなかった。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008472
憎みたくてうずうずしている人たちの心をあおるのに、事実はいりません。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008474
……こんなに経ってから、気づくことってのも、けっこうあるね。
(上橋菜穂子「軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)」)
#008475
ほんのすこしだけでいいから、この仕事が、その人を笑顔に、その人を幸せにするものであってくれれば――
(柏木 ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活 (5) (ビッグコミックス)」)
#008476
実際は…巻き込まれないと見えないことってあるんですよね。
(柏木 ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活 (5) (ビッグコミックス)」)
#008485
社会のなかで生きていれば、たまには身近で不可解な出来事が起こることもある。その謎を、必ず解明できるとは限らない。それどころか、解明が必要とも限らない。
(宮部みゆき「戦闘員」)
#008488
これがわたし。あなたの未来。
(宮部みゆき「わたしとワタシ」)
#008501
「そういうことは、地方じゃすぐ噂になるからね」
都会でも事情は同じだ。ただ、噂のなり方に違いがあるだけだ。
(宮部みゆき「聖痕」)
#008503
それ以外にも、丸く収まっていないことがある。
(宮部みゆき「聖痕」)
#008505
煙に巻いてしまった。あるいは掌握してしまった。この場合はどっちでも同じだ。
(宮部みゆき「聖痕」)
#008508
神が死ぬものであるならば、また生まれることだってある。神のいない世界に、人間が神を生み出すのだ。
(宮部みゆき「聖痕」)
#008516
デジタル変革は単に資金を投入すれば成るわけではない。次々と新しいシステムを生み出すには、百戦錬磨のIT人材を豊富に抱えておく必要がある。
(日経コンピュータ,山端宏実,岡部一詩,中田敦,大和田尚孝,谷島宣之「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」」)
#008527
この世にはもとにもどせないものが四つある。口から出た言葉、放たれた矢、過ぎた人生、失った機会だ。
(テッド・チャン「商人と錬金術師の門」)
#008528
偶然も故意も、一枚のつづれ織りの裏と表ですよ、お客さま。両方眺めてみて、どちらか片方をより好ましいと思うことはあるかもしれませんが、片方が真実で、もう片方が偽りだということはできません。
(テッド・チャン「商人と錬金術師の門」)
#008529
なにをもってしても過去を消すことはかないません。そこには悔悛があり、償いがあり、赦しがあります。ただそれだけです。けれども、それだけでじゅうぶんなのです。
(テッド・チャン「商人と錬金術師の門」)
#008530
あなたがこれを読んでいるいま、わたしはとうの昔に死んでいるが、それでもわたしは、あなたに別れの言葉を贈ろう。存在するという奇跡についてじっくり考え、自分にそれができることを喜びたまえ。
(テッド・チャン「息吹」)
#008531
自由意志を持っているふりをしろ。たとえそうではないことを知っていても、自分の決断に意味があるかのようにふるまうことがもっとも重要だ。
(テッド・チャン「予期される未来」)
#008533
いまの気分にぴったりのミッションだった。勝利を確信できる程度には簡単で、満足感を得られる程度には手応えがある。
(テッド・チャン「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」)
#008534
あなたの世話をしなくてよかったら、わたしの生活はもっと簡単になるかもしれない。でも、楽しくなくなるわ。
(テッド・チャン「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」)
#008539
あんたは下手くそな語り手だ。でも、物語はおもしろかった。
(テッド・チャン「偽りのない事実、偽りのない気持ち」)
#008541
許すことと忘れることとの関係は、そう簡単ではない。わたしたちはたいていの場合、許せるようになるまでに、いくらか忘れる必要がある。
(テッド・チャン「偽りのない事実、偽りのない気持ち」)
#008544
あれを過去のことにするために、わたしは必死で努力してきた。父さんがいい気分になるためだけに、もういちど生き直す気はないの。
(テッド・チャン「偽りのない事実、偽りのない気持ち」)
#008546
主よ、人前で講演することを退屈な雑用だと見なすほど自己中心的になっていたわたしがあやまちに気づく機会をそれとなく与えてくださってありがとうございました。
(テッド・チャン「オムファロス」)
#008549
自分がルールを破ったのはわかってるけど、改める必要があるのはあたしの行動じゃなくて、ルールのほうよ。
(テッド・チャン「オムファロス」)
#008551
主よ、たぶんあなたはこの祈りを聞いていないでしょう。しかし、どのみちわたしは、あなたの行動に影響を与えることを期待して祈ったことは一度もありません。わたしの行動に影響を与えることを望んで祈ってきたのです。
(テッド・チャン「オムファロス」)
#008552
この探求がわたしの目的です。主よ、あなたがわたしのためにお選びになったからではなく、わたしが自分でそれを選んだからです。
アーメン。
(テッド・チャン「オムファロス」)
#008554
わたしたちは、どんな出来事についても、だれかに責任があるっていう考えかたをしたがるんです。そうしたほうが、ものごとが理解しやすくなるから。
(テッド・チャン「不安は自由のめまい」)
#008555
世の中には、どんなことでも頼りになる人間と、あることについてしか頼りにできない人間がいて、だれがどっちか、見定める必要があるんだ。
(テッド・チャン「不安は自由のめまい」)
#008556
あのひとにとっての真実が、おれにとっても真実であるとはかぎらないからな。
(ジョージ・R・R・マーティン「草臥しの騎士」)
#008558
自分にも覚えがある。なにかをひどくほしいときには、ついつい、とんでもないうそをついてしまうものだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「草臥しの騎士」)
#008562
流血と殺戮のさなかにも、ときに美が──胸がつぶれそうになるほどの美があるものだ。
(ジョージ・R・R・マーティン「誓約の剣」)
#008563
相手を誉めるには、なにかほんとにある長所を見つけないとね。
(ジョージ・R・R・マーティン「誓約の剣」)
#008565
「よくまあ口の動くこと」
「大きな腹にはよく動く口がいるのです」
(ジョージ・R・R・マーティン「誓約の剣」)
#008568
だれかがおれに含むところがあるとしても、意趣を晴らすべき相手はおれであって、あの子ではない。
(ジョージ・R・R・マーティン「謎の騎士」)
#008570
家族がいて、楽しみがあって、担うべき役割がある。それ以上、何が必要だというのか。
(草上 仁「この日のために」)
#008571
このような日があるから、まだしも耐えられる。自分にも、存在意義があるのだと思いこめる、数少ない日。
(草上 仁「この日のために」)
#008572
神よ、あんたの弱さを許します。だから、おれの弱さもお許しください。
(草上 仁「この日のために」)
#008573
恋は──あるいは、その対象の欠如ないしマッチングの不具合は、われわれを絶望の淵に追いやります。
(草上 仁「カレシいない歴」)
#008580
「ものすごく適当言ってません?」
「ざっくりまとめるほうがいい場合もあるんですよ!」
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)」)
#008582
無駄話より先にやることがある。
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)」)
#008583
「おまえが何を存じるかなどどうでもいい──それに他の長老連の思惑もだ──しかし、より望ましい落としどころがあるというなら、俺も無下に差し止めるつもりはない」
「よきにはからえ、という意味ね、それは」
「うるさい!」
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)」)
#008584
来てくださいな、ごほうびあげます。
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)」)
#008589
もしお前が売りに出されていたなら、私は王朝に代えてもお前を手に入れるだろう。もし、お前が身代金で取り戻せる捕虜であったなら、取り戻すだろう。
(嶋田 英晴「ユダヤ教徒に見る生き残り戦略」)
#008590
お子さんにしてあげられることは、後悔以外にたくさんある。
(大塚篤司「世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方」)
#008603
善意からしたことでしたが、結果が悪であれば悪です。
(陳楸帆「荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)」)
#008608
残念ながら、そういう〈合わない〉タイプの人間と姻族になってしまうことが、世間ではままある。
(宮部 みゆき「昨日がなければ明日もない」)
#008613
世間には、この程度の皮肉な偶然ならいくらでもあるからね。
(宮部 みゆき「昨日がなければ明日もない」)
#008615
「いいお父さん?」
「そうありたいと努力してるつもりだけど、どうかな」
(宮部 みゆき「昨日がなければ明日もない」)
#008617
こういう傷は、たぶん永遠に癒えない。出血が止まり痛みが消え、目立たなくなることはあっても治りはしない。傷めたところがかえって強化されるということもない。忘れることもできない。
(宮部 みゆき「昨日がなければ明日もない」)
#008622
ああ、人が好い。
(宮部 みゆき「昨日がなければ明日もない」)
#008627
自分がなんらかの権威であったり、客観的であったりするつもりはないが、自分の嗜好については自信が持てる程度の傲慢さは有している。
(ケン・リュウ「現代中国SFアンソロジー「月の光」序文」)
#008628
人はなんらかの気分にとらわれがちだけれども、その理由は自分で説明できない。そして一度とらわれた気分をあとから意志の力で変えるのはとても難しい。
(夏茄「おやすみなさい、メランコリー」)
#008629
人間は機械じゃない。スイッチ一つで“疑心”から“信頼”へ、“楽しくない”から“楽しい”へ、“憎しみ”から“愛”へ切り替えることはできない。
それでもその子に信頼を教えよう。それは自分自身を信頼することでもある。
(夏茄「おやすみなさい、メランコリー」)
#008632
高価だが、酒飲みはどこからか工面してくるものである。
(張冉「晋陽の雪」)
#008637
進退きわまった。戦うには力がなく、屈するにはあきらめがつかない。
(宝樹「金色昔日」)
#008643
あたしの方法がやっぱり万全ですね。この世は無価値。だからあたしゃなんにもせず、日がな一日酒を飲む。
(飛氘「ほら吹きロボット」)
#008645
百年前になされる必要があったことを百年前に実行できれば、たとえ平凡な人間の行為であっても、いま神が介入するのにひとしい効果をもたらすことになる。
(劉慈欣「月の光」)
#008646
孤独であることが人間の条件だとしても、われわれは立派な人生を送り、喜びを求めて努力しなければならない。
(劉慈欣「月の光」)
#008647
「あなたにはもう、あたしは必要ないと思ったの」彼女は目をそむける。
「必要に決まってるだろ。君のことを考えない時間は、一瞬たりともない」
(顧適「鏡」)
#008658
ずいぶん恨んだこともありますが、死なれてみたら、いい事ばかりを思い出します。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008664
あんたの頭を使って、あんたが考えたことがまっとうなんだから、そこは自信をお持ち。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008665
我が子なら何でもかんでも可愛いわけじゃねえ。人の心はそんな便利な作りになっちゃいないからな。不幸な経緯ゆくたてで、情が薄れちまうこともあるんだよ。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008668
誰が一の子分だよ。今となっては「たった一人だけ残った子分」ではあるが、それとこれとは意味が違う。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008669
あの人たちには荷の重いことを、おいらが代わりにやって、感謝されている。それは、まあ「いい」と言って割り切れることじゃねえが、悪くはねえよ、うん。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008671
薄暗いところには、それにふさわしい後ろ暗いところのある者が寄りついてくる。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008678
あなたみたいな若い人が、いつまでも泥船に乗っていることはない。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008679
こういう話をすんなり怪しむことができるのは、あたしらが赤の他人だからさ。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008680
「あんまり上手すぎて、余計に騙りにしか見えないねえ」
「何だ、そりゃ」
「こういうのは勘で、理屈じゃないんだよ」
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008681
この先のあんたの人生に、恋しい男を亡くすという悲しみがあってほしくはないけれど、もしもそういう目に遭うことがあれば、きっと骨身に染みてわかるだろうよ。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008682
「人の死だけは、どうやったって取り返しがつかないし、埋め合わせもできない」
――だから地獄や極楽があるんだ。現世うつしよの者と、逝っちまった者とをきっちり隔てるためにな。
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008685
「女のね、いいところが思い出せないんだ。あったはずなのに」
「あんたの女か」
「まさか!」
「じゃあ、ほっとけ」
(宮部みゆき「きたきた捕物帖」)
#008686
信頼関係は、ふとした拍子に突然生まれるものではありません。
(倉貫 義人「ザッソウ 結果を出すチームの習慣」)
#008687
なぜ人は趣味を楽しめるのか──それは自分に決定権があるからです。
(倉貫 義人「ザッソウ 結果を出すチームの習慣」)
#008691
「まるで君らの命は僕が握っているような言い方だな」
「あなただから握らせてるのよ、あなた以外の中央の馬鹿どもになんか、握らせるもんですか」
(林 譲治「星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008696
「君はなんでもお見通しなんだな」
「あなたがわかりやすいだけよ」
(林 譲治「星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008699
上司を喜ばせるために調子のいい数字は報告しなかった。それで後から苦労するのは自分である。
(林 譲治「星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008714
「あの……自分の意志とかは反映されないのでしょうか?」
「むろん選択肢はある。私が命令するか、貴様が自由意志で従うか、二つに一つだ」
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008715
目立った成果だけで、人事を動かせば、経験不足の人間を重要な役職に就けてしまう危険がある。
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008717
陰鬱な気持ちだったんですよ。でも、こうしてみると、無駄な心配でしたわね。私たちには立場の違いはあっても、対立する理由なんてなかった。
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008718
若い頃なら、ご理解などしなかったのだがな。
この歳でやっとわかることがある。
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008719
技能の話をしているときに、あちらは気持ちを持ち出したってことか。まぁ、それもある意味、自分らの技能が低いことを認めているようなものか。
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008721
あいつら俺に隠れて何かできると思ってやがる。まぁ、ここは気がつかないふりをしてやるさ。俺には俺の仕事がある。上に立つ人間のな。
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008722
「君は不愉快な男だな」
「その点では、自分もあんたと同意見だ」
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008723
それを理解できる程度の知能はあるはずだ、欠けているのは良識と勇気だけだからな。
(林 譲治「星系出雲の兵站 2 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008724
「奇跡なんてありません。この世にあるのは必然だけです。考えが足りない人間が、それを奇跡と錯覚する、それだけです」
「人間は考えの足りない生き物さ、だから奇跡は起こるんですよ」
(林 譲治「星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008726
業務の引き継ぎというのは、規則とマニュアルに徹するなら不要でもある。決められたことを粛々と進めるなら、業務は進むのだ。
ただ最適解を追求しようとすれば、細かい部分を詰める必要があり、引き継ぎだけで数ヶ月かかる。矛盾するようだがどちらも真実だ。
(林 譲治「星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008727
自分は、自分が凡人であることを知っている。
(林 譲治「星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008737
「……あなたこそ」
「英雄というなら、それは間違いです。私は平凡なプロフェッショナルですから。それが私の誇りです」
(林 譲治「星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008738
「……あなたこそ」
「英雄というなら、それは間違いです。私は平凡なプロフェッショナルですから。それが私の誇りです」
(林 譲治「星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008741
働きはじめたころによく出会ったタイプだと思われた。皿洗いより複雑なことは任せられそうもない、あらゆる問題が他人のせいだと簡単に思い込む連中だ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008743
あんなものを飲む人の気がしれないよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008747
ああいう馬鹿者たちは、自分が最低であるという宣伝をしているんだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008753
そうだね、そういう選択もあった。あのときなら。もちろんいまは戻ることはできない。その機会はもはや取り戻せない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008754
華々しい過ちになるかもしれない。あるいは華々しい成功に。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008757
いままで誰もあの人みたいに親切にはしてくれなかった。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008759
とはいえあと数日は、自分のもともとのからだにある古い脳しか使えない。これは中古モデルで、悲しいことに使い古してめためただ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008762
そうだな、まあ……もちろんそういうことになるはずだ。いつだってみんな離れていってしまう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「マイルズの旅路 (創元SF文庫)」)
#008769
集団の中の俊才はこうして多数の愚者に流されていくのである。
(東郷隆「ゴールドういろう 定吉七番シリーズ」)
#008770
「ふーん、まめなヒトやなあ」
「男はまめまめしくせんと、もてへんで」
(東郷隆「ゴールドういろう 定吉七番シリーズ」)
#008774
「この仕事面白い?」
「…面白いと思います。もっと好きになりたいと思ってます」
「そう。じゃあ腕を磨いてください。うまくなれば面白くなる。面白くなれば好きになります」
(恵 三朗「フラジャイル(18)」)
#008775
――まあどの世界でも人間は道理に従ってなんざ行動しねぇってことだ。
(恵 三朗「フラジャイル(18)」)
#008781
彼は確かに優秀だったが、なにかに集中すると前後の見境がなくなる傾向があった。
(林 譲治「星系出雲の兵站 4 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008791
私はあなたを信じている。だから避難しようとは思いません。
あなたを疑って逃げる算段をするくらいなら、明日の夕食の献立でも考えますわ。
(林 譲治「星系出雲の兵站 4 (ハヤカワ文庫JA)」)
#008796
自分が完全に進む方向を誤ったという事に気づいていた。
気づいてはいたが、認めるのが嫌だったのである。
このちがいは大きい。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン(1) 大熱血。」)
#008799
あ、ひでえ(笑)。おれは別にそんなこと喜んじゃうよ(笑)。
(火浦功/出渕裕/ゆうきまさみ「未来放浪ガルディーン(1)無謀大対談」)
#008803
「やだなー。おれって、根っからシティ・ボーイじゃない? アウトドアは苦手なんだよ。──やっぱり、神経が繊細にできてるのかねえ」
「神経なら蛇にだってあるわ。いいかげんに、黙ったら?」
(火浦 功「未来放浪ガルディーン(2) 大暴力。」)
#008807
流れ、過ぎ去って行くすべての中にも、小さく輝く欠片がある。
(上橋 菜穂子「明日は、いずこの空の下」)
#008808
ほんとうに優れた物語は、物語であることを感じさせません。
(上橋 菜穂子「明日は、いずこの空の下」)
#008809
目の前にある壁が、ふいに、物としての壁ではなく、人の暮らしが沁みこんだ何かに変わる。それも、数百年の時の中で、連綿と重ねられてきた何かに。
(上橋 菜穂子「明日は、いずこの空の下」)
#008810
話してくれれば、と、何度も思いました。話すことのできぬ、形にならぬ鬱屈というものがあることを、心が幼かった私は、まだ、知らなかったのです。
(上橋 菜穂子「明日は、いずこの空の下」)
#008814
どうしても、あの味でなければ、と思っているときには、違いばかりが気になるのに、ま、違って当然、少しでも似ていれば上等さ、と思いながら作ったときには、身も心も温まる懐かしい味に思える。
(上橋 菜穂子「明日は、いずこの空の下」)
#008815
フロンティアは「辺境」でも「衝突の場」でもなく、「出会いの場」であってほしい。そこに道を浮かび上がらせるものは、剣ではなく灯火であってほしい。
(上橋 菜穂子「明日は、いずこの空の下」)
#008829
だが、実力に差があるからと言って、負けるのを前提に戦うわけにはいかない。
(坂本康宏「歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)」)
#008831
「あんた嫁さんの機嫌と殺人ミサイルと……嫁さんの方が怖いとでも……」
「あたりまえじゃないか、嫁さんの方が怖い」
(坂本康宏「歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)」)
#008834
「あんた、国民の安全より自分の保身が大切なのか!」
「当たり前じゃないか」
(坂本康宏「歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)」)
#008835
だが、ほとんどの場合、本物のサンタクロースがくれるプレゼントはあまりにくだらなくて、本当につまらない物なので、誰もそれがプレゼントだと気づかないだけだ。
(坂本康宏「歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)」)
#008836
我々にとっての現実がいつか、ただの夢であると告げられて、それを信じられる人間が果たしているだろうか。
(柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」)
#008838
そう、僕らはいつだって後悔をするだろう。いくら未来に備えようとも、過去を書き換えようとも、自分の選択が誤っていたと思う時はあるはずだ。だけれどそう悲観するようなものでもないはずだ。後悔も含めて人生だからね。
(柴田勝家「鏡石異譚」)
#008839
厚い壁の中に真実を隠して、外側だけを真っ白に磨いておく。その奥にあるものは誰にも知られることがない。私自身がシンプルに生きているのと同じだ。中でどれほどに混沌とした思いがあろうとも、それを外に悟られないように生きていく。
(柴田勝家「邪義の壁」)
#008843
あまりに強い物語性だ。あの少年と関わっただけで、その人の人生に物語が生まれてしまうだろう。
(柴田勝家「検疫官」)
#008844
結局、人間はこの病を克服できないだろう。根絶するには、あまりに大きく育ちすぎた。人は生きている限り、常に誰かと関わりを持ち、この病に冒されるしかない。
(柴田勝家「検疫官」)
#008845
非日常の祭りにあって、人間は個人を識別しない。
(柴田勝家「星の光の向こう側」)
#008849
多くの人が誤解することだが、彼は決して単なる怠け者ではない。彼にしかわからない価値感を見いだしさえすれば、それに向かって猪突猛進するのである。まったく何の根拠もないやる気とでも形容したらよいだろうか。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任艦長タイラー」)
#008850
普段冗談を言いつけない人間が無理して笑えないジョークをひねり出すときは、すなわち心のバランスを欲しているときなのである。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任艦長タイラー」)
#008852
「あんたも異端者なんだろう? 奴らの中では……」
「主流だよ。さもなくば、主流になりつつある」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任艦長タイラー」)
#008854
なあに、必ず勝てる! お前はお前を信じなさいだ。行こう、諸君! 栄光の勝利を目指して!
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任艦長タイラー」)
#008855
まことに担ぎ甲斐のある御仁だ。ま、御輿にしては少々軽すぎるがね。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 明治一代無責任男」)
#008859
君が説明したくてウズウズしているように見えたから、つきあってやったんだ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 明治一代無責任男」)
#008862
あなたはどうなってもいいけど、奥さんにもしものことがあったら、承知しませんからね。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ ワングの逆襲」)
#008863
まあまあ、若い者がそう軽々しく、老人に頭を下げるものではないよ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ ワングの逆襲」)
#008865
あの小僧のものさしは、文字通り儂ら凡人とは、スケールが違う。天才ではないが、いわば超凡人じゃよ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ ワングの逆襲」)
#008868
無能者には無能者で、果たすべき責務があろう。
(吉岡 平「宇宙一の無責任男シリーズ ワングの逆襲」)
#008870
職場は、牢獄と同じであった。しかしその牢獄は、薔薇色に輝いていた。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任元帥タイラー」)
#008877
だが、敵を屈服させるのと、占領した敵地をうまく治めるのとは、また別のことである。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ アザリン16歳」)
#008878
噂が真実に遠く及ばない例もあるのだ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ アザリン16歳」)
#008886
ああいう上官をもつと、部下は本当に苦労する。
もっとも、苦労のしがいもある上官なのではあるが……。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ タイラー大逆転」)
#008887
恐怖するなと、言うのではない。その恐怖をどう克服するかが問題なのである。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ タイラー大逆転」)
#008891
「いくら努力したところで、人はそれを、努力の結果とは見ないでしょう」
痛いところをずけずけと言う。
「だからって、努力をやめるわけにはいかないさ」
「それがじたばたと、あがくだけの結果になっても?」
「なってもだ」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任大統領タイラー」)
#008893
「あんにゃろめは果報者です」
「そうかな」
「そうですとも!」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任大統領タイラー」)
#008895
未曾有の危機を乗り切るためには、あるいは専横も止むなしだ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任大統領タイラー」)
#008896
「何を考えているのだ?」
「いや、あの人のことだ。おそらく何も考えていないに違いない」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任大統領タイラー」)
#008897
いつもの貧乏籤ではあるが、今回はきわめつけだ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任大統領タイラー」)
#008899
動けないなら、休めばいいさ。あまり気を張りつめるなよ。いざというとき、役に立たんからな。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 無責任大統領タイラー」)
#008909
そういうときこそ、無責任にならねばならん。もっと巨大な責任が、貴様の背中にはかかっておるのじゃからなあ……。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 永遠なれ無責任男」)
#008910
本人は、あれで結構喜んでおる。他人が口を挟める領域ではない。幸福とは常に、極めて主観的なものじゃよ。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ 永遠なれ無責任男」)
#008915
奇跡だ。だが、愛しあう者の間に奇跡など珍しくない。
(坂本康宏「稲妻6」)
#008916
知らないことは即ち幸福でもある……。
(坂本康宏「稲妻6」)
#008918
これ以上悪くすることなんて神様にだって不可能に違いない。しかし、その考えはまったくの間違いだった。人生には底がいくらでもある。
(坂本康宏「稲妻6」)
#008924
いつも困っているが、本気で困ってはいない。あくまで客観的に、そして冷静に思考して最善の策を選択する。おそらく、破滅への決断も事務的に行うに違いない。
(坂本康宏「稲妻6」)
#008929
「いいか。勝負は何度連勝しても、一度負けたら終わりだと思え!」
「戦争も、将棋と同じくらい、真剣にやれということですね」
「その逆だが、まあよろしい」
(吉岡 平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 銀河無責任時代」)
#008931
人を批判するときは、自分でやってみてからにすることだ。なに、貴様だけじゃない。俺にもあんな無謀な戦法はできんよ。
(吉岡 平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 銀河無責任時代」)
#008934
ま、結果だけを見て、他人をどう評価しようとも、それはその人の勝手である。に、してもだ──。
(吉岡 平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 銀河無責任時代」)
#008935
「これは意外だ」
作者も意外である。
(吉岡 平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 銀河無責任時代」)
#008937
「手を貸せ。おまえにも儲けの一割を分けてやるぞ」
「命あっての、物種だとは思わんか」「その命をエンジョイするには、金がいるんだ。黙って見てないで手伝え」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 厳冬惑星ホロシリの叛乱」)
#008942
「行ってらっしゃい。あたしのことは、大丈夫……」
「僕はちっとも、大丈夫じゃないぞ」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 厳冬惑星ホロシリの叛乱」)
#008943
時々粗大ゴミですけど、食べる物さえあてがっておけば、けっこう働きますから──。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 厳冬惑星ホロシリの叛乱」)
#008946
目配せして笑い合う、中年男二人。傍目には、ただ気色悪いだけである。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 厳冬惑星ホロシリの叛乱」)
#008948
精神力を支えるのは、結局頑健な肉体だ。その逆もあるが、体が弱れば判断力が衰えるのも仕方がない。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 カトリくんタンマ」)
#008955
充分に尊敬するに足る、化石ではありますがね。化石があるから、我々は昔のこともわかるんです。
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 我が名はヤマモト」)
#008956
「勝つのはあの場合、むしろたやすかった」
「確かに──」
「だけど、あれ以上カッコいい負け方は、ちょっとなかった」
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 我が名はヤマモト」)
#008959
「苛めっ子なんかより、よっぽど質が悪いんだ。ああいう、何もわかっていない奴……」
『悩みとは無縁の奴か……』
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 我が名はヤマモト」)
#008961
対等な人間関係なんて、どこにもあるもんか!
(吉岡平「宇宙一の無責任男シリーズ外伝 我が名はヤマモト」)
#008967
その種のコミュニティ外の人々にとってはどうでもいい思考活動であることは認めざるを得ませんが。
(谷川流「涼宮ハルヒの直観 「涼宮ハルヒ」シリーズ」)
#008969
この場にテレパスはいないと思うが、あまり心を読まれたら困るような想像は慎むに越したことはない。
(谷川流「涼宮ハルヒの直観 「涼宮ハルヒ」シリーズ」)
#008972
あたしにはとても愉快な同級生にしか見えないわ。変わる必要なんかないから安心しなさい。
(谷川流「涼宮ハルヒの直観 「涼宮ハルヒ」シリーズ」)
#008973
「そう、いわゆる一つの萌え要素!姿形と話し方にギャップがあるのがツボだっていう人間は少なくないはずよ。あたし調べだけど」
その信用できない統計調査に何の意味があるんだ。
(谷川流「涼宮ハルヒの直観 「涼宮ハルヒ」シリーズ」)
#008975
やあ!今日はほんと楽しかったよ!ずっとニヤニヤしてたよ!また遊ぼう!
(谷川流「涼宮ハルヒの直観 「涼宮ハルヒ」シリーズ」)
#008976
私はあなた方を忘れない。
私はあなた方が為したことを忘れない。
(谷川流「「涼宮ハルヒの直観」最後に」)
#008978
ママも時々、信じられなくなるけど、それでも若い頃は確かに、一瞬カッコよく見える時もあったの。
(吉岡平「無責任キッズ 暗黒太陽小町」)
#008985
正しく深く誰よりも悩んだ先にしか、方法論を超えた先にある強い表現は生まれないのです。ちゃんと苦しんだものしか面白くないのです。本当に残念ですが。
(高崎卓馬「表現の技術 (中公文庫)」)
#008989
ルールのある葛藤をきちんと設定することが、観客が安心して不安になるために必要なのです。
(高崎卓馬「表現の技術 (中公文庫)」)
#008991
幼稚なあらすじを企画と呼んでいてはいけません。
(高崎卓馬「表現の技術 (中公文庫)」)
#008993
つくり手自身が100パーセント信じていないもので、世の中を動かすことになんの意味があるのでしょうか。
(高崎卓馬「表現の技術 (中公文庫)」)
#008997
誰よりもロジカルに考えるのです。その先には、右脳も納得するような風景が必ずあるのです。
(高崎卓馬「表現の技術 (中公文庫)」)
#009001
この病気は本当に根が深くて一度かかるとなかなか立ち直ることができません。なにせかかった本人が病気であることを自覚できないのです。
(高崎卓馬「表現の技術 (中公文庫)」)
#009002
あなたには、想像力が欠けてるとずっと思っていたわ。もっとあっていいはずなのに。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009003
わたしはそういう配慮にはあまり賛成じゃなかったけど、そのほうが簡単だってことは認めないとね。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009004
「これは胆をつぶすような贈物です。こんなこと考えたこともありません」
「そうだろうと思いました。ではいま考えて下さい」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009005
「これは簡単なことではなさそうですね。あるいは単純なことでは」
「はじめてのことよ。なぜいまはじめるべきなのか、わからないけど」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009007
そもそもいままでにセックスをしたとき、生物学的な目的を達成するための行為だったことがあっただろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009010
それであなたはどうしたいの? 実際にしたいのは何? 単に考えているだけならすごく慎重ね。もっと悪いのは、わたしが何を望んでいるのか考えていること。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009011
経験のある人のデータを集めても、永久に熟練者にはなれないのよ、まったく。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009012
夜中までここにあなたと座りこんで酔っぱらうのが、何にもましてやりたいことなんですけどね。残念ながら、それは問題を解決する幻想しか与えてくれません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009013
それを悲しみと呼ぶ権利が自分にあるだろうか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009018
〝単純な馬鹿者〟の裏をかくのは驚くほど困難なことかもしれない。英雄的な方策があったとしてもだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009019
ときにはあらゆる目的に適うっていうのは、どんな目的にも適わないってことになりがちですよ。何が第一の目的かによるんでしょうけど。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009020
返済しろとか賠償しろとかはいわない。でもこのあとの四十三年間は自分のものよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009021
あなたはいつになっても、公共の存在でなくなることはないでしょう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009022
わたしは、あの二人が心が張り裂けるほどの幸福のチャンスをそれまで無駄にしていたと思っていたけど──でもそれはわたしが決めることじゃないわ。少なくとも二人はいま幸せそうよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009029
時間はしばらくあるんだな、まだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009031
「えーと……おつきあいって正確にいってどういう意味なんですか? この場合には」
「セックスって意味よ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009033
あなたの父上の警句のひとつに、〝敵にこっちの立場を選ばせるな〟っていうのがありました。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009037
「あなたは偏見のない審判者ですか」
「違うわ。でもしばらくはそのふりをしていられるわよ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009039
〝旧友を新しく作ることはできない〟という言葉がある。いや、できるさ。だがそれには長い時間がかかる。それに結局時間が足りなくなる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009042
パパのものでもない、おじいちゃまのでもない、他の誰のでもないあなただけの才能よ。あなたは思う存分にやればいいのよ。それがどんなものになっても。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009043
お願いだ、早く生まれてくれ。きみたちに会いたいんだ。まだ余裕があるうちに。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009051
愛する人たち、お互いに楽しく過ごしましょう。
できるあいだに楽しむのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「女総督コーデリア ヴォルコシガン・シリーズ (創元SF文庫) 」)
#009056
あなたは反応がストレートだから、好きです。
(吉岡平「無責任キッズ WHY?の嵐」)
#009058
『道』を極めるっていったって、それは結局、あなた独りの幸福でしかないわけでしょ。
(吉岡平「無責任キッズ WHY?の嵐」)
#009061
あたし以外のために死ぬなぁ~!! この節操なし男!
(吉岡平「無責任キッズ 燃えてキサラ」)
#009062
どちらが人間として幸せな生き方かは考えるまでもないことだ。まあ、人によっては異論もあろうが──。
(吉岡平「無責任キッズ 燃えてキサラ」)
#009065
もちろん、親の七光で有利な点もある。だがメリットよりも、デメリットの方が大きいということだけは、覚えておいた方がいいな。
(吉岡平「無責任キッズ 燃えてキサラ」)
#009066
「何故そうしねえ?」
理由は単純明快である。
「あの人にとっては宇宙を征服するよりも、自分の部屋で研究に没頭している方が楽しいからです」
(吉岡平「無責任キッズ 燃えてキサラ」)
#009067
人間の可能性には、限界はない。ただ、心にはある。心が限界を決めてしまう。可能性の芽を摘んでしまうのは、いつだって心だ。
(吉岡平「無責任キッズ 燃えてキサラ」)
#009068
ビジネス第一であることは変わらないし、どんな嫌な奴とも利害のためなら商売しますが、やはり笑顔はビジネスを円滑にする潤滑剤です。笑顔は無料、しかし有償、そういうものです。
(吉岡平「無責任キッズ 時先案内人」)
#009070
「お金で買えない、幸せだってあるわ」
「という言葉があるってことは、金で買える幸せの方が圧倒的に多いってことよ」
「確かに……」
(吉岡平「無責任キッズ 銀河嫁取物語」)
#009074
家にあっては場所塞ぎ、それが父親の恒久的使命だと、僕は解釈している。
(吉岡平「無責任キッズ 銀河嫁取物語」)
#009075
「たとえすべてが父さんの思惑通りでも、結果としてそれで幸せになれるのなら、それでいいじゃないか」
「そうはいかねえんだよ! あたしはあたしで、あたしだけの答を出さなきゃ!!」
(吉岡平「無責任キッズ 銀河嫁取物語」)
#009080
「いい機会だ。どんな教典にも載っていないことを教えてあげよう。人間にはそれぞれ、『天敵』というものがある」
「『天敵』ですか……?」
(吉岡平「無責任カルテット 君の名はマチコ」)
#009082
畏れ多きことなれど、私はそれほど楽しくはありませんでした。
(吉岡平「無責任カルテット 君の名はマチコ」)
#009089
凡夫には凡夫の幸福があってよい……。悟らぬ自由もあるはずです。
(吉岡平「無責任カルテット 天使・失格」)
#009092
そこまで極端でなくても、僕の取る選択肢は、その間で無限にあるでしょう?あるはずですよね。
(吉岡平「無責任カルテット 邪教殱滅」)
#009094
結婚したら、この人とも親戚付き合いをしなければならない。楽しそうだけでは、済まない。
「退屈しないかも……」
ようやく口を突いて出た台詞が、それであった。
(吉岡平「無責任カルテット 邪教殱滅」)
#009095
「今まで親切にしてくれて、ありがとう」
「後悔してる……」
(吉岡平「無責任カルテット 邪教殱滅」)
#009101
幻のような好意の中では、直接手に触れられる明確な敵意くらい、ホッとさせてくれるものはありませんわ。
(吉岡平「無責任カルテット 決戦!薔薇色星雲」)
#009102
あなたはもう少し、老いた方がいいのです。
(吉岡平「無責任カルテット 決戦!薔薇色星雲」)
#009104
あたしも一応、母親だからね。笑顔の準備はしてあるよ。
(吉岡平「無責任カルテット 決戦!薔薇色星雲」)
#009109
お言葉ですが、医学が勝利したことがかつてあったでしょうか? 特に愛と死に対しては、一方的に負け続けじゃないですか?
(吉岡平「無責任カルテット 銀河賛唱」)
#009114
君には君自身が赦せないのだから、それ以上僕が、何を言うことがある?
(吉岡平「無責任カルテット 銀河賛唱」)
#009117
「当てがった食い扶持だけじゃ、足りないらしい」
「かといって、責任あるポストには……」
「うん、とても就かせられない」
(吉岡平「無責任三国志 謀略トライアングル」)
#009121
技術的には楽勝だけど、倫理的には問題ありってやつだよね。
(吉岡平「無責任三国志 冷たい三角関数」)
#009128
奴は下品で粗野で、品性下劣で好色で大食漢で、自分勝手で我儘で乱暴者で、どうしようもなく短絡的で後先考えぬ馬鹿ではあるが、断じて臆病者ではない!!
(吉岡平「無責任三国志 冷たい三角関数」)
#009139
弱い自己を、認めたくないんだ。あるいは、それを認めるだけの強さが足りないのかも……。
(吉岡 平「無責任三国志 奇跡のトリニティー」)
#009142
「あいつらは、俺のことを赦しちゃくれねえだろうなあ……」
「ありのままの自分を投げ出せ」
(吉岡 平「無責任三国志 奇跡のトリニティー」)
#009149
何日も寝ないで、食事も喉を通らずに、悩みに悩んで、悩み抜いてあなたが決めたことに、どうして私が反対するの? するもんですか!
(吉岡平「無責任三国志 三匹快進撃」)
#009157
「もう女だからとか女のくせにとか、女だてらにとか、女にしてはとか、女なのにとか、女ということを差し引いてもとかなんて、言わせないわよ!」
「僕としては一度も、君にそんなことを言った記憶はないんだが……」
「あんたも男なんだから、言ったも同じなの!」
(吉岡平「無責任三国志 三羽烏登場!」)
#009158
私は生まれた時、既に帝王でしたから、もうこれ以上何も欲しくはありませんね。
(吉岡平「無責任三国志 三羽烏登場!」)
#009159
僕は社交辞令の類いは、一切言わない人間だ。例外は相手が嫌いな人間である時だけだ。覚えておきたまえ。
(吉岡平「無責任三国志 三羽烏登場!」)
#009160
君は、神になる恐ろしさを考えたことがあるか?
(吉岡平「無責任三国志 三羽烏登場!」)
#009161
言ってみれば、プルトニウムみたいな漢よ。重くて、密度があって、一時もじっとしていなくて、危険で、ラジカルで、少しずつ崩壊しながら、周囲に多大な影響を及ぼしていく……。
(吉岡平「無責任三国志 三羽烏登場!」)
#009162
おまえにとってどれほどの価値であろうと、俺にとっては何の意味もない……。ただの一缶の、温いノーブランドの缶ビールさ。
(吉岡平「Lawyer boys」)
#009168
考え方も、信じる神も違うのに、ひとつの体制でやってきたこと自体に、そもそも無理があったのではないかと、僕は考えます。
(吉岡平「無責任三国志 試練の三番勝負!」)
#009170
あなたを勝たせるのが、私の仕事です。手伝いましょう。
(吉岡平「無責任三国志 試練の三番勝負!」)
#009175
そう思わせておいて裏切るから、運命というやつは油断ができないんだよなあ……。
(吉岡平「無責任三国志 サード・ビッグバン」)
#009176
生ける屍には、屍の仕事がある。
(吉岡平「無責任三国志 サード・ビッグバン」)
#009178
あんな天才にこれ以上長生きされては、我々凡庸な者は、たまらぬ……。
(吉岡平「無責任三国志 サード・ビッグバン」)
#009179
聖人は、凡人が成長してなるものではありません。
(吉岡平「無責任三国志 サード・ビッグバン」)
#009180
「おまえ、いくつまでサンタを信じてた?」
「笑わないでくださいよ」
「ああ」
「実は、未だに信じてるんですよ」
(吉岡平「無責任三国志 サード・ビッグバン」)
#009181
駄目なのです、あなたでなければ──。
(吉岡平「無責任三国志 サード・ビッグバン」)
#009183
一生涯乗り越えられるかどうかわからぬ目標がある。それだけでもう、志の高さは死ぬまで保証されたようなものだ。
(吉岡平「無責任三国志 輝け!トライスター」)
#009190
「あれは、でたらめだったんですか?」
「申し訳ないが、あれは由緒正しい〈略〉正真正銘のでたらめだ」
(伊坂幸太郎「逆ソクラテス」)
#009193
「オプティマスプライムの言う、有名な台詞知ってる?」
「何」
「『私にいい考えがある』」
オプティマスプライムがそう言うと、大体うまくいかないのだ、とは後に知った。
(伊坂幸太郎「逆ソクラテス」)
#009205
君の信念のためか、社会のためか、あるいは君のいう理想のためか、それはわからん。ただ私利私欲ではない、それだけは確かだな。だから厄介なんだ。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 1」)
#009209
愚痴を聞くだけでも収穫はあるはずだ。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 1」)
#009210
確かに極めて優秀な部下ではあるが、彼女は自分に出会う前からこうだった。自分が育てたわけじゃない。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 1」)
#009213
人類は二つに分けられる。唐揚げには下準備が必要なことを知っている賢者と、あんなもの油で揚げるだけだと勘違いしている愚か者とだ。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 1」)
#009218
水の「冷たい/温かい」は人それぞれだから絶対的に決められないとしても、もし、銭湯のような共同風呂があったら、やっぱり「一番最適な理想の温度」を一生懸命考えて、問いかけていかなければならない(そして、えてして世の中は共同風呂のようなものである)。
(飲茶「史上最強の哲学入門」)
#009220
当たり前の話だが、「知っている」と思っていたら「知りたい」と思うわけがない。「知らない」と思うからこそ「知りたい」と願うのである。
(飲茶「史上最強の哲学入門」)
#009221
オレの人生、こんな程度で、あとは老いて死ぬだけなのか……。もっと、違う選択だってあったはずなのに。
でも、それについて誰にも文句は言えない。なぜなら、自分で選んできたことだからだ。だから、その選択で失敗しようが後悔しようが、その選択の全責任を負わされる……。
(飲茶「史上最強の哲学入門」)
#009222
僕が君たちに、一度でもノーと言ったことがあるかい?
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 2」)
#009228
期待したような返答ではなかったかもしれない。だが、それでもプロは自分が何について無知であるかを知っている。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 2」)
#009229
「あのぉ、ボス、この件に首かけてません?」
〈略〉
「指揮官の首ってのは、そのためにあるんだよ」
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 2」)
#009230
「あのぉ、ボス、この件に首かけてません?」
〈略〉
「指揮官の首ってのは、そのためにあるんだよ」
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 2」)
#009234
仮説は、現在までに判明した事実と矛盾しません。しかし、本当にそうであるという証拠もまたありません。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 3」)
#009235
「ご理解いただけましたか、総務部長?」
「あぁ、十分に理解できたよ」
それが君たちの考えとは違っても。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 3」)
#009242
そして人類が滅亡しない限り、これは歴史の記録でもある。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 3」)
#009243
自分は能吏であるとしても、けっして英雄の類にはなれないだろうと思っていた。データベースの記録に残っても、歴史には残らない凡人だと。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 3」)
#009244
ありがとう。とりあえず、我々はまだ何もわかっていないことは確認できたよ。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 3」)
#009250
夷狄相手に愛だの倫理だのといった情を期待するのは間違いであろう。されど、夷狄が徹頭徹尾、打算と利害で動くのは信じることができる。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 4」)
#009253
すべてを説明できそうな大きな物語は作ることができても、その物語では説明がつかない小さな事実が幾つもある。
このことが意味するのは一つです。我々はまだ、大きな物語を語れる段階にはない。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 4」)
#009257
部下の安全はかつてないほど重要になった。
自分は安全な場所にいて、部下だけが必要以上に危険に身を晒すようなことが我慢できないからである
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 4」)
#009261
「僕がそれほど馬鹿な男と思われていたとは心外だな」
「ごめんなさい」
「あらためて、言わせてもらう。ありがとう」
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 5」)
#009269
混ぜてはいけない化学薬品を混ぜてしまったような不安があった。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 5」)
#009270
武力と物量だけを考えていればよかった、あの幸せな時代はもう戻ってこない。
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 5」)
#009273
「褒められているのでありましょうか?」
「おだてられ、乗せられていると解釈しない、その前向きさこそ、困難に直面した指揮官に求められるメンタルだ」
(林 譲治「星系出雲の兵站-遠征- 5」)
#009278
頭が弱い分、胃は強くあれよ。
(ハシモト, 松駒 「ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~ 14」)
#009279
何が起こるかわからないからこそ、二人でいっしょにいる意味があるんだよ。逆に全部が決まっていたら、そんなのつまらない。
(万城目学「パーマネント神喜劇」)
#009281
照れるから、一回しか言いません。
私を蘇らせてくれて、ありがとう。
(万城目学「パーマネント神喜劇」)
#009282
私たちの営みはあまりに小さいかもしれない。ものの見方も近視眼的にすぎるかもしれない。でも、これが私の役目なんだ。
(万城目学「パーマネント神喜劇」)
#009283
気楽であることは実は難しい。
(津村記久子「「パーマネント神喜劇」解説」)
#009287
「妙な仕掛けがあるんじゃないでしょうね?」
「妙なとは心外な。わしは、君のためを思って、日夜、努力しておるのだぞ」
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(1) 大出世。」)
#009290
でも知ってんの。なんでかって訊かないでね。あたしにも判らないんだから。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(1) 大出世。」)
#009291
意表をつかれないように、防御を固めたのである。
下らないギャグは、直撃を喰らうと、命取りになりかねないからだ。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(1) 大出世。」)
#009292
問題は、世界の方にある。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(1) 大出世。」)
#009296
このようにして、宴会の夜は(いつものことながら)、どんどんわけがわからなくなって行くのであった。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(2) 大ハード。」)
#009297
また、よく集めましたね。──どこで集めて来るんでしょうな。あんなろくでなしばかり。どこかに、ろくでなしの国があるんですかね?
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(2) 大ハード。」)
#009301
糞野郎には糞野郎にふさわしい扱い方ってものがあります。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン外伝(2) 大ハード。」)
#009304
人間、誰しも欠点はある。──俺は別だけどな。
(火浦 功「未来放浪ガルディーン(3) 大豪快。」)
#009306
「で、やけ酒ですか? それにしちゃあ、ずいぶんご機嫌ですな」
「酒が飲めりゃ、理由や場所に関係なくご機嫌なんだよ。こいつらは」
(火浦 功「未来放浪ガルディーン(3) 大豪快。」)
#009308
生はおだやかであるに越したことがないが、同時に目標も必要だ。いつもいつもスタート地点に戻ってくるような生きかたはできない。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009310
仕事がうまく行っているなら、それでいいじゃないか。なぜ相手の考えかたまで知る必要がある?
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009313
そういう人間にならなきゃいけない必要とか機会が、ぼくにあるってこと?
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009314
この件についておれが知ってることはあんたと変わらん。だが、予感はある。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009315
「じゃあ、いまはどんなふうに考えるべきだと思う?」
「おれの経験からすると、どんなふうに考えてもおかしなほうへ行っちまう。いまは、寝るべきだな」
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009317
あなたたち政治家は、なにかにつけてすぐ人類を引き合いに出すけど、ぼくには人類なんか見えない。見えるのはひとりひとりの人間だけだ。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009319
想像に行き過ぎなどありませんよ。とくに、愛に関する想像の場合は。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009320
不可能です。あなたは彼女を忘れられません。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009322
「じゃあ、これからどうするつもりだ?」
「なにも考えていない。自分の人生がもう終わってしまったような気がする」
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009326
「おれは命令を忠実に実行する。だがあんたは、どんなことも、理由を問わずにはいられないタイプだ」
「それがまちがいだと?」
「正しいとかまちがっているとか、そういうことじゃない。もしだれもかれもが、理由に納得できないかぎり命令にしたがわなかったとしたら、世界はとっくの昔に混沌に呑み込まれていただろう」
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009327
これはあんたやおれが判断することじゃない。一万歩譲って、おれたちの考えていることが正しいとしてもだ。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009328
きみの仕事がどれほど不可解でも、きっとそれには意味がある。だから、わかろうとしないでほしい。ただ、ベストをつくして実行してくれ。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009332
単純だからと見くびってはいけない。単純であることは堅固であることを意味する。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009333
いまなお矍鑠としているが、高齢であることは否めない。彼らにとっては、過去を思い出すのも未来を想像するのも、ともに重荷だった。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」)
#009335
あなたが歩いたのは、ただの百歩ではない。あなたは暗黒の敷居までたどりつき、現代社会の基盤を脅かしている。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009337
ああ、あの日々がどんなにかけがえのない宝物なのか、あのとき知っていればよかったのに。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009340
時代に関係なく、変わらないものがある。だれがまちがえたかについては、おれにもほんとうにわからん。その〝だれか〟がほんとに存在しているのかさえ疑わしい。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009342
「もうひとつ言っておくことがある。きみの計画は失敗する」
「かもしれません。しかし、いまはまだ失敗ではない」
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009343
永遠の敵や永遠の同志などというものはない。あるのは永遠の責任だけだ。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009349
「わからんと言っただろう。ほんとうにわけがわからない」
「だとしたら、あんたがここでいちばん正気の人間だってことだね」
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009350
計画を現実逃避の手段にしていた。現実を逃れるもっともいい方法は、現実に深く関わることだと知っていたからである。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009352
かつて夢見た、目の表情でやりとりする言語が現実のものになったことを、ふたりは知っていた。あるいはもしかしたら、愛し合う人間同士は、昔からずっと、この言語を持っていたのかもしれない。
(劉 慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林(下)」)
#009354
逃げたほうがいい場合もあるのだ。
(ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「深海採集船コッペリア号」)
#009355
考えがまったく理解できないときもあれば、逆に似た者同士すぎて、三年間の刑期をおなじ監房ですごしたのではないかと思うときもある。
(ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「深海採集船コッペリア号」)
#009358
自制心は習得中だ。うまく自分を抑えられるときもあれは、努力が必要なときもある。
(ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「深海採集船コッペリア号」)
#009362
「きみは全力を尽くしたはずだ」
「そう思いたいですが、限界はあります。今回だって奇跡は起こせない」
(アレステア・レナルズ「外傷ポッド」)
#009364
「本気なのか?」
「ああ、本気さ。もし生還できなかったら、わたしは勇敢だったとみんなに伝えてくれ」
「勇敢だと。ただの蛮勇じゃねえか」
(キャリー・ヴォーン「ドン・キホーテ」)
#009366
僕は土着化したわけではない。醜悪で過酷で悪意に満ちたこの世界を愛しはじめたのではない。ここはあくまで地獄だ。ただ、なにもかも耐えられなくなったのだ。
(サイモン・R・グリーン「天国と地獄の星」)
#009367
『どこへ行くの?』
「夢を追う。生き方を求める。希望と選択肢があるうちに。そこに意味があるうちに」
(サイモン・R・グリーン「天国と地獄の星」)
#009369
「そもそもあなたの望むことはほかにあるでしょう」
「まあそうだ。確信がないせいでわざと単細胞なことを言ってるのは否定しない」
(ショーン・ウィリアムズ「N体問題」)
#009370
データは不思議だ。一個の情報がすべてを変えることがある。アルキメデスのてこの原理のように、肝心なものが一つあればいい。ほかはゴミだ。
(ショーン・ウィリアムズ「N体問題」)
#009371
ときにはわたしたちは過去を捨てて前に進まなくてはいけない。でないと立ち往生してしまう。背負ってきた荷物を下ろして、そこで捨てないと、前に進めないことがある。望むと望まざるとにかかわらず人生は続く。行く手に待ち受けるものが危険でも怖くても。
(ショーン・ウィリアムズ「N体問題」)
#009376
頼むから「これを読んだら何か得るものがある」などというカンチガイをしないように。
(ぶんのすけ「超訳文庫 無門関 (ホテルの本棚)」)
#009377
「道」への入り口としての「門」など、ありはしない。
また、この世のあらゆる場所で「道」でないところなどない。
どこをどのように行こうとも、それらの全てが「道」なのだ。
そこのところがつかめたら、ゆけ!ひとりでどこまでも。
(ぶんのすけ「超訳文庫 無門関 (ホテルの本棚)」)
#009379
いろいろな点で兄さんにはかなわないなあと思いつつ尊敬してるから、
――弟ってもんはさ。
偉い兄さんが好きなんだよねと、じいんときてしまった。

(宮部 みゆき「魂手形 三島屋変調百物語七之続」)
#009384
この身を捧げて守ろうとする何ものも持っていない。そのくせ、この身を捧げてしまったら守れなくなるものも持っていない。だから、惜しんでくれる人もいない。
ああ、そうだ。それが悲しい。
(宮部 みゆき「魂手形 三島屋変調百物語七之続」)
#009386
――まあ、いいご身分だよね、わたしは。
それは自分でも重々承知の上だ。
(宮部 みゆき「魂手形 三島屋変調百物語七之続」)
#009394
あたしがおふくろに似ていたのは、あの人のいいところがみんな伝わるように躾けてもらったからですよ。
(宮部 みゆき「魂手形 三島屋変調百物語七之続」)
#009395
身を削って辛抱して秘密を守って、愚痴もこぼせなきゃ、自慢話もできねえ。ずっとそんな暮らしを続けてきたんじゃあ、どんな強い男だってくたびれるよ。
(宮部 みゆき「魂手形 三島屋変調百物語七之続」)
#009396
世の中にはそういうことがある。要る者の耳にだけ入る知識。大半の者は、知らぬまま不便もなしに暮らしてゆく秘密。
(宮部 みゆき「魂手形 三島屋変調百物語七之続」)
#009400
「なんだか崖から落ちていく気分だ。何も準備ができていないのに⋯⋯あとひと月で高三。あと一年で受験。毎日が過ぎて、崖が近づいてきて――地面がなくなる。どうやって歩けばいいんだろう」
「空を飛べば?」と母が言った。「地面がないなら、空を飛べばいいのよ」
(結城浩「数学ガール/ゲーデルの不完全性定理」)
#009401
いい?あなたは大丈夫なの。準備ができてないから不安?なに言ってるの、人生体当たりよ。
(結城浩「数学ガール/ゲーデルの不完全性定理」)
#009406
データはたくさんあったものの、情報はとても少なかったんです。
(ケン リュウ「思いと祈り」)
#009410
企業には、社会全体のための真実と良識の裁定者になるためのスキルも関心もありません。民主主義政府でさえ解決できなかった問題を、どうやって企業が解決しうると期待できるのでしょう?
(ケン リュウ「思いと祈り」)
#009412
もちろん、この言い草はフェアではありませんが、だからといって、それが真実ではないというのでもありません。
(ケン リュウ「思いと祈り」)
#009415
「あなたはプログラマーじゃないかもしれないが、プログラマーの魂を持っている」
それはいままで受け取ったなかでもっとも奇妙な褒め言葉だろう。だけど、わたしはそれを気に入った。
(ケン リュウ「充実した時間」)
#009419
あたしは懐疑的な信者なんだ。
(ケン リュウ「充実した時間」)
#009422
あなたたちがどれほど腕前に自信をもっていてもかまわないけど──向こう見ずになるのは、なんの得にもならない。
(ケン リュウ「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」)
#009425
もっとも尋常ならざる状況であることを例外にするなら、われわれはどうやって人を裁くことができるのでしょうか? 穏やかなときには文明的で、秩序のある行動を示すのは容易ですが、人の真の性格は、暗闇と大きなプレッシャーのなかでしか現れません──
(ケン リュウ「歴史を終わらせた男――ドキュメンタリー」)
#009426
だれかに怪物というレッテルを貼るのは、その相手が別世界から来た存在であることを意味します。われわれとはなんの関係もない存在である、と。それは愛情と恐怖の絆を断ち切り、われわれ自身の優越性を保証しますが、そうしたところでなにも学ばず、なにも手に入りません。単純ですが、臆病な解決策です。
(ケン リュウ「歴史を終わらせた男――ドキュメンタリー」)
#009429
「お断りします」
考える前に答えていた。ほとんど反射の速度である。
「駄目なのか」
「なんでちょっと意外そうなんですか!」
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009430
あなたはどうして、そこまで僕を買ってくれるんです。
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009431
あなた、今のは素直に殴られておくべきですよ。
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009432
あなた、今のは素直に殴られておくべきですよ。
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009434
「確かに、色々と思うところはありますが、僕は、自分のやるべき事をしただけですし、これからもするだけです。僕の座右の銘は『反省しても後悔はするな』ですから」
実際、言うほど平気なわけではなかったが、完全な強がりでもなかった
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009438
私に利用価値があるのなら、喜ばしい。
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009439
曰く、「馬鹿の方が、賢い時もあります」と。
(阿部 智里「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)」)
#009440
聡明であると同時に、とても頑固でもあるから、きっと、他人に何を言われようが気にしないだろう。その代わり、本当に護りたいもの、やり遂げたい目標が見つかれば、君が今まで心配していたのが馬鹿らしくなるくらい、自由に羽ばたいて行くのではないかな。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009441
おそらく、何らかの確信がおありになって言ったのでしょうが……。残念ながら、具体的な説明はして頂けませんでした。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009443
あなたがあの子の事情を知らなかったように、あの子もあなたの経験して来た苦労を知りません。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009444
あなたが知らないだけで、いない方が子どもにとって良い親も、この世には存在しているのよ。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009446
あやしい動きの者を遠ざけてどうする。情報がない今、懐に入れて、逐一監視した方が結果的には良いはずだ。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009447
──あれ。今この人、ものすごく聞き捨てならない事を言った気がしたぞ。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009449
失敬な。何も、好きこのんであんな風に言ったわけじゃありませんよ。それに、一番重要なのは目的を達成する事でしょう。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009451
「口出しするつもりはない。だが今のお前では、何を言っても喧嘩腰にしかならないだろう。行くにしても、もう少し落ち着いてからにしなさい」
「僕は落ち着いていますよ」
「お前がそう言って、本当に冷静であったためしがあるか」
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009452
罰とは、しかるべき方法で罪を償う事であって、ここであの子を突き放すのは、単に私怨を晴らす事にしかなりませんよ。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009453
あの子はまるで、あたしの分身だった。幸せになれたかもしれない、幸運な、あたし自身の姿よ。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009454
あたしには、誰にも愛してもらった記憶がない。だから、普通に愛してやりたいと思っても、その方法が分からなかったのよ。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009455
どこであたしが野垂れ死にしたって、可哀想にと言いながら、内心では自業自得と嘲るに違いない。
(阿部 智里「黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)」)
#009463
私、頑張り屋さんってあんまり好きじゃないのよね。
(菅 浩江「不見の月 博物館惑星Ⅱ」)
#009470
お前さんの夢を一つ叶えてやれたんなら、それは俺の喜びでもあるな。
(菅 浩江「不見の月 博物館惑星Ⅱ」)
#009478
自分の考えを訂正した。
たとえどんな出自であれ、存在するだけで魂が輝く、だ。
(菅 浩江「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」)
#009482
世の中には、私の知らないことがたくさんあるようだね。説明してくれないか。
(菅 浩江「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」)
#009484
まぜこぜになってボケていることをむしろ歓迎しよう。その中でチカッと光るものがあるとすれば、それが大事なものなのだ。
(菅 浩江「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」)
#009486
綺麗だ、素敵だ、と感じる気持ちが滅してしまわない限り、人はなんとかして生きていける。美の輝きに顔を上げ、優しい人と肌を触れあわせるうちに、刹那の笑みが閃くようになる。
(菅 浩江「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」)
#009490
担当してくれそうな部署に割り振っても割り振っても、あとからあとから通信は届く。
(菅 浩江「歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ」)
#009493
それをあえて言葉にするのが教育ですよ。
(恵 三朗, 草水 敏「フラジャイル(20) (アフタヌーンKC) 」)
#009495
あの子は自由ではなかった。ほんとうの意味で自由とはいえなかった。でも、これからは自由の身だ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009500
二人で送る人生という絵画の、彼は前景。あんたは背景。そしてあんたはそれを好もしく思っている。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009501
おっと、考えるのはだめだ。あんたは用心深く、考えるのをやめる。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009504
死はつねにそこにあった。死はあんただ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009505
死はつねにそこにあった。死はあんただ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009509
「このお話、大好き」彼の話しぶりもよかった。声に深みがあって、ベルベットみたいになめらかだ。聞いていると場面が頭に浮かぶ、そんな話し方だった。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009510
でも、可能性は低いけれど彼はまともだということもありうる。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009513
悼む気持ちがあるなら、資源の損失を悼むんだ。人に聞かれたら、彼が死んでよかったと答えろ。そういう気持ちになれ。そう信じろ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009514
世界は公正ではないし、ときには理解に苦しむこともある。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009516
つねに礼儀正しくあらねばならない、そしてその礼儀正しさを鋭利な黒曜石ナイフのごとくふるわねばならない。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009518
故郷というのは、あなたが持っていくもの、あとに残していくものではありません。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009521
ひとつ、わかっておかないといけないことがある。どんな戦いにもいろいろな派閥があるということだ――平和を望む者、さまざまな理由でいくらでも戦いたがる者、そしてそのどちらも超越する望みを持つ者。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009524
あんたは小さな声を無視するのが大の得意だ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009525
平時にあっては名誉、非常時にあっては生き残り。生きている臆病者は死んだ英雄より上、ということだ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009526
平時にあっては名誉、非常時にあっては生き残り。生きている臆病者は死んだ英雄より上、ということだ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009527
あんたは彼によりかかる。よくないこととわかってはいる。でも、よりかかってしまう。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009528
こうあってほしいと思う母親像とはちがうだけだ。しかしきみはわれわれの息子が必要としている母親だ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009534
「とりあえず、自由の身ではいられたんだな」
ほんとうの自分を一から十まで隠して生きることも自由といえるなら、そうだ。
(N・K・ジェミシン「第五の季節 〈破壊された地球〉」)
#009537
結局本当に変わりたい、生き残りたいと思って自分たちに都合の悪いシナリオを聞く覚悟があるのだろうか、という話ですよね。
(宮本 道人, 難波 優輝, 大澤 博隆「SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略」)
#009539
新しい想像を獲得すること、そしてわたしたちが考える世界の数を増やすこと。そこから世界の変容は始まる。そこから世界はもう一度選択され始める。わたしたちがフィクションを読むことで、世界は選択可能になる。世界を決めるのはわたしたちであり、決して既存の誰かの計画書や、流行している技術ではない。
(宮本 道人, 難波 優輝, 大澤 博隆「SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略」)
#009540
技術ドリブンであることはなんら価値中立ではない。
(宮本 道人, 難波 優輝, 大澤 博隆「SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略」)
#009545
丁寧ではあるが、確かで、安定した──熟練の動きに見える。気配りがこもってはいるが、ひと欠片のためらいもない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009547
あんたも言ったようにその試みは何度かおこなわれたが、結局は何ひとつ変わっちゃいないじゃないか。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009549
それは計算というよりも習慣なのだろう。ふつうの人間があまり身につけない習慣ではあるが。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009552
能力と職のちがいを学びました。能力なしに職につくことが悲劇なのは誰にでもわかりますよね。ですがその逆は……あまり理解してもらえません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009555
〈出会い方が悪かったんです。話せばわかる人だと思います。時間をかけてあげてください〉
〈あなたの予定ではそんな時間はとれないでしょ〉
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009556
いまはまだこれ以上、押すのはやめておこう。幸運をあてにしすぎることも。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009557
「わたしたちの厄介事に巻きこんでしまってごめんなさい」彼女が静かに言った。
「あなたのせいではありません。そしてわたしは、できることならその後悔をあの人たち全員に共有させたいと思っています」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009558
「ああ、だがやつの処遇はいま、やつの神のものになった。あんたの身分で口出しすべきではない」
「神学的にもっともな忠告です」
「軍でも有効だ」
「なるほど」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009562
ああ、そうそう、そうだった。あの若い愚か者たちね。年寄りの愚か者のほうがもっと質が悪いけれど。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009563
〝あなたはいまのそのままで完璧です〟という言葉、いまは心の奥にしまっておいて、あとでゆっくり考えよう。怖い大人にとりあげられることを恐れ、お菓子を隠しておく子供のように。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009564
わたしはいままで、あまりにも長いあいだ大人でいなくてはならなかったのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009569
この歳になったら、どこへ行っても新顔なんてことはあり得んさ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009570
顔なんて殿方のごく一部。その方のすべてではありませんし、その方の価値すべてをあらわしてもいませんでしょう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009573
話のあとでも戦うことはできるけれど、戦ってしまってから話すことはできないわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009574
話のあとでも戦うことはできるけれど、戦ってしまってから話すことはできないわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009575
「偽りの希望を与えるのは酷ですわね」
「まったく希望を与えないほうが酷だ」
「そうでもありませんわよ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009578
三十になってわかったわ。女は結婚によって夫の人生と結婚するのね。だからそれは、本人が送りたいと望むような人生であるほうがいいのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009579
飛んでいくあなたの旅が無事であることを祈っているわ。でもわたしは地面に根をおろしていたいの。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009585
「得意だったんでしょ。そう言っていたわよね」
彼を見あげる目には過剰な期待がこもっている。
「あのころはいまより若かったし、身軽だったし、馬鹿でしたから」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009589
ありとあらゆる不安に押しつぶされそうだというのに、何を祈ればいいのかわからない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009591
「絶対に絶対に、殺されてはならないのはあなたも同じ。これは命令よ。わかっているわね」
これは、女が〈愛している〉と言わずに〈愛している〉と伝える方法なのだろうか。きっとそうだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009592
〈でもあの人は信じてくれた〉
それは不思議に、接吻よりも深い愛情に思える。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009593
「これがわたくしの、正真正銘唯一の戦いの、完全な物語です」
賭けてもいいが、そんなはずはない。唯一でも、完全でもあるはずがない。もちろん、もっとも重要なものではあるだろうが。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009596
「お母さま! わたしはあの人に自分を売ったりしないわよ!」
母の声がわずかに冷たくなった。
「安売りするのも駄目よ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009597
つまりあなたには財産があるのよ。くだらない男との結婚ほどくだらないものはないわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009598
あなたはほとんどいつも自分の頭の中に住んでいるのよ。だから身体がどこにあろうとあまり関係がないんだわ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの使命」)
#009601
人類にはアホの遺伝子(!?)が埋め込まれており、一つの価値観が定着すると、その社会集団の中ではどんどん過剰な方向に行くことがある。
(高野 秀行「辺境メシ ヤバそうだから食べてみた」)
#009605
今日のわたしたちが過去のわたしたちよりも賢明であるように、明日のわたしたちがいまのわたしたちよりも賢明でありますように。
(ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「カルタゴ滅ぶべし」)
#009606
人が所有する物は外に現れた心の姿といってもいいかもしれない――かたつむりの殻かなんかのように。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「戦いのあとで」)
#009607
おかしいからこの仕事を選んだのか、仕事のせいでおかしくなったのか、どっちだろう。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「戦いのあとで」)
#009608
死者はあなたを傷つけたりできない。痛みを与えることもないわ。あなたが彼らの顔に自分の死を見る以外はね。それに、人は死を直視できるようになるものなのよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「戦いのあとで」)
#009610
どうしてきょうなの? 百年も待ったというのに、どうしてきのうでも、あしたでもなく、きょうを選んだの?
(ユーン・ハ・リー「白鳥の歌」)
#009611
「そっとしておいてくれよ。おれはやらなかった、それだけだ。そしていまは、そのことを背負って生きなくちゃならない」
「あの人もね」
(ロバート・シルヴァーバーグ「人工共生体」)
#009615
DNAは――たとえ自分がそばにいて育てられなくても、ふたりのあいだの子どもが存在することを望んだのだ。
(オースン・スコット・カード「囚われのメイザー」)
#009617
あなたがこの件でわたしを信用してくださったのは間違いではなかった、と示すつもりです。
もっとも、あなたがどうしてわたしを信用することになさったのか、当惑してはいますが。
(オースン・スコット・カード「囚われのメイザー」)
#009618
死刑囚にさえ夢はあるものだ。
(ジェレミア・トルバート「文化保存管理者」)
#009619
ある文化や道徳的価値観をひとつの民族や社会集団に帰するのは、道具の大きさではなく、その使い方である。
(ジェレミア・トルバート「文化保存管理者」)
#009623
「それはあまりに……わびしいな」
「そうじゃないといった覚えはないぞ」
(ジェレミア・トルバート「文化保存管理者」)
#009627
だからおれたちは別れた。憎みあっていたわけではなく、ふたりの恋愛はいけるところまでいったので、たぶんもう会わないほうがいいだろうという認識で一致しただけだ。
(アレン・スティール「ジョーダンへの手紙」)
#009632
「そもそも、おれがここへやってきたのは、別の話をするためであったのだ」
「ほう」
「やってきたら、おまえがいつものように酒の用意をするものだから、おれもついうっかりいつものように飲みはじめてしまったのだが、実はおまえに話があったのだ」
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009633
「人の世というものは、よいことばかりでできあがっているわけではないが……」
「そうだな」
「しかし、このようなひとときもあるということで、人は、なんとかこの世で生きてゆくということができるのだなあ」
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009636
歌を読むというのは、歌をうたうというのは、生きていることのあかしではありませんか。生きていることが、そのまま歌なのですよ。
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009638
おれもな、おまえとこうして酒を飲む、このためにこの世に生まれてきたのではないかと、そう思うことがある。
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009639
昔からそりが合わぬのじゃ。
話も合わぬし、腹の底で何を考えているのかわからぬ。どうにも好かぬ。好かぬというよりは、嫌いじゃ。
もっとも、向こうだって、こちらのことを同様に思うているであろうがな。
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009640
わからぬこともあるというのは、わかっていることの方が多いということではないか。いったい何がわかっているというのだ。
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009643
おまえは、才がありすぎる。しかも、おまえ自身が、その才のことにまるで気づいておらぬ。
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009646
文芸であれ、音楽であれ、どのみちも、つきつめてゆくと、人はいずれかで鬼に出会わずにはおかぬものなのだが……。
(夢枕 獏「陰陽師 水龍ノ巻」)
#009652
現実を変えるには上に行くしかあらへん。上に行って天下を取るんや。これは単なる権力志向とかそんなんとちゃうで。
(月村 了衛「機龍警察 白骨街道」)
#009655
差別はどこにでもあって、決してなくなるものじゃない。言ってみれば人間社会から必然的に生まれる無尽蔵のエネルギーだ。それを利用して高額の報酬が得られるんなら、乗らない手はないじゃないですか。
(月村 了衛「機龍警察 白骨街道」)
#009665
あれこれ考えないで、いっそ気楽にいこうって。
(万城目学「ヒトコブラクダ層ぜっと(上)」)
#009666
もはや理屈ではない。
意地である。
ほとんどやけである。
(万城目学「ヒトコブラクダ層ぜっと(上)」)
#009669
知らない方が安全であることが、世の中にはたくさんある。
(万城目学「ヒトコブラクダ層ぜっと(上)」)
#009672
気づき始めている。
退屈で平穏な日常が根っこにあるからこそ、危なっかしい香りは際立ち、冒険への予感は研ぎ澄まされるのだと。
(万城目学「ヒトコブラクダ層ぜっと(下)」)
#009676
彼らは不健全な悲壮感に陶酔することなく、陽気にそれらを克服していった。当時の人類はあるいは救いがたい楽天主義者の集団であったのかもしれない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009677
……私は前面の有能な敵、後背の無能な味方、この両者と同時に闘わなくてはならなかった。しかも私自身ですら全面的にはあてにならなかった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009678
あんな奴らに支配されるために、宇宙は存在するんじゃない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009679
いいか、おぼえておくんだ。独裁者は出現させる側により多くの責任がある。積極的に支持しなくても、黙って見ていれば同罪だ……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009680
私はもともと秀才なんかじゃありません。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009681
まったく、人は人であるということじたいで自由にはなれないものだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009683
いや、おれは無能であっても卑怯者にはなれん。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009688
愚将が味方を一〇〇万人殺すとき、名将は敵を一〇〇万人殺す。その差があるだけで、殺されても殺さないという絶対的平和主義の見地からすれば、どちらも大量殺人者であることに差はないのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009692
莫大な流血、国家の破産、国民の窮乏。正義を実現させるのにそれらの犠牲が不可欠であるとするなら、正義とは貪欲な神に似ている。つぎつぎといけにえを要求して飽くことを知らない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009693
人生をおりるのではなく、人生の本道に回帰するのだ。いままでが不本意な迂回を余儀なくされていたのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009694
あなたは状況判断が的確だし、運もいい。あなたの下にいれば武勲がたたないまでも、生き残れる可能性が高そうだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009695
人は自分だけの星をつかむべきなのだ。たとえどのような兇星であっても……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009696
人間の想像力は個体間では大きな格差があるが、集団としてトータルでみたとき、その差はいちじるしく縮小する。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009701
人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。生命以上の価値が存在する、という説と、生命に優るものはない、という説とだ。人は戦いをはじめるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年、何千年もつづけてきた……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 1 黎明篇」)
#009703
地位があがるにつれて、発想が不純になっていくのがよくわかるよ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009704
これが個人レベルの問題であれば、人々はそのかたくなさ、おろかさを笑うであろう。それが国家レベルになると、権威とか尊厳の名のもとに、人々はあらゆる悪徳を容認してしまうのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009706
「ブランデーを一杯くれないか」
「野菜ジュースならありますけど」
「……あのな、野菜ジュースでインスピレーションが生まれると思うか?」
「心のもちかたひとつです」
「あっ、そんな言いかた、誰に教わった!?」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009710
老人の支配する時代は終わりつつあるのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009714
逃げても恥にならない相手というものは、たしかに存在するのである。それをわきまえないのは、無謀か、さもなくば低能というものだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009715
もうすぐ戦いがはじまる。ろくでもない戦いだが、それだけに勝たなくては意味がない。勝つための計算はしてあるから、無理をせず、気楽にやってくれ。かかっているものは、たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利にくらべれば、たいした価値のあるものじゃない……
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009717
きちんとした計算のできる男だ。私が勝ちつづけているかぎり、裏切ったりはしないさ。さしあたっては、それで充分だ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009719
「いまさら言ってもしかたないが、ほかに方法はなかったのか」
「あったかもしれませんが、私の知恵では他の方法は見つけることができませんでした」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009722
むしろ、不動の信念などというしろもののほうが、往々にして他人や社会に害をあたえることが多いのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009725
それまでは見えなかった、あるいは、見えても無視するにたりた欠点のかずかずが、いまでは拡大されて人々の目に映っている。判断のまずさ、洞察のとぼしさ、統率力の不足。いずれも非難の対象として充分すぎるほどだった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009727
「これはあたらしい時代のはじまりといってよいのかな」
「すくなくとも、旧い時代の終わりであることはたしかだな」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009729
実力あっての権威だ。権威あっての実力ではない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009730
わたしはあなたの傍にいないほうがいいのです。生きかたがちがうのだから……わたしには過去があるだけ。でもあなたには未来があるわ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009731
疲れたら、わたしのところへいらっしゃい。でも、まだあなたは疲れてはいけません。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009733
激発して傷つき倒れるのは、つねに彼以外の人間である。嵐を呼びこんでおきながら、嵐のときは安全な場所にひそみ、空が晴れあがってからでてくる男。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009734
なにをあわてている。世の中には、あわてたり叫んだりするにたるようなものは、なにひとつないぞ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009735
なにをあわてている。世の中には、あわてたり叫んだりするにたるようなものは、なにひとつないぞ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望篇」)
#009741
このようなとき、とるべき態度を決するのは知性や教養とはまたべつのものである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009747
金銭で買えないものはたしかに存在するが、買えるものはその価値に応じて買っておくべきであり、買ったものは利用すべきであった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009748
世の中の複雑さ、醜悪さは、成長するにしたがって自然に理解できるようになる。あるいは、親に教えられた単純明快な人生観をうらむようになるかもしれないが、自分が人の親になればその心理をわかるときがくるだろう、と思うのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009749
あまりに美しければ賢さがともなわない、と、人は思うものであるらしい。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009750
失うべからざるものを失ったあと、人は変わらざるをえんのだろうよ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009752
同情してくれ、とは言わない。だが、羨望されるような身分だとは、とうてい思えないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009756
彼には、いるべき場所がないわけではけっしてなかったのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009760
勝因のない勝利はあっても、敗因のない敗北はない、と考える彼だった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009762
しかし、どのような栄誉や報償をもってしても、埋めあわせることが不可能なものは、たしかに存在するのだった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009764
あたらしい時代とは、あたらしい不和をもたらす時代ということなのであろうか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009766
「ああ、なににもいいことのない人生だった……。いやな仕事はおしつけられるし、恋人はいないし、せめて酒でも飲もうとすれば叱られるし……」
「風邪ぐらいで気分をださないでください!」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 3 雌伏篇」)
#009767
花粉をはこんで荒地にあたらしい花を咲かせる風に、意思はないが、たしかにそれは風の功績なのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009768
論理によって説得するのではなく、情感に訴えることを、本来、彼女は好まなかった。だが、今度の場合、頂上へいたる唯一の道を歩くしかないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009769
利害と打算を基本要因として彼らと折衝する計画をたてることに、なんらためらいをおぼえなかった。武人には武人らしく、商人には商人らしく、悪党には悪党らしく接するべきであろう。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009770
人間がつねにないことをするのは不吉なきざしだ、と信じる者は、古代から一度として絶えたことがないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009774
他人の思惑に踊らされるのは愉快なことではない。もしそれが崇高な目的を達成するためのものであってもだ。まして、そうではないことがわかりきっているとあっては……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009775
可変的要因が多すぎて、論理的思考をすすめるには限界がある。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009777
やらないよりはやったほうがよいはずだ。罰せられてしかるべき行為なら、いずれむくいがあるだろう。誰がそれをなすかは知らないが……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009778
恩を売り、こちらの立場を強化するには、相手が窮地にたったとき救助の手をさしのべることである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009779
たとえ実質を欠くものでも、組織ができれば頂点に立ちたいと願うのは、政治活動に従事する人間としては当然のことである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009780
父親は人間のくずであり、自分はその排泄物なのだ。似あいの父子と言うべきではないか……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009781
当人は自覚していないか、またはそれをよそおっているが、右をむけと高圧的に言われれば損を承知で左をむく性格であるようだった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009782
「演説があるそうですね。緊急、しかも重大なやつが……」
「緊急だったら重大に決まっているだろう」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009784
「一七、八歳の美少女だったら、熱狂の度はもっとあがるでしょうな。だいたい民衆は王子さまとか王女さまとかが大好きですから」
「昔から童話では王子や王女が正義で、大臣が悪と相場が決まっているからな」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009785
盗賊に三種類ある、とは、誰が言ったことであっただろうか。暴力によって盗む者、知恵によって盗む者、権力と法によって盗む者……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009787
誤った選択は、正しい懲罰によってこそ矯正されるべきである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009788
豚にむかって、お前は豚だ、と言ってのけたわけだ。人間としては、あれでいい。怒るべき場合に怒ってこそ、人間は尊厳をたもつことができる。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009791
絶対的な善と完全な悪が存在する、という考えは、おそらく人間の精神をかぎりなく荒廃させるだろう。自分が善であり、対立者が悪だとみなしたとき、そこには協調も思いやりも生まれない。自分を優越化し、相手を敗北させ支配しようとする欲望が正当化されるだけだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009793
どれほど非現実的な人間でも、本気で不老不死を信じたりはしないのに、こと国家となると、永遠にして不滅のものだと思いこんでいるあほうな奴らがけっこう多いのは不思議なことだと思わないか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009799
口は重宝だな。親を売るにも友人を裏切るにも、理由のつけようはあるものだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009801
他人に運命をもてあそばれるより、他人の運命を支配する方に立つべきだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009803
年齢不相応に栄達すれば、必ず他人の感性にささくれをつくり、あたたかからざるあしらいをうけることになるのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009804
権力の座というものは、それじたいが精神上の病巣であって、そこに安住しているかぎり、視野の狭窄と思考の利己化とは必然の病状となるのだろうか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009805
陳腐なだが、効果があるからこそ常用されるし、常用されるからこそ陳腐にもなる。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009812
可愛げのある奴が成功するかよ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009813
一〇〇年もこんな時代がつづいてきたものだから、これからもそうだと思っとったが、考えてみればなにもそんな根拠はありはせなんだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 4 策謀篇」)
#009818
その禁忌タブーをやぶるのにアルコールの強力な助勢が必要であったとすれば、むしろあわれですらある。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009819
忠誠心というものは、いわば鏡に映った自己陶酔であるから、〝鏡〟の役目をはたす主君には、美しい像を映しだしてほしいというのが、宮仕えする人間の願望であろう。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009821
「もつべきものは話のわかる上司だな」
そう言ったあとで、不意に眉をしかめる。環境を整備されたからには、働かなくてはならないことに気づいたのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009822
古来、人間の怒りのおよばないところに正義が存在しなかったのと同様、人間の能力のおよばないところに成功は存在しないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009825
どうせ宇宙をこの手につかむなら、手袋ごしにではなく、素手によってでありたいと思うのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009827
あれは勇猛ではなく狂躁というのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009828
個人が勝算のない戦いを挑むのは趣味の問題だが、部下をひきいる指揮官がそれをやるのは最低の悪徳である。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009829
返上するほど無欲にもなれないからもらっておくが、いまさらたいしてありがたくもないな。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009830
けっきょく、愛国心とは、ふりあおぐ旗のデザインがたがいにことなることを理由として、殺戮を正当化し、ときには強制する心情であり、多くは理性との共存が不可能である。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009832
能力がおなじであれば運が勝敗を左右する。私は自分自身の運のほかに、友人からも運をもらった。その友人は運だけでなく、生命も未来も私にくれたのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009833
「世界の涯まで」
と叫ぶ征服者に、兵士たちは拒否の瞳をむけて答えた。
「行きたければ、あなたひとりで行くがいい。私たちは故郷に帰って家族のもとで死にたいのだ」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009838
まあ基本的にはめでたいことだ。ひとつ乾杯といこうか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009843
他人がこんなことをしたら、あほうにちがいないと私も思うだろう。だけど、私はけっきょくこんな生きかたしかできないんだ。かえって、私の好きな連中に迷惑をしいるとわかりきっているのになあ……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009844
わたしにはわかりません。あなたのなさることが正しいのかどうか。でも、わたしにわかっていることがあります。あなたのなさることが、わたしはどうしようもなく好きだということです。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009845
私は心の狭い男だ。あなたに生命を救ってもらったとわかっているのに、いまは礼を言う気になれぬ。すこし時を貸してくれ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 5 風雲篇」)
#009848
これはべつに予言ではない。時期を未来に設定しただけの、たんなる既成の事実である……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009849
公正さに背いても既得権を確保したい、とのぞみ、反対者を抑圧することによってその確保を絶対のものとしようとする精神のどこに、向上と進歩への余地が残されているであろうか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009850
罰をうけないですむからには、罪を犯さねば損というものであった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009851
味方の非を批判する者は、永遠の少数派である。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009852
経済的条件はときとして法律の機能をより冷厳に代行するものなのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009855
まったく、平和に、安穏に、なまけてくらすのは彼の理想であった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009856
なにかをなそうとするときには、思考停止が必要なようだった。多くは、人が〝信念〟と呼ぶものである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009859
「先方はこちらを問題にしていないようですよ。それにだいいち、そんなことしている時間がありません」
「問題にさせるんだ。時間もつくるんだよ」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009860
好意をもちえない顧客というものは、たしかに存在するのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009866
「美しい花は独占してよいものではないさ」
「あら、ありがとうございます。でも、わたしは独占されたいと思っているんですけど」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009867
自分が自分自身以外の者の道具であるにすぎないことを、これほど納得させられたことはなかった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 6 飛翔篇」)
#009876
ただ、世の中には、むだな努力、無益な献身というものも存在するのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009877
こうすればこの結果を生むとはわかりきっていた。しかも、こうする以外になかった。最悪の結果であっても、結果がでないよりましだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009878
彼は戦いつづけ、勝ちつづけてきた。勝つということは敵を減らすことであり、敵が減れば戦いは減るのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009879
この男の癖で、いちおう変化球を投げかえしてみないと気がすまないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009880
まあ、どうせ喧嘩をするなら強大な相手ほど、やりがいはあるがね。ただ、おれには多少の疑問がないでもない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009881
つまらん比喩だが正しくはあるな。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009882
彼は第二人者以下でありたかったのに、第一人者にめぐまれなかった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009883
さまざまな意味で常識外の戦いではあったが、このようなときには誰かがあえて常識的な意見をのべなくてはならない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009884
その功績にくらべれば、歌手としての欠点などささいなものというべきであった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009885
わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下ももちたいとは思わない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009886
つまるところ、みごとな死というものはみごとな生の帰結であって、いずれかいっぽうだけが孤立することはないように思える。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009887
たぶん人間は自分で考えているよりもはるかに卑劣なことができるのだと思います。平和で順境にあれば、そんな自分自身を再発見せずにすむのでしょうけど……。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009894
専制とは、変革をすすめるにあたって効率的きわまりない体制なのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009895
民主主義の迂遠さにあきれた民衆は、いつも言うではないか。
「偉大な政治家に強大な権限をあたえて改革を推進させろ!」と。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009896
公明正大であられても、見る者のレンズがゆがんでいれば、映る像もおのずとゆがみます。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 7 怒涛篇」)
#009897
自分が賢そうに、また器用そうにみえるとしたら、それは相手の器量が自分よりうえで、自分があわせやすいようにしてくれるからだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 8 乱離篇」)
#009902
六〇歳ちかくまで、わしは失敗をおそれる生きかたをしてきた。そうではない生きかたもあることが、ようやくわかってきたのでな、それを教えてくれた人たちに、恩なり借りなり、返さねばなるまい」
(田中芳樹「銀河英雄伝説 8 乱離篇」)
#009903
登りつづきであろうと、自分の選択した道である。それをさけようとは思わなかった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 8 乱離篇」)
#009908
自分は未熟なんだから、というのはじつはとんでもない過大評価かもしれない。成熟しきった才能で、このていどが限界なのかもしれないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 8 乱離篇」)
#009909
自分は未熟なんだから、というのはじつはとんでもない過大評価かもしれない。成熟しきった才能で、このていどが限界なのかもしれないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 8 乱離篇」)
#009911
あなたは何百万人もの人を殺したかもしれないけど、すくなくともわたしだけは幸福にしてくださったのよ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 9 回天篇」)
#009913
咲いた花がそうとしか見えなくとも、問題とすべきは根であり、土壌であった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 9 回天篇」)
#009920
現にしてやられつつあるところだ。完了形で言うのは早すぎる。このあとに逆接の接続詞をつづけたいものだな。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 9 回天篇」)
#009925
もっとも忌むべきは希望的観測であり、勘と称して思考を停止することだった。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 10 落日篇」)
#009928
たしかに、あんたは衰弱しているわね。そんな陳腐な台詞を吐く人間じゃなかったのに、表現力が貧しくなったわ。以前はもうすこし気のきいたことが言えた人なのにね。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 10 落日篇」)
#009929
ある集団のなかに、異種の思考法をもつ者の存在は不可欠である。でなければ独善ないし妄信の集団と化するおそれがあるのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 10 落日篇」)
#009933
会って話しあうなり、敬意をこめて首をはねとばすなり、お前さんの判断で歴史を創るんだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 10 落日篇」)
#009934
彼が失われたときの喪失感は、想像するさえおそろしく思われる。敵であったとしても。あるいは敵であったからこそ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 10 落日篇」)
#009935
〝政治なんておれたちに関係ないよ〟という一言は、それを発した者にたいする権利剝奪の宣告である。政治は、それを蔑視した者にたいして、かならず復讐するのだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説 10 落日篇」)
#009938
陰謀をめぐらせるための時間と手段は、ありあまっておりましょうし、ことは理性や利益の問題ではありますまい。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者」)
#009939
すこしは他人に功績をわけておあげなさい。なにもかも自分ひとりでやるものではなくってよ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者」)
#009940
そして可能とは、この場合、一般的道徳の許容する範囲ではなく、彼の頭脳の活動しうる限界をさしていたのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者」)
#009945
この発言はついに電波にものらず活字にもならなかった。誰も喜ばない発言をする者は、そのようにむくわれるのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者」)
#009946
まあいい、給料ぶんの仕事はした。これ以上のことは、もっと高給をとっている連中にまかせよう。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者」)
#009952
世の中のあほうどもは、なにか決定すれば事態がひとりでにうごきだすと思っているのとちがうか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 2 ユリアンのイゼルローン日記」)
#009959
高い評価が、好感と同意語であるとは、かならずしも断定できない。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 3 千億の星、千億の光」)
#009962
成功するまで、味方なんぞほとんどいなかったけどなあ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮」)
#009963
しかし、まあ、人間には相応の生きかたがあって、最終的にはそこにおちつくのではなかろうか。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮」)
#009964
「暇でこまってるんだろう」
「暇でこまったことは一度もありません」
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮」)
#009967
後ろめたいところのある人間は、つねに影におびえ、過剰防衛の心理にかられるものだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮」)
#009971
中途半端な知識と強大な権力をもつしろうとほど迷惑な存在はないのである。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 5 短編集」)
#009972
どちらかがどちらかの犠牲になるような仲は、長つづきしないわ。あなたがたふたりは、おたがいに必要な存在であってほしいの。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 5 短編集」)
#009975
若さと老いとのあいだには歴然たる差があるのだよ。若さとはなにかを手にいれようとすることで、老いとはなにかを失うまいとすることだ。
(田中芳樹「銀河英雄伝説外伝 5 短編集」)
#009977
うーん、僕も若かったですからねえ、あの頃は三〇歳になるのがとても大事なことに思えたんです。
(田中芳樹「銀河英雄伝説5短編集 ロングインタビュー」)
#009980
うん、まじめな同僚はありがたい。まじめな上官は面倒だがね。
(小前亮「ティエリー・ボナール最後の戦い」)
#009983
意見がある人間は意見を変えないし、意見のない人間はいつまでも意見を持たないままです。
(高島雄哉「星たちの舞台」)
#009995
まあ、どうしても必要なら、抱き締めてもらってもかまいません。
(マーサ・ウェルズ「マーダーボット・ダイアリー 下」)
#009996
そこまで理解されているのだとわかって、また気持ちがぐらつきました。よくありません。弱さを感じます。
(マーサ・ウェルズ「マーダーボット・ダイアリー 下」)
#009997
選択肢があり、すぐに決める必要はない。いいことです。自分がなにをやりたいのかいまだにわからないからです。
(マーサ・ウェルズ「マーダーボット・ダイアリー 下」)
#010001
「あんなことをする奴らをなんで信じられるんだ!」
「そうするしか、前に進む方法がないからだ」
(藤井 太洋「Gene Mapper -full build-」)
#010005
これまでにどれだけたくさんの女たちが、ある才能をないことにされてきたんだろう。これまでにどれだけの男たちが、ない才能をあることにされてきたんだろう。
(松田青子「おばちゃんたちのいるところ Where The Wild Ladies Are」)
#010006
ある側面では、女と男の絶望の量がもうすぐ同じになる。もしかしたら、その方が生きやすい世界になるかもしれない。
(松田青子「おばちゃんたちのいるところ Where The Wild Ladies Are」)
#010013
御仏は、あなたのような方のためにこそ、おわすのです。
(上田 早夕里「播磨国妖綺譚」)
#010016
うむ。私も、易々と己のやり方を捨てる気はありませぬのでな。
(上田 早夕里「播磨国妖綺譚」)
#010024
一つも役に立ちませんでしたが、だからといって〝事前の計画は無駄〟と考えるのは、あの事件から得る教訓としてまちがっています。
(マーサ・ウェルズ「ネットワーク・エフェクト: マーダーボット・ダイアリー」)
#010027
自信過剰でまわりの意見をいれない人間ほど怖いものはありません。
(マーサ・ウェルズ「ネットワーク・エフェクト: マーダーボット・ダイアリー」)
#010030
ああしろこうしろと言われるのはうんざりです。自己決定で失敗することもありますが、自分で決められないのよりましです。
(マーサ・ウェルズ「ネットワーク・エフェクト: マーダーボット・ダイアリー」)
#010034
あたしの場合、もうここが本来の居場所のような気がしている。リアルの世界が虚構だ。
(高千穂 遙「 ダーティペアの大帝国」)
#010035
そりゃあ、反省するでしょう。ほぞ噛みまくりである。
(高千穂 遙「 ダーティペアの大帝国」)
#010036
ありがとう。
あなたのことは、あたしたち永久に忘れない。
本名は知らないけど。
(高千穂 遙「 ダーティペアの大帝国」)
#010038
どんな死に目だったかもよく分からんが、今はもうあの世で安らいどろう。死出の苦しみは終わったんじゃ、儂が悲しみ続けても無駄ぞな。
(村木 嵐「にべ屋往来記」)
#010045
嘘がつけないってことは、嘘が見抜けないってことでもあるんだよ──
(村木 嵐「にべ屋往来記」)
#010050
感情を封じこめるのにはいいところもある。十分な期間、深く感情を封じこめていると、じきに何も感じなくなるような気がするのだ。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 上」)
#010056
もし神から才能なり技能なりを与えられたなら、それを最大限に使う義務がある。きみもそう思わないか?
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 上」)
#010057
学者というのは、意外な事象については語るが、ありえない事象については語りたがらない。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 上」)
#010058
女は夫を失っても生きのびるが、男は──とくにあのじいさんのような男は──つれあいを亡くすと、そう長くは生きられないものだ。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 上」)
#010062
話のなかには、心を開いてきくと、あまりに深い傷を負ってしまうものがある。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 下」)
#010065
あたしはね、なんだって信じられるの。あんた全然わかってないでしょ、あたしがどれだけのことを信じられるか。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 下」)
#010070
流血を伴わない信仰には限界がある。血は流されなければならないのだ。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 下」)
#010071
「謎はもうたくさんだ」
「そうか? 謎があったほうが、世の中は味わいが増すと思うがな。煮こみ料理に塩を入れるのと同じさ」
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 下」)
#010072
政府と民間の仕事に違いがあると本気で信じているのは、世間の平凡な連中だけだ。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 下」)
#010077
地図は正確であればあるほど、実際の土地に似る。考えうる最も正確な地図とは土地そのもので、完璧に正確だが、地図としてはまったく用をなさない。
(ニール・ゲイマン「アメリカン・ゴッズ 下」)
#010084
わたしからのアドバイスは、ひとつだけ。
つねに誇り高くありなさい。
(倉田タカシ「生首」)
#010088
ニュースだってはじまりは報じられるけど、終わりについてはあんまりないでしょう?
(石川宗生「モンステリウム」)
#010089
終わりについて言葉にするのはとても辛いものだ。頭のなかでさんざほじくり返したのに、言葉にすることでもう一度終わりをむかえることになる。それでも、口を開かずにはいられない。そのために口はあるから。
(石川宗生「モンステリウム」)
#010091
おれは日常的に嘘をつく。それは自分にそう思い込ませるためでもある。
(水見稜「調律師」)
#010100
悲劇や困難っちゅうのは、物語を強うしますやろ。あんさんの背負うとるお話は強いんですわ。
(オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」)
#010102
のどかな風景に惑わされるな、こいつはけっこうおおごとだ。
(松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」)
#010103
私の希望は「楽に仕事をしたい」だったのである。
(堀晃「循環」)
#010106
この場合の「拡大解釈」とは悪意の存在を意味しない。ただルールの穴があったから、それをどこまでも掘り進めただけだ。
(小川一水「未明のシンビオシス」)
#010107
――われらは待ち続けました、とかれらは言った。なんとむなしい年月だったことか! 希望はつねにわれらをあざむきます。
(川野芽生「いつか明ける夜を」)
#010112
――人はつねに無数のあやまちを犯すし、ひとたびこの世に行われたことは、決してなかったことにはならない。
(川野芽生「いつか明ける夜を」)
#010113
「細かいことを気にする男だな」「細かくないよ!っていうか死ぬだろ!」「しかし辻褄はあう」「辻褄よりも大事なもんがあるよ!」
(宮内悠介「1ヘクタールのフェイク・ファー」)
#010117
「な……なんだかすっごい面倒になってきました。聞かなきゃよかった……」
「ええ、面倒です。でも逃げて済む話ではありません」
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2」)
#010118
「というかそれって、本人だけがみんなのためだと頑なに思い込んで、めちゃくちゃをやるパターンですよね」
「そんなパターンがあるんですか?」
「B級アクション系コンテンツの悪玉がすごくやりがちです」
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2」)
#010119
「大事な話があるんですって」「ろくでもない用事ですね?」
「それはまだわかりませんけど──」
「大丈夫です、きっとろくでもないですよ」
その通りだった。
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2」)
#010120
速度を出すのは、強力なエンジンと確かな指揮である。確かな指揮とは、命じたことが遅滞なく実行されるということだ。
われわれはあなた方にその意思と能力があることを信じている。
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2」)
#010125
なにかにつかまる必要があるわけではないが、つかまったほうが人生、楽にすごせるのはたしかだ。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上」)
#010131
オーケイ、死ぬのなら、その死を意味のあるものにしよう。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上」)
#010133
「だってそうでしょう」とぼくはいった。「あなたはもう決断している。それを誰かにいって欲しかっただけですよ。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上」)
#010134
コツは、知りたいことを考えつつ、あまり考えすぎないようにすることだ。眠りに落ちるコツと似ている。あまり集中しすぎると、うまくいかない。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上」)
#010137
人間は信用できないと思われたくない。
いや……われわれは非常にあてにならない存在だが、それを彼に知られたくない。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上」)
#010140
「あなたはしなければならないことをした。わたしたちはみんな、しなければならないことをしているのよ」
彼は両手に顔を埋めて泣いた。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上」)
#010141
きみは生きている。そしてきみはここにいる。そしてきみはあきらめていない。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 下」)
#010142
「ロシア人はみんな頭がおかしいんですか?」「そうとも」彼はにっこり笑って答えた。「それがロシア人でありながら、同時にしあわせでもいられる唯一の方法だ」
「それは……暗いな」
「それがロシア人だ!」
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 下」)
#010145
「きみは、まちがいなく、ぼくが出会ったなかでもっとも楽観的な人だな」
彼は両手でサムズアップした。「ありがとうございます!」
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 下」)
#010147
いったいどういうわけでぼくは管理職になってしまったのか? たぶん人は誰しも、生きていくうちには受け入れなくてはならないものがあるのだろう。これがぼくが演じるべき役割なら、演じるまでだ。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 下」)
#010148
かれらはぼくを尊敬してくれていた。そう、それだ。ぼくはあれほど尊敬されていた日々が恋しかった。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 下」)
#010149
しかしわたしは、なんとしてもあなたにイエスといって欲しい。何十億人もの命がかかっているんです。それほどの悲劇と比べたら、われわれの命などたいした問題ではない。
(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー 下」)
#010166
あなたの眠りは、わたしの不眠を孕んでいる。
(ソフィア・サマター「ロボットのためのおとぎ話」)
#010169
魅力をふりまく路線はあきらめたわ。用意した言葉を飾らずにしゃべって、解釈は相手に任せておく。
(ソフィア・サマター「ロボットのためのおとぎ話」)
#010170
自分が今までに知っていたすべては、わが子よ、あなたへとつながり、あなたの目覚めは――何をもたらすにしろ、その後の世界がどんなに変貌してしまうにしろ――破壊ではなく、広がりに属しているの。
(ソフィア・サマター「ロボットのためのおとぎ話」)
#010172
充分な金とコネがあればどれだけ信じがたいことができるか知ったら驚くぞ、ちびすけ。おまえは知るのを許されていることしか知らないんだ。
(ブルック・ボーランダー「過激化の用語集」)
#010174
なんで寂しいのか、考えてみれば、あれこれ理由は思いつくけれど、でも、本当は理由などないのかもしれない。ただ、寂しいだけで。
(上橋 菜穂子「香君 上 西から来た少女」)
#010175
幸せなときもあった。長くはなかったけれど、確かにあった。
(上橋 菜穂子「香君 上 西から来た少女」)
#010176
選択を迫られたのが私であったら、私は父上がとった道はとらなかっただろう。
(上橋 菜穂子「香君 上 西から来た少女」)
#010180
規定には、それなりの理由があったはずだ。なぜ、そう定めたのかがわからない以上、改変は危険だ、と。
(上橋 菜穂子「香君 上 西から来た少女」)
#010181
──ここでは、草木や空、石や土、虫や鳥、獣たちが、我らの神であり、我らの師だ。彼らと我らには敬意はあっても隔たりはなく、ここで暮らす我々の間にも、敬意はあっても隔たりはない。
(上橋 菜穂子「香君 上 西から来た少女」)
#010186
まあ、それも良い方法ではあるわね。知る者が多ければ漏れる危険も多くなる。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010188
──この先にも、なにか幸せがあると思えなければ、苦しみを越えて行かれない。自分がしていることに意味がある、人を幸せにできると思えることが、私にとっては、救いなの。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010189
何かあるのだとしても、それが何であるかわかってから対処すれば良いことだ。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010194
──この国を支えている人々は、この国の未来を思い描いておりません。同じ国の民であるはずの、他者の痛みを救おうとする気持ちもありません。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010195
生き物は、どんな存在に生まれるか、選ぶことはできない。望む力を持って生まれてくるわけでもない。それでも、それぞれが己の持つ力を活かし、あるときは他者を助け、あるときは他者を害して生きていく。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010202
何に焦がれているのか、それすら定かでないのに、どこかに帰るべき場所があるような気がして、そこに行きたくてたまらなくなる。しかし、道はわからず、耐えるしかない……。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010203
その遥かな旅路、細いけれど、白く輝く道が、見えた気がした。
(私も、歩いて行こう)
孤独であることが、見せてくれる道を。
(上橋 菜穂子「香君 下 遥かな道」)
#010204
人間は、悪い知らせを伝えるときは疑問形にしてごまかす癖があります。そんなことをしても悪い知らせは悪いままです。
(マーサ・ウェルズ「逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー」)
#010206
〈わかりません〉そう答えるしかありません。データ不足で有意な確率をしめせません。いまのところは仮定による与太話。
(マーサ・ウェルズ「逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー」)
#010209
こういう仕事をまたやることを考えて憂鬱になるかと思ったら、そうでもありませんでした。ふむ。
(マーサ・ウェルズ「逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー」)
#010215
「そんな、簡単な話じゃないんです」
「なあに、男と女の関係ってなあ、せんじつめりゃあ、みんな簡単な話よ」
(草上仁「皮まで愛して」)
#010220
――どんな用事であれ、人を集めたら、まず食物と厠の心配をしろ。それ以外のことは後回しでいい。
(宮部 みゆき「子宝船 きたきた捕物帖(二)」)
#010221
そういう運と幸に憧れ、あやかりたいという願いのなかには、当の本人が気づいていなくても、一抹のやっかみがまじっている。そのやっかみは、小雨の一降りで芽を吹く憎しみの種だ――
(宮部 みゆき「子宝船 きたきた捕物帖(二)」)
#010222
そうしなければならない切羽詰まった理由があれば、人はけっこう上手に嘘をつく。
(宮部 みゆき「子宝船 きたきた捕物帖(二)」)
#010225
親分が達者だったころに、今みたいなおいらになりたかったよ。悔しいなあ、惜しかったなあって、手遅れなのはわかってるけどさ、思っちゃったんだよ……
(宮部 みゆき「子宝船 きたきた捕物帖(二)」)
#010230
悪い夢なら、こちとら十五の夏のあさからずうっと見続けてらぁ。
(宮部 みゆき「子宝船 きたきた捕物帖(二)」)
#010237
「そんなんで、何のために生きてるんだ、あんた」
そんなことで、自分は何のために生きているのだろう、と、わたしは思った。
(草上仁, 日下三蔵「キスギショウジ氏の生活と意見」)
#010238
だがね、人間がどれだけ変われるかわかったら、あんたもびっくりするぞ。社会性だの、常識だのって皮は、呆れるほど薄いもんでしかないんだ。
(草上仁, 日下三蔵「キスギショウジ氏の生活と意見」)
#010239
ありがとうっていうのは、すごくいい言葉だよなとしみじみ思った。
(加納朋子「いつかの岸辺に跳ねていく」)
#010241
あいつの話を聞いてやりたいと思った。茶化すのではなく、ひやかすのでもなく、ただ、真面目に聞いてやりたいと思った。そして、心から「良かったな、おめでとう」と言ってやらねばと思った。
俺は自分がちゃんと、そうできることを知っている。
――ただ、少し時間が必要なだけなのだ。
(加納朋子「いつかの岸辺に跳ねていく」)
#010242
未来予知には消費期限があるのだ。
しかし、即実現すればいいというものでもない。
(加納朋子「いつかの岸辺に跳ねていく」)
#010245
――正解は、本当にあるのだろうか?
私はただ虚しく、当たりくじの入っていない箱を掻き回しているだけなんじゃないだろうか?代償として、とても大切な物を支払い続けながら。
(加納朋子「いつかの岸辺に跳ねていく」)
#010248
我が子だから無条件に愛せるというものではないのだろう。嫌いとまでは言わなくても無関心だったり、どうしても相性が悪いということも、やっぱりあるのだろう……残念なことだけど。
(加納朋子「いつかの岸辺に跳ねていく」)
#010249
「……いい友達だね」
「そうなの。だからね、会いたいの。大きくなって、だんだん会うこともなくなってしまって、そのまま長い時間が経っちゃったけど、わたしはあとどのくらい生きられるのかしらって考えるようになって、今、元気なうちに会っておきたい人は誰だろうって思ってね、それでぱっとあの子の顔が浮かんだの」
(加納朋子「空をこえて七星のかなた」)
#010251
いるんだよなあ、どこにいても、誰といても、核になっちゃうような人間って。パワフルで、努力家で、太陽みたいに光り輝いてて眩しいんだ。どういうわけだか、俺はそういう女と縁があるらしいよ。
(加納朋子「空をこえて七星のかなた」)
#010254
立ち止まり、立ちすくみ、後ろむきに過ごしていれば、時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。
(加納朋子「空をこえて七星のかなた」)
#010257
私はそんなに親切じゃないから。どのみち彼女には届いてしまうだろうから。
絶対絶対、教えてあげない。
(加納朋子「空をこえて七星のかなた」)
#010258
きっと私はとても薄情な人間なんだろう。たくさん可愛がってもらった。愛されていたという自覚もある。なのに物理的な距離が、そのまま心の距離となってしまった。
(加納朋子「空をこえて七星のかなた」)
#010262
こういうことはね、中々根本的な改善策はないものよ。相手を変える魔法の言葉があったら、誰も苦労はしないもの。
(加納朋子「空をこえて七星のかなた」)
#010266
いま、人々は学んだ。終わりのない宴はない。あらゆるものに、かならず終わりがある。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 上」)
#010267
ひとつの信念を持っていた。この人生と世界は醜いかもしれない。だが、ミクロとマクロの極限では、すべては調和がとれた完全無欠なものであり、日常世界は完全無欠なその海に浮かぶただの泡沫にすぎない、と。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 上」)
#010269
知っていた。女の子ならだれでも、ひねくれて神経質な男子なんか好きにはならない。自分にできるのは、ただ遠くから彼女を眺めることだけ。彼女が惜しみなく注いでくれるあたたかな陽光に浸り、春の陽射しの柔らかさと美しさを静かに感じることだけだった。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 上」)
#010270
この非常時にあっては、〝ただの男〟など存在しない。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 上」)
#010271
正直な話、この仕事をきみにかわってもらえるものなら、そのほうがありがたい──しかし、わたしにやれることの中には、きみにできないことがある。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 上」)
#010275
宇宙は大きい。でも、生命はもっと大きい。縁があれば、この先きっとまた会えるでしょう。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 上」)
#010277
少し前まで、自分の人生はもうおしまいに来てしまったと思っていたけれど、いまでは人生をつづけていくべき理由がたくさんある。
(劉 慈欣「三体III 死神永生 下」)
#010283
「つまり、あなたが言いたいのは……」
「ぼくはなにも言いたくなんかないよ」
(劉 慈欣「三体III 死神永生 下」)
#010288
この場で、「明日、会社がなければなあ党」を結成したら、それなりの党員を集められたかもしれない。
(伊坂 幸太郎「クジラアタマの王様」)
#010296
ただ負けただけでは、負け犬ではあるまい。いつも勝てない状態も負け犬とは言えないだろう。
敗者と負け犬とは違う。
(伊坂 幸太郎「マイクロスパイ・アンサンブル」)
#010304
これはもう仕方がない。恋煩いの治療法は、恋を成就させてやることだけである。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010305
これはもう仕方がない。恋煩いの治療法は、恋を成就させてやることだけである。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010307
勇気というのは、人に分け与えることができます。ときには、分けることでどんどん増えて、大きな勇気になることもある。だけど、義俠心というのはいつも一人に一人前ずつしかないもので、しかも、これを生み出す気概を持っている人は、世間にはごく少ないんです。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010309
それでも、人生の一部を費やした場所だ。思い出もある。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010314
「もしも怒ったら、それこそおまえの出番じゃないか。とりなして説きつけておくれよ」
「あっさり言うなよ。大変なんだよ」
「大変なのはわかっているさ」
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010315
あとのことは、わたくしが身を二つ三つに割いても何とかいたします。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010316
あとのことは、わたくしが身を二つ三つに割いても何とかいたします。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010317
でもね、思い出を懐かしんで涙するのは、悪いことじゃありませんよ。それは我慢しなくたっていいでしょう。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010319
蓋は閉めてある。この蓋を開けようとする者は、なかからどんな運命が顔を覗かせ、おまえに呼びかけてこようと、受け止める覚悟をしなくてはならない。
惚れるというのは、そういうことだろう。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010321
しぶとい金貸しに幸いあれ。
(宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」)
#010323
かれらは人類のなかでももっとも人類らしい怠惰さをそなえていた。すなわち、あとで楽するためなら現在のいかなる苦労もいとわない。
(松崎有理「掃除と掃除用具の人類史」)
#010324
人類らしい怠惰とは、あとで楽をするためなら現在のいかなる努力も惜しまないことである。
(松崎有理「掃除と掃除用具の人類史」)
#010325
沈黙は何よりの激励である。
(柞刈湯葉「裏アカシック・レコード」)
#010328
解けない問題の解答篇にどれだけの需要があるだろうか?
(大滝瓶太「ザムザの羽」)
#010329
無茶苦茶だ。気まぐれなつぎはぎだらけの論理。
「そりゃあそうさ。ここをどこだと、わたしを誰だと思ってるんだ」
(青山新「オルガンのこと」)
#010341
これまでに無数の人類がやってきたことであり、これからも無数の人類がやることであり、平凡といえばこれほど平凡なことはない。どうしてそんなに平凡なことがこんなにも容易でないのだろう。
(森見 登美彦, 上田 誠「四畳半タイムマシンブルース」)
#010344
終わりよければすべてよし。あとは打ち上げるばかりである。
(森見 登美彦, 上田 誠「四畳半タイムマシンブルース」)
#010345
あまりにもギクシャクしていたので何をしているのか不明だったが、後にして思えばそれはウィンクであったらしい。
(森見 登美彦, 上田 誠「四畳半タイムマシンブルース」)
#010352
かれはイエスを求めてた。それ以上に、イエスの背後にあるものを求めていた。本当の真理を。インチキで満足していたら、たぶんまだ存命中だったはず。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010353
あたしたちは当時も今も完璧に頭おかしい。頭おかしいのは、字が読めて学があるってことよ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010355
その日もそうだったけど、そのウィットはいつも、あたしにはちょっとずれているように思えた。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010356
あなた方の敵は男性ではなく、無知な男性でしかない。男性とその無知とを混同してはいけないよ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010357
「じゃあもう二度目はないってこと?」
「また懺悔すればいいだけよ」
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010358
人々を動員して物事をやらせるのが仕事だ。それはよい物事ではあったけれど、その当人たち自身の利益には必ずしもならないのよ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010359
人々を動員して物事をやらせるのが仕事だ。それはよい物事ではあったけれど、その当人たち自身の利益には必ずしもならないのよ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010365
正確な知覚能力は変動するものであって、結局のところは何が現実かではなく、その人が何を信じたいかに依存しちゃうってことを示してるんだわ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010366
そんなやり方じゃダメ。ある問題を解決するのに、もっとでかい別の問題を持ってきてもダメ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010367
何かが不可避な側面を持つからって、それであっさり同調して話を合わせるべきだってことにはならない。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010368
振り返ってみると、いま持っている洞察があったなら、それをあのとき持っていたらと本当に苦々しく切望してしまう。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010369
きみはだれが自分を創ったか──そもそも創った存在がいるのか──知らないし、その理由も知らない。理由があればの話だが。ひょっとしたら、だれもきみを創らず、きみの人生には何の目的もないのかもしれん。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010370
教育がそれほど恩恵か、あたしは自信がないなあ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010371
そしてそこからあたしは、あたしなりのやり方で究極のものを理解するようになったのよ。正式なやり方でも公式のやり方でもないけれど、でも一つのやり方にはちがいない。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010372
なんという悪意。なんという最悪の残酷さ。それもあたしたち全員に対して。本当にあたしたちを憎んでたのね。これがあたしたちの罰。ずっと、自分に責任があったと思うだろう。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010375
あたしの人生は、いまのままであたしにとって重要すぎた。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010376
あたしはもうやり直したんだ。もはや振り返ったりしない。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010378
これには感激したわ、このフレーズの展開が。あたしはそういうのを探す。あたしは気の利いたフレーズに惹かれる。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010382
あるものの概念と、そのもの自体とはちがうのよ。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010383
まちがいなく、あたしは生き延びた。でも生き延びたのは、しばらく前から認識していたように、機械としてだった。それでも生存にはちがいない。
(フィリップ・K・ディック「ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)」)
#010385
作家は予言者ではない。予言者であってはいけない。
なぜなら、予言は当たるか外れるかで判断されるからだ。
(池澤春菜「『2084年のSF』まえがき」)
#010387
だがな。あんたがそうやって現実から逃げているあいだも、現実を支えるために必死で戦っているやつらがいる。誰にも迷惑をかけていないというが、あんたの幸せは、彼らの犠牲で成り立っている。
(福田和代「タイスケヒトリソラノナカ」)
#010389
あなたこそどうするんです。ありもしない自分探しに行くんですか。
(三方行成「自分の墓で泣いてください」)
#010392
ああ、と僕は思う。ずっとこんな光景が見たかった。
誰に急かされることも責められることもない、人のいない世界。
(逢坂冬馬「目覚めよ、眠れ」)
#010395
思いやりがほつれたら、終わってしまう。皆が終わりを避けてくれるのが、ワタシは嬉しい。目を逸らしあう優しさを、壊したくない。
(竹田人造「見守りカメラ is watching you」)
#010397
だけど、思い出より大切なものがあるだろう? まずは生き残らないと。
(揚羽はな「The Plastic World」)
#010407
あと一度。あと一度だけ、その「大丈夫」を信じてみたい。
(高野史緒「未来への言葉」)
#010413
こちらは落ち着かない気持ちになり、無性になにかしたくなり、なにもしたくなくなり、すでになにかをしたあとだと気づく。百年もまえにそれをしたばかりだと知る。
(倉田タカシ「火星のザッカーバーグ」)
#010420
多くの場合、男女間では関係性のニーズについてのズレがある。どちらかがより強く相手を求めている、とか、求めているものの内容が違う、とか。
(穂村弘「もしもし、運命の人ですか。」)
#010421
鍵の掛かったドアに触る前から、それが開かないってわかることがある。あれはどうしてなんだろう。
(穂村弘「もしもし、運命の人ですか。」)
#010422
馬鹿な、私はそんなものをみてはいない。みていないものをありありと思い出すなんて。
(穂村弘「もしもし、運命の人ですか。」)
#010425
自分のPCのメール送信箱を改めてみて、気づくことがある。女性宛てに送ったメールのどれもが、1%ほどラブレターなのだ。
(穂村弘「もしもし、運命の人ですか。」)
#010427
コップに水を注ぐときのことを考えて欲しい。
全体に充ちているからこそ、或る一点から溢れるのである。
その一点がどこかってことが問題なんじゃなくて、好きという気持ちは全体に充ちているのだ。
(穂村弘「もしもし、運命の人ですか。」)
#010430
幸せというのは、自分が幸せであると気づくこともなく、ちょっとした不平不満をもらしながらも、平凡な毎日を送れることなのかもしれない。
(小川糸「ライオンのおやつ (ポプラ文庫)」)
#010433
でも、あの人が、人生最後の恋人になるかと思うと、ちょっと悔しい。
(小川糸「ライオンのおやつ (ポプラ文庫)」)
#010449
おっしゃることはわかりますが、それをそのままうのみにする気はありませんよ、という意味の“なるほど”だ。
(草上仁「キーヴの墓掘り」)
#010450
おっしゃることはわかりますが、それをそのままうのみにする気はありませんよ、という意味の“なるほど”だ。
(草上仁「キーヴの墓掘り」)
#010451
あの人の聡明さは、周囲をもおのずと啓蒙してしまう。
(冲方 丁「月と日の后」)
#010461
わからなかった。いつも自分に向ける、あの柔和な微笑みの裏で、ひどく悲しんでいるだろうと想像するだけだ。
その悲しみが、どれほど深いものであるか、推し量ることもできない。
果たしてこの自分が、癒やし、慰めることが可能な悲しみであるのかも。
この自分が彼にしてあげられることが、なんなのかも。
それらがわかれば、と願わずにはいられなかった。
(冲方 丁「月と日の后」)
#010464
あくまで彼女たちは打算で動く。計算で誰につくかを決める。
(冲方 丁「月と日の后」)
#010467
寂しくはあったが、孤独ではなかった。
(冲方 丁「月と日の后」)
#010471
──わたくし、けっこう頑張りましたよ。早く、あなたと昔語りがしたいわ。
(冲方 丁「月と日の后」)
#010472
そもそも何か問題を解決しようというときに重要なのは、正しく考えることであり、人と違った考え方をすることではない。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010474
視点があるからこそ盲点がある。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010475
成功するチームは多様性に富んでいるが、その多様性には根拠がある。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010476
集団の支配者が、「異議」を自分の地位に対する脅威ととらえる環境(あるいは実際にそれを威圧するような環境)では、多様な意見が出にくくなる。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010477
人は熟練して深い知識があるからこそ、現状にとらわれやすい。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010482
不信感は人から人へ伝染します。でも信頼も伝染することがあるんです。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010483
絶えず変化を続ける世の中では、初期設定に疑問を呈する力があるかどうかが大きな違いをもたらします。
(マシュー・サイド「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」)
#010490
けれどそれがいやではなかった。あまりにも簡単に、ひょいっと飛び越えてこられると、逆にどうでもいいかという気になった。
(小坂 流加「生きてさえいれば」)
#010491
母からの手紙があった。封書を裏返さなくても、字を見ればわかる。僕の名を幾千回も綴ってきた字だ。
(小坂 流加「生きてさえいれば」)
#010492
誰かに殴られたり恨まれたりしても、あらかじめインプットした軌道通りに進んでいく人生より、今の方がいいに決まっている。
(小坂 流加「生きてさえいれば」)
#010493
何もなければいい。ずっとずっと、こうやって僕の傍で彼女が笑っている今日があって、明日を越えて、季節を巡って、生活を重ねていければいい。
(小坂 流加「生きてさえいれば」)
#010497
人はね、どんなに悲しいことがあっても、どれほど絶望しても、ひとつの感動や、ひとつの喜びや、ひとつの恋で生きられるの。
(小坂 流加「生きてさえいれば」)
#010498
人はね、どんなに悲しいことがあっても、どれほど絶望しても、ひとつの感動や、ひとつの喜びや、ひとつの恋で生きられるの。
(小坂 流加「生きてさえいれば」)
#010500
あえて言いますよ。世界初ならなんでも許されると思うなよ。
(長谷敏司「準備がいつまで経っても終わらない件」)
#010505
私たちにとって、価値観とはパラメータであり信仰ではありません。
(安野貴博「シークレット・プロンプト」)
#010508
早かろうが愛す。怒ろうが愛す。信じなかろうが愛す。拒絶しようが愛す。泣こうが喚こうが、あなたを愛す!
(竹田人造「月下組討仏師」)
#010512
人間もそんなものかもしれません。固いネジの上でから回りし、小さな材料の前で頭を抱える。いちばん大切な作品はいつまでたってもできあがらず、そうでないものばかりを拵えている。拵えてしまってからそう気がついている。
(飛浩隆「什麽生の鑿」)
#010514
書いている先から陳腐化するこの原稿、読者の方の目に触れる時どれほど陳腐化しているか、楽しみである。
(鳥海不二夫「この文章はAIが書いたものではありません」)
#010515
あの人が本気で裏道を通したらとっくの昔に承認されてる。
(恵 三朗, 草水 敏「フラジャイル(25)」)
#010516
いーえ、思ったことはどんどん言ってください。次も言いやすいように、アメちゃんをあげよう。1000回に1回くらいは役に立つかもしれん。
(恵 三朗, 草水 敏「フラジャイル(25)」)
#010517
この世に確信的な大悪党なんていねぇのよ。そこには無数の保身があるだけなんだ。
(恵 三朗, 草水 敏「フラジャイル(25)」)
#010519
評論家が勝手な観念論をもてあそぶのは自由である。しかしこの実証にもとづかない観念論を発表することは、真面目に働く者の邪魔をする場合が多く、その罪はきわめて大きいといわなければならない。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010520
無からなにかを創造することはやさしくないが、崩れたものを再建することも至難である。これは大変なことになったと思った。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010521
現状は想像を絶するくらい悪い。しかしこれは逆に見れば、これ以上悪くなることは不可能であるということではないか。そうすると私がなにをやってもそれは必ず改善になるはずである。要するになんでもよいから気のついたことからどしどしやればよいのだ。働きさえすればよいというような、こんなありがたい職場がほかにあるものか。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010522
十月以後実施という決定があれば、問題はそれまでもちこたえられるかではなく、どうやってもちこたえるかということで、これは技術の問題で私にお委せください。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010523
私は生意気な人は多くは仕事に対する欲求不満がある人であり、能力に比べて充分仕事をさせてもらえないから自己宣伝をするのだと思っているので、これらの批評はあまり気にならなかった。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010525
一生懸命仕事をしているときに、ことに相手と闘っているときに、本来味方であるべき上司から裏切られる辛さを私は数回経験しているだけに、この支持はうれしかった。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010529
まず本質的に方針のない技術は不毛である。
(服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」)
#010535
理解するとは、人の気持ちが分かるとは、そもそもどういうことでしょうか。適切なときに、適切な言葉をかけることですか? それとも、困っている問題を物理的に解決することですか。教えてください。僕は、あなたのためになにができるのでしょうか?
(島本理生「私だけの所有者」)
#010539
しかし、親も人間だ。徒労感に心が折れることもある。
(宮部みゆき「色違いのトランプ」)
#010540
――いっつも吞気そうな顔しちゃって。
できるだけ穏やかな人生を渡ってゆくために、そんな顔が必要なこともある。
(宮部みゆき「色違いのトランプ」)
#010543
歩き出さないかぎり、これ以上家に近づくことはない。
だから、あたしは歯を食いしばって足を踏み出した。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010546
たぶんどこかに教訓があるけど、今日は教訓を考えないことにした。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010547
そう考えるのはあんまり筋が通ってないかもしれないけど、正しい気がした。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010548
店で仕事に打ち込んだけど、考えずにいるにも限界がある。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010549
あたしはまだうまくやれてないし、この先もずっと無理だ。でも、そういうものなんだろう。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010551
──いくらなんでも、あたしってそんなに鈍くないよね?
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010552
あんたって弟みたい。最高にむかつく意味でね。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010554
じゃが、愚かであるほうが安全ではございましょう。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010556
誰かが信頼してくれてるのはいいことだ、たとえ同じ年ごろの女の子にすぎなくても。あれだけ自分自身を信じられたらいいのに。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010558
ちょっとでもおいらが役に立つことがあるとしたら、これだけかもしんねえ。やらせてくれよ。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010559
二週間前。あれは二週間前だった。この二週間であんまり年をとったから、髪が白くなるんじゃないかと思うぐらいだ。
(T キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」)
#010563
「青春」とははたで見るほどすばらしいものでも何でもなく、不細工で、汗くさくて、はずかしくって、何ともやりきれないものである。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010564
陰惨で、息苦しいものであると同時に、一方では、途方もなく無責任で、間がぬけていて、ムチャクチャで、ばかばかしくて、素頓狂で、おかしいものなのである。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010565
少年というものはいやらしく、情容赦なく残酷なものである。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010566
──闘争心や集団的憎悪は、刺戟のつよい、危険な美酒である。特に、酩酊耐性のすくない若者たちは、これに酔っぱらいやすく、また泥酔の味に溺れやすい。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010568
「知識の体験的拡大」という面から見れば、学校で、四、五千年前の何とか戦争の歴史を、アクビをかみころしながら暗記するよりは、農村や工場のほうが、はるかに面白い「学校」にちがいない。そして、学問や知識というやつは「面白い」と感じなければ、絶対身につかないものである(この点から見ても、現在の「受験型」「知識つめこみ型」の学校教育と、そうならざるを得ない教育システムは、若干疑問がある)。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010569
青年の毒にそまること、何ぞその速やかなる、である。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010570
──ははあ、と私は何となく思った──なるほど、東京の次は、関西か……。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010576
それぞれの分野において新しい地平が求められ、追求はすすんでいるが、すすめばすすむほど、一つの分野だけでは、問題が解決しきれない状態が出現しつつある。
(小松 左京「やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記」)
#010577
残念なことに疑問はどんどん増えていくばかりで、それも、犬に追いまわされた鳩の群のようにあちらへこちらへと散らばっていく。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010579
「それは運命ですね」
幸運か不運か、どちらの運命であるかはたいてい口にされない。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010583
あなたのとんでもなく豊かな想像力、ほんとにわたしのお気に入りですよって、言ったことはありましたっけ?
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010584
大変なときもあったけれど、一生懸命働くことでそれを乗り越えてきたのです。その才能を、不正直な近道をとることでだいなしにしたりせずにね。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010585
あなたが見ているのは、ひとつの家族が何年にもわたる努力を乗り越えてきた結果としての姿です。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010588
幸せになってくれればそれでいい。その〝幸せ〟がどのような種類のものであってもだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010591
「あたし、冒険は好きじゃない」
「同感です」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010592
子供というものは、一見優しそうな大人にあまりにも簡単になつきすぎる。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010598
だって、何があったって赤ん坊は生まれるんだし、人は安らぎを求めるんだし、死んでく人だっているんだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010600
「危なくない?」
「まあ、危険でしょうね」ため息をつく。「でも、それにも慣れてしまったようです」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010601
「わたしはどうやら悪い魔術師のようですね」
「悪くったって、あたしたちの魔術師よ」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010603
「ひどく動転していた。とてもじゃないが無視できなかった」
「ああ」心が温まった。
心配ではあったが、それでも心が温まった。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010606
ほんとうに聞きたいのはそこではない。だが、〈あなたがたふたりはどうやって、死によっても断ち切られることのない絆を築くことができたのですか〉という問いは、一時間前に知りあったばかりの相手にむけるには、あまりにも立ち入りすぎている。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010610
世の中が危険であることばかりでなく、大人たちもまた弱いということを、いやというほど知ってしまったのだ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010611
仮病を使ったりしない連中の半分は、大丈夫です、何も問題ありませんとか言いながら、最後にはぶっ倒れちまうんですよ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010612
〈文句なんて夢にも思ったことはありません〉
〈ご冗談。いつだって文句ばっかりじゃないの〉
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010613
〈意味のない謙遜で優位な立場を無駄にするんじゃありませんよ〉
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010614
そうした仕事をうまくこなせることはわかっていても、好きではないのだ。自分ではない誰かがやってくれるなら、そのほうがありがたい。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010616
〈心配事なんて一日にひとつあれば充分でしょ〉
一時間にひとつ起こっているような気もする。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010620
〈この手紙には、あなたの気を散らして仕事のさまたげになるようなことは何も書かれていませんね。よい妻とはそういうものです〉
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010621
「わたしは……」
妻を支え妻に信頼される人間になりたいのであって、甘やかしたり問題を隠したりしなくてはならない相手だと思われるのは心外だ。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010622
要求は無限につづくのに、わたしの力は無限ではありません。
(ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリックの仮面祭 五神教シリーズ」)
#010628
アイデアはシンプルであるほど結果に力を遺す。
(津原 泰水「綺譚集」)
#010629
時が私の商品価値を着着と下落させていたせいもあろうし、たぶん変化というのは概ね人間からなにかを剝ぎとるものなのだ。
(津原 泰水「綺譚集」)
#010631
私はたぶん、娘の人生に興味がなかった。興味の対象は常に、会社に翻弄され、揉まれ、潰されかかっている自分自身だった。それ以外は無害なパノラマであってほしかったのだ。
(津原泰水「11 eleven」)
#010632
どうしてお前は、自分にその資格ありと錯覚できたのかと。
(津原泰水「11 eleven」)
#010634
創っては壊し壊しては創りの人生を自認してきたが、正しくは、創っているつもりで何もかも壊し続ける人生であったかもしれない。
(津原泰水「11 eleven」)
#010639
正当性を説いたけれど、一度としてみずからの言葉には酔わなかった。巷の論者を演じている風ですらあった。
(津原泰水「11 eleven」)
#010642
恩を売りに来たのだから、仕事は難しいほどありがたいとも言える。
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3」)
#010644
だが、誰も二人がどこから来たのか聞かなかった。どういう身分か、誰の保護下にあるのか、二人がどういう関係かも聞かなかった。二人が聞かれたのは、やれるかやれないかだけだった。
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3」)
#010645
あなたの体はあなたのものです。あなたが決めてください。
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3」)
#010647
自分たちのやり方が宇宙でただひとつのやり方だと思っていて、大きな力があるのをいいことに世界の隅々まで手を伸ばしていて、やり方の違う相手は例外なく仲間に引きこむか、力で従わせるかする。決して放っておくことはしない。
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3」)
#010649
私たちが馬鹿じゃなかったことなんて、ありました?
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3」)
#010650
私は絶対に想い続けます、あなたよ在れと。だから心配しないで──。
(小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3」)
#010651
「あたし、ツイてたのね」
「はい」
「今までの人生でツイてることなんかなかったけど、これで風向きが変わるのかなあ」
(宮部 みゆき「ぼんぼん彩句」)
#010655
月の嘆きを、あたしは知った。
この光では浄化できないものもあるの。ごめんなさいね。
(宮部 みゆき「ぼんぼん彩句」)
#010656
月の嘆きを、あたしは知った。
この光では浄化できないものもあるの。ごめんなさいね。
(宮部 みゆき「ぼんぼん彩句」)
#010657
嫌われた子供は不運だ。だが、その不運を「不幸」にまで煮詰めてしまうかどうかは、本人次第である。
(宮部 みゆき「ぼんぼん彩句」)
#010662
それは、やったことのない者にはわからない醍醐味があるってことよ。
(宮部みゆき「青瓜不動」)
#010664
ーーまあ、ご亭主も含めて、身内の男衆はおろおろするのが務めだからね。
(宮部みゆき「青瓜不動」)
#010665
目と鼻の距離だが、嫁ぎ先と実家の間には、足で歩く距離では測りきれぬものもある。
(宮部みゆき「青瓜不動」)
#010670
自分がさんざん馬鹿なことをしたから、おとっつぁんだって馬鹿なことをするときもあるだろうって思って……いつまでも怒っていられなかった。
(宮部みゆき「青瓜不動」)
#010673
「どっちにとっても得な取引なんですね」
こういう計算をちゃんとできるのが、いい商人なのである。
(宮部みゆき「青瓜不動」)
#010676
しかし本物の悪党だけは、これを悪夢と思っていないはずである。
(宮部みゆき「青瓜不動」)
#010685
たったいま、道が見つからぬからと言って、やすきにつけば、行きつく先は亡国の道ではありませんか。
(葉室麟「神剣 人斬り彦斎 (角川文庫)」)
#010686
そうでしょうか。わたしにはなさねばならぬことを後回しにして、容易いことをまず行おうとしているようにも見えます。怯懦なのではありますまいか。
(葉室麟「神剣 人斬り彦斎 (角川文庫)」)
#010687
報われようと思ってなしてきたことではありませんから、それはかまわぬのです。
(葉室麟「神剣 人斬り彦斎 (角川文庫)」)
#010688
先生は、何をなしたかを考えるなとも仰せであった。ひとはただひたすらにおのれの道を進めばよいのだ、さすれば、後から続く者は波のごとしであろうと。
(葉室麟「神剣 人斬り彦斎 (角川文庫)」)
#010689
ひとはいかなる逆境にあろうとも、思いさえ定かなら世の中を動かし、国の行く末を変えることができるのだ。
(葉室麟「神剣 人斬り彦斎 (角川文庫)」)
#010692
科学者がいなければ科学は、信じる者がいなければ宗教は、くすぐる者がいなければくすぐったいという感覚は存在し得ないのだろう。だが、立法者がいなくても法律は、歴史家がいなくても歴史は、生物学者がいなくても生きものは、物理学者がいなくても物理学は、創造する人間がいなくても創造性は、物語の語り手がいなくても物語は、達成する人間がいなくても達成は、そして価値を決める人間がいなくても価値は存在することが可能だ……。客観的なこの観点からだと、主観的な何かがあるということがわかる。
(M・R・オコナー, 大下 英津子 「絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ 」)
#010693
それとなくほのめかして教えてくれた。楽しかったときというのは、往々にしてあとで状況がもっとひどくなって初めてわかるものだ、と。
(M・R・オコナー, 大下 英津子 「絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ 」)
#010695
それもいいが、群衆の中に在って孤独、他人のうずまく市井にあっての孤独もまた、なかなか良いものなのだ。
(和彦, 太田 「超・居酒屋入門 (新潮文庫) 」)
#010697
居酒屋で紳士ぶることもないが、無礼講の場でこそ、その人の人品があらわれる。
(和彦, 太田 「超・居酒屋入門 (新潮文庫) 」)
#010698
あんたの……あんたのカッコつけた所だけ見て一緒になった人じゃないだろ。
(恵三朗, 草水敏 「フラジャイル(26) (アフタヌーンコミックス) 」)
#010699
…………俺が死ぬとき泣くんだろうなあいつ
…笑っててほしいなぁ
(恵三朗, 草水敏 「フラジャイル(26) (アフタヌーンコミックス) 」)
#010701
居酒屋で紳士ぶることもないが、無礼講の場でこそ、その人の人品があらわれる。
(和彦, 太田 「超・居酒屋入門 (新潮文庫) 」)
#010704
好事魔多し? 俺の場合は、別に物事がうまく行っていない時、好事じゃない時にも落とし穴がある。どうすればいいんだ。
(伊坂 幸太郎「777 トリプルセブン 」)
#010706
「お金はある程度以上になるともう、使い道がないよ。それが分かった」
「早くその台詞を口にしたいな、と思って、練習しているんだけれど」
(伊坂 幸太郎「777 トリプルセブン 」)
#010715
思い出のある景色が木端微塵になるのを見るのは、なかなかの衝撃だった。
(久永 実木彦「わたしたちの怪獣」)
#010717
こっちには寝ているあいだに降る小雨の予報とおなじくらいどうでもいいことだ。
(久永 実木彦「わたしたちの怪獣」)
#010720
だけど、現実はそうはならなかった。ありえたかもしれない未来なんていうものは、きっとずいぶん前の分岐点で永久に失われてしまっているのだ。
(久永 実木彦「わたしたちの怪獣」)
#010721
どのくらいかかるのかは個人差があるのだそうだ。心に刻まれた傷の深さがどれくらいかなんて自分でもわからない。
(久永 実木彦「わたしたちの怪獣」)
#010722
なあ、そういうのは世のなかのやつらにいわせておけばいいんだよ。おれはおまえがどう思うかをきいているんだ。
(久永 実木彦「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」)
#010728
ゾンビになるのも悪くないような気がしてくる。感情にふりまわされることの根本的な原因は、感情が存在することそのものにある。みんながなにも考えなくてよくなるのなら、それもいいのかもしれない。
(久永 実木彦「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」)
#010729
いまからでも勉強しなさいよ。お母さんがどう思ってるかなんて関係ないわ。あなたは子供じゃないんだし、あなたが生きてるのはあなたの人生なんだから。
(久永 実木彦「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」)
#010730
「きみは本を読むのが好きなのかと思っていた」
「好きだけど、必要に迫られて読んでばかりだと、あんまり楽しくなくなる」
(ジョン スコルジー, 内田 昌之 「怪獣保護協会 」)
#010732
あいつに近づくのは簡単だ。コツがいるのは逃げるほうだ。
(ジョン スコルジー, 内田 昌之 「怪獣保護協会 」)
#010736
ここにいる人たちもほんものです。ここで生まれる絆や友情もほんものです。むしろ非現実的なのは、この世界がこんなにも現実味にあふれているということでしょう。
(ジョン スコルジー, 内田 昌之 「怪獣保護協会 」)
#010737
幾つになっても、たとえ人でない生き物であれ、愛するお方と会う時には、おきれいな姿でお会いになりたいのだなあ……。
(夢枕 獏「陰陽師 烏天狗ノ巻」)
#010741
ふたりは、なかなか、酒に口をつけなかった。
残りの酒を干してしまったら、この夜の不思議な物語が、本当に終ってしまいそうな気がしているからであろうか。
(夢枕 獏「陰陽師 烏天狗ノ巻」)
#010742
ふたりは、なかなか、酒に口をつけなかった。
残りの酒を干してしまったら、この夜の不思議な物語が、本当に終ってしまいそうな気がしているからであろうか。
(夢枕 獏「陰陽師 烏天狗ノ巻 (文春e-book) 電子書籍」)
#010743
そんな状況なら、犯罪に手を染めるより他にすべきことが絶対にあるだろうに。
(伴名練「なめらかな世界と、その敵」)
#010746
真実の愛は劇的ではありません。しかし、彼女の笑顔がいつまでも私の幸福であり、彼女との語らいがいつまでも私の安らぎである。この確信こそが真実の愛なのです。
(伴名練「美亜羽へ贈る拳銃」)
#010748
明日のわたしは、今日のわたしとは違うかもしれません。でも明日のわたしも、あなたを好きなままであることを自分自身の証として、支えとして生きることを望むと思います。
(伴名練「美亜羽へ贈る拳銃」)
#010751
資本主義者にとっての真実と、共産主義者にとっての真実は別物である。
(伴名練「シンギュラリティ・ソヴィエト」)
#010752
あなたがたの信仰を受け入れるには、どうにも卓越した鈍感さが必要なようだ。
(伴名練「シンギュラリティ・ソヴィエト」)
#010755
舌が退化したのではありません。料理が進化したのです。
(リュウジ 「料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか? (河出新書) 」)
#010756
人の死は、人の愛をかきたてる作用があるようです。
(中井紀夫「死んだ恋人からの手紙」)
#010759
俺の物語は、もう十五年前のあの屋上で終わっているのだ。なのに人生だけ続かれても仕方ない。
(大樹連司「劇画・セカイ系」)
#010763
テクノロジーはすでに、ある種の人々にとっては神であり、それ自体が新たに創造された天地なのよ。
(高野史緒「G線上のアリア」)
#010767
多分これは、悪夢的な状況ではあるのだろう。試験の準備をしていないのに、当日を迎えてしまった子羊のような気分なのかも。
(円城塔「ムーンシャイン」)
#010775
「もういいのです。なにもかも遅すぎます」
「この世に遅すぎることなどありませんよ。これほど美しき月夜には、なおさらに」
(新城カズマ「月を買った御婦人」)
#010777
誰だって、別の人生を夢見ることはあるだろう?
(中島らも「DEKO-CHIN」)
#010779
「俺は自分にあった仕事を探してる。これまでにやった仕事は、どれも、ぴんとこなかったんだ。本来の俺じゃない気がする」
「おまえは飽き性なだけだ。しあわせになれないぞ」
(中田永一「地球に磔にされた男」)
#010780
「おまえ、どうして今、しあわせだなんて言えるんだ?」
「世話をしている猫が子どもを産んだからだ」
「そんなことでか?」
「そんなことでだ」
(中田永一「地球に磔にされた男」)
#010781
今はどちらかというと、自分がしあわせになる方法ではなく、家族の幸福を願っていた。不思議とそれで心が満たされる。
(中田永一「地球に磔にされた男」)
#010786
だれがなんのためにつくったかなんて関係ないじゃない。あなたはあなたのために生きなさい。
(森岡浩之「A Boy Meets A Girl」)
#010788
「窮屈さを感じることはないのか?」
「そんなの、感じるわけない。だって、生まれたときから、私にとって世界はずっとこうなんだから」
(万城目学「あの子とQ」)
#010789
自分には、どんな可能性があるのだろう?
(万城目学「あの子とQ」)
#010790
だが、私は大きな間違いを犯した。自分には何ができて、何ができないのかを見極める前に、力を使ってしまった。
(万城目学「あの子とQ」)
#010795
自身の本心はまったくべつのところにあった。
暇つぶしである。
有り体に言えば、現状に倦んでいたのだ。
(石川宗生「うたう蜘蛛」)
#010798
まあいいじゃないですか。この世はフラスコ、人はみなマテリアルでしかないのですから。
(石川宗生「うたう蜘蛛」)
#010799
これは眠りなのか目覚めなのか、あるいはより深い眠りであるのか。
(宮内悠介「パニックーー一九六五年のSNS」)
#010804
ある男がある女と恋に落ちるのはどうしてなのかがわからないのとおなじぐらいに、ある夫婦が離婚にいたる原因もわからないものなのではないだろうか。
(中井紀夫「むかし聴いた曲」)
#010807
解き方のお手本があって、答えの出ることがわかってさえいれば、わたしはだれより速く上手に解ける。だから優等生だった。末は博士か大臣かなんて言われたもんですよ。だけど、社会へ出ると通用しないんだね、この優等生は。
(中井紀夫「隣人」)
#010808
才は花開くことを誓わぬ蕾。春が来れば全ての者どもに与えられるものではありませぬ。
(斜線堂有紀「一一六二年のlovin’ life」)
#010811
あんたは悪者に向いてないよ。
(小川一水「大江戸石廓突破仕留」)
#010812
神を呪うようになるまで、記憶を保たせたまま焼き殺し続ければいいのである。
(伴名練「二〇〇〇一周目のジャンヌ」)
#010815
指導者として教育者として次世代を育てる者は、一人の弟子も持たず単独で立っていても「師」たり得る人物であってほしい。その理想に近づくために、師たる者の内なる規範を、ほかでもない「師」同士が相互に評価し合えるシステムを構築するべきではないか──
(宮部 みゆき「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019 (中公新書ラクレ 803) 」)
#010816
自分の「現実を物語化したい」という欲求がどれほど根深くかつ無自覚なものであるかを悟って、私はいささか動揺した。
(宮部 みゆき「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019 (中公新書ラクレ 803) 」)
#010823
彼女はときどき突発的に泣きはじめて、突発的に泣きやんだ。泣きだす理由には心当たりがあったが、泣きやむ理由には心当たりがなかった。
(小川 哲「ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010833
怒鳴り声には、人間を萎縮させる力がある。
(小川 哲「ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010834
怒鳴り声には、人間を萎縮させる力がある。
(小川 哲「ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010838
最低の考えよ。無限の善を前提にすれば、あらゆる有限の悪が許容されるから。無限の善のために、想像以上の人が苦しみ、そして死ぬことになる。
(小川 哲「ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010847
誰かと誰かを繋げる仕事には、自分たちの手に負えない種類の限界がある。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010851
ああいう怪しい人物って、怪しいなりに理屈が通っているというか仁義を通すような気もして、信用してみる気になったんだ。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010852
「きっと私には理解できない難しい理由があるんだね」
そうじゃない。そう口にしたかったが、結局何も言えなかった。話しながら、自分でも何が言いたいのかわからなくなっていた。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010853
信じていたことが、あるいは信じようと努力していたことが、実はすべて幻想だったとわかる瞬間の、あの絶望と知的興奮に満ちた感情が、とても好きだった。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010855
「お前は変わってるな」
「むしろ自分ひとりが正常で、他のみんなが全員変わってるのではないか、と思うこともありますね」
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010857
その瞬間、自分は世界との決定的な距離を知る。それは優越感ではないし絶望でもない。諦観に近い何か、あるいは「お前は絶対に世界に参加できない」という死刑宣告だ。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010860
「大事な話か。なんだろうな」
「なんだと思いますか?」
「さっぱりだな。俺には大事な話なんてないからな。大事じゃない話ならいくらでもあるが」
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010861
世の中の出来事をそのまま物語にしたら、本当はみんな、そんな感じなんだ。途中まで面白そうで、何か意味がありそうに見えるけど、最後はだいたい無意味に終わる。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010863
自分はあのころ夢見ていた大人になれただろうか。わからないし、考えたくもない。理想を実現するために、自分は多くの悪を目にしながら見て見ぬふりをしてきた。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010868
彼女は欲望であり、欲望を奪った存在でもあった。つまり、生きる意味そのものだった。
(小川 哲「ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#010870
生きていくことのみに全霊で取り組まなければならない人生もあれば、生を続ける以上に、何か有意義なことに全霊を注ぐ人生もある。
(リチャード・ドーキンス, 吉成真由美, 吉成真由美 「進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義 (ハヤカワ文庫NF) 」)
#010872
聖書の第一章にも、
「人間はすべての生物の統治者である。動物と植物はわれわれの利益のために存在する」
とある。この考え方は中世を通してまったく疑問をもたれず、今日に至るまで続いています。
(リチャード・ドーキンス, 吉成真由美, 吉成真由美 「進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義 (ハヤカワ文庫NF) 」)
#010873
私は平凡な境遇に生まれ、平凡に暮らしてまいりました。
平凡は、恵みです。
平凡が恵みであることは、若いじぶんにはわかりません。
若くなくなると心からわかります。
(姫野 カオルコ 「謎の毒親 」)
#010879
たぶん、あちこちにあるのだと思います。出来事自体はちっぽけなのだけど、そのちっぽけな出来事によって、当事者はその奥に汚いものを徐々に溜めこみ、それが噴火すると自分で自分の汚い熱に焦がされてのたうちまわる。
(姫野 カオルコ 「謎の毒親 」)
#010880
白眼視されつづけられよ。
それでよろしい。何かを得るためには何かを失うこともあります。
(姫野 カオルコ 「謎の毒親 」)
#010884
「不思議に感じることにも、本当は必ず正体があるんだ。そいつをこれから解き明かしてやるんだ」
――ふぅん。たいそうな志だな。しかし中には知らんほうがいいことだってあるんだぜ。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010885
あの子がちゃんと自分の口で云ったらね。そのくらい云わないといけない。親子だってそこまで甘かぁないんだ。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010887
そりゃあね、新しいものはなんであれ、束の間は斬新だよ。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010893
別にあたしゃあ、世の中の謎を解くために長生きしてるわけじゃあないからね。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010897
心なぞ、ひとつあれば十分なのに。どうしてまったく逆の気持ちが、わざわざ一緒に湧き起こるのだろう。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010900
そういう変化の中で、少しの時間、寄り道させて、僕らが楽しませてもらっているだけのことだからね。あとは自然に任せることだ。そいつを妨げるのは邪道だよ。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010903
「世の中には僕の知らんことがまだまだあるんだな。僕の知らん世界が」
「そりゃあそうです。きっと知ってることより知らないことのほうがずっと多いと思います」
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010905
僕の目指す学問が活かされる場はあるはずなんです。一輪の花から、一葉の葉から、一匹の昆虫から、見出せるものは山とある。
(木内 昇 「よこまち余話 (中公文庫 (き37-2)) 」)
#010907
ときどき、父とのあいだの結びつきを感じるときがある。マングローブの木が隠れた根で小さな〝子ども〟の木とつながっているのと同じように。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010908
むずかしすぎる言葉を使ってしまった自分に腹が立った。せっかく、科学の話をしてくれているのに、少しでも知識があるところを見せたら、この人は話すのをやめてしまうだろう。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010911
物静かな人間には、口数が多い人にはない空気を読む力がある。会話の風むきの変化を感じとり、言葉にされなかった怒りの冷たさに身を震わせるのだ。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010912
男にとって家は安らげる場所であり、戦わずして主でいられる場所であるべきだ。そんなにすぎた望みだろうか?
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010920
でも、愛してきたのだ。あまりにも強くあまりにも長く慕いつづけてきて、いまさら手を離すことなどできない。この心と魂は、父のマストに釘づけになっているのだから。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010924
迷信に屈するつもりはない。わたしを支配するのは自分の精神であって、恐怖ではない。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010925
あまりにもなじみのない強い感情で、わがものとして感じることができない。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010927
さしだすのは噓の一部だけでいい。あとは人々の想像力が、すきまを埋めてくれるのだ。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010939
あなたはたいせつな娘よ。でも、なにをいっているのか、ちっともわからないわ。
(フランシス・ハーディング, 児玉 敦子 「嘘の木 (創元推理文庫 Mハ 27-1) 」)
#010941
現代において、歴史に関する知識を持たないことは大きな損失である。歴史はサンクコストではないのだ。
(アンドリュー・スチュワート「情報セキュリティの敗北史-脆弱性はどこから来たのか」)
#010942
医学的な判断基準にのみ依存して、その背後に隠れている職場の問題を見逃すべきではない。メンタルヘルス不調を「心の病気」と表現し、治療の対象とするあまり、その社会的・構造的原因を曖昧にしてしまうからである。
(大和田 敢太 「職場のハラスメント なぜ起こり、どう対処すべきか (中公新書) 」)
#010943
だから、知ったかぶりするな。おまえは黙っていればただの可愛げのある馬鹿だが、口を開けば縛り首級の大馬鹿だ。
(東山 彰良「ブラックライダー(上) (新潮文庫) 」)
#010946
「やつがそれほど悪いことをしたとはどうしても思えないんだ」
「きっとそんなことを考えなくてもいいように法律はあるのよ」
「なぜおれがだれかの決めた価値判断に従わなきゃならない?」
(東山 彰良「ブラックライダー(上) (新潮文庫) 」)
#010947
この世界を神が創ったのだとしたら、人間は聖書のとおりに生きていけばいい。だけど聖書が時代遅れの取扱説明書になっちゃったのだとしたら、新しい世界には新しい世界の取扱説明書が必要なの。あたしたちはそれに従って生きていくしかないんだわ。
(東山 彰良「ブラックライダー(上) (新潮文庫) 」)
#010955
「この世界が良くなっていると思いますか?」
「おれは五十六だ。この世界が良くなろうが悪くなろうが、ありがたいことに、もうどうでもいい」
(東山 彰良「ブラックライダー(上) (新潮文庫) 」)
#010959
一度運に見放されると、やることなすこと裏目つづきになることがあるが、逆に一度運がつくと良いことがつづく。
(東山 彰良「ブラックライダー(上) (新潮文庫) 」)
#010961
「チームはあくまで課題と戦っているのであり、チームは全員で協力して課題と対峙するのだ」という姿勢を崩してはいけません。
(出石 聡史「ソフトウェア開発現場の「失敗」集めてみた。 42の失敗事例で学ぶチーム開発のうまい進めかた eBook 」)
#010969
すでに力を振るった後でそれがないふりをするのは謙虚とは言い難いね。権利はなくても責任というものがある。やりたいようにやって、後始末はしない、という態度を取るのかい?
(小川一水「持ち出し許可」)
#010978
王になりたかった。みんなの幸せのために。
王になれなかった。世界はあまりにも複雑で、自分があまりにも不甲斐ないから。
(菅浩江「キング 《博物館惑星》余話」)
#010979
どんなプロフェッショナルにも、失敗があり、挫折があり、不遇の時代がある。そんなとき、彼は世人からは見えない舞台裏に引き篭もって、愚痴ったり、捨て鉢になったり、膝を抱えて泣き濡れたりする。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010980
君にとって現実とはなんであるのか。それはようするに奥さんの尻の下だろう。そこはそんなに居心地の良いところかね。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010985
私たちはこの世界の仕組みについて、ほんの一部分しか知らないのである。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010987
非の打ちどころのない正論である。
しかしそれがそのとおり実行できるかどうかは、まったくべつの問題だ。人生のドン底を這いまわっている人間には、「正論に従ってたまるか」という不条理な欲望が目覚めるのである。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010989
私は何の説明もしてあげられなかった。これでは十二年前と何も変わらないじゃありませんか。それどころか、もっと、もっと、分からなくなっている。どうしてこんなに無力なんだろう。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010990
忘れられるわけがないではありませんか。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010991
どうしてあんな怪奇小説のような非現実的な事柄に心を奪われていたのだろう。こうして新鮮な朝を迎えてみれば、身のまわりの美しい世界には何ひとつ変わりがないように思える。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010992
そして何よりも、貴君の友情に深く感謝したい。すっかり絶望して闇の世界をさまよっていた私にとって、貴君との出会いは天から射してきた一条の光であった。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010995
打ち明けて言うと、俺はべつにどちらでもかまわないんだよ。それが役に立つのであればね。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010997
僕の心はつねに君とともにあることを忘れないでほしい。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#010998
もう十分あの人には苦しめられてきたでしょう。あの人が無謀な冒険に出たからといって、どうしてあなたまで道連れにならなければならないの。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#011000
私の世界は様相を変えていた。その中心にはぽっかりと穴があいていた。
(森見 登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 」)
#011004
彼によって書きつくされた感じであり、この分野の発展は、しばらく停滞するかもしれない。
(星 新一「進化した猿たち―The Best―(新潮文庫) eBook 」)
#011007
熟達は、熟達者から「非熟達者であった頃の思いや感覚」を奪っていきます。
(中原 淳 「フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書) 」)
#011011
「何とかなると思えば、たいてい何とかなる」という非論理的な強い信念が私にはある。
(高野 秀行 「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 」)
#011013
あまり賛同できなかった。賛同できるほど、人間が完成されていたら、もうこんなことはやっていないだろう。
(高野 秀行 「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 」)
#011014
自分が喰らうべき獣に哀れを感じるのは、われわれが自然から離れすぎてしまったからだとわかっているのだが、わかっているだけである。
(高野 秀行 「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 」)
#011015
喋りまくる。誰も他人の話を聞いている奴などおらず、自分の感想、感動を押しつけあっている。
(高野 秀行 「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 」)
#011017
こっちは後始末で大変だというのに何と勝手な奴だ。全くうらやましいったらありゃしない。
(高野 秀行 「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 」)
#011018
なにげなく関心を抱いた事柄が、いつの間にか内部で大きく膨れ上がり、手のつけられないほど大きくなってしまうことがある。そういう状態になったら、それはもう止まらない。
(高野 秀行 「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 」)
#011022
難しければ難しいほど取り組みがいがある。それに、これはあきらめてはならない問題だと思う。
(宮西建礼「もしもぼくらが生まれていたら」)
#011024
――あなたもいつか大切な方ができたなら、如何なる隔てがあろうとも、憶することなく、怖じることなく、その方のもとへと向かうのですよ。
(空木春宵「終景累ヶ辻」)
#011026
慰み、偽り、思い込みからはじまる恋路だってあるのだ。
(石川宗生「ABC巡礼」)
#011030
この恐ろしく歩みの鈍い進化は、俺にとって心理的な枷以外の何物でもなくなっていた。ゼロなら、あるいはマイナスなら諦められたかもしれないのに、ごく僅かずつ積み上がっていくプラスのせいで投げ出すこともできず、ただひたすら益の薄い行為を徒労を感じながら続けるほかなかったからだ。
(門田充宏「Too Short Notice」)
#011031
深くぬくぬくとした虚無から目覚め、自分が何者であるかを思いだすのは、あまり愉快なことではない。
(ジョージ・R・R・マーティン, ガードナー・ドゾワ, ダニエル・エイブラハム, Stephan Martiniere, 酒井昭伸「ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫 SF マ 11-1) 」)
#011035
あんなにしぶといやつが、そう簡単にくたばるはずはない!
そうでなくてはこまる!
(ジョージ・R・R・マーティン, ガードナー・ドゾワ, ダニエル・エイブラハム, Stephan Martiniere, 酒井昭伸「ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫 SF マ 11-1) 」)
#011040
実は言語というのは、その言語を話す種族の、世界の切りとりかたの体系である。だから話すことばによって世界のありようがことなる。言語は思想そのものなのだ。
(高島 俊男 「漢字と日本人 (文春新書 198) 」)
#011041
彼らが議論をするのは、議論を好むが故であり、自由奔放な精神を可能性の道に疾駆させることを好むが故であり、また、疑問にされない事柄に対して疑問を抱くことを好む故であった。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011044
思想の本質は伝達にある──書くこと、しゃべること、行なうこと。思想とは草のようなものだ。それは光を必要とし、群生を好み、交雑することによって繁殖し、踏みつけられるたびにより強靭に成長する。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011045
この世界の恩恵に浴する権利は彼にはない。それは人々の労働と献身と忠誠によって購われ、維持されてきたものだ。〈楽園〉は〈楽園〉を造る者のためにある。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011047
まるであなたがわたしの持ち物みたい! でもね、人って、年を取ってくるとなにか心の支えになるものが必要になってくるのよ。それが必ずしも完全に理屈に合ったことでなくてもいいの。ただ生きていくためだけに。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011051
造物主は器を酷使し、そのあげく使いものにならなくなると捨て去って新しい器を手に入れるものだ。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011052
無益な仕事が人の心を暗くするのだ。子を育てる母の喜び、学者の喜び、獲物に恵まれた猟師の喜び、腕のたつ料理人の喜び、熟達した職人の喜び、誰であれ必要な仕事を立派に果す者の喜び──この持続性のある喜びは、おそらく人間の情愛と社会性のもっとも深い根源であろう。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011053
あの頃のあたしときたら、みんなと違ったふうになりたくてなりたくて。なんでだったのかしらね?
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011054
全員にいきわたるだけの物資がある時に分ち合うのはたやすい。たとえ、かろうじていきわたるだけしかない場合でも。しかし、それだけのものもない時は?その時は圧力が介入してくる。力が大手を振ってまかり通るようになる。権力と、その道具である暴力と、そして権力のもっとも親しい盟友であるところの見て見ぬふりをする目と。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011057
頭脳を使う人間の仕事は、一つの真実を、もう一つの真実を犠牲にして否定するのではなくて、二者を包括し、結びつけることにある。それは容易ならざる仕事であった。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011058
あなたは逃げることはできても隠れることはできない。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011059
なんぴとといえどもわたしが到達したいと希望しているところまで行こうという考えのない人にはわたしを止める権利はありません。
(アーシュラ K ル グィン, 佐藤 高子 「所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 」)
#011066
ああいうの、性格が才能って言うんだろうね。
(加納 朋子「カーテンコール! 」)
#011067
将来なんて知らない。目と鼻の先でさえ、白い霧に隠されているのに。未来なんて、そんなあるのかないのか不確かなもの、考えることなんてできない……そう思った。
(加納 朋子「カーテンコール! 」)
#011070
未曾有の災害の時に、気象庁は言いますよね。命を守る行動をして下さい、と。ここで私があなた方に伝えておきたいのも、そういうことです。もう駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。そして、自分の言葉で、直接『助けて』と言える人を探して下さい。我と我が身を救うための、知恵と勇気を身につけて下さい。
(加納 朋子「カーテンコール! 」)
#011071
あなた方のように若い人が向き合うべきは、未来の自分です。二十年やそこらの過去なんて、今から充分取り返しがつきます。十年先、二十年先に自分がどうなっているか。どうなりたいか。すぐには答えが見つからなくとも、考え続けるのをやめないで下さい。
(加納 朋子「カーテンコール! 」)
#011072
あなた方はこれより新しい舞台に立ち、新しい脚本で、新しい人生を演じるのです。どうか失敗を恐れないで下さい。観客を恐れないで下さい。大丈夫。とちったくらいで死にはしません。恥なんて、かいてなんぼです。あなた方の舞台で、あなた方は間違いなく主人公なのですから。
(加納 朋子「カーテンコール! 」)
#011073
あなた方は、素晴らしい。過酷な灼熱の太陽の下で、すっくと天を仰ぐ大輪の花のように、とてもとても素晴らしい。
これは魔法の呪文です。これから先、何か困難に出会ったとき、自己嫌悪に陥ったとき、そっとつぶやいてみて下さい。『私は素晴らしい』と。
(加納 朋子「カーテンコール! 」)
#011076
まだ起きてもおらぬことをありありと想像し、恐怖を抱き、いらぬ心配をし、そこから逃れるためにあれこれと策を練る。己が行く末を勝手に確信し、己が運命を自らの手で支配しようとする。人は、それが楽しくてたまらぬ。
(上田 早夕里「播磨国妖綺譚 伊佐々王の記 (文春e-book) 電子書籍」)
#011079
誰からも称賛を受けずとも、舞い続けられる者がいる。
皆から誉めそやされていながら、あっさりと芸の道を捨てる者もいる。誰もがほしがるその才が、本人にとってはどうでもよく、才が本人にとって苦痛でしかないこともあるのだ。
(上田 早夕里「播磨国妖綺譚 伊佐々王の記 (文春e-book) 電子書籍」)
#011083
「あのときはいい考えだと思った」
「世界中の半分の人間の墓碑銘に使えそうな言葉だね」
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011087
何が起きるかはもう知ってる。だれもが死ぬまで生きて、たいていの人はきつい人生を、一部の人は楽な人生を送る。子供を手放す人もいれば、引きとる人もいて、変わったところがあっても、家を見つける人もいる。
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011088
昔からの知恵にもあるとおり、歴史を知らない人は歴史をくり返すことになります。
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011089
どんなことであれ指導者が失敗するところはだれも見たがらない。
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011091
ある曲を何度演奏しても、同じ音楽は二つと生まれない。
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011092
この子はわたしに似てるんじゃない、わたしそのものだ。あいにく二十年遅く生まれてきたせいで、うまいことやれないわたし。
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011093
ふつうに話すだけだと、過去に囚われた不機嫌なこぼし屋の気分になることがある。それを音楽で表現する時間をもらえれば、もっとうまく伝えることができる。
(サラ・ピンスカー, 市田 泉 「いずれすべては海の中に (竹書房文庫 ぴ 2-2) 」)
#011096
そんなつもりで言ったんじゃないわ。ただあなたがほかの仕事で満足できるのかなと思っただけ。
(ルーシャス・シェパード, 内田昌之「竜のグリオールに絵を描いた男 竜のグリオールシリーズ (竹書房文庫) eBook 」)
#011098
目が覚めたら世界が問題をかかえていることに気づいて、自分が愛のおかげであんまり幸せなものだから、みんなにも幸せになってほしくなる。
(ルーシャス・シェパード, 内田昌之「竜のグリオールに絵を描いた男 竜のグリオールシリーズ (竹書房文庫) eBook 」)
#011103
「おまえは自分自身を信用していない。他人を信用できるはずがないだろう?」
「そうだなあ。ぼくのいちばんの強みはいちばんの弱みでもある」
(ルーシャス・シェパード, 内田昌之「竜のグリオールに絵を描いた男 竜のグリオールシリーズ (竹書房文庫) eBook 」)
#011112
わたしが観察したかぎりでは、午前三時のデニーズに幸せな人びとはあまりやってこない。
(ルーシャス・シェパード「「竜のグリオールに絵を描いた男」作品に関する覚え書き」)
#011113
いい奴らだが、そこは流石に仕方ねえと思う。いくら想像したって、経験しなきゃ分からんことってのは、絶対にあるもんだ。
(阿部 智里「空棺の烏 八咫烏シリーズ 4 (文春文庫)」)
#011118
正気……ではないかもしれないけれど、少なくとも、本気なのは確かだよ。
(阿部 智里 「玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫) (文春文庫 あ 65-5) 」)
#011119
世界に星の数ほどある不条理と戦うのは無理だ。ならばいっそ世界そのものを不条理にすればよろしい。
(辻真先「平和の戦士は死なず」)
#011125
半世紀も時間があって、身勝手さを反省すらしなかったのか! みんな、いろんなことを、苦しみながら、耐えて、時間で洗って、前に進んでるってのに。
(長谷敏司「wash」)
#011126
時間は、それでしか洗い流せないものを洗うためにあるのさ。
(長谷敏司「wash」)
#011127
あの頃は楽しかった。小さな不満はあっても、大きな不安はなかった。
(斧田小夜「食火炭」)
#011132
人間は自分が知っていることはまわりも知っていると思いたがる悪い癖があるからです。あるいは自分が知らないことはまわりも知らないと思いたがります。
(マーサ・ウェルズ, 中原 尚哉 「システム・クラッシュ:マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫) 」)
#011134
不安と懸念事項が五十七項目あり、自分の感情を抑えることもその一つです。しかしいまはなにもできません。
(マーサ・ウェルズ, 中原 尚哉 「システム・クラッシュ:マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫) 」)
#011140
一体何をしたかったのか、さっぱり分からなかったからだ。
賢いがゆえのあてつけだったのか、馬鹿であるがゆえのわがままだったのかは判断がつかない。
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011141
本当に恐ろしいものは目に見える暴力ではなく、脅威であるという自覚すら出来ない忘却だ。忘れてしまうことは簡単でも、失った記憶を取り戻すことは、果てしなく難しい。
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011144
よく出来た人物だった。
人としての賢さがあり、皆に慕われていた。
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011148
変な話をしてしまったな。だが、真剣に聞いてくれてありがとう。
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011149
なあ。自分の罪を、自分にとって不都合な部分をすべて忘れた生き方は、楽しかったか?
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011152
……私だって、色々と馬鹿をやって、それで学んだことがあったってだけのことだよ。
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011153
執念深く生きていれば、思わぬところから、解決策が飛び出てくることもある。
(阿部 智里 「弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 」)
#011164
戦って死ぬ。
それが最も輝かしい生の在り方だった。
そうではない生き方があってもいいのではないか。
(吉上亮「聖歌隊」)
#011175
この身体がふたつに裂けでもしないかぎりあんたを渡しはしないし、そいつは誰にとっても大仕事になるだろうよ。
(E.E. スミス「銀河パトロール隊 (創元SF文庫 ス 1-1 レンズマン・シリーズ 1) 」)
#011177
しかし、誰が言ったのかずっと昔の、『一般法則化は正しくない、この言明すらも』という言葉もあるぞ。
(E.E. スミス「銀河パトロール隊 (創元SF文庫 ス 1-1 レンズマン・シリーズ 1) 」)
#011182
それがなんになる? なんの意味もない。何かを与えてくれるか? 何もありはしない。
(E.E. スミス「グレー・レンズマン (創元SF文庫 ス 1-2 レンズマン・シリーズ 2) 」)
#011187
それより何より、いま言ったように、わたしはあなたと結婚するつもりなの。あなたがどう考えているかには関係なくね。
(E.E. スミス「グレー・レンズマン (創元SF文庫 ス 1-2 レンズマン・シリーズ 2) 」)
#011198
ある個人にとっては天地がひっくり返るような出来事でも、他人にとっては、組織にとっては、大抵のことは日々過ぎ去っていく些事だ。
(津久井五月「生前葬と予言獣」)
#011200
コミュニケーションなんてのは人間がやるべきことじゃねえ。だってそうだろ、あんなもんはあらかじめ殺し合いに至るための布石だ。
(海猫沢めろん「月面における人間性回復運動の失敗」)
#011204
あいつらの信じているものは間違っている。それを突きつけて目を覚まさせてやるのが、俺たちの役目だ。
(黒沢迩守「意識の繭」)
#011205
不具合は修正しなければならないが、超巨大システムの宿命として、不具合が解消可能なものであるかはわからなかった。
(円城塔「魔の王が見る」)
#011207
そもそも、人文科学が、人類社会になにか良い影響を与えた試しがあっただろうか?
(塩崎ツトム「ベニィ」)
#011208
現在AIの力を借りて、自分も才能ある創作者と対等になり、さらにはその地位を脅かすことすらできると思いあがった人も、やがて人工知能にありとあらゆる可能性を先回りに塗りつぶされてしまったことに気付いて、愕然とすることでしょう。
(塩崎ツトム「ベニィ」)
#011210
わたしにとっては、あなたたちはみんな子供のままです。
(塩崎ツトム「ベニィ」)
#011212
ただ、あとになって重要だったことが判明する事件を見逃すよりは、重要でないものもご報告するほうがよかろうと思いまして。
(E.E. スミス「第二段階レンズマン (創元SF文庫 ス 1-3 レンズマン・シリーズ 3) 」)
#011220
しかし、結果が出なければ、すべては錯覚の可能性もある。己を信じろと言うが、結果が伴うから、そこに根拠があるから、信じることができる。
(万城目 学「べらぼうくん (文春文庫) 電子書籍」)
#011224
この世はあまりにも多くの噓であふれかえっております。
(小川 哲「嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA)」)
#011225
今はどうだろう。音楽は宇宙ではなく、2LDKの部屋みたいだ。現実的で、それなりにやっていけるだけの広さがある。わからないことや、見えないところなどない。すべてが明確で、すべてが手に届く距離にある。でもそこには深遠なロマンや、何か真理めいたものなどない。
(小川 哲「嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA)」)
#011226
人間逃げ場があるのはええ事や。
(石川雅之 「もやしもん(2) (イブニングコミックス) 」)
#011227
ついでにエラそうに言うならさ、飲む人間にも求められる物があると思うの。
(石川雅之 「もやしもん(2) (イブニングコミックス) 」)
#011231
燃え上がるような恋情がさめたあとに残るのは、どうしようもない現実だけだ。
(阿部智里「烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1 (文春文庫)」)
#011233
自分に出来ることがあるのに、それをせずにただ他人の好意に甘えているのでは、詐欺を働くのと同じです。
(阿部智里「烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1 (文春文庫)」)
#011235
「こういう係にされつつあるのかもな」
「首にならなくてよかったですね」
(小川 一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ4 (ハヤカワ文庫JA) 」)
#011245
時間はかかるが確実な――とふたりが願いかつ信じている――やりかたである。
(E.E. スミス, Smith,E.E.“Doc「レンズの子供たち (創元SF文庫 ス 1-4 レンズマン・シリーズ 4) 」)
#011247
おまえの反応は自然のものではあるが、その結論は完全に間違っている。
(E.E. スミス, Smith,E.E.“Doc「レンズの子供たち (創元SF文庫 ス 1-4 レンズマン・シリーズ 4) 」)
#011248
完成度は高くても本質的にはより劣った心が、いまは空虚だがより偉大な心にそのありかたを指示しようとするのは、その偉大な心を小さすぎる鋳型に流しこもうとするようなもので、結果的に回復不可能な害を与えることになる。
(E.E. スミス, Smith,E.E.“Doc「レンズの子供たち (創元SF文庫 ス 1-4 レンズマン・シリーズ 4) 」)
#011249
ときどきぼくは、あの老いぼれを叩きのめしてやりたくなるが、これまでのところ彼の言葉はぜんぶ的のど真ん中を射抜いている。だからぼくらとしてはそれを言葉どおりに受けとめて守るように努力するしかないんだ。
(E.E. スミス, Smith,E.E.“Doc「レンズの子供たち (創元SF文庫 ス 1-4 レンズマン・シリーズ 4) 」)
#011252
ついにやってのけたという興奮には、いつもながら最高の鎮痛効果があった。
(E.E. スミス「ファースト・レンズマン (創元SF文庫 ス 1-5 レンズマン・シリーズ 5) 」)
#011256
あなたの言ったとおりね。部長なんかになるもんじゃないわ。
(E.E. スミス「ファースト・レンズマン (創元SF文庫 ス 1-5 レンズマン・シリーズ 5) 」)
#011257
そして最終的なところ、なんでも自分で考える習慣を持つ人間というのはつねに意外なほど少数派なのである。
(E.E. スミス「ファースト・レンズマン (創元SF文庫 ス 1-5 レンズマン・シリーズ 5) 」)
#011260
行動を起こすべきだったときからすでに永劫の時間が経過しているのだから、あとわずかな遅れなどとるに足りない。
(E.E. スミス「三惑星連合 (創元SF文庫 ス 1-6 レンズマン・シリーズ 6) 」)
#011277
……それでも、あんたは、こいつのお父さんなんだよ。
(有川 浩「アンマーとぼくら 」)
#011281
「厚意だったのに!」
「同情がほしくないときもある。相手が嫌がる厚意だったら、それも暴力だ」
(有川 浩「アンマーとぼくら 」)
#011283
あれがいい男のスタンダードになったら、世界中の男も女も大迷惑だ。
(有川 浩「アンマーとぼくら 」)
#011287
好きでも始末せねばならない歴史もあるのであった。
(有川 ひろ 「物語の種 」)
#011290
彼女は言った。楽しいことだけでなく、煩わしいことも窮屈なこともある。気まずいこともある。そういう澱を漉して上澄みを思い出にするのも人生の訓練だよね、と――
(有川 ひろ 「物語の種 」)
#011291
若者や子供たちがこの疫病で奪われたあれこれの喪失感は、大人は決して理解してやれない。理解できると言うのは傲慢だ。
(有川 ひろ 「物語の種 」)
#011292
思い入れを持っている人がたくさんいるのは知っています。やると決まったんなら無事に開催されるといいなあ、くらいは思います。
(有川 ひろ 「物語の種 」)
#011293
死にかかったことで、魂の形がちょっとだけ変わった。このまんまじゃいけないと思うことがあったのだ。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011299
こういうところもある。不親切ぶって、優しくないふりをするのだ。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011301
実家で、あんまり大事にされてねえ娘の方が、俺に馴染んでくれそうな気がします。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011302
自分の身は自分で始末しよう。
水に入れば、あの世はすぐそこだ。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011305
解決しない謎は毒だ。身の毒、気の毒、人生の毒になる。だったら偽の解決でも、ないよりはあった方がいい、と。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011308
おいらの大事な誰かの身の上に、ああいう恐ろしいことが起こりませんように。腹の底から胴震いするように力を込めて、祈った。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011309
この手の悪事を働くくそ野郎には、くそ野郎なりの好みがあるからだ。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011312
あるところにくっきり線があって、その手前はまともで、越えたら気が触れたってわけじゃねえ。餅が煮とけるみたいに、正気もだんだん溶けてく。
(宮部 みゆき 「気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三) 」)
#011313
「本当に私がそんな偉そうなことを言ったのかい?」
「ええ、とうとうと」
「よっぽど酔っ払っていたんだなあ」
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011314
野心は頼もしくもあるが、危なっかしくも感じられる。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011315
優しいし、控えめだ。それは長所ではある。だが、「自分から物事を選択しない、決定しない」というのは、胆力がない意気地なしの生き方でもある。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011318
あなたは嘘のない人柄だから、偽りを言おうとすると、ことさらに声が大きくなる。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011320
当時のわたしは、一日じゅう、昼日中であっても闇の中にうずくまっているような気分でございました。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011321
早く死んで楽になりたい。いや、自分はもう死んでいて、地獄に落ちているのか。だからこんなに苦しいのか。そう思うと泣けてきて、焼けるような涙が流れる。喉は渇いてからからで、声も出ない。息をするだけで胸が張り裂けそうになり、身体のあちこちからずっと血が流れ出ている感じがする。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011323
あれは人生のなかの貴重な一幕。幸せに満たされていたからこそ、長く続くものではない。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011324
このまま自分は死ぬのだろう。それでいい。こんなに辛い暮らしに未練はない。さっさとあの世にいってしまいたい。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011325
あれはただの幻だったのではないか。遠くに見える虹みたいなもの。めったにない幸運に恵まれた女だけが、ああいう幸せを得ることができる。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011326
また会えたのは嬉しいけれど、どうして来てしまったの?今は幸せではないの?人の世で、命がけであたいと会いたいと思うほどに、辛い目に遭っているの?
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011336
人は皆、先達が成し遂げてきた事物を学び、それに憧れ、それをさらに熟達させ推し進める努力を重ねることで、世の中をよくしてきた。しかし、同じ理屈は悪事の方にもあてはまる。なぜなら、どちらも人の心の力が起こすことだからだ。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011338
気になるーーけれど。
二人がさしで話しているのは、その必要があるからだ。今はその邪魔をしてはいけない。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011339
美丈夫で、気が利いて頭が回り、人をそらさず弁舌も立つ。でも、そういう文句なしの人物であるからこそ、老若男女を問わず、自分の心が「これ」と認めた道の上にいる相手でないと、無造作にあしらってしまう場合がある。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011345
誰にでも、何事にも初めてということはある。そして初めてのことはめでたい。
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011346
「このような笑い方のことを、呵々大笑というのだ」
「はあ」
「腹の底からの、一点の曇りもなく清々しい笑いのことだ。よかったな」
(宮部 みゆき「猫の刻参り:三島屋変調百物語拾之続 」)
#011352
心に傷があるから優しくなれる。顔がこえー俺たちのほうが心は優しいんだ、分かったか。
(有川 ひろ 「イマジン? 」)
#011359
もう二度と戻れない――
「それ以上の罰があるか。俺ァ死者に鞭打つ趣味はねえよ」
(有川 ひろ 「イマジン? 」)
#011361
ごめんより、ありがとうのほうが聞いてて気持ちいいです。
(有川 ひろ 「イマジン? 」)
#011364
好きだったんですか?――などということは訊かないのが大人の作法である。
(有川 ひろ 「イマジン? 」)
#011368
あれはリーダーシップではなく恐怖による支配だったよなと自分でも思う。
(加納 朋子「七人の敵がいる 」)
#011369
ほかに考えなきゃいけないこと、大切なことは山ほどあるのに。なんだってこんなくだらないことに煩わされなきゃならないんだろう。
(加納 朋子「七人の敵がいる 」)
#011371
同じ立場に立ってみなければわからないことというのは、確かにあるのだ。
(加納 朋子「七人の敵がいる 」)
#011373
夫婦は時に、敵同士となる。時に妻は鬼にもなる。だが……。
温かい愛情とほんの少しのねぎらいの言葉。それさえあれば、女は「家」を守り抜く、どんな勇猛な戦士にだってなれるのだ。
(加納 朋子「七人の敵がいる 」)
#011375
情報とは、力である。
(加納 朋子「七人の敵がいる 」)
#011386
どんな勝負でも、あと少しのところで手が届かなかったというのが、たぶん一番悔しい。
(加納 朋子 「我ら荒野の七重奏 」)
#011389
私個人の趣味としては、作中のさまざまな証拠をつなぎあわせてシステムを明らかにしようとするよりも、「嗚呼、へんてこな世界がここにありますナア」と感じ入っているほうが好きである。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011390
それは恐ろしいほどの楽しさだ。いったん始めると止められない。幸せとはコレである。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011393
鉄道に脱線は禁句だが、旅に脱線はつきものである。むしろ計画と脱線の微妙な合間に現れてくる得体の知れないものこそが旅と言える。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011400
それにしても、あれから一年も経つということが信じられない。その間、いったい私は何をやっていたんだろう。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011403
効率を追求して本末転倒するのは避けたい。旅は旅のためにあり、スケジュール消化のためにあるのではない。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011404
ごつんごつんと暗礁にぶつかっているときは、「事前の計算を超えたものが生まれようとしているのだ」と考えることにしている。行き詰まることはチャンスでもある。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011405
その日の夜、「今日はうまくいかなかった」と嘆くことになるかもしれないが、なぜ朝から夜の心配をする必要があるのか。
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011406
「今ここで注文したお酒のことを、明日になればあなたは忘れる。にもかかわらず、あなたは断固として飲む。聞きたいのですが、その記憶に残らないお酒は、いったい何のために飲むのですか?完全な無駄になりませんか?」
「そんなことは知りませんよ。ともかく飲むんですよ」
(森見 登美彦「太陽と乙女 」)
#011411
地に平和が、もしあるならば、それはこの日が過ぎて後のことである。
(エラリー・クイーン「フランス皇太子の人形」)
#011415
まあまあ2人とも留年したからって人間失格ってことじやありませんわよ。
(一条ゆかり 「有閑倶楽部 2 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL) 」)
#011418
原子力は、昔からの火と同様、いやそれ以上のすばらしい召使いであると同時に、悪逆な暴君でもあった。人間はそれを本当に制御できないうちに解き放ってしまったのだ。
(E.E.スミス「渦動破壊者―レンズマン・シリーズ 7 (創元推理文庫)」)
#011420
「なぜいまごろになって発現したのでしょうか?」
「その質問への答は簡単明瞭です。何事にも時期というものがあり、すべては予定どおりに起こるのです」
(E.E.スミス「渦動破壊者―レンズマン・シリーズ 7 (創元推理文庫)」)